そうだ、奈良行こう

≪飛鳥≫

 
 


 同行のしもべ1号が修学旅行では飛鳥に行かなかったと言うので、吉野に向かう途中、立ち寄ることにした。
 一方、女王様1号は、手元に残っている「修学旅行のしおり」によると石舞台古墳・飛鳥寺・甘樫丘に行ったハズであるが、ほぼ石舞台古墳しか記憶にない。女子高生なんてそんなもの。
 今回は修学旅行の定番どころだけでなく、修学旅行では絶対に訪れなさそうなフシギ系石造物なども巡ってみることにした。

 移動手段として飛鳥駅前の明日香レンタサイクル(http://www.k-asuka.com/index.html)で自転車をレンタル。土日祝は1日 1,000円(ホームページに100円割引券あり)。大荷物もタダで預かってもらえました。
 「飛鳥観光は自転車で」というのが定着しているらしく、いたるところでサイクリング サイクリング ヤッホー ヤッホー♪な観光客を見かけますが、思ったよりも高低差がある
 1号が巡った中では石舞台古墳周辺がもっとも高く、ゼーハーしながら自転車をこぐハメに。下り坂では逆に全然こがない&ブレーキをかけていないと危ないところもあった。

 詳しい情報については、明日香村の観光情報(http://www.asukamura.jp/index_kanko.html)国営飛鳥歴史公園(http://www.asuka-park.go.jp/)のサイトなどを参照。
 なお、駅名は「飛鳥」、村名は「明日香」で各所で表記が混在している。

亀石
 亀石

 高松塚古墳から自転車で約10分。結構細い道路沿いに唐突にある。石は大きいが、丸みを帯びた形状や、笑ってるような眠ってるような、のほほんとした表情がキュート。
 だが、現在は南西を向いているこの石が西を向くとき、大和一円は泥の海と化すというコワイ伝説があるんだそうな。
 「押すなよ、絶対押すなよ」と言われた1号は(いや言われてないけど (^^;)、もちろん西の方向へ亀石を押そうとしてみた。…幸いなことにビクとも動きませんでした。 こうして亀石によって今日も大和の平和は守られた! めでたしめでたし(?)。
亀形石造物
 亀形石造物

 伝・飛鳥板蓋宮跡から自転車で5分足らず。ここは有料で300円
 ちょっと高いところから見下ろすようになっていて、近くに寄れないのでイマイチ見づらいのだが、手足のついた亀形の石とそれに水を注ぐ仕掛けのようなものが復元されている。 斉明天皇の祭祀関連の遺跡と考えられているそうで、周囲には石垣も残っている。
 ボランティアの解説おじさんがいるので、ギモンのある人は尋ねてみるとよいでしょう。
酒船石
 酒船石

 亀形石造物から徒歩で坂を上ること5分。竹林が切り開かれた中にある平べったい巨石で、表面に丸と直線のナゾの彫刻が施されている。
 酒造りに使用されたという説から「酒船石」という名が付いたそうだが、現在では庭園施設の一部と考えられているらしい。
鬼の雪隠
 鬼の雪隠

 甘樫丘から自転車で10分以上。上記3つの石造物と比べてもマイナーなので、分かれ道のところに達しても「←鬼の雪隠」のような案内が出ていない(と思った)。 本当に正しいのかと不安になる頃、聖徳中学校という学校の前を通過したらその道で正解。
 そこからしばらく進んで「本当に合ってる?」と再び不安になってくる頃、道路脇に突如出現。案内表示は直前になってやっとあった。
 鬼の俎と共に、古墳の石材が斜面を転げ落ちてバラバラになったものだそうで、そのためか宮内庁の管轄になっていた。
鬼の俎
 鬼の俎(まないた)

 鬼の雪隠から道路を挟んで向かいの階段を上ったところにある。周囲は竹林。
 鬼が「俎」で人間を調理して喰い、「雪隠」で用を足したという伝承になっている(笑)。
 雪隠&俎の周辺には駐輪場がないので、道路際にジャマにならないように駐めましょう。


