『クラブに入った動機となぜ続けているか』 11期 桜井
私が大学生になって、まだ慣れていないころ、クラブの勧誘がありました。
その時は、どこかクラブには入りたいと思ってはいたけど、まだはっきりとは決めていませんでした。
でも、ダイビングをすることになるとは考えていなかったのでした。
それよりも、自分にとってあまりに遠くの事のような物であったのです。
海に入って泳ぐのは大好きなのです。
砂浜にねそべって海を見ているのも好きです。
でも、潜るということに対しては、まったくの無知でした。
テレビなどで時々見ることがある程度で、海の中には魚が自由に泳いで生活しており、すごいところのように感じるだけで、
実際に自分で潜ることまで望むことはなかったのです。
もちろん、やる機会があればダイビングというスポーツを試みてみたいと思っていたのですが・・・。
そして、クラブ勧誘で「SDC」の机の前に座って、初めて永井先輩と向いあったのでした。
その時までウエットスーツやウエイトなど、すべて私の生活の中には関係のない物だったのです。
海の中にすっぽりと入ってしまうことにはあまり心配はなかったけれど、息が苦しいことに対しては人一倍恐怖心を持っていました。
いろいろ不安な所はあったのだけれど、海に対する興味はもうおさえきれずに、このダイビングのクラブ「SDC」に入部することになったのでした。
ふりかえってみれば、ほんの小さな瞬間によって今日に続いているのだけれど、
ダイビングはそれからの私の生活に大きな影響を投げかけていることを思い知らされます。
初めて海でシュノーケルとマスクをつけて海の中をのぞいた時は大変に感激しました。
生まれて初めて、直接に海の中のようすを、ほんの少しだけど見たのです。
水族館や、テレビ、映画などで間接的に感じてきたものとは、やっぱり違い、それは私を驚ろかすのに充分であったのです。
海の中の色はとにかく私をひきつけました。
小さな魚の群れは、すぐさま私を茫然とさせてその世界にひきずりこんでいったのです。
魚の名前や種類などかまわなかったのでした。
初めて出会う魚は数知れず、でも私の頭の中には残っているのだからです。
一番、心がときめくのは、海の中から見える太陽の光のカーテンです。
さーっとさしこんでいる光のようすは透明のカーテンのような最も美しさを感じてしまう一つです。
その中に漂っていると、まるで自分が海の中の生き物のような気持ちになって空を見上げてしまいます。
海の中の多くの美しい時間や場所に出会うと、私がその時に海の中にいられたことをこのうえもなく幸福に感じるのです。
そして、もっと多くの色々な海の顔が見たくて、知りたくて、海に再び入ります。
ダイビングを始めて1年とたっていないけれど、ダイビングは私の生活の一部となってしまっています。
ダイビングに対して多くの知識はないけれど、海の美しさは私の心をなごやかにしてくれるのです。
あの光のカーテンに包まれていると最高によい精神状態になれます。
海の美しさは挙げればきりがないけれど、もう一つだけ忘れることのできない時間があります。
ナイトダイビングの時に見た海の静かさとその中に見た夜光虫です。
あれほど感激することはそれほどないと言えます。
ダイビングをやっている人でないとめったに味わえない事だと思います。
ダイビングを続けているのは、いろいろな海を見たいこともあるけれど、私の場合、海の中に安らぐ時間を見つけだしたいからなのです。
その時間を味わいに私は海に入っていきます。
海の中でしか会えない時間と生き物に出会うために。
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