そして待つこと数分・・・アルを先頭に、リヒへ向かった3人が到着した。

 アル :「みんな、大丈夫か!?」
 ジュノ :「大丈夫っちゃ〜大丈夫なんだけどな・・・」
 アル :「なにかあったのか? それに、ジェイドは・・・」
ケルビナ:「それが・・・」
ルーシィ:「お持ち帰りされちゃった・・・
      ごめんなさい、ますた〜・・・」

沈んだ声でルーシィがつぶやく。

セラフィ:「お持ち帰り・・・ですか・・・」
 アル :「ルーシィの次はジェイドか・・・!」
 ファル :「しかも、どうやらジェイドが本命だったらしいぜ。」
 アル :「・・・それで・・・?」
 ジュノ :「2時間後、アインに来いってさ。
      しっかし、あの速さは異常だろ〜・・・
      ヘタしたら兄者より速いぜ・・・」
ケルビナ:「外でお茶を用意して待っているといってました。」
ルーシィ:「ますた〜とアンバーさんとも、戦いたがってるみたいだったよ?」
 アル :「そうか・・・」

事情を一通り聞き、アンバーを交えて軽く会議を開く。

 アル :「・・・事情は今のとおりだが、アンバー・・・」
アンバー:「ええ、大体予想通りです私に対する効率のいい盾のつもりでしょう」
 アル :「盾・・・か。どうするかな・・・」
 ジュノ :「ルーシィはスグ返してもらえたけど、ジェイドはそうはいかないだろうなぁ・・・」
アンバー:「手っ取り早い方法もありますけど、それはやめるようにきつくいってますし
     ま、あいつは私への復習目的でしょうから手は出さないと思いますよ」
 アル :「復讐・・・?」

アルはその言葉に疑問を抱いた。

 アル :「今まではクーラの目的はわからないと言っていたが・・・
      アンバー、なにか思い当たるフシでもあるのか?」
アンバー:「ええ・・・あまりいい話でもありませんけどね。
      いうなれば誤解から生まれた怨恨ってやつです。
      でも半分は私のしたことでもあるので、うらまれるべくってやつです」
 アル :「そうか・・・」
 ジュノ :「ホントに盾だけなのかねぇ・・・」
 アル :「どういうことだ?」
 ジュノ :「ジョーカーを手に入れるとか、色々役に立つとか言ってたぜ、やっこさん。
      怨恨っつ〜より、ジョーカー・・・ジェイド自体に利用価値を見出してるように思えたけどな。」
 アル :「・・・どういうことだ・・・?」
アンバー:「ちょっと待ってください、ジェイドちゃんがジョーカーと知ってたんですか?」
 ジュノ :「やっこさん、グレイトフルデッド=ジョーカーってコトを知ってたみたいだな。
      ジェイドが一撃でキメるために使ったんだよ・・・その技。」
アンバー:「・・・そうか・・・じゃあ目的はそれを手に入れることだとしたら・・・
      皆さんアインへ向かいましょうすぐに!!」
 アル :「なにか心当たりがあるんだな? よし、スグ行くぞ!
      二時間後では奴が目的を達成してる可能性が高い。」
セラフィ:「わかりました、私の出番ですね〜!」
 アル :「頼む!」

そのとき、皆は大事なことを忘れていた・・・

 ジュノ :「ゎぶっ!」
 ファル :「おふぁ!?」
ケルビナ:「きゃぁっ!」
ルーシィ:「にぁ!?」
 アル :「ぐふっ!」

・・・勢いあまって、次々とカベにぶつかつ一同。
セラフィだけが、なぜか余裕の表情でポタから出てきた。

セラフィ:「みなさん、こういう時こそ、落ち着かなきゃダメですヨ〜?」

アンバーばりのイタズラ笑顔でメンバーをたしなめるセラフィ。

 アル :「・・・あとでポタ位置変えておけ・・・」
セラフィ:「せっかくですが、謹んでお断りします♪」
 ファル :「それより早くいかねぇと!」
ルーシィ:「そうだね! アンバーさん、案内おねがい!!」
アンバー:「おそらくは開けたところにいるでしょ。心当たりはそこしかありませんが・・・いきましょう」
 アル :「了解! 事が始まる前に片付けよう!」