 猿石

 鬼の雪隠&俎から自転車で5分。こちらもマイナー系なので案内表示が見つからず、農作業をしていたおばちゃんに聞いてしまった。
 吉備姫王墓の敷地内(裏手に回ったところ)にあり、柵で囲まれているが、隙間から見ることができる。
 猿に似ているから猿石と言うそうだけど、下写真左から「女」、「山王権現」、「僧」、「男」とプレートが付いている。それほど猿っぽくはない。
 吉備姫王墓の向かいに見える明日香村最大の前方後円墳は欽明天皇陵で、猿石は以前はそちらに配置されていたとのこと。
猿石「女」 猿石「山王権現」 猿石「僧」 猿石「男」


高松塚絵画館の複製壁画  飛鳥駅前から自転車で5分、「←高松塚」の案内と駐輪場が見えたのでそこで自転車を降りてしまったが、大失敗。 これは道路近くにある飛鳥歴史公園館向けの駐輪場(多分)で、公園内もそのまま自転車で移動すればよかったのだ。
 そうとは知らなかったため、女王様たちは意外に高低差のある公園内を5分以上歩かなければならなかった。 高松塚古墳

 ようやく高松塚壁画館(http://www.asukabito.or.jp/html/promenade02.html)に到着(本当はここまで自転車で来れた)。 入場料 250円(割引券で200円)。
 高松塚古墳内の壁画の実物は見ることができない&すっかりカビたり褪色してしまったため、ここに壁画の模写が展示されている。 教科書で見たことのある人物群像(左写真はパンフから転載)や四神の図があちこちに。
 ナゼあちこちにあるかというと、発見当初の姿を写した「現状模写」、見やすくするために修正した「一部復元模写」、高松塚古墳と同じ材質の凝灰岩に模写した「壁画再現模造模写」の3つがあるから。 …模写しすぎじゃね?
 他には石槨の模型や模造副葬品が展示されている。

 古墳そのものは絵画館の先の坂を上ったところにある(右写真)。思ったよりちんまりとした古墳でした。


二面石  亀石から自転車で約10分。拝観料 350円(割引券で300円)。
 聖徳太子生誕の地&太子が建立した七大寺の1つということで、本尊は聖徳太子坐像。聖徳太子の愛馬の銅像もあった。
 境内には二面石(左写真)というナゾの石があり、この写真では見にくいけど左側が「悪面」、右側が「善面」で、「我々の心の持ち方を現したもの」と説明されている。

 このときは聖倉殿(宝物殿)の特別開帳期間だったので、橘寺のお宝である重要文化財も数点見ることができた。 その中でもメインは伝・日羅像(右写真、パンフから転載)。
 日羅は聖徳太子に仏教を教えた人ということになっているのだが、山岸涼子のマンガ『日出処の天子』を読んだ世代としては、超常のチカラを持つ厩戸王子に面と向かって「人にあらず」とホントのことを言ってしまったため暗殺されてしまう人、である(をい)。
 それを踏まえて見ると、マンガに描かれていた日羅はこの像と顔つきが似ているような…。山岸涼子も参考にしたんでしょうか。機会があったらゼヒご確認ください。

伝・日羅像


石舞台古墳
古代米御膳
石舞台古墳内部  橘寺から自転車で約10分。途中から結構キツイ上り坂が続く。拝観料 250円(割引券で200円)。
 ここにもボランティアの解説おじさんがいて、人々の質問に答えてくれる(が、スマホの操作は苦手なようで、観光客に撮影を頼まれて四苦八苦していた)。
 女王様1号が修学旅行でやってきた当時、ここまで整備されていたかどうか記憶にない。現在は周囲に桜が植えられていて、春は花見スポットとして賑わうらしい。

 外から見ても巨大だけれど、石室が地表面より下に掘り下げられているため、中に入るといっそう大きさを感じる。石室内(右写真)は奥行7.5m、幅3.4m、高さ4.8m
 見ていると石舞台に上がってみたくなってくるが、さすがにそれは禁止されていた(でも1号が持っているガイドブックの写真では、石室の上に子供が乗っているのだ!)。 まあ無茶して上がって石室崩壊、なんてことになったらシャレにならないので我慢。

