ジェイド:「・・・どうぞ」

それぞれの手荷物を渡していくジェイド。

 アル :「わざわざすまないな、ジェイド。」
ジェイド:「いいえ、お構いなく・・・」
ルーシィ:「じゃ〜、家まで競走〜w」
セラフィ:「ポタ出しますけど・・・」
 アル :「・・・たまには歩いて行こう。」
セラフィ:「わかりました。」
ルーシィ:「ほらほら、早くぅ〜!」

すでにルーシィは少し先で飛び跳ねている。

アンバー:「そうだアルさん」
 アル :「ん?」
アンバー:「そういえばジェイドちゃんといい仲になったことですし、
      おねーちゃんとしてはここらで一発テストをしてみたいと思います」
 アル :「・・・テスト・・・?」
ジェイド:「姉上、こんなときに冗談は・・・」
アンバー:「シャラーップジェイドちゃん!
      おねーちゃんとしては、やはりふさわしいかどうかをちゃんと見極めたいものなのだよ!!」
ジェイド:「・・・はぁ・・・」

またか・・・そんな表情のジェイドである

アンバー:「簡単なテストです、お受けになります?」
 アル :「まぁ、やってみようか。」
アンバー:「ルールは簡単、どっちがジェイドちゃんか当ててください」
 アル :「・・・・・・(苦手分野だ・・・)」
アンバー:「皆さんも、ヒントとか答えとか言っちゃダメですよー?」
セラフィ:「はぁ・・・」
 ジュノ :「ま、俺らにも見分けつかねぇだろうしなぁ・・・」
アンバー:「まぁ、さすがに一目で見分けろというのはまず無理なので、1回だけ質問をしていいですよー
      ではでは、アルさんは後ろを向いててくださいねー」
 アル :「・・・わかった。」

言われるがままに、ジェイドとアンバーに背を向ける。
後ろを向いたのを確認すると小声でこそこそ話しつつ動き回っていた

アンバー:「もういいですよー」

アルが振り返ると部屋の両はじに手を前に組み眼を瞑り直立している二人のジェイドがいた

 アル :「・・・やはり見ただけではわからんな・・・」
(何を聞けばいいのだろうか・・・ジェイドがアンバーに"話していない"と思われる出来事・・・)

端にいる二人は微動だにせずただ佇んでいる

 アル :「・・・俺とジェイドが初めて会ったときのことだ。
      ジェイドは俺と会う直前に、モンスターに囲まれている人を助けた。
      そのときジェイドが助けた人の職業と、対峙していたモンスターは?」
ジェイド右「はい、手助けしたのはアコライトのセラフィ様 モンスターは盗蟲です」
ジェイド左「はい、手助けしたのはアコライトのセラフィ様 モンスターは・・・・」
 アル :「右か。」

アルは意を決して言った。

 アル :「ジェイドなら、忘れたり間違えたりすることはないだろう。
      万一、そんなことがあるとしたら、ジェイドにとって俺はその程度の存在でしかないということだ。
      よって、右のジェイドが本物。・・・どうかな?」
ジェイド左「・・・・・・ふふっ・・・あははははははっ♪」

左側のジェイド・・・アンバーが声高らかに笑い出した

アンバー:「あはははっ・・・いやー負けましたわ・・・それだけ自信満々なんて・・・あはははははっ」

お腹を抱えてわらいつづけている

ジェイド:「・・・姉上、笑いすぎです失礼ですよ」
 アル :「・・・別に構わないだろうに。
      まぁ、そのときジェイドが"セラフィに被せられて言い切れなかった言葉"でもよかったんだが・・・
      ジェイドが恥ずかしがりそうだったんでな。・・・そこで見分けれたかも知れんが。」
アンバー:「あー、それだったら私でもわかったんですけどねー・・・あ、ジェイドちゃんが言わないか」
ジェイド:「わたくし唯一のお気に入りですよ。首から下はちい・・・」
アンバー:「あーはいはい、わかったからそれ以上は言わないの」

やはり不満げな顔をするジェイドであった

 アル :「・・・そっちにしなくて正解だったな。」
アンバー:「まぁ、これでジェイドちゃんへの愛が本物とわかりましたからねー、おねーちゃんも一安心です」
 アル :「・・・こっちとしては、冷や汗モノだったけどな。
      正解したのに大笑いされるし。」
アンバー:「だってー、ジェイドちゃんのことそこまで信頼してるんですもの。
      もーうれしいやらおかしいやら、胸いっぱいですよ」
 アル :「信頼できない奴と一緒に居たいなんて思わないぞ・・・
      セラフィ達もそうだ。信頼してるから、一緒に行動してるんだ。」
セラフィ:「兄さん・・・」
 ジュノ :「兄者〜・・・なに気取ってんだよ・・・」
ケルビナ:「私もお慕いしていますわ!アル兄様!!」
アンバー:「あはー、人気者ですねぇ。ジェイドちゃん、うかうかしていられないんじゃない?」
ジェイド:「無用の心配です、姉上よりも誰よりもアル様を信頼しておりますから」
アンバー:「むー、なんか妬けちゃうなぁ・・・・」
 アル :「・・・ということだ。アンバーのことだって信頼してるんだぞ?」
アンバー:「あはー、私にはもったいないですねー」