そのころのクーラは・・・・
アインへ戻り人目に付かない広場でジェイドを下ろし考えていた

 クーラ :「こいつがジョーカー・・・いやジョーカーの入った女・・・・
      こいつさえ・・・この力さえ生まれなければっ・・・」

ジェイドの首に手をかけ力を込めていく

ジェイド:「・・・ぅ・・・ぁ・・・・・・」
 クーラ :「・・・っ!!」

パッと手を離すクーラ

 クーラ :「こんなことじゃ私のした意味がなくなる・・・・くそっ!!」

おもむろにジェイドの周りへブルージェムストーンを撒き魔方陣のようなものを完成させる

 クーラ :「・・・さぁ・・・早く来いよエース・・・・・・」

そのすぐそばの木にもたれかかるようにすわりエース・・・アンバーが来るのを待つ

 アル :「アンバー、まだなのか?」
アンバー:「そこを抜けたところにいると思いますよ」
 アル :「いよいよか・・・みんな、気を引き締めろよ!」

一同に激を飛ばし、通りを一気に駆け抜ける。
するとそこには、待ちくたびれたかのように座り込むクーラが見えた。

 アル :「クーラ・・・!」
 クーラ :「・・・・やあ、10分前行動とは関心関心」
 アル :「指定されていた時間よりはだいぶ早いはずだが・・・
      すでに準備万端といった感じだな。」
 クーラ :「早く来るなんて判ってたからねー、ささっと準備したさ」
セラフィ:「ジェイドさんに何をしたんですかっ!」
 クーラ :「べっつにーまだ何もしてないよー?・・・・あ、ごめんうそ。ちょっといろいろしちゃった♪」
セラフィ:「いろいろ・・・? その、地面に散らばっている青ジェムには、なんの意味が・・・?」
 クーラ :「ひ・み・つ・・・・いずれ判るから、今は気にしない気にしない」
セラフィ:「そう言われると、よけい気になるのが人の心というものですね・・・
      ためしに、少し崩してみましょうか? それであなたの邪魔ができるなら・・・ね。」
 クーラ :「ご自由に、でもあんま触んないほうがいいとおもうよー?」
セラフィ:「そうですね、敷かれてある陣にうかつに触れると、込められた力が暴発して大惨事になることもありますし。」
 ジュノ :「じゃ〜、ちゃっちゃと戦わねぇ? ジェイドをかけて・・・さ。」
 クーラ :「えー・・・・やるのー?」
 ジュノ :「やらねぇの?」
 クーラ :「やってもいいけどさぁ・・・・ソンナニ大事?こいつ」

親指でジェイドのことを指す

 ジュノ :「そりゃ〜大事さ〜・・・なんたって兄者の・・・」

言いかけたところで、アルに口をふさがれる。

 アル :「仲間を大事にしない奴は、少なくともこの中にはいない!」
 クーラ :「仲間・・・・か、いいよ興が乗った」

重い腰をようやく上げるクーラ

 クーラ :「こんな危険物を仲間なんていうあんたたちが気に入ったよ、ねぇ?エース」
アンバー:「危険物・・・か・・・・それはお前を含めてだろぅ」

足元からふわっと金色のオーラを吹き上げ臨戦態勢をとる

 クーラ :「こいつ以上のものはないだろ・・・街ひとつ吹き飛ばす危険物がぁぁぁぁ!!」

荒々しくクーラの足元から蒼白のオーラが吹き上がる

 アル :「ジェイドが・・・危険物・・・?」
アンバー:「こぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・」