 見学終了後、近くにある農村レストラン 夢市茶屋(http://www.asukadeasobo.jp/shop/yumeichi#nouson)で昼食。 階段を上ってすぐのレジでまず注文してから着席するシステム。女王様たちは古代米御膳 1,050円(左下写真)をチョイスした。
 ご飯に黒米・赤米・緑米などの古代米を使用している他、豆腐は吉野葛で豆乳を固めた「呉豆腐」というものらしいが、それ以外のおかずにはそんなに特色はないような…。
 1Fは「明日香の夢市」というショップで、特産品(野菜なども含む)やみやげものが売られていた。


飛鳥大仏  亀形石造物から自転車で2、3分。拝観料 350円(割引券で320円)。ここは飛鳥地区の寺院としては最もメジャーどころで、バスで団体さんも訪れていた。
 蘇我馬子が建立したこのお寺の本尊は、日本最古の仏像と言われる飛鳥大仏(左写真、パンフから転載)。製作者は鞍作止利。 ガイドブックによれば、面長の顔にアーモンド形の目というのが飛鳥仏の特色らしい。
 女王様たちが本堂に入ったときは、ちょうど団体さんを相手にお寺の住職が飛鳥大仏についての解説をしているところだったので、ちゃっかりと一緒に話を聞かせてもらった。

 境内奥の門を抜けた先には、蘇我入鹿の首塚と言われている五輪塔(右写真)がある。女王様1号は、修学旅行時の飛鳥寺本体の記憶はさっぱり抜け落ちている(爆)のだが、この首塚の前で友人たちと写真を撮った覚えはあった。
 また、そのさらに先のエリアが発掘中で、説明板によれば「中大兄皇子と藤原鎌足が知り合うキッカケになった蹴鞠の会が催された場所」らしい。 そのすぐそばに大化の改新で殺された蘇我入鹿の首塚があるっつーのも奇遇ですな~。

蘇我入鹿首塚


伝・飛鳥板蓋宮跡  皇極天皇の宮殿であり、大化の改新で蘇我入鹿が暗殺された伝・飛鳥板蓋宮(いたぶきのみや)跡(左上写真)は、石舞台古墳から自転車で5分程度…のハズだが途中で迷った。何度も言うようだが、マイナー遺跡は案内表示が少なく、わかりにくいのだ。
 行き過ぎてしまっていたのを戻ってたどり着いてみると、左上写真のような光景で、遠くからは目に付かない。ちなみにこの再現されている部分は井戸らしい。
 女王様たち以外にもポツポツと訪れる観光客はいたが、やはり他の遺跡や寺院に比べると圧倒的に寂れている。かつてはココが飛鳥の中心だったかと思うと諸行無常。
水落遺跡  そんな伝・飛鳥板蓋宮跡よりもさらにパッと見なんだかわからないのが水落(みずおち)遺跡(左下写真)。飛鳥寺から甘樫丘への移動途中に立ち寄れる。
 中大兄皇子が漏刻(水時計)を作った、という話は聞いたことがあるかもしれないが、実はこれがソレ。 どういう仕組みだったかという説明板はあるが、う~む、これだけ復元されてもな~という感じは否めない。
 どうせなら(多少は想像でもよいので)建物ごと復元して、水を循環させて、水時計として時間がわかるようにしたら面白いのに…と思うのだが、メンテナンスが大変そう&費用が掛かりそうだから無理か?


 甘樫丘は飛鳥寺から自転車で約5分。駐輪場で自転車を降りたら、標高150mまで階段を上っていかなければならない。距離にして240mと書かれていたが、最後の方は息が上がった。
 立ち木が邪魔なところは若干あるものの非常に眺めがよく、先程までいた飛鳥寺や、大和三山(下写真中央やや左の池の背後にあるのが畝傍山、右1/3くらいのところにちょこんとあるのが耳成山、その右側でちょっと木の陰になっているのが天香具山)が見渡せる。
甘樫丘


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