ケタケタと笑うアンバー

 アル :「仲間を信頼しないヤツが、どこにいるか。」
アンバー:「あははー、ありがとうございます。・・・さてさて、大分時間も過ぎてしまいました。
      そろそろ戻られた方が、道に迷わなくてよいのでは?」
 アル :「引き止めたのは誰だ・・・?それに、迷ったらポタで帰るだけだ。」
アンバー:「痛いところをつかれましたねー・・・ではお詫びとして、途中までお送りいたしますよー」
 アル :「それは心強いな。」
ルーシィ:「むぅ〜・・・競争できない〜・・・」
アンバー:「ではまいりましょー ジェイドちゃん、ちょっとお留守番お願いねー」
ジェイド:「ハイ姉上、姉上の掃除の分は取っておきますからご心配なく」
アンバー:「・・・・それはとっとかなくていいよぅ・・・」
 ジュノ :「・・・アンバーには容赦ないな・・・」
アンバー:「じゃー、ルーシィちゃんは私と競争ダー」
ルーシィ:「でもアンバーさん、私達の家、知らないんじゃ・・・」
アンバー:「この森を抜けるまで競争ですよー」
ルーシィ:「よ〜っし、そういうことなら負けないぞ〜!
      アンバーさんが体力ないの、よく知ってるもんね〜w」
アンバー:「じゃージェイドちゃん、留守番よろしっくー
      いっくよールーシィちゃん・・・・よーーー・・・・・ドン!!」

ちゃっちぃインチキで先行するアンバー

ルーシィ:「あ、ずる〜い!! まてぇ〜〜〜!!」
ジェイド:「・・・・・・・・・では、皆様もお気をつけてお帰りください」
セラフィ:「はい。今日はご馳走さまでした。」
 ジュノ :「またな〜」

全員が出たのを確認し、後片付けを始めるジェイド
こっそりアルのティーカップだけ別にしておくのはなぜか・・・・
詳細は神のみぞ知る・・・・


先に走っていったアンバーの後ろを追うルーシィ。
体力・運動神経の差もあり、もうすぐ追いつきそうだ。

ルーシィ:「このまま一気に抜いちゃうよ〜!」
アンバー:「むー・・・・先行したはいいですけど、この服のままは失敗でしたねー・・・」

そう、アンバーはメイド服のまま走っているのである。当然動きにくく、スピードも出ない
職業柄のハンデもあいまって、さっさと抜かれるのである

ルーシィ:「あ、あれ・・・? アンバーさんらしくないねぇ・・・」

アンバーなら、何か罠や策を張り巡らせてるはず・・・
そう考えていたルーシィは、あまりにもカンタンに追い抜けたので、少し拍子抜けてしまったようだ。

アンバー:「るーしぃーちゃーーん まーってーーーー・・・・・」

遠くから聞こえるアンバーの叫び 大分差を広げたようである。

ルーシィ:「やっぱり差がありすぎるよ〜・・・アンバーさん、なんでこんな勝負してきたんだろ・・・
      少し待とうっと。」

ルーシィは足を止め、アンバーが来るまでその場で待つことにした。
遅れること15秒 肩で息をしつつアンバーがやってくる

アンバー:「ひーひー・・・いやーさすがに追いつきませんねぇー」
ルーシィ:「あたりまえだよぉ・・・私、速く動く訓練してるもん。」
アンバー:「単純な徒競走なら・・・とは思ったんですけどねー残念」
ルーシィ:「でも、アンバーさんにしてはめずらしいね〜。
      何も罠とか用意してないなんて。」
アンバー:「帰りがけに罠なって、侵入者撃退用しかありませんよー?」
ルーシィ:「それはそーだけど・・・ホラ、アンバーさんが何か言い出すときって、ウラがありそうで・・・
      この競争だって、あきらかに私が有利だったし・・・」
アンバー:「さーてもうすぐ森を抜けますねー」
ルーシィ:「あ、ホントだ。」
アンバー:「私だって童心に帰って楽しみたいんですよー?・・・・あれ?」

ふと森の出口に眼を向けると、一本のテープのようなものがかかっていた。
よく見ると『ゴール』とかかれているテープだった。

ルーシィ:「これ、アンバーさんが用意したの・・・?」
アンバー:「・・・いえ?ここまで用意する余裕はありませんでしたが・・・」
ルーシィ:「ますたー達は私より後ろにいるはずだし・・・なんで?」
アンバー:「なんでしょうねぇ?・・・私ならもーちょっと豪華なものにしますが・・・
      どうしましょうかねぇ?あのテープ」
ルーシィ:「何か罠がありそうだよね。私達でも、ますたー達でもないとなると、
      お茶会が終わってからずっと誰かに見られてたってことでしょ?」
アンバー:「・・・・・・・・・」

どうやら思い当たる節があるように黙りこくってしまう

ルーシィ:「アンバーさん、ちょと質問していい?」
アンバー:「なんです?」
ルーシィ:「罠とか仕掛け慣れてるアンバーさんだから聞くんだけど・・・
      もし、アンバーさんが誰かを待ち構えて罠を張るなら・・・
      あんなふうに堂々と目立つものを用意しておく?」
アンバー:「目立たせておいて他が本命・・・・これが常套手段ではありますねー」
ルーシィ:「ってことは、いっそあのテープまで行っちゃったほうが安全なのかな?
      どう思う? アンバーさん。」
アンバー:「危うきに近寄らず、ともいいますがあそこまで堂々としていると清清しささえ覚えますねー
      問題はないと思いますけどねー」
ルーシィ:「じゃぁ、行こう。 アンバーさん!」

ルーシィはアンバーの手をしっかり握り、ゴールテープに向かって一気に駆け出した。

アンバー:「わーーい、ごーーーーーーーーーるっ!!!」

グ○コのマークのようにテープを切る

ルーシィ:「・・・何も起こらないね。」

ルーシィはアンバーのアクションをスルーしつつ、辺りを見回す。

パチ パチ パチ パチ

後ろから力ない拍手が聞こえた。


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