食堂を後に、それぞれ部屋に戻った一同。 ジュノ :「みんな、どんな水着なんだろうな。」 ファル :「どんなって・・・」 ジュノ :「いやほら、みんなで旅支度揃えたときも、買い物のときは男性陣・女性陣に分かれたからな。」 ファル :「そりゃ、お互い店に入りづれぇしな。」 ジュノ :「んで、チョット気になってるわけよ。 いつも職業衣装でオシャレのカケラもないセラ姉ぇ達が、どんなの選んだのかな。」 ファル :「まぁ、たしかにシャレたイメージはないが・・・」 などと会話しつつ、準備を進める2人。 一方、天使連盟の女性陣は・・・ ルーシィ:「お兄ちゃん達、どんなカッコウしてくるんだろう・・・」 ケルビナ:「まさか、ダイバースーツとかは・・・ないですわよね?」 セラフィ:「さ・・・さすがにソレはないと思いますけど・・・」 ルーシィ:「でも、いつも職業衣装の中にチョットしたオシャレを仕込むような人達だよね・・・?」 セラフィ:「まぁ、そんなに目立ったり派手たりするようなもノは着てこないと思いますが・・・」 ・・・同じような内容の話をしていた。 変わって、アンバー・ジェイド姉妹はといえば・・・ アンバー:「さーいよいよ水着のお披露目だねー」 などといいつつ買ってきた水着を着込みにはいっていた ジェイド:「・・・・・・」 一方のジェイドは特に着る準備もせずボーっと外を見ていた アンバー:「ほーらージェイドちゃんも水着着ないとーだめでしょー せっかく買ってきてあげたんだからー 着ろ♪」 ジェイド:「そうはいっても姉上、わたくしは海に入る気はありませんしそれにその水着は・・・」 アンバー:「ぇーせっかく選んできてあげたのにーきてくれないのぅ?」 ジェイド:「そうは言われてもそんな水着は着れません」 頑なに拒否をするジェイド。そんな様子を見てアンバーは アンバー:「ふっふー・・・ジェイドちゃんこれを見てもまだそんなこと言えるかなぁ?」 そういって一枚の写真を手渡す ジェイド:「なんですかこ・・・・・・・・・・」 ピシッ ジェイドは石になった アンバー:「ふっふーw よく撮れてるでしょう? ここ最近の一番の出来で・・・ジェイドちゃーん?」 コンコン ジェイドは固まっている アンバー:「・・・あらー効き目が強すぎたかなー?まぁいいや今のうちに着替えさせちゃおう」 写真を見て固まるジェイドをよそ目にパパッと着替えさせるアンバーであった アンバー:「うん、やっぱり似合うなぁ。おねーちゃんの目に間違いはなかったのだw さてさてお待たせするのもなんですから行きましょうかねー」 固まるジェイドを引きずり色々荷物をも持って部屋をあとにしていった。 一人部屋に向かい、単独行動になっていたアルは、窓の外に広がる海を見下ろしながら、 海に関わる出来事を思い出してしまったようだ。 あろうことか、アルの頬を一筋の涙が伝う。 が、アルはすぐにそれを拭い、いつの間にか用意してあった手荷物を持って旅館の入り口へと歩いていった。 各々の感情・思惑を胸に、全員が旅館の受付に揃う。 アル :「みんな揃ったな。 ところでアンバー、ソレは・・・?」 アルは、アンバーの引きずっていた物体:ジェイドを指して言った。 アンバー:「あー気になさらずにー すぐ元に戻りますゆえー」 首根っこをつかまれ引きずられる様は死刑囚の行進(デッドマンズ・ウォーキング)も真っ青のどす黒いオーラに包まれていた ジェイド:「・・・・・そんな・・・・・・・まさか・・・・・・・」 なにやらぶつくさ呪怨のようにつぶやいていた ジュノ :「・・・なんか、腹黒い思惑がにじみ出てるのが約一名いるんだけど・・・」 ファル :「・・・気にしたら死ぬぞ・・・」 ジュノ :「・・・たしかに殺られそうだ・・・」 ファル :「目ぇ合わせるなよ・・・」 どす黒いオーラに圧されて、たじろぐ2人。 セラフィ:「ただの石化なら、リカバリーで治りますよ・・・? アコの私には使えませんけど・・・」 ルーシィ:「一回叩けば治るよ〜♪」 心配そうに話すセラフィに対して、ルーシィはたのしそうであった。 