チリ通信−29 (2007年3月7日)

皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
種苗生産地獄に陥っている今日この頃です。


さて、前回にワムシの問題が解決したと報告しましたが、正確には"使用していた水がワムシ生産に不適当であるらしい"と言い換えます。
具体的にはろ過しても除かれないカビなどワムシの増殖を阻害するような因果が給水に含まれているようで、
現在は違う給水源から水を確保しています。
いずれにしても十分な量のワムシ生産にはまだ時間がかかるので、栄養的に満たされており大量に簡便に生産できる代替餌を探しました。
養殖が発展する条件としては、魚価が高い・栄養要求が高くない・成長が早い・低水質に耐性が高いなどの他に、
大量種苗生産が簡単なことがあります。
簡単に大量種苗生産をするためには、幼生・稚魚の餌が安易に大量に生産できることがとても重要なことです。
手近なところを探した結果、現在はチョリト(ムラサキガイ)の幼生を使用しています。
チョリトの幼生はオスとメスの貝から生殖腺を切り出し、混ぜ合わせることで大量に生産することができます。
成熟度や手法の問題で大量の奇形幼生が発生しますが、クルクル泳ぎ回るのでサンペドロ幼生は十分摂餌しています。
奇形とはいえ栄養的に問題が無ければ良しとして使用していますが、大きさが60μmと小さいのが問題です。
初期餌料もしくは人工飼料のメッセンジャーとしては合格ですが、稚魚用の餌としては120μm以上の餌が欲しいところです。
現状ではチョリト幼生と配合飼料を併用しての綱渡り状態です。
ワムシも回復に向かいつつあり、今後の課題として更に初期餌料を探す必要があるでしょう。


  


次の話題は泥棒パートIIIです。

今回の泥棒は高校生くらいの2人組でした。
土曜日の夕方に執務室で仕事をしていると、外で声が聞こえます。
誰も居ないはずなのに不審に思っていると、種苗場のドアを開けようとノブをガチャガチャ回します。
パートIIで懲りたので当然ドアは閉まっています。
すると今度は私の執務室の窓を開けようとします。
やはりここも閉まっており、カーテン越しに中を覗こうとしました。
そこで私が鉄格子(パートIで修理をした時に室内に設置したもの)を叩くとあわてて逃げていきました。
こちらもいささかビックリしており、心臓がドキドキでした。
遠方に逃げて安心したところを10倍ズームで写真に撮り警備部に配ったものの、何とかして欲しいところです。





話にはパートIVがあります。

2週間後の夕方に種苗場に来ると、不審な若者5人組がコソコソと逃げていきます。
その内の一人はパートIIIでカーテン越しに脅かしたヤツです。
後で解った事ですが、下の飼料ラボに侵入を試みたようで壁が剥がされていました。
幸い壁は二重で、開けた穴の向こうにはオーブンが置いてあり、侵入出来なかったようです。
そこに私がやって来た、というのが経過ようです。
どうもここは宝の山で獲り放題という評判が立っているようで、早急な対応が必要です。
私もここで仕事をするのがいささか怖くなってきたところです。

というところで、来月のココロダー!。



        


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