その夜アルは夢を見た 見たことの無い平原で無数のポリンが向かってくる
なんてことの無いmobではあるが圧倒的な物量に次第に殲滅がまにあわくなってくる
次第にポリンに埋め尽くされるアル そんなさなか、目が覚める

 アル :「・・ゆ・・・夢・・・か・・・」

額に汗の伝う中、床に手をつこうとするが・・・

ふに

 アル :「!?」

埋め尽くされていたポリンと似た感触を、床に置いた右手に感じた。

 アル :「・・・・・・」

寝ぼけているせいか、床とは違う感触に戸惑いつつも、どうしていいかわからずに硬直するアル。

 ??? :「すー・・・・」

横からは規則的な寝息がかすかに聞こえてきた

 アル :「ん〜・・・?」

アルは完全に寝ぼけているようで、自分の置かれている状況をうまく認識できていないようだ。

ふにふに

もう一度、その違和感を確かめるように手を動かす。
寝ぼけている頭を、懸命に働かせる。
手を伸ばしている先には、人の形をした物体が睡眠しているように見えた。
もう一度、よ〜〜く手元を見る・・・

 アル :「!!?」

あわてて飛びのき、その「人の形をした物体」から離れる。
ふたたび目を凝らすと、ようやくその実態がつかめてきた。

 アル :「・・・なんでここにいるんだ・・・?」

昨夜のことを思い出そうとするが、夜風にあたって部屋に戻ったあたりからの記憶がない。
それでも、この状況に説明をつけるべく頭をヒネっていると、床に横たわっていた物体が動き始めた。

 ??? :「ん・・・・はふ・・・・・」

寝起きの悪さはぴか一 状況以前に8割寝ているようである
体を起こし目を開けると寝ぼけ眼で人影を見つける

 ??? :「はふ・・・・おはようございます・・・姉上・・・・」

目の前が誰であるか把握すらできていないようである

 ??? :「・・・どうされました?姉上?」

寝起きのはだけた浴衣もそのままに問いかける

 アル :「・・・コイツの寝起きの悪さも相当だな・・・」

ハァ・・・と一息ついて、起き上がった人物の頬を軽く叩く。

 アル :「お〜い、しっかりしろ〜? 俺はお前の姉にはなれないぞ〜?」

ぺちぺち

 アル :「ったく・・・目のやり場に困る・・・」

はだけた浴衣を軽く直してやる。
まだ頭が寝ているのか、普段やらないような行動をするアル。

 アル :「ほれ、しっかり目ぇ開けて。 ちゃんと起きろよ ジェイド。」
ジェイド:「・・・・とりあえず顔を洗いに・・・・」
 アル :「あ、あぁ。」

そういって立ち上がろうとするが布団に足がもつれる

ジェイド:「あっ・・・・」

ものの見事に覆いかぶさるようにアルに向かって倒れこんでいく

 アル :「っと・・・!」

肩を押さえてバランスを保たせようとするも、そのまま懐に潜りこまれ、ジェイドに押し倒されるような形で布団に倒れこむ二人。
気づくと、アルの腕は無意識にうちにジェイドの背中に回っており、さながら抱く形になっていた。

ジェイド:「・・・・あ・・・・アル・・・様・・・・」

気がつけば目の前に気になる異性のいる不可思議な現象に沈黙が支配しはじめていた

 アル :「うぁっ・・・っと、すまない・・・」

あわてて背中に回っていた腕をどける。
アルもそれ以上どうしていいかわからず、ただそのままジっとしていた。

ジェイド:「アル様・・・・・」

アルの胸に添えられていたジェイドの手はゆっくりとアルの浴衣を握り締めていった

ジェイド:「・・・・・・・。」

ジェイドもまたそこから動けずにいた

 アル :「と、とりあえず起きたようだな・・・その・・・おはよう。」

ジェイドと目をあわせず、当たり障りのない挨拶をするアル。

アンバー:「|ソ、」

扉の隙間から一人の視線が・・・・

しかし、手に残る感触と今の状況から、アルは周りに気を配れずに居た。
なおかつ、ジェイドと目をあわせるために下を向こうものなら、浴衣のスキマから何かが見えそうで、向けなかったのだ。

