『潜水体験談』 8期 竹内
「あっ!鳥が水中を飛んでいる!」
それは12月のある日曜日、つめたいがとても澄んだ海だった。
素潜りで友人と寒さしのぎに沖までダッシュして、体が暖まった所で潜水していると、小魚の大群に出会った。
小魚の中を俺たち大魚?がいっしょに泳いでいると後方にイカがいるではないか。
「よし、取っつかまえてサシミにでもしてやるか」などと考えながら回りこんでいくと、消えてしまった。
いくら潜ってまわりを見ても小魚ばかり。
「おかしいなぁ〜」しばらく探したが見当たらない。
あきらめていると小魚の後ろに「いたいた」いるではないか。
「よし今度こそ」近づいて行くとイカにしてはなんとも変な泳ぎ方ではないか。
しかも、すごいスピードだ。
こちらも全速で追いかける。
「まてイカサシ」。
10mぐらい泳いだだろうか、変なイカは浮上していく。
「あれ飛び魚かな」なんて思っていると水面に浮いている。
しかも足みたいなものまであるではないか。
海面から顔を出してみると「な!な!!なんと鳥だ」。
「まさか鳥があんなに潜るわけないよ」と半信半疑で鳥の後を追いかけていくと、突然ガバーっと水中に潜っていった。
しかも水中では泳ぐというより飛んでいるのだ。
そして水深1mぐらいのところを10m以上も平行潜水するではないか。
見ているとどうやら鳥は小魚をねらっているらしかった。
イカに見えたのは羽に付いている空気が白くてイカの泳ぎに、ちょっと似ていたからだ。
それにしても鳥は空を飛ぶものだとばかり思っていたが、海に中を飛ぶ変な鳥がいたとは・・・。
それからというものイカを見るたび「あ!ヤキトリだ」などと考えるようになってしまった。
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