ジュノ :「さ〜て、早速泳ぐかぁ!!」 ファル :「ジュノは泳ぎも得意なのか?」 ジュノ :「あったり前じゃねぇかw」 ルーシィ:「じゃぁ、ジュノお兄ちゃんに教えてもらおうかな〜・・・」 ジュノ :「ぉぅ、ドーンと来い!!」 ルーシィ:「お手柔らかに〜☆」 先陣切って海に飛び込む2人。 アンバー:「あはー、若いっていいですねー♪」 ジェイド:「姉上・・・・・・」 などといいつつ泳ごうとする気配はない ファル :「アンバー、泳がないのか?」 アンバー:「色々と疲れてましてー御気になさらずにー」 そういってひらひらと手を振る ファル :「そっか。 じゃぁ俺は行って来るぜ。」 なぜか水着でカートを引いているファル。 だが、そのカートの異変に気づく者はいなかった。 セラフィ:「ケルビナ、私達も行きましょうかw」 ケルビナ:「そ、それが・・・」 ケルビナも何やら渋っている様子。 ケルビナ:「実は・・・その・・・カナヅチで・・・」 セラフィ:「なら、水浴びだけでもしませんか?」 ケルビナ:「足のつく所でしたら、大丈夫ですわw」 セラフィ:「えぇ、それはもちろんw」 ケルビナとセラフィは波打ち際で水をかけあっている。 ルーシィはというと、ジュノに手を持ってもらって足をバタつかせている。 そしてファルは・・・ ファル :「こーいうのもイイよなぁ・・・」 直接海に浸かるのではなく、一人用ボートに乗っていた。 そう、ファルのカートの形そっくりの・・・ アル :「あいつ・・・いつの間にあんなものを・・・」 さすがのアルも水面を走り回って疲れたのか、パラソルの下で休んでいる。 アンバー:「さってとー・・・・よっと」 不意に立ち上がるアンバー アンバー:「ジェイドちゃん私たちも行こうか」 ジェイド:「え・・・あ、はい姉上」 手を引かれ二人海へ沖のほうへと泳いでいく。 アル :「あまり沖に出ると危ないぞ〜?」 制止にかるーく手を振り答えるアンバーはジェイドをつれてささーっと沖まで出てしまった アンバー:「この辺でいいかなー」 ジェイド:「姉上、用件はなんです?」 アンバー:「あら、やっぱわかるー?」 ジェイド:「・・・・姉妹ですから。」 アンバー:「そうだね・・・・じゃ手短にいこう・・・生きてたみたい・・・」 ジェイド:「・・・・そうですか・・・やはりといってはなんですがそんな気がしました」 二人は立ち泳ぎをしているように見せているが実は魔力で浮いていてそう見せかけているだけである アンバー:「どうやら向こうから探してるみたい、だからちょっと派手にしてみたんだけどね・・・」 ジェイド:「いい機会だから過剰に反応して見せたと、そしてまわり全員を探っていたのですね」 アンバー:「そ、でもいなかったみたい 良かったといえばよかったけどねー」 ジェイド:「近々・・・といったところでしょうか?」 アンバー:「そうだね、出会うのも・・・・決着も」 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・・」 アンバー:「さ、もどろっか。離れすぎて心配されると厄介だし」 ジェイド:「はい。」 アンバー:「そ・れ・に アルさんにその水着をじっくり見てもらわないとねー♪」 ジェイド:「姉上!!」 アンバー:「あははー」 笑いながらついーっと海岸へ泳いでいくアンバー ジェイド:「・・・・・・・・・」 しぶしぶといった表情で後についてくジェイドその頃の波打ち際・・・ ジュノ :「そーいえばルーシィ?」 ルーシィ:「?」 ジュノ :「兄者に憧れてるみてぇだけど、いつか兄者みたいに水の上走ったりすんのか・・・?」 ルーシィ:「それはないよ〜・・・アレは私から見ても異常だったもん・・・」 ジュノ :「挙句、水の上で立ち止まって平然としてるしな・・・」 ルーシィ:「どんな仕掛けがあるんだろうね・・・」 ジュノ :「特殊な足運び・・・とか言ってたけど、どーもソレだけじゃなさそうだな。」 