『潜水体験談』   7期 田中


 私が76年2月に沖縄の八重山群島小浜島に行った時のことである。

ここは或るダイビングショップから紹介された所で、行って見るとすごくいい所であった。

そこは黒島や新城島や西表島に近く、ボートでどこにでも行ける位置にあった。


 自分がダイビングを始めて夜潜ったのはスキンダイビングが最初で、リーフの中だけであった。

今回はリーフの中と言えば言えるが、水深が10m以上ある所で、黒島や新城、西表に囲まれた大きなリーフの中で潜った。

この時はスキューバーダイビングであった。

まず初めは何がなんだか分からず、ただ無我夢中でバディの人について行くだけであった。

回数が増すにつれて、その恐さというものがわかって来た。

まず、ボートから水中に入る瞬間、何とも言えない恐さを感じた。

水中に入ればもう恐さはなく、ただ好奇心のみで、周りのものや魚を見るだけで恐さはなくなってしまう。

魚はじっとしているし、昼間見られないものがたくさん見られた。

中でも一番印象に残ったものは、ブダイが膜を張って寝ていた時のことと、

夜水中で2mぐらいのホワイトチップだと思うがサメを見た時の事であった。

この時は魚をついていたので、ほんとうに恐ろしかった。

しかし夜海に潜ると、昼間潜れなくなるほど面白いと思う。

しかし夜は昼の何倍も危険なので、よほどその地形やダイビングの技術を身につけなければしてはいけないと思う。


 また、こんなこともあった。

これは潜水には直接関係はないが、やはり同じ沖縄のことで、昼間みんなは潜っていたが、自分は1人で潜っていた。

ボンベの空気も少なくなり水面に上がって見るとボートは見えず、自分が感じたことは海の真ん中で漂っているようだった。

それから1時間ほど泳いでいたら、ボートが小さく見えて来た。

この時、島まで泳いで行くか、ボートまで泳いで行くか、どちらにしようかと思った。

ほんとうはボートの方が全然近いのに、島とボートが同じぐらいの距離に見えた。

ボートはこちらを見ているようだが気がつかず、いくら叫んでも気がついてくれなかった。

それから40分ぐらい泳いでいるうちにやっとボートが気がついてくれた。

この時はほんとうにもうだめかと思った。

こんなことがあり、やはりバディというものは大切なものだと思い直した。



          


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