アンバー:「))))」

お邪魔様といいたげな表情で静かにその場をあとにするアンバーであった

ジェイド:「・・・・アル様・・・・こちらを向いてくださいまし・・・・」

アルの顔を覗きいれつつジェイドが言う

 アル :「いや・・・向くと、なんと言うかその・・・」

見えてしまうことを懸念し、いまだジェイドと目を合わせられない。

 アル :「とりあえず、浴衣を直さないか・・・? 目のやり場に困るんだが・・・」

ジェイド:「・・・・・・こちらを向いてくださいましたら・・・・直しますよ」

普段と違う・・・いやに積極的というか好戦的というか・・・押しの強いジェイドがそこにいた

ジェイド:「・・・・・アル・・・様・・・・」
 アル :「・・・そこまで言うなら・・・」

おずおずと顔をジェイドに向ける。

ジェイド:「・・・・ふふっ・・・おはようございます・・・・アル・・・様・・・・」

笑うことの無いジェイドが微笑んで挨拶をした
その笑顔をアルは知っている、いやその時以上の満面の笑みであった
少し戸惑ったが、アルも改めて挨拶しなおす。

 アル :「あぁ。 おはよう、ジェイド。」

ジェイドのそれには敵わないが、同じように・笑顔で。

ジェイド:「ふふっ・・・・♪」

そういうとアルに抱きつくジェイド
意外と力強く抱きついてきた

 アル :「こ・・・こらジェイド、そんなにくっついたら動けないだろう。」

突然のことにたじろぎ、頭が働かなくなる。
体が密着しているせいで、ジェイドの体温や鼓動、そして、女性特有の柔らかさまでも伝わってきてしまう。
アルの心臓は、意識とは別に早鐘のように拍動し、ジェイドに聞こえてしまうのではないかと心配になるほどだった。
ジェイドは抱きついた拍子に浴衣もはだけももまで足が見え胸元もよりはだけていた

ジェイド:「・・・・・・・暖かい・・・・・・・」

そういってより体を密着させる、アルの胸元に頬を寄せ体を預ける

 アル :「あぁ。 暖かいな。」

アルも優しく言葉に出す。
初夏の朝、まだ少し冷たい風が吹き込む部屋の中、
お互いの温もりを感じたまま、いつしか二人はふたたび眠ってしまっていた。

アンバー:「うふふ〜w そんな風に寝てたらカゼひいちゃいますよ♪」

にこやかに部屋に侵入し、横になっている二人にタオルケットをかけて颯爽と出て行く影一つ。
しかし二人は気づくこともなく、深い眠りに落ちて行った・・・

しばらくして、部屋に入ってくる人影・・・

????:「ほりゃぁぁぁぁぁ!!」

ごっ

 アル :「うぉぁ!?」

その人物のチョップが、熟睡中のアルの額に直撃する。
突然の出来事にアルも対応できず、かなり驚いているようだ。

 アル :「な、何事だ!?って、爺さん!!」

そこには受付爺の姿があった。
急いで体を起こそうとするアルだが、なんだか異様に重い。
ふと体の上を見ると、見慣れた人物が乗っかって寝息を立てていた。

 アル :「ジェイド!? そうか、あのまま・・・」

先刻の出来事を思い出す。

ジェイド:「スー・・・・・」

騒ぎにも動じず寝息を立てている

ジェイド:「んん・・・・」

少しうごめいてアルの浴衣の袖をしっかりと握りなおした

 受付爺 :「ほたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

受付爺の二撃目。
なんとか避けようとするアルだが、ジェイドをハネのけるわけにもいかず、またも直撃。

 アル :「っくぁ・・・ 爺さん、悪い。これにはちょっとワケが・・・」
 受付爺 :「ここは一人部屋じゃ言うとろうに! 二人で寝るとは何事かぁ!!」
 アル :「はぁ・・・?」