ルーシィ:「そんなことより〜・・・もっと泳ぎ教えて〜♪」 ジュノ :「ぉぅ、手加減しねぇぜ〜?」 ルーシィ:「は〜ぃw」 そんな2人の様子を眺める者が一人・・・ ファル :「あの二人、仲良くやってんな〜・・・まさか、このままくっついたり? なわけねぇかw って・・・」 ファルは何かに気がつき、辺りを見回す。 いつのまにやらボートは沖に流され、ファルは孤立していた。 ファル :「しまったぁぁぁぁぁぁ! このボート、オールとかないんだよなぁ・・・俺、戻れるかな・・・」 見るからに不安げな表情である。 そんなファルをよそに、アルの視界にはこちらに戻ってくるジェイド・アンバーの姿が映った。 アル :「どうやら、無事なようだな。」 アンバー:「あはー心配されるようなことはしてませんからー」 アル :「波にさらわれて・・というコトもあるからな・・・ アイツみたいに。」 アルは、ボートに乗ったまま沖に流されていったファルに視線を送る。 アンバー:「あはー・・・・災難ですねぇ・・・」 ファル :「ア〜ル〜兄いぃぃぃぃぃ! 手伝ってくれぇぇぇ!!」 ジェイド:「・・・・姉上、あまり早く進まないでくださいな・・・あまりなれていないのですから・・・」 後からジェイドも現れた アル :「おかえり。」 ジェイド:「ただいま戻りました・・・・が、アル様、ファル様はほっておいてよろしいのですか?」 アル :「面白いから放っておこう。」 ジェイド:「・・・・・・さようですか・・・・」 アンバー:「さってー私は向こうを漂っていますねー♪」 言うが早くアンバーは流されるように離れて行った アル :「気をつけろよ〜」 アンバーが場を離れたことにより、二人きりになるアルとジェイド。 朝の出来事を思い出し、アルは言いようのない感情に戸惑っていた。 ジェイド:「・・・アル様?いかがなさいました?」 心配したジェイドがすーーっと寄ってくる アル :「!? あ、いや・・・なんだ・・・」 言葉を濁し、ジェイドと目を合わせない。 ジェイド:「・・・・・・アル様?」 流れるように向かい合わせになろうとする アル :「い、いや・・・朝のことで・・・ちょっと、な・・・」 ジェイド:「・・・・朝?」 アル :「・・・憶えて・・・ないのか? まぁ、ジェイドも寝ぼけていたようだしな・・・」 ジェイド:「・・・・・・?」 まったく覚えていないジェイドである だが・・・ ジェイド:「・・・!!もしやあの写真は・・・」 アル :「写真・・・?」 ジェイド:「・・・・い・いえ!!何でもございません!!」 今度はジェイドがそっぽを向き始めた アル :「・・・まさかアンバーが・・・」 何かを悟ったアルは、意を決したように言葉を発する。 アル :「ジェイド!」 ジェイド:「は・・はい!?」 いきなりのことで声が裏返ってる アル :「イヤだったら全力で振りほどいてくれ。」 そう言うが早いか、突然ジェイドの身体を抱きしめるアル。 ジェイド:「ぇっ!!・・・・ぇっ!!・・・・あ・・・アル様!!?」 ジェイドは硬直した アル :「・・・やはり、朝と同じで暖かいな。」 ジェイド:「・・・・あの・・・朝って・・・ええっ!?」 混乱しているようで事態が飲み込めていない アルはジェイドを抱いたまま、耳元にそっと囁く。 アル :「写真・・・だ。 朝、ジェイドが寝ぼけて俺に抱きついてきたトコロでも撮られたんだろう。 まぁ、現物を見ていないから確証はないが・・・俺とジェイドが今みたいにしてるトコロでも写ってたんじゃないか?」 ジェイド:「あの・・・・その・・・・・はい・・・・」 アル :「いいじゃないか、別に。 ”こういうコト”にしてしまえば、それで脅されることもなくなる。」 