アル :「・・・そんなはしゃぐようなモノじゃないと思うが・・・」 アルも少し心配そうである。 アンバー:「まー気にせず 参りましょう 一時的なものですよー♪」 いやに上機嫌である アル :「まぁ、アンバーが言うなら間違いないか。 どうせ原因はアンバーにあるんだろうしな。」 少し皮肉を込めて、チラリとアンバーに目線をやる。 アンバー:「ふふふ・・・」 流し目の中にどす黒く光る眼光があった 受付爺 :「あんさんらぁ、退館なさりますかいなぁ?」 突然の受付爺の言葉に一同がざわめく。 受付爺 :「おんやまぁ、えらい荷物が少ないトコ見よると、お出掛けかぇな?」 セラフィ:「ちょっと海水浴に行こうかと思いまして・・・」 受付爺 :「あんれ、あんさんらぁ、退館時間はわかっとりますかいなぁ? まぁそろそろ手続きしてもらいよらんと・・・」 セラフィ:「あら、もうそんな時間でしたか・・・」 アル :「食事に時間をかけ過ぎたか?」 ジュノ :「兄者がいつまでも寝てるからだよ・・・」 アル :「それは・・・スマン・・・」 ファル :「まぁ、みんなの荷物ひっかき集めてきてよかったぜ。 あぁ、悪ぃけどセラフィ達の部屋とアンバー達の部屋、それからアル兄ぃの部屋・・・ ちょっと漁らせてもらったぜ。」 ファルのカートを見ると、ここに来るときに持ってきた荷物がドッサリ積まれていた。 ケルビナ:「部屋を勝手に漁るのはよろしくないと思いますけれど、今回ばかりはお手柄ですわね。」 アル :「爺さん、退館後も荷物は預かってくれるのか?」 受付爺 :「お預かりしますわいなぁ。」 アル :「ありがたい。 じゃぁみんな、退館手続きするけど、いいか?」 アンバー:「でわー私たちの荷物もお願いしますねー」 そういって2つの手荷物と右手の死刑しゅ・・・・ジェイドも手渡そうとする 受付爺 :「おんや、これはまた変わった石像じゃのぉ・・・」 何の抵抗もなく受け取る受付爺 ジュノ :「っちょ! それジェイドじゃねぇのか!?」 アンバー:「あらー、いい感じに石化してたのでつい♪」 ひょいっとジェイドを拾い上げる 受付爺 :「あんれ、荷物じゃなかったんかいのぉ・・・ あんさんらぁ戻ってくるまで、受付に置いとこうおもうたんにのぉ・・・」 さも残念そうな表情をする受付爺。 ジュノ :「・・・このジイサン、できるな・・・」 ファル :「天然なのか狙ったのか・・・」 アル :「・・・まぁ、ジェイドも無事に取り返せたことだし、海に行くか。」 アンバー:「大海原へまっしぐらー♪」 ジェイド:「ありえ・・・・わたくしが・・・・・こんな・・・・・」 アンバーの手元ではどす黒い雲が浮かんでいた 受付爺 :「いってらっさいなぁ〜」 受付爺の見送りで海に向かう一行。 アル :「しかしアンバー・・・一体何をしたんだ・・・?」 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・ブツブツ」 もはや聞き取れないことをつぶやき続けていた アンバー:「えーたいしたことじゃないですよー ちょっとした物を見せただけですよー」 アル :「ちょっとした物・・・?」 アンバー:「あとで差し上げますよ♪」 アル :「差し上げる・・・?」 イマイチ明確な答えを出さないアンバーに、アルは疑問符を浮かべるばかりだった。 アンバー:「さてさて 今から行くところはどんなところなんでしょうねぇ?」 アル :「どんなところといわれても・・・海だな。 一応、ここらではキレイだと有名な浜辺だが・・・」 それから歩くこと数分、ついに一行は海辺に到着する。 ルーシィ:「ぅわ〜〜〜〜い!! 海ぃぃぃぃいぃぃ!!」 一人で飛び出していくルーシィ、いつものパターンである。 ケルビナ:「ルーちゃんは無邪気でかわいいですわねw」 セラフィ:「やはりそう思いますか?」 ケルビナ:「はい。