2007/02/01 間違ったチケット |
先日のことです。 いつものように、夜のクラスにちょうど間に合うロマンスカーに新宿駅から乗車し、コートも網棚に上げて、お菓子も開けて、さぁ食べ ようとしていた時のこと。 「そこ、席違いませんか?」 という男性の声。 (いや、私はあってるよ、そっちが違うんじゃないのか?) という何の根拠のない自信のもと、チケットを見直すと、やはり発車時間、席番号とも合っている。 「いや、あっているようですが?!」 ともう一度、チケットを見て、私が悪夢に気が付くのと、その男性が声を発したのがほぼ同時。 「それ、来週のチケットですね」 や・・・やばい!!何としても、この電車に乗らないと仕事に間に合わない!! とにかくも、男性に謝り、コートを下ろし、食べかけのお菓子をひっつかみ、荷物を持ってホームに走り出ると、駅員さんを探しました 。 「これ、この電車のチケットを買ったつもりで間違えてしまったようなのですが、どうしてもこの列車に乗らないと間に合わないんです !どうしたらいいでしょうか?!」 最後の方は、もう悲鳴。 駅員さんも、私の必死さを理解してくれたのか、当日券売り場に並んでいる人をかき分けて、チケット変更のために販売機に案内。 「当日券は、もうグリーン車しかないですが、いいですか?」 「いいです、いいです。」 「通路側しかないですが、いいですか?」 「全然いいです!!」 ・・・という修羅場を乗り越え、グリーン車に乗り込んだとたん電車はホームをすべりだしました。 ふ〜・・・。 ほとんど乗らないロマンスカーのグリーン車。 普通車両より、約500円高い。 ・・・でもって何が違うのかといえば、まず、若干(ホントに若干だけ)座席の空間が広い。 そして、もう一つ、乗ったとたん、 「本日はご乗車ありがとうございます」 と紙おしぼり!が配られる。 3つめは、呼ばないのに、車内販売の注文をとりに来る。以上。 どう考えても、本厚木までの電車賃、プラス、ロマンスカー料金550円、プラスグリーン料金、で約千五百円は高い気がするけど・・ ・。 自分が間違って買ったんだから仕方ないか、と考えていたらどうにも納得いかないある疑問が・・・。 ロマンスカーのチケットを販売機で買うと、ご存知の方はご存知と思いますが、当日のチケットを買うかそうでない場合は、カレンダー が出てくる画面があって買いたい日付を選ぶようになっているのです。 私は、どうやら間違って一週間先のチケットを買ってしまったようなのですが、どう思い出しても、そのカレンダーの画面なんか見た覚 えがない!! どういうこと?? 自分が買ったチケットを確認しなかったのが悪いんだから仕方ないのですが、いったいどうして??と考えると不思議でなりません。 本厚木駅に着いた私は、少し迷いましたが、これは駅員さんに聞いてみるしかない、と事務所を訪ねました。 実は・・・と説明し出した私に、最初は、幾分迷惑そうだったその駅員さんは、私が自分が買ったチケットを確認しなかったのが悪いの で、それはいいのですが・・・と自分の非を話し、なおかつ、カレンダーの画面を絶対に見ていない自信があること、いったい何故かが 納得いかないこと、を順序立てて説明すると、こんなふうに説明してくれました。 途中まで画面を操作し、そこでやめてそのまま立ち去ってしまうと、画面はそこから始まるので、カレンダーを見ていないのに、一週間 先のチケットを知らずに買ってしまうことがあること。 また、最近そういう、いわばいたずらを故意にする人が増えていて、買うつもりのないのに定期券を買ってしまう事件などがあること。 駅としては、そういういたずらは防ぎようがないので、間違って買ってしまったチケットなどは払い戻すが、買ったチケットはよくその 場で確認してもらうしかない、ということ。 な〜るほど!! 最初は、面倒な感じだったその駅員さんは、最後には、にこにこと、 「ホントご迷惑かけましたね〜」 となんと謝ってくれました。 こちらも、納得がいったし、なんかちょっとほっとした感じ、嬉しい気分になれました。 やっぱり、聞いてみてよかった。 話せばわかるんだな。そして、今度からは、絶対にチケットを買ったらその場で確認しよう、と心に誓ったのでありました。 |
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2007/02/11 “慣れる”のは怖い |
先週、またもや「お腰様」が反乱を起こして冷や汗ものでしたが、何とかレッスンは無事に?!勤めさせて頂くことができ、毎度?!皆 様にはご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ございません・・・。 一時は、今までで一番!というくらいやばかったのですが、だんだん身体が痛みに慣れるのか?、回復も早くなった気がします。 とにかくも、無理は禁物ということで、様子を見ながら行きたいと思っております。 さて、慣れると言えば、(かなり強引な展開ですみません)最近ホントに思うのですが、日本のマスコミ、そしてひいては日本人ってい ったい!!と思う事しきりです。 一つ事件が起これば、明けても暮れてもその報道。 あまりの連呼に、だんだん反応する方も“慣れて”しまい、あっという間に“飽きて”しまう。 バラバラ殺人が起これば、明けても暮れても、ニュースもワイドショーも、新聞紙も週刊誌もその話題。 畳み込むような報道、過剰な反応に、反感を覚えながらもいつしか受け取る側も麻痺してしまう。 不二家が賞味期限切れと言えば、後から後から出るわ、出るわの類似の告発、朝起きてから寝るまで連呼され、気が付くと“またか・・ ・”と思っている。 