『クラブの未来』 部員はこれから・・・ 9期 石崎
SDCが誕生してから10年、今まではその10年という年数をただの序数としてしか私は受けとることができなかった。
その数が5でも20でも一向にかまわなかった。
しかし、私が上級学年となり、又、役柄上(編集委員)、初代に近い方々と接するようになってから、
その10という数がただの序数ではなくもっと次元の違う別なものに見えてきた。
上の代の方々と接すれば接するほどそれは大きくふくらんで見えてきた。
先輩方の中にはプロダイバーも多く、また扶養家族を持ってる方もいらっしゃる。
そういう先輩方(父親ほど年齢のかけ離れていない、まだ自分の感覚内で充分理解できる社会人)と接して、
我ら弱輩がなんらかの刺激を受けないはずはなかった。
先輩方が社会人で、我々現役が学生であるという歴然たる立場の差をはっきりと見せつけられたのだ。
その立場の差が私に10年の歴史を重々しく次元の違う別なものに見せたのだ。
その刺激は良くも悪くも我ら学生に社会的喚起の起爆剤になってくれる。
その刺激を受けんがために下級生は上級生、OBに、また上級生はOBに積極的に交流を働きかけたらいい。
私の眼からもこの10年のクラブの移り変わりが見える。
まず初代、上代は海に潜る男、まさに海に潜る男一本槍型であった。
海に潜っていれば天国じゃという剛悍たちであった。
現在は、多方面に渡った興味の一つが海に潜る事なんだという、かなり大衆化されたレクレーション型になっている。
けれどそれが悪い傾向だとは思わない。
それは時代の流れとみるべきだ。
しかし、ここで留意しなければならないことが一つある。
それはダイビングが大衆化されてもダイビングの質まで落とすなということ。
ダイビングを決して安易に扱ってはならない。
年に死亡者を5人ぐらい出しているのは事実だし、正確な技術と明確な知識を身につけなければ命取りになる。
毎年、口うるさく言われる安全潜水の知識と、すべての日曜日ごとの練習の理由はここにある。
部員は、その理由を踏まえてやるとクラブがやりやすくなるはずだ。
今一つ、現役とこれからの新しい世代に忠告がある。
それはクラブ員たる最低の責任を全うせよということ。
個人あっての部活動なのだが、個人の利己と惰性から、個人と部の境目を見つけられない者が居るのだ。
そういう者は、一生懸命部活動に没頭している部員の志気をつぶす。
部にとっては大きな障害となる。
しかしながら、その個人と部の境目を見きわめるのはなかなか困難で、私自身もかかる処はあったし、現在もあるかもしれない。
我が部は上下関係が自由である。
ある運動系の部に見る絶対服従という型ではない。
もちろん私は自由である方を選ぶ。
その自由なだけに自分を自由に甘くできる。
そこも落し穴である。
個人と部の境目をよく戒めてもらいたい。
我々は先輩からダイビングの技術と知識を学んだ、それも無償で。
我々は、その感謝の意を込めて次代に技術と知識を教えた。
その後輩はそのまた後輩に伝えていく。
どんどん繰り返して健全なSDC仲間を作っていこう。
又、海に潜ることを共通点として集まった仲間ではあるが、それを媒体として海以外のこともやってみようではないか。
私は今、部の存在はなんなのかと考えるに、つまるところ人格形成養成所ではないかと思っている。
より高い人格の確立を目指して友交を深めていこう。
さすれば我がクラブの未来は太陽である。
文集もくじ