立場的には私のほうが妹でありながら、ルーちゃんを見ているとカワイイ妹がいるような感じですわ。」 セラフィ:「・・・わかってますねぇ♪」 妙な共通意見が発覚したようだ。 アンバー:「はぇ〜・・・・」 目を輝かせ周りをきょろきょろ見渡すアンバー アル :「とりあえず砂浜まで行こう。 パラソルとシートは準備してある。」 ファル :「ほいよっ! ココにあるぜぃw」 カートからヒョイっと取り出す。 時期の割にはあまり人もおらず、休む場所は十分に確保できそうである。 アンバー:「さーてジェイドちゃん、そろそろ起きましょうね」 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 アンバー:「仕方がないなぁ・・・そんな衝撃だったかなぁ・・」 アンバーはジェイドの胸元に手を当て一瞬念じる すると電気を流したような反応でジェイドが起き上がった ジェイド:「ヒャッ!! はっ・・・ここは・・・」 ここまでの経緯をまったく記憶していないようである アンバー:「おはよジェイドちゃん、もうついたよ海」 ジェイド:「えっ・・・」 ジェイドもまた海を眺めボーっとし始める ジュノ :「なんで早くソレやらなかったんだ・・・?」 アンバー:「んー・・・・あんまり使いたくなかったんですよ、色々とありまして♪」 ジュノ :「イロイロ・・・なぁ・・・」 やはりなにか包み隠しているような物言いのアンバー。 だが、ジュノも深く尋ねるようなことはしなかった。 アンバー:「さぁさぁ、色々とやることは多いのではないですか?」 ファル :「いや、とりあえず場所確保するくらいしか・・・」 辺りをキョロキョロと見回すファル。 次の瞬間、何かを見つけたようで愕然とした表情に変わる。 ファルが見つけたモノも、ファルに気づく。 ??? :「あ、ファルスト様〜〜! このようなところで何をしておられるのですか〜?」 ファル :「そっちこそ何やってるんだよ・・・あぷり。」 あぷり :「はい、実は親から浜茶屋の経営を任されていまして・・・」 アンバー:「おやー?・・・ファルさんもなかなか隅におけないんですねぇ♪」 ファル :「別にそんなんじゃねぇって・・・ ただ露店の出し方とか教えてやっただけだよ。」 あぷり :「はい、その節はお世話になりまして・・・ とても親切に、わかりやすく教えていただいたのです。」 ファル :「そいえばさっき、親から任されたって・・・」 あぷり :「はい。 私の家は代々商人系の家系でして・・・ 父は商業連盟の重役を・・・」 ファル :「・・・そんなスゴい家庭だったのか、あぷり・・・」 あぷり :「いえ、そんな・・・」 ジュノ :「おーい、ファル兄ぃなにやってんだ〜? ココ、いい場所開いてるぜ〜?」 ファル :「お、おぅ、スグ行く〜! っと、ゴメンな、あぷり。 行ってくるわ。」 あぷり :「はい。 何かご用命でしたらこの浜茶屋『浜木綿』をご利用くださいw」 ファル :「そうだな、一服するときに利用させてもらうよ。」 あぷり :「お待ちいたしております。それでは、また。」 ファル :「あぁ、またな。」 知人との挨拶を済ませ、陣取りに戻るファル。 アンバー:「お邪魔のようですし私も失礼しますねー ではではまたいつかあぷりさん」 ひらひらと手を振り後を追う あぷり :「はい。 楽しい時間をお過ごしくださいませ。」 あぷりも手を振って応えた。 ジェイド:「・・・・こうも広く雄大なものなのですね・・・海というのは・・・」 海岸をただひたすらに眺め 誰に言うともなくジェイドはつぶやいた およそさっきまでと同一人物とは思えないほど穏やかに アル :「そうだな。 それはまるで大空のごとく果てしなく・・・」 いつのまにか、ジェイドの横にはアルが立っていた。 ジェイド:「・・・・・大いなる命の源・・・か・・・・」 海風になびく髪をかきあげ 遠く水平線を見つめる アル :「海より生まれ、海に還る・・・ 大気中の水分も、熱によって海より蒸発し、雨・川となって海に戻る・・・ まるで、終わることなき輪廻に似ているな。」 