アルは、さらに腕に力を込める。 ジェイド:「・・・・・・アル様・・・・こういうことにするとは・・・・どういう・・・・」 されるがまま抱きしめられるままである アル :「・・・ジェイドの無防備な寝顔・・・反則的なまでに可愛かったぞ。」 恥ずかしげもなく言い放つアル。 アル :「・・・胸の内のおかしな感情が、今ハッキリとわかった。 好きだ、ジェイド。」 ジェイド:「!!」 びくっと体をこわばらせた後、ゆっくりとアルに体を預けて行き ジェイド:「・・・・アル・・・様・・・・・アル様・・・・」 ゆっくりとアルの背中に腕を回していく アル :「ジェイド・・・」 二人の顔がしだいに近づき、その唇がそっと触れ合う。 ジェイド:「・・・・・・・・・ん」 とても短い・それでいてとても大事な時間・・・ アルも、すでに離れたその唇の余韻に浸る。 ジェイド:「アル様・・・・」 上目遣いでアルをしっかりと見つめる アル :「ジェイド・・・」 今度は、アルもしっかりと見つめ返す アル :「もう一度言う。 好きだ。」 ジェイド:「・・・・わたくしも・・・・・わたくしも好き・・・・・・好きです!!」 逆にアルのことを抱きしめ ジェイド:「初めてお会いしてからずっと・・・・今までずっとお慕いしておりました!! こんな気持ちは初めてですが・・・・・はっきりと言えます・・・・大好きです・・・・。」 とても長く感じる、一瞬の出来事・・・ 互いの想いが通じ合った瞬間。 そのことをしっかりと確かめると、アルはふいに我に返った。 アル :「あっあぁぁ・・えっと・・・す、すまない。 こんな人前で、恥ずかしかった・・・よな?」 いつになく恥ずかしげに慌てるアルは、なぜか可愛らしくも見えた。 ジェイド:「ふふっ・・・アル様、言われたほうはもっと恥ずかしいんですよ・・・」 そういって思いっきりアルのことを抱きしめた アル :「そうだよな、悪かった。」 微笑み、ジェイドのことを抱きしめ返す。 ジェイド:「アル様」 アル :「どうした?」 ジェイド:「・・・・わたくしジェイドは、アル様を生涯の主と定めこの命尽きるまでお傍に付き従いつくすことを ・・・今ここ誓います・・・」 目を伏せ、意志力のある口調でそう誓いを立てた アル :「ジェイド、その気持ちはすごく嬉しい。 でもな、主従関係じゃなくて、良きパートナーとして・・・対等な立場で・・・」 そこまで言いかけたアルだったが、ジェイドの意思強き瞳に圧されて、それ以上言葉を続けられなかった。 ジェイド:「あなたはわたくしにとってただ一人、わたくしのすべてを捧げられる御方です そのことがわたくしにとって至上の喜びであり幸せなのです・・・・」 アル :「・・わかった。 その気持ち、しっかりと受け止めよう。 だが、俺はお前を召使いや奴隷などではなく、”大切なパートナー”として応じる。 お互いに助け合ってこそ・・・だ。 それだけはわかってくれ。」 ジェイド:「・・・・アル様」 アル :「ジェイド・・・」 またも見つめあう二人。 ファル :「ま〜ま〜お二人さん、お熱いこってw しかし、あのアル兄がなぁ・・・意外やらめでたいやら・・・ でもまぁ・・・」 ファルは周囲に目を配る。 見渡す限り海。 アル達の行動がギリギリ見える距離を漂っている。 ファル :「いい加減、どうにかしねぇとな・・・(汗」 すっかり放置されているファルであった。 ??? :「あはー♪・・・お困りのようですねぇ♪」 後ろから聞きなれた声が聞こえた ??? :「どうですー?お助けしましょうかー?」 ファル :「・・・その声は・・・アンバー!?」 アンバー:「はぁーい、正義の悪役アンバーですよー♪」 そんなことを言っているアンバーだが、水面にかがんで存在している ファル :「正義なのか悪なのかわかんねぇけど・・・とりあえづ頼むわ。」 