家 づ く り 

3.間取りと家相


 私は、自分では現実的で合理的思考の持主だと思っていますが、家相のことは少し勉強しました。というのは、迷信にまみれた家相の中にも、合理的なポイントがいくつもあるからです。

 例えば玄関ですが、これは最近の家はほとんど「欠け」にしていますね。「欠け」というのは、壁面より凹ませてポーチを作り、庇を掛けているものです。

 狭量な土地の有効活用という点からすればやむを得ないことかも知れませんが、1階の角、しかも人が頻繁に出入りする玄関部分が凹んでいるのは、私にはどうにも受け入れがたかったのです。

 住宅強度の点で問題がある訳ではないのでしょうが、2階の床面積より1階の床面積の方が小さいというのが、なんだか「お神楽2階」のようで、落ち付かない感じがしてしまうのです(家相の点からは単に「運が凹む」と説明されますが)

 この点、昔の家の玄関はみな「張り」になっていたようです。「張り」というのは、壁面より出っ張っている作りです。

 私たちの家は西道路ですので、北西の張りに玄関を作り、東南の張りを作るために和室を6畳から8畳に広くしました。その分、庭が狭くなりますが、2階より1階の床面積の方が広くなり、しっかりした構造になった訳です。

 また、張りにした玄関の天井高を1.5階まで持ち上げたので、玄関スペースの容積が大きくなり(天井が高いと同じスペースでも広く感じます)、ステンドグラスをはめてとても明るくすることが出来ました。

 このように、玄関を「張り」にするという発想は、家相の本を読んでいなかったら、ひらめかなかったような気がします。

 また、台所は南西に作ってはいけないと言いますが、これは食品を扱う台所は、夏の強い西日を避けなければならないという理由からです。

 ところが、私の居住地では、夏は東から風が吹くので、家族がくつろぐ一番良い部屋(居間)は東南に持って行きたいのです。

 そうすると、台所の場所は北になってしまう訳ですが、主婦が一日で一番長く過ごすスペースを寒い北側に持ってくるのも、賢いとは思えません。そこで、台所は南西にして、西日を避けるために窓を設けず、壁面はすべて食器戸棚でふさぎました。

 このように、一見バカバカしい家相も、昔の人の知恵が詰まっている部分もありますから、ある程度参考にはなると思います。ただし、家相に惑わされてはならないし、方位とか、家を建てる時期などを占って貰う必要はないと思います。
 




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