アンバー:「はいはい、お二人とも眺めてるだけが海の楽しみじゃありませんよー」 パンパン 後ろから手をたたく音と聞きなれた声が聞こえた アル :「・・・アンバーか。」 ジェイド:「・・・姉上・・・」 アンバー:「せっかくなんですから、海に来たからには泳がないともったいないですよ?」 アル :「泳ぐ・・・ねぇ・・・」 アルの表情が少し曇る。 アル :「・・・せっかくだから海に入るか。」 どこか乗り気ない足取りで海に向かうアル。 ジェイド:「泳ぐといってもわたくし、水着は・・・・」 アンバー:「何言ってんの?わたしがもう着せちゃったよ?」 ジェイド:「・・・・え?」 襟元から自分の体を見てようやく気がつくジェイド ジェイド:「・・・いつの間に・・・」 アンバー:「ほーらもう何の問題もなし!! 気兼ねなく泳ぎに行こうねー」 ジェイド:「はー・・・わかりました、ともかく一度集合場所を確認してからです」 そういってパラソルを張った場所へと向かう アンバー:「♪」 その後を追うアンバー アンバー:「さって皆さんはどんな水着をきているのでしょーかっ♪」 戻った早々そんなことをのたまうアンバー セラフィ:「どんなって・・・」 ルーシィ:「泳ぎやすいの着てきたよ〜♪」 ケルビナ:「私は・・・その・・・」 ルーシィだけ、元気よくパーカーを脱ぎ去る。 その下に着ていた水着は、活発少女ルーシィらしく、いわゆる『スク水』であった。 ルーシィ:「飾りとかないほうが泳ぎやすいかな〜と思ってw」 スク水姿でクルクルと回るルーシィ。 ルーシィ:「でも私、泳ぎ方知らないんだよね・・・どうしよう?」 ルーシィの後ろではセラフィとケルビナが揃ってコケていた。 アンバー:「あはー わたしのはこんなのですよー」 言い終わると着ていた服をパパッと脱ぎ去りストラップレスの白のワンピースが現れた セラフィ:「はぁ・・・」 仕方なしに・・・といった感じでセラフィも着ていたものを脱ぐ。 薄い桃色のワンピースタイプで、胸元にコサージュがあしらえてあった。 ルーシィ:「そーいえば、お兄ちゃん達はどんなの着てきてるんだろう・・・?」 男性陣を見ると、ファルは上着などを着ておらず、ハーフパンツタイプの水着であると判別できるのだが、 アルは丈の長いパーカー、ジュノは不自然な腰布を巻いていた。 あきらかに不自然なジュノに駆け寄るルーシィ ルーシィ:「ジュノお兄ちゃん♪」 ジュノ :「ん?どーしたルーシィ・・・って、お前スク水かよ!?」 ルーシィ:「うん、このほうが動きやすいと思ってw ところで、ジュノお兄ちゃんはどんな水着なの?」 ジュノ :「ヒミツだw 堂々と見せるなら、腰布なんて巻いてないって。」 ルーシィ:「ん〜・・・それもそうだよね・・・」 ルーシィは残念そうに俯いた。 ジュノ :「ま、その格好ってことは泳ぐ気マンマンなんだろ? 海行ってこいよw」 と、ルーシィを海に差し向けようとするジュノであった。 が、次の瞬間・・・ バッ! ジュノ :「な・・・!?」 ルーシィ:「へっへ〜 油断したでしょ〜☆」 ジュノ :「てめっ・・・ ルーシィ〜〜!!」 ジュノの腰布はルーシィによってアッサリと取られ、その下から出てきたのは・・・いわゆるフンドシであった。 思わず固まるルーシィ。 アンバー:「わーお☆ いろいろな意味で大胆ですねー♪」 ケラケラと笑い続けるアンバー セラフィ:「・・・ふんどし・・・」 ケルビナ:「ですわね・・・」 少し離れて見ていた二人も、さすがに引いている。 ジュノ :「・・・あ〜ぁ、せっかくの計画が台無しだぜ・・・」 ジュノは落胆しているものの、その目の光は消えていなかった。 ジュノ :「俺がこれで終わると思うなよ・・・!」 おもむろにフンドシを脱ぎ捨てるジュノ。 当然ながら、女性陣は目を覆う。 が・・・ ジュノ :「泳ぐなら、やっぱコレだぜぇぇぇぇ!!」 その言葉に呼応するようにジュノに目をやる。 