家 づ く り 

4.お勧めローンは「元均等返済」


 ローンの仕組みを勉強しないと、当然のように「元
金等返済」にさせられてしまいますが、これは損です。

 元
均等返済と元金等返済とは、言葉が大変似ています。どこに違いがあるのかというと、「元金」と「元利」の部分です。「金」「利」だけが違いますが、返済方法は大きく異なります。

 断然、元
均等返済の方が得なのですが、このことを知っている人はあまりいません。

 元
均等返済とは、元金部分は毎回一定の均等払い、利息部分は元金残高に金利(利息)を掛けた金額になり、この合計額を毎回支払っていくものです。したがって、毎回の返済額が変わります。

 これに対し、元
金等返済とは、借入金に利息を加えた額を均等に分割して、毎月の返済額を一定にしているものです(2003年度版トクをする住宅ローン資金計画マニュアル 監修山本公喜 主婦と生活社 46〜47頁)。

 しかし、この説明ではよくわかりません。もっとくだけた説明をするなら、元
均等返済とは、毎月の返済額のうち、返済開始時からある一定の金額を常に元本に充当する返済方法だと考えていいと思います。

 これに対し、元
金等返済では、毎月の返済額のうち元本に充当する割合がかなり低く、返済開始当初からかなりの期間、ほとんど利息ばかり払っていて元本が少しも減らない返済方式です。

 利息というのは残元金に対してかかりますから、元金が減って行くのが早ければ、それだけ利息の金額も減る訳です。ところが元
金等返済では返済の性質上、なかなか元金が減らないので、それだけ支払わなければならない利息も、元均等返済に比べると多くなってしまうのです。

 ひらたくいうと、元
金等返済は、元均等返済に比較して「利息をより多くしぼり取られる返済方式」ということですね。ローンの仕組みというのは、勉強しない消費者が損をするように出来ているのです。

 でも、こんなふうにあからさまに書いてある住宅ローンの本は、めったにありません。

 また「返済は元
返済方式にしたい」というと、不動産業者は「そういう方式もありますが、実際にそれで返済している人はいません」とか、「元均等というのは、毎月の返済額が一定しないので不便ですよ」などと言います。

 こんなふうに言われた場合、その不動産業者から建売住宅を購入したり、新築を頼むのは少し考え直した方がいいかも知れません。

 なぜかというと、それは、あなたの利益を考えず、自分の会社や提携銀行の利益のことしか考えていない業者だからです。
 また、ローンの仕組みを勉強しておらず、勉強しようという意欲もない営業マンだからです。要するに、良心的でない業者、ということです。

 一般に、元
均等返済を選択する人は、資金面で余裕のある人に多いと言われています。確かにそういう面はあると思います。

 しかし、逆に言うと、住宅ローンというものは、資金面に余裕のない人にも、むやみやたらに家を建てさせて、民間需要を無理やり増大させ、そのツケを一般消費者に支払わせる制度、ということになると思います。

 元
均等返済とは、住宅ローンの苦労を消費者において先送りさせる制度だからです。

 あなたが「返済は元
均等にしたい」というと、「元均等というのは、毎月の返済額が一定しないので不便ですよ」という言葉は、たぶん、必ず言われると思います。

 このように言われると、例えば、4月の返済額は8万円だったが、5月には9万円になったり、6月には7万円になったりというように、上下するように勘違いするかも知れませんが、実際は違います。

 元
均等返済というのは、第1回の返済額が一番高く、あとは何百円単位で徐々に下がっていくだけの返済方式なのです。増減するのではなく、減っていく一方なのです。

 例えば、我が家のローンの場合ですが、借入金は1400万円、借入れ先は住宅金融公庫1か所のみ、返済期間は15年の元
均等返済ですが、ローン開始当初の返済額は下記のとおりです。

2002年 11月   6万9283円
      12月   6万9175円
2003年  1月    6万9066円
       2月  29万3322円(ボーナス返済月分)
       3月   6万8850円
       4月   6万8741円
       5月   6万8633円

 このように消費者にとって有利な返済方法なのに、「元
均等というのは、毎月の返済額が一定しないので不便ですよ」などと惑わすようなことを言うのは、それは元均等返済では利息がしぼり取れないので貸したくないからです。

 これと同様なことは、固定金利でお金を借りようとしても生じます。

 例えば、現在のように経済が底冷えしている状況では、固定金利で借りた方が断然得です。なぜかというと金利が低いからです。

 この先、景気が上向きに転じた場合でも、金利は低いままなので、物価が上昇し給料が増えれば、ローンの負担が実質的に減るというメリットがあります(今後さらにデフレが進行し給料が減った場合は、デメリットになってしまいますが)。

 ところが、良心的でない業者は「住宅金融公庫の固定金利にしても、10年たったら金利は上がるんですよ。だから、固定金利だろうと、変動金利だろうと、そう大差はないんです」と言います。

 確かにその通りです。例えば、我が家の場合、当初10年間の利率は2.6%ですが11年目からは4.0%です。でも、惑わされてはいけません。

 というのは、元
均等で返済していった場合、10年のうちにはかなりの元金が減るからです。我が家の場合、5年先に保険が満期になって小金が出来るので、そのときに一気繰り上げ返済をして、10年以内にローン返済を終える予定です。

 したがって、11年目以降の利率を気にする必要がないのです。

 たしかに、我が家のような返済プランは、やはり年収の多い世帯しかできないかも知れません。この意味では、標準的な年収世帯(400万円〜800万円)が家を建てる場合の参考にはならないとも言えます。

 ですが、私の言いたいことは、要するに、
貸し手は(不動産業者や銀行)、私たち消費者を惑わすようなことを多々言って、出来る限り自分たちの利益になるように誘導するということです。
 したがって、とにかくローンの仕組みをよく勉強しないと損をするし、業者の言うままに多額のローンを組むと、その後の生活が破綻する可能性が高い訳です。

 ローンを借りる場合は、公的機関(住宅金融公庫など)をまず選択するべきです。ただし、現在、住宅金融公庫は縮小されていっていますから、消費者はなお苦しい状況に立たされつつあります。

 なお、銀行ローンの場合、元
均等返済を選択できないところも多いです(民間機関である銀行は、利息をより多く絞れる返済方式しか採用しないのは当然)。

 また、固定金利といっても長期でなく、「固定3年」といったような、実質は「変動金利」の所も多いですから、やはり賢くローンを組むには、ローンについて猛勉強する以外に道はないように思います。




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