「女性は、産む機械」と一言失言したら最後、謝まろうが、撤回しようが、よってたかって叩きまくる。 人々が求めているから報道するんで、所詮国民のレベルが低いという事なのか、それとも、国民の知的レベルをなめて、自分の頭を使っ て報道しないマスコミ側が悪いのか・・・。 いずれにしても、恐ろしいのは、どんなに大事な問題も、休みなく与えられる刺激に反応が麻痺してしまうこと。 TVの中のコメンテーターなる人の意見に何となく頷き、扇情的な週刊誌の見出しにあきれながらも、次から次へと忘れていかないとつい ていけない世の中のスピードにいつのまにか乗ってしまっていること。 自分の足で歩いているつもりが、気が付くとハイスピードの歩く歩道の上で、いつのまにかどこかへ連れていかれないようにしないと・ ・・。 どんなに意識しているつもりでも、刺激A→反応Bという出来上がった図式をすっと受け入れ、さっと忘れる方が効率的だったりするから ね〜・・・。 ・・・と自戒しつつも、私の頭は学生時代から、集中&忘却のスピードだけで逃げ切るタイプで、一つの事をじっくりと考える方ではな かったのです。踊りと出会うまでは。 何でも踊りのお陰にするわけではありませんが、踊りという一つの道を追求する中で、初めて、一つの問題点をじっくりとしつこく追求 する姿勢というのを身に付けた気がするのです。 日本の受験体制は、集中、処理のスピードとある意味での要領で、ホントの意味であまり頭を使わずに逃げ切る事が可能ですが、踊りに 限らず社会に出るとそれでは上手く行かない事が山ほどありますよね。 シャワーのように浴びせかけられる情報の中、いつのまにか慣れて麻痺してしまう感性を時々リセットし、立ち止まり、思い出し、出来 る限り自分で考えないと危ない!、そんな危機感だけはあるつもりの私です。 |
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2007/02/18 芸の道は長く続く・・・・。 |
午後10時過ぎの各駅電車。 割合すいている車両に空いた席をよっこらしょと腰をかけると、目の前にどう見てもバレリーナの二人連れ。 どうでもいいけれど、バレリーナってどうしてあんなにパッと見で分かりやすいんだろう?! 小さい頭、長い首、華奢な骨格、大きなカバン、そしてがに股な足!? 歩き出せば、1番ポジション(特極の外股)のまま歩くからなおさら分かる! その二人は、会話の内容(リハーサルがどうのこうの・・・とか○○先生がこう言ったから・・・とか)も、やたらに手振りの多い話し 方も、そのものずばりのバレリーナだったみたいですが、考えて見れば、20代の子なら少なくとも15年以上バレエをやってるだろう わけで、そういうバレリーナの特徴的な身体つきは、成長期をかけたその15年の絶え間ざる努力によってある意味“造られる”わけで すよね。 もちろん、自然淘汰的な面もあるといえましょう。 小さな時からバレエをやっていても、バレエがあまり好きじゃなかったり(当たり前か!)、他に興味が出てきたり、体型的に全く不向 きだったりして、バレエをやめていく人が沢山いて、最終的に残った人がバレリーナとなるわけで、残った生粋の人たちがパッと見ても 特徴的なのは当たり前なのかもしれません。 さて、バレエに限らず、芸事の道は果てしなく長い。 私のクラスの皆さんにしても、ふと気付くと5年、10年選手が何人もいらっしゃる。 芸事において、一つのことを始めてそれが面白くなってきたら、これでいいという終点は一生ないのと同じなのは、やっている人にはよ くわかると思います。 上達すればするほど、自分がまだまだなのが分かってきて、その先を追及するのがまた楽しかったりする。 これは、どんなにプロフェッショナル、名人と呼ばれる人も同じ、なおさらなのかもしれません。 よく、体験などで見える方のご質問などで、 「どれくらいやったら上手くなりますか?」 などというのがありますが、これはとっても困る質問です。 “「習い事は何でも、どれだけ金と時間をかけられるか」だ!” と言った生徒がいましたが、かなり下世話な言い方ですが、これはある意味真理をついていて、つまりはどれだけレッスンできるかとい う事を言いたかったのだと思います。 もちろん、やればいいというもんじゃない。 しかしながら、多分何も習い事、芸事にはまった事がないと思われる方から、何回受ければ上手くなるんですか?みたいな事を聞かれる と頭を抱えたくなります。 今朝、TVでヴァイオリンの名器、ストラディヴァリウスの事をやっていました。 楽器を造る天才の名器を再現するために、十数年にわたり日夜研究を重ねる楽器メーカーの男性。 なだらかで美しい曲線を、最新の機械で計測し、試行錯誤の末かなり近いものが完成。 まず、ストラオディヴァリウスの何とも言えない音色を聞かせてくれたヴァイオリンニスト千住真理子さんが、依頼されて、できあがった 楽器を弾くと・・・・。 これが、音色はきれいなんだけど、素人の私が聞いても音の厚さが違うんだな〜!! こんなに違うなら、何もヴァイオリンニストに弾いてもらわなくても分かるんじゃないかと思うくらい。 (でも、よく考えたら、下手な人は、ストラディヴァリウスを弾いてもいい音が出ないわけで、やっぱりダメか・・・・) きっと、あの楽器メーカーの人は、また一歩ずつ一歩ずつ天才の楽器を目指して歩いて行くんだな・・・・。 これもまた、芸の道なんだな、と思いました。 |
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