すると、競泳用水着にスイムキャップ・ゴーグルまで準備して、自慢げにしているジュノの姿があった。 アンバー:「おやーブーメランですかー 自信があるんですねぇ」 色々と危ない発言である アル :「お前は誰と競うつもりだ・・・」 突如としてアルが現れるが、ジュノは慣れた態度で切り返す。 ジュノ :「で・・・兄者はどんな水着なんだ?」 アル :「・・・気になるか?」 ジュノ :「そりゃもちろん。」 アルはパーカーのため、カンタンに剥ぎ取ることはできない。 ジュノがストリップアーマーでも覚えていれば可能だっただろうが、 そうでないためにアルの意思を無視することは不可能であった。 アル :「まぁ、さっきのやり取りを見てる限りでは、アイツらも気になってるようだしな・・・」 パーカーを脱ぎ去るアル。 その水着は、ファルと同じようにハーフパンツタイプであった。 が、その模様は・・・ ジュノ :「兄者・・・これは・・・」 ルーシィ:「わ〜、ウサギさんだぁw」 青地で、数箇所に白いウサギが描かれてあった。 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・。」 パラソルの下で荷の整理を終えたジェイドはアルの水着姿に見入っていた アンバー:「・・・・・・・・・・・・・・。」 アンバーも見入っていた・・・・いやどこか遠い目とほんのわずかにむなしさのような思いがこもっていた ファル :「ぉ〜、これまた奇抜だなぁw」 アル :「・・・適当なのがコレしかなかったんだ。」 ジュノ :「とかなんとか言って、ウサギ好きをゴマかそうとしてもダメだぜ?」 アル :「・・・・・・」 ジュノに図星をつかれ、黙り込んでしまう。 アンバー:「・・・・ま、まぁそれはさておき!!」 パンパン 気まずい空気を払うように手をたたいた アンバー:「せっかくの海水浴ですよ、泳ぎに行かないでどうするんですか!!」 流れを変えようと声を張り上げた セラフィ:「とりあえず・・・ケルビナちゃんとジェイドさん・・・上着脱ぎません? ここまで来たら、全員水着公開でないと不公平ですよ・・・」 ジェイド:「わ・・わたくしは・・・水着は・・・・・」 パラソルの下で正座をしているジェイドは口ごもってしまっていた ルーシィ:「せっかくジュノお兄ちゃんの服まで剥ぎ取ったのに・・・?」 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・」 すっかり押し黙ってしまうジェイド アンバー:「ふっふっふっ・・・・・・じぇいどちゃーーーん・・・」 いつの間にやら背後に立つアンバー アンバー:「折角おねーちゃんが選んであげた水着がないてるわよーぅ?」 語尾と同時に背中をつーーーっと指でなでる ジェイド:「ヒャゥッ!!」 くすぐったさにぴょんと立ち上がるジェイド アンバー「ちゃーーーん・・・・すっ!!」 言うが早いがジェイドの衣類をまくり上げズバット脱がせた 出てきた水着はストラップレスの黒のビキニであった ジェイド:「//////////////////////」 声にもならない声で一気に身をかがめ丸くなった ルーシィ:「・・・黒・・・」 ケルビナ:「勝負・・・ですの?」 ジェイド:「っ!!」 剥ぎ取られた衣類をアンバーから奪い取りさらに丸くなってしまった アンバー:「ありゃりゃ・・・・・んまぁ、こんな感じでどうでしょう?皆さん?」 ケタケタと笑いつつそんなことを言った アンバー:「さーて・・・ラストを飾りますのは・・・・・」 じーっとケルビナの方へ視線を向けた ケルビナ:「では・・・私も。」 いそいそと上着を脱ぎ始める。 ケルビナ:「こんなのですけれど・・・」 ケルビナが着ていた水着はジェイドの対抗色、白のビキニであった。 職業柄、適度に引き締まったボディラインは、その魅力を十分に引き出している。 ジュノ :「ぉ〜・・・」 ファル :「これはまた・・・」 男性陣も釘付けのようだ。