一呼吸加えるとアンバーのオーラが一回り大きくなる

アンバー:「ジェイドちゃんは返してもらう」
 クーラ :「返してやるさ、中身を全部もらってなぁ!!」

地面を蹴り1飛びでアンバーの目の前へ
そして殴りかかる
寸でのところで拳を止めるアンバー
そのまま押しも引くも出来ずこう着状態へ

 アル :「水を差すようで気が引けるが・・・そうも言ってられないか・・・」

アルがクーラに向かって走る。

 アル :「食らえ・・・!」
 クーラ :「・・・乱入大いに結構!! でもすこしまっててよねっ!!!」

抑えていない反対の腕から翠色の魔法力をアルに向け放つ

 アル :「っ!?」

持ち前の反射神経と瞬発力でとっさにかわすアル。

 アル :「邪魔するな・・・か。 甘んじて受け入れようか。」

アルは、二人がおさまるまで静観することを決めた。
アルに気をとられた隙をつき一気に押すアンバー
それを察して一気に跳躍、間合いを計るクーラ

アンバー:「ちっ・・・・」
 クーラ :「さっすがエース、気を抜いたら押されるね・・・
      じゃさっそく・・・・使わせてもらうよ」

クーラが意識を集中すると蒼白・翠の魔法力のオーラが絡み合いクーラを包み込む

 クーラ :「・・・・・・これは危険だね・・・ちょっとハイになるよ」
アンバー:「貴様・・・ジョーカーの力を・・・」
 クーラ :「言ったでしょ中身はもらうってさ・・・さーてそちらの団体さんも暇そうだし
      えーっと・・・7:1か。こっちは準備オーケー。ウォームアップがてら相手するよ」
 アル :「ジョーカーの力・・・? アンバー、まさか奴は、ジェイドの力を吸収したとでもいうのか?」
アンバー:「いえ、おそらくリンクさせて抜き取っているんでしょう、一気にとることは事実上不可能ですから。
      もともとあるものから分け与えてもらうのが楽ですからね」
 アル :「なるほど・・・考えてみれば、魔力の許容量オーバーで体が崩壊するのがオチだからな・・・」
セラフィ:「では、あの陣を破壊してはどうでしょう?」
アンバー:「可能でしょうけど・・・正直どうなるかは私にも・・・」
 アル :「暴発して、ここら一帯が消し飛ぶ可能性もあるわけか・・・
      なら、奴を倒す以外にないな。まだ完全には制御できてないようだ。」
 ファル :「おっしゃ、一気にやっちまいますか〜!」
ケルビナ:「今度はさっきみたいには行きませんわよ!」
 アル :「アンバー、準備はいいな?」
アンバー:「・・・・ええ、いつでも」
 クーラ :「作戦決まったー? いつでもいいよー?」
 ジュノ :「最初からクライマックスだぜ〜!!」

ジュノのダブルストレイフィングを皮切りに、戦闘が開始された。

 アル :「まずは花火から行こうか!」

アルは何かを上空にバラ撒き、指を鳴らした。
すると、それらが一斉に弾け、毒の雲を形成する。

 アル :「・・・よし、こんなもんだろう。」

雲はその場に停滞し、動く気配もない。

 ファル :「アル兄ぃ、アレは・・・?」
 アル :「そのうちわかる。」

するとアルは、近接攻撃を仕掛けるべくクーラに突進した。

 クーラ :「ふふっ」

アルの踏み込みの裏を取り一気に眼前まで接近両腕を外に向けはじき抑える

 クーラ :「・・・いい男だね、惚れちゃいそうだよ」

一瞬驚いた表情を見せたアルだが、すぐに顔がほぐれて、口をあける。

 アル :「ほへ、は〜んふぁ!」

アルは、ひそかに歯でくわえていたそれを一気に噛み砕く。
辺りに広がる紫の霧・・・そう、お得意のベノムダストだ。

 クーラ :「わっ・・・」

とっさに下がるものの毒はうけてしまう

 クーラ :「なんて熱烈なベーゼなのかしら・・・・でもこれはお断りかな」

愚痴りつつも解毒を施す

 アル :「さすがはローグ・・・ってトコか。まぁ、解毒は基本スキルだからな・・・」

解毒・・・アルは、それを確認する必要があった。
相手が解毒を持っているということは、アルの必殺技”ベノムスプラッシャー”は効かないのだ。
バックステップで距離を置く。

