チリ通信―16 (2006年2月4日)

皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。 
寒い鹿児島から再び暑いイキケ市に帰ってきました。
クリスマスは日本で家族や親族と楽しく過ごし、チリで失った6Kgの体重を取り戻してきました。


さて大晦日から正月にかけては友人のコロンビアン達と、ニューイヤーパーティーをしました。
イキケ港には沢山の人が集まりカウントダウン後、盛大に花火が打ち上げられました。
賑やかな大晦日と言うのはイマイチ馴染めませんが、仲間と騒ぐのも良しということです。




今度は大学のハッチェリー(種苗生産場)仲間と新年会です。
お土産のチョンマゲズラと焼酎で楽しく過ごしました。彼らには焼酎のお湯割りは珍しく、ことのほか人気でした。
手荷物に焼酎を3本入れ、重い目をした甲斐がありました。




楽しいことは続かないもので、大学との契約更新が暗礁に乗り上げました。
水産学部の新入生が激減しており、新規採用は出来ないとのことです。
そこで師匠が住むコキンボという町に遊びに行きました。
コキンボはイキケ市からバスで17時間南下したところにある町で、首都のサンチャゴには6時間の場所にあります。
ここまで下がると日中でも涼しく、夜9時ごろまで外は日があります。
しばし仕事のことは忘れフェリア(朝市)で食材の買出しを手伝い、山間部の橋の上で小僧たちに日本語を教えたりしました。

  


現在はフリー(俗にいう無職またはジョッブレス)となり無収入状態です。
口座の残額を気にしながら、スーパーで買い物をするのはいささか切ないものです。
大学の外郭団体と契約をする可能性は有りますが、ここの常として時間がかかり最後まで分かりません。
とはいえ悲しい日本人の性で毎日ヒラメの種苗生産を大学で教えています。
技術の有る人がただで働いてはいけないと言われますが、
一人でも多く魚の種苗生産の出来る技術者を育てることがこの業界の発展につながると思うからです。
そして将来的には私にもオマンマが廻ると信じるからです。

チリは世界屈指のサケの養殖国ですが、全ては外貨獲得のための輸出用です。
片や沿岸魚は漁獲過多のため激減の一途をたどり、庶民の口から離れつつあります。
さらにスパーマーケットでの値段と品質管理や売り方の問題のため悪循環となっています。
サケ養殖も海域汚染などの問題を抱えており、企業も次魚種の模索を始めています。
サケの種苗生産技術は一般に養殖されている魚種と方法が異なり、新たな技術と技術者が必要です。
どこの国でも技術者は一朝一夕に育たちません。
事実チリのサケ養殖が今の状態になるまで30年がかかっています。
又、その技術はそこの国に合った形でなければなりません。
この国は水産養殖に対して幾つかのアドバンテージを持っており、うまくいじればまだまだ伸びる国だと思っています。
そんな仕事がしたくてこの国に来ました。




ここの医療は結構お金がかかることが分かり、保険の切れた今は健康第一に週一は休むようにしています。
今は世間の泳ぎ方が判らず溺れかかっていますが、いい波を捕まえてビッグサーフィンをしたいと思う今日この頃です。


        


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