・・・一人を除いては。 アンバー:「おー これはこれはなかなか高得点ですねー」 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・・」 身をかがめたままのジェイドだが視線だけはどうにか上に向けていた たいして興味を持っていなさそうな一人、アルは・・・海を眺めていた。 その目線の先には、サーフィンや水上スキーを楽しむ人たち。 アル :「道具に頼らなくても・・・」 何かをつぶやいた。 アンバー:「もーしょうがないなぁジェイドちゃんは・・・・・ウサギみたいに縮こまってー」 そういって大きめの無地のTシャツを渡す アンバー:「これを着れば幾分平気でしょ?」 ぽんぽんと頭をたたく ジェイド:「・・・・・・・・・・・」 されるがままにたたかれ無言でシャツを着る ジェイド:「・・・・ひどいです姉上。」 アンバー:「折角の水着だし見せてあげないともったいないでしょ?」 ジェイド:「だからといって・・・・」 そっと耳元に口を寄せ アンバー:「アルさんに見られるのも嫌だった?」 言われると一気に朱に染まるジェイド アンバー:「ふふっ・・・そうそう、少しは慣れないとだめだよジェイドちゃん♪」 そう言い放ちそっとそばを離れて行った かたや、海を眺めていたアルは、おもむろに海に向かって歩き出す ジュノ :「・・・兄者?」 ファル :「なんだ? さっそく泳ぐのか?」 ジュノ :「いや、目つきが違う・・・あれはそんなんじゃない・・・対抗意識だ。」 セラフィ:「対抗・・・意識?」 ジュノ :「・・・見てればわかる。」 一同がアルの行動に注目する。 そのアルの、一歩海に浸かった後の行動とは・・・ アル :「すぅ・・・・・・」 一呼吸置き、意識を集中する。 アル :「はぁっ!!」 そして目に映った光景とは・・・ ちゃばちゃばちゃばちゃばちゃばちゃ・・・・・ 水面を高速で駆け回るアルの姿だった。 ファル :「なんじゃありゃ・・・?」 ルーシィ:「すっごぉ・・・」 ケルビナ:「あれのどこが対抗意識ですの?」 ジュノ :「わからねぇか? サーフィンや水上スキー・・・道具を使って水面を動き回る人たち・・・」 セラフィ:「と、いうことは・・・」 ジュノ :「そう、兄者は道具に頼らなくても水面移動くらいできるってことを、身をもって証明してるんだ。」 ファル :「・・・あの人はバケモンか・・・」 アンバー:「はぇー・・・・・」 あんぐりと口をあけアルの化け物じみた絶技に唖然としていた アンバー:「これは負けられませんねぇ・・・・」 意を決したアンバーは アンバー:「ジェイドちゃん、行くよ♪」 ジェイド:「あ、姉上? なにを?」 手を引かれ海へと駆り出されるジェイド アンバー:「あれだけのものをみせられたらねぇ・・・・業師の血が騒ぐってもんよー♪」 ジェイド:「えっ?ええっ?」 意味がわからずついてくジェイド バシャバシャと波打ち際から5メートルほど入ったところで足を止める 海水はひざ上少しのところくらいまでの深さである アンバー:「昔やったことあるでしょ、水でのアレ それの応用だよ」 ジェイド:「アレですか・・・・いいでしょう。」 ジェイドも意を決し二人手を絡めその手を海の中へ・・・・ あぷり :「なにをなさるのですか?」 不意に、パラソルの下にいたメンバーの耳に聞きなれぬ声が届く。 セラフィ:「あなたは・・・?」 ファル :「あぷり!? 店番はいいのか?」 あぷり :「はい。 連盟より派遣されてきた方と交代しまして、今は休憩中なんです。」 ファル :「なるほど・・・」 あぷり :「それにしても・・・自分の足だけで水面を走ってしまわれるとは・・・人間であることを疑ってしまいます・・・」 ファル :「あぁ、俺も驚いた・・・」 あぷり :「あ・・・」 あぷりは急に驚いた声を上げる。 ファル :「どうした?」 あぷり :「すみません、休憩は終わりのようでして・・・」 ファル :「そか・・・」 あぷり :「それでは、お邪魔いたしました。」 