 アル :「お次はベノムナイフだ。かわしきれるか?」

アルは何本ものナイフを、クーラめがけて投げつける。

 アル :「あぁ、言い忘れていたが・・・」

クーラが回避体制に入ったのを確認し、言葉を付け足す。

 アル :「そのナイフは、俺の弟の特別製でな・・・特殊な強化がされてるから、避けれないぞ?」

クーラは眼前で腕を交差させ一直線に突き進む
何本か刺さるもののかまわずアルめがけて突っ込む

 アル :「おかまいなし・・・か。毒は治さなくていいのか?」

クーラが眼前に迫っているにもかかわらず、なぜか余裕の表情のアル。

 クーラ :「・・・お構いなく・・・この状況がたのしいんでね!!」
 アル :「そうそう・・・さっきお前、俺に惚れちゃいそうとか言ってたが・・・
      悪いな、お前じゃムリだ。」

ナイフの嵐を突き抜けて、顔のガードをはずしたクーラのめの前に飛び込んできたのは、
アルの姿ではなく鉄の塊だった。

 ファル :「カートレボリューション、上段バージョンってとこかな。」

腕を交差させて防御をしていたクーラは視野が狭く迫るカートをモロに喰らい、素敵に跳ね飛ばされた。

セラフィ:「今ですね・・・」

速度増加を有効に使い、クーラの吹っ飛ぶ先で待ち構えるセラフィ。
勇猛に鈍器を構えるその姿はまるでアベレージヒッター

セラフィ:「飛んでいきなさい!!」
アンバー:「おぉー・・・・ほーむらーん・・・」

などと呑気に見上げるアンバー
豪快なフルスイングで打ち上げた先には、さっきアルが作った毒雲があった。
アルはそのクーラを空中で受け止め、毒の褪めないうちに必殺技を仕掛ける。

 アル :「・・・ここまではいいが・・・あの高さではもう追撃できないな・・・」
 ジュノ :「だから〜・・俺の弓、忘れすぎだって!!」

ジュノは、すでに弓を構えており、針を通すような正確な射撃でクーラを射抜く。
遠距離では何もできないルーシィとケルビナは、あまりにも戦闘慣れしている4人の行動を、
ただ見ているしかできなかった。
受身も何もないまま自然落下するクーラ
土煙を立ち上げ墜落

 アル :「これで終わり・・・じゃないだろう?クーラ。」

立ち上る土煙をクーラから噴出す翠の魔法力が一気に吹き飛ばす
その中で悠々と立ち上がるクーラ

 クーラ :「うん、いい連携だね ふつーの人だったらアレで終わりだよね」

軽口をたたくきつつ今までのダメージ体力全てが元に戻っていく

 クーラ :「でも、今の私にはちょっと足りなかったかな?」
 アル :「回復・・・か。ならば、もう一撃・・・」

指を鳴らすと、クーラの内部で何かが弾けた。
さっき仕込んだベノムスプラッシャーである。
そんな一連の最中魔法陣の中のジェイドが目を覚ます
起き上がるも状況がまだつかめていないようにあたりを見渡している

 クーラ :「くっ・・・っと・・・・」

衝撃によろけるも一気に回復しているクーラの身体

 クーラ :「油断もすきもナイ・・・やっぱいいね、惚れ甲斐がある」
 アル :「これもダメか・・・」

いくら攻撃してもすぐに全快してしまうクーラを相手に、アルの表情はいっそう険しくなっていた。


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