アンバー:「力持ちではないので、少々荒っぽくいきますよー♪」 そういってボートの端に手をかけた アンバー:「・・・・・ナパームビート!!」 その衝撃でボートは岸へと一直線に・・・・・・弾き飛ばされた ファル :「ちょっ・・・待っ!! うぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 ボートごと吹っ飛ばされたファルは、あえなく星に・・・はならなかったが、見事に頭から砂浜に”刺さる”カタチで、 命からがら帰還を果たした。 ジェイドと雑談をしていたアルも、さすがにたじろいでいる。 すると、ケルビナとセラフィが戻ってきた。 セラフィ:「ただいま戻りました〜」 ケルビナ:「ふ〜・・・塩水で髪がベタベタですわぁ〜・・・」 セラフィ:「私もですよ・・・どこかにシャワールームでもあれば良かったんですけど・・・帰るまで我慢ですね・・・」 突き刺さったボートを尻目にアンバーが戻ってくる アンバー:「いやいやー張り切りすぎましたかねぇ♪」 声が聞こえ、ふと横に目をやるセラフィ セラフィ:「ところで・・・なんであんなトコロに人が”刺さって”るんですか?」 アル :「・・・俺もわからん。が、その横に転がってる物体を見る限りでは・・・ 何者かに吹っ飛ばされてきたファルじゃないかと思うんだが・・・」 セラフィ:「・・・確かめてみましょう。」 たいして慌てることもなく、天に向かって伸びる足を掴み、一気に引き抜く。 その容姿たるや、さながら聖剣を引き抜いた勇者。 意気揚々と”引き抜いたモノ”を片手で天に掲げようとするセラフィだったが・・・ ファル :「っぶはぁ!! 助かったぜセラフィ・・・って、おぉぉぉぃ!! 何で俺、掲げられてんの? しかもナニソレ、片手!? 怪力にも程が・・・」 アンバー:「おー、ゆうしゃ は でんせつのけん を てにいれた 状態ですねー」 ボスッ ふたたび砂に”刺し込まれ”てしまった。 ジェイド:「口は災いの元 といったところですね」 ファル :「もごがもふうばがが・・・」(訳:「口の中に砂が・・・」 アンバー:「いやー久しぶりですよこんなに楽しんだのは♪」 刺さったファルのことは一切無視している ファル :「がえばばふべげ〜・・・」(訳:誰か助けて〜) ジェイド:「アル様・・・・いい加減出して差し上げては? アル :「・・・そうだな。」 足首をつかみ、そのまま力いっぱい天に放り上げる。 勢い良く引き抜かれたファルは、空中で見事にバランスを取り、足から地上に降りてきた・・・が ゴキッ 運悪く、そこはファルのボートの上であった。 変な音はしたが、とりあえず無事なようである。 アンバー:「あはー、いい音がしましたねー」 ファル :「あいたたたたた・・・もーちょっと優しく助けれねぇ?」 アル :「ネタができて良かったじゃないか。」 ファル :「そー来る・・・?」 ジュノ :「あ、なんだよ〜・・・オモシロそうなトコ逃がしちまった・・・」 ルーシィ:「残念賞〜☆」 いかにも悔しそうなジュノと、いつもながらハイテンションなルーシィが戻ってきた。 すっとジェイドがファルの元へ歩み寄り ジェイド:「ファル様、しばらくじっとしていてくださいまし・・・」 ファルの目の前に手をかざすと、ジェイドの手が翠色に輝く ファルの体が薄く翠に包まれ一切の痛みが消えていった ジェイド:「お加減はいかがですか?ファル様」 ファル :「あ、あぁ・・・アリガト。 だいぶ良くなったみてぇだ。」 ジェイド:「・・・よかった。」 にこりとジェイドが微笑む アル :「さて・・・ファルも良くなったところで・・・」 アルが一通り辺りに目を配る。 アル :「さっきから、この海水浴場に似つかわしくない気配がするんだが・・・」 アルは、何者かが発している不穏な気配を感じていた。 ←第6章へ 最終章へ→