ペコリと礼儀正しく頭を下げて去っていくあぷり。 一挙手一投足に、品の良さがにじみ出ている。 アンバー:「準備はいい?」 ジェイド:「はい、姉上。」 水面下で絡めた手が薄く光って アンバー・ジェイド:「・・・・・・・ハッ!!」 すると勢い良く二人を包むように水柱が立ち上った。 立ち上った水柱は 大小さまざまな水球となり二人の周りを不規則ではあるが優雅にも見え、 互いに衝突することもなく、エメラルドグリーン・サンライトイエローの輝きを放ち舞っていた。 不意に水球は動きを変え天使連盟各々の周りを回り始めた。 ルーシィ:「きれ〜ぃ・・・」 ジュノ :「二人の名前にまつわる色・・・だな。」 ケルビナ:「え?」 ジュノ :「ジェイドは翡翠で緑色、アンバーは琥珀の黄色・・・」 ファル :「物知りだな・・・」 ジュノ :「まぁ、ちょっとな。」 アンバー:「・・・・・・・・・・・・ハッ!!」 アンバーが腕を振り上げると水球が急上昇しひとつに重なり、弾けた。 琥珀・翡翠それぞれの色が混じりあい、細雪のように霧散していった。 アンバー・ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ」 二人同時に声を上げた、そうして二人を包むオーラも消えていった アル :「見事・・・だな。」 そんな中、二人が戻ってくる。 ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・」 アンバー「・・・・・・・・・・ふー・・・・」 軽く疲弊気味のようだ アルは悠長に海面に”立っている”。 原理はわからないが、足を止めて海面に立っていたのだ。 アンバー:「・・・・・・・・・・単純に脚力ですかねぇ・・・」 立っているであろうアルを見て淡々と言った ジュノ :「脚力でどうにかなるモンか・・・アレ。」 アンバー:「私たちならこうできるんですけどね・・・」 足首くらいに浸かっていた足で軽くジャンプすると、そのまま水面に降り立った。 ジュノ :「テレポートとかの魔力の応用か・・・?」 アンバー:「純粋に魔法力です 足元を見ていただければわかると思いますが・・・」 下を指差し、足元特に足の裏側には琥珀の輝きが見える。 アンバー:「・・・・っと・・・」 不意にアンバーが水面から海底−といっても5センチほどの深さだが−に降りた。 アンバー:「あまり長くは持たないのですよ」 珍しく照れ笑いなどを浮かべていた。 ジュノ :「魔力が海面と反発してるのか・・・まるで水蜘蛛だな。」 ルーシィ:「水蜘蛛?」 ジュノ :「あぁ、なんか昔、東の国にいた幻の職業”忍者”が、水の上を歩くために使った特殊な靴らしい。」 ルーシィ:「へぇ〜・・・ ますた〜もソレじゃないの?」 アル :「俺は違うぞ。」 ゆっくり歩いて浜に戻ってくる。 その足元は素足だった。 ジュノ :「じゃ、一体どういう原理で・・・」 アル :「企業秘密だ。 が、ある特殊な歩行術だとだけ言っておこう。」 アンバー:「さーて ちょっとしたお祭りが終わったところで ちょっと小休止を・・・・・皆さんアイスなど食べません?」 ジェイド:「では、わたくしが買ってまいります」 アンバー:「あーいいよジェイドちゃん、私が買ってくるからー ・・・・えーっと・・・何でもいいですよねー?」 ジュノ :「そーだな・・・さすがにジっとしてるだけでも暑い・・・」 セラフィ:「そういえば、あそこの浜茶屋の人、ファル兄さんの知り合いっぽかったんですけど・・・」 ファル :「あぁ、たしかに知り合いだけど・・・」 ルーシィ:「割引とかしてもらえないかな? もしくは、ファルお兄ちゃんのディスカウントで・・・」 ファル :「いや、ディスカウントはちょっと・・・」 アル :「まぁ、その浜茶屋に行って見るか。」 ジュノ :「さんせ〜い!」 かくして一同は、あぷりの営業している浜茶屋に向かって歩き出す。 ←第4章へ 第6章へ→