”男女が重なって寝るとは不埒な”とでも言われると思っていたアルは、拍子抜けた様子だ。

 受付爺 :「まったく、最近の若いモンは規則も守れんのか・・・」

残念そうに溜め息をつく受付爺。

 アル :「ぁ、いやまぁ・・・悪かった・・・」

いまだジェイドを上に乗せて寝たままの状態で、とりあえず謝る。

ジェイド:「ん〜・・・・」

不意に目を覚ますジェイド

 アル :「起きたか?」
ジェイド:「・・・・・んー・・・・・あ、アル様おはようございます・・・・
      ついでにお爺様もおはようございます・・・」

しっかりと正座をしたまま深く頭を下げる

 アル :「なぁ、ジェイド・・・」
ジェイド:「何でございましょうか?アル様・・・・」

だが目が半分うつろである

 アル :「人の上で正座して落ち着くのは・・・やめてくれないか?」

少し困った顔でジェイドを見上げるアル。

ジェイド:「・・・・・あぅ・・・」

器用にも座ったままの姿勢ですーっとさがっていき

ジェイド:「申しわけありませんアル様・・・」

またも深く頭を下げた

 アル :「いや、なにもそこまで深く謝らなくても・・・」

ジェイドの頭にポンッと手を置き、頭を上げるように促す。

ジェイド:「それでは・・・・顔を洗ってまいります・・・・」

ふらふらとした足取りで洗面所へと向かっていった

 受付爺 :「ほれ、お前さんも行かんかいな。」
 アル :「俺?」
 受付爺 :「それ以外にダレがおるんじゃ。 あんなあぶない足取りの娘っ子をほっとくのかぇ?」
 アル :「まぁ、それもそうか。」

アルもジェイドの後を追って歩き出す。

 受付爺 :「まぁ、みんな朝食ぅ食いよるけぇ、娘っ子連れて、食堂行きなされよ〜ぃ」
 アル :「あぁ、わかった。」

時計のない室内、時刻を調べる術はなかった。

ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ」

冷水で顔を洗い終えたジェイドは目もようやく覚めたようだ

 アル :「スッキリしたなら、朝飯を食いに行こうか?」

ジェイドの背後から声をかける。

ジェイド:「ヒャッ!!  ア・・・アル様・・・いつの間に・・・」
 アル :「いや、部屋を出たときから・・・」
ジェイド:「とっ・・・ともかく・・・お・おはようございます・・・」

 深く頭を下げた

 アル :「あぁ、あらためておはよう。 ところで・・・」
ジェイド:「はい?」
 アル :「とっくに朝食の時間のようだが・・・今の時間、わかるか?」
ジェイド:「いえ・・・生憎とわたくしにも・・・」
 アル :「そうだよな・・・」

見るからに時計も持っていないジェイドに尋ねても時間などわかるハズがなかった。

 アル :「さ、メシでも食いにいくか。」
ジェイド:「はい、アル様」

みんなが待っているであろう食堂に足を運ぶ2人。

アンバー:「うーん・・・・進展なしかぁ・・・・
      ジェイドちゃんの目覚めの悪さが予想以上だったなぁ・・・・」

などと遠くからぼやくアンバーもあとについて食堂へと向かっていった。
食堂へ到達するとほか全員はもう食べる準備を済ませていた。
二人が食堂の扉を開けるや否や、お調子者が二人をからかう。

 ジュノ :「ょ〜、二人そろって遅れてくるなんて。 ナニしてたんだ〜?」
 アル :「何もしてない・・・」

そう言うアルの顔は、少し赤みがかっていた。

ジェイド:「????」

その問いに頭に疑問符が乗っかっていたジェイドである

 ジュノ :「・・・その様子だと、ホントになにもなかったみてぇだな・・・つまんね。」
 アル :「ジュノ・・・人をからかうんじゃない・・・」
 ジュノ :「へ〜ぃ」

なんとも気の抜けた返事である。

 ジュノ :「んなことより、早くメシ食おうぜ!」
 ファル :「まったくお前は・・・メシとなるといつも・・・」
 ジュノ :「腹が減ってはなんとやらってねw」
 アル :「そうなのか・・・?」

見ると、たしかにアルとジェイドを除いた全員が、すでに席についていた。

ジェイド:「アル様 皆様お待ちです 速く座りましょう」
 アル :「あぁ、そうだな。 待たせてすまなかった。」

アルも席に着き食事を始める。
猛烈な勢いで扉を開ける影がひとつ

アンバー「あっははー♪ おっそくなりましたー♪」

言うが早いがさっと席に着くアンバー

 アル :「あれ? アンバー?」
セラフィ:「・・・まだ来てなかったんですか・・・?」
 ジュノ :「そーいえば居なかったな・・・」
アンバー:「ぇー・・・私の存在ってそんなものなんですかぁ・・・がっくし」

大げさに肩をすくめた

ケルビナ:「てっきり全員いると・・・」
アンバー:「グスングスン・・・・」

泣きまねまでする始末

 アル :「・・・お得意の演技か? アンバー。」
アンバー:「あはー そうあっさり言われるとそれはそれで悲しいですよ、アルさん」

顔を上げるとけろっとした表情だった

 アル :「いや、いつものことだからな・・・もううろたえなくなった。」

アルも、動じることなく答える。

アンバー:「うー いつかぎゃふんと言わせますよー♪」

けらけらと笑いながらいった

 アル :「いつになることやらなw」

アルも笑いながら箸を運ぶ。

ジェイド:「・・・・・・・・・・・・・・・」

いつものことながら無言で箸を進めるジェイド

アンバー:「ふふふ・・・いつでしょうねー♪」

しゃべりながらも器用に箸を進めるアンバー

ジェイド:「・・・・ズーー」

少食なジェイドは一足先に食べ終わり お茶を飲んでいた

 ファル :「ジュノ、これ好きだったよな? やるよ。」
 ジュノ :「マジ? すっげ〜嬉しいぜ! ファル兄サンキュー♪」
セラフィ:「ファル兄さん、それ嫌いでしたっけ?」
 ファル :「ん? まぁ・・・」
 ジュノ :「俺は何でも食うぜ〜w」
ルーシィ:「なんでも・・・?」
 ジュノ :「おうっ!」
ルーシィ:「じゃぁコレ食べて。」

そう言って差し出したのは料理の飾りつけについていた、ビニールで作られた笹だった。

 ジュノ :「いや、さすがにコレは・・・」
ケルビナ:「じゃぁ、これはいかがですの?」

それは料理が乗っていた、プラスチックでできた花の形の皿だった。

 ジュノ :「いや、それもちょっと・・・」

めずらしく、あきらかに遊ばれているジュノであった。

アンバー:「はぁー お茶がおいしぃ・・・・」

言ってる間に食べ終わりこちらもお茶を飲んでいた

 アル :「あっちはあっちで賑やかだなぁ・・・」

アルも傍観に徹し、お茶をすする。

 アル :「結局、後に来た俺達のほうが早く食べ終わったな。」
アンバー:「ズズーーー・・・・さてアルさん、このあとはいかがいたしますの?」
 アル :「ズズズ・・・ とりあえず、当初の予定通り海水浴だな。」
アンバー:「このあとすぐにれっつごー で?」
 アル :「いや、食後スグというのも大変だろう。 少し休憩しよう。」
アンバー:「じゃーその間に着替えとか色々しておきますカー」
 アル :「その イロイロ が気になるんだが・・・?」
アンバー:「色々ですよー ちょっとしたへんし・・っとこれ以上はちょっと♪」
 アル :「まぁ、お楽しみにってコトか。 せいぜいガンバってギャフンと言わせてくれよw」
アンバー:「いいんですかー?そんなこといってー♪」
 アル :「まぁ、おかげさまで少々のことでは動じなくなったしな。」
アンバー:「ではでは、戻って準備してまいりますねー いこジェイドちゃん」
ジェイド:「はい姉上、ではアル様 皆々様失礼いたします」

二人はそろって自室へと戻っていった

 アル :「あぁ、また後でな。 ・・・さて、そろそろこっちも」

やれやれといった表情で、騒ぎ立てている一団に目をやる。

 アル :「おーい、そろそろ部屋に戻って、海水浴の準備しろよ〜?」
 ジュノ :「ぅ〜ぃ」
セラフィ:「わかりました〜」

騒ぎながらも食事は進んでいたようで、みんなの皿は空になっていた。


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