『企画者として』 9期 立案者 永井 ・ 生物班 難波 ・ 海洋班 今村 ・ アドベンチャー班 二川
私が立案した年間活動計画の基本的な考えや、発想はどこからきたかと言うと、私がプロ・ダイバーたちと一緒に仕事をし、
生活を共にしてからである。
彼らは、海の中を自由自在に動き、考え、工夫して仕事をしている、これは私の経験したクラブ活動にはなかった事である。
もちろん先代のやってきた活動は、それはそれなりに意味のある素晴らしい活動であった。
私は先代のその素晴らしい活動の上に、こういった意味での潜水活動を少しでも取り入れ、1・2年生に海を楽しみ、そして考え、
創造していくような潜水をしてもらいたかったからである。
今、一年間を振り返って思うことは、企画内容が少し貧弱であったことと、クラブ活動時間の不足を感じた事である。
これは、私や同輩達に潜水と海洋の幅広い知識が乏しかった事が原因である。
それでも、いろいろな本をひっくり返したが、もっと多くの資料や知識があったならば、さらに充実できたと思う。
また、企画案を実行するにあたり、つい欲がでて、いろいろやりたい事が出てきて、実際にやるには毎日曜日の活動だけでは、
やりきれないというはめになった。
さらに、よりよい潜水技術の習得や練習方法を望めば望むほど、年間を通しての活動できる時間の少なさを痛感した。
このような経験から次代の企画者には、潜水と海洋に関する幅広い知識の収拾に努めることと、限られた時間を有効に利用する事を
心がけてほしいと思う。
私達の画期的な企画案は、『テーマ・ダイビング』と称するもので、私達の代が誇るものの一つである。
私を筆頭に他の同輩たちがあたためてきた案である。
それは、今までのクラブ活動が先輩から後輩への技術の伝達だけにとどまっていたのに対して、もっと海を知ろう、もっと積極的に
海に挑戦してみようという意気込みと、2・3年生の潜水意欲高揚をねらったものである。
テーマ・ダイビングを実際に行なうにあたり、3つの班(生物班・海洋班・アドベンチャー班)に分け、それぞれのテーマを追求してもらった。
次に各班長からその報告をしてもらう。
【生物班】
活動の主な目的は、企画にとらわれず、とにかく水中の生物を通して潜水の楽しさを見つけ出す事とした。
第1回
海洋班の作成する海底地図に生物分布を書き込む為に、動物相の調査を行なった。
しかし、地図の作成に失敗した為、目的を達する事ができなかった。
第2回
真鶴付近に生息するカニ類の採集を行なった。企画としては貧弱ではあったが、カニの採集を通して潜水の楽しさを充分味わう事が
できたのが何よりの収穫であった。
第3回
水中での能力低下について実験を行なった。5m・10m・15mと水深を変え、簡単な計算問題を潜水経験年数の異なる3人にやらせた。
陸上と水中での差がはっきりと表われなかったのでうまくいかなかった。これは、課題の選び方が良くなかった為と思われる。
機会があれば、もう一度方法を変えてやってみたいと思う。
全体の活動を通して失敗が多く、形に残るものは得られなかったが、当初の目的は充分に達せられたと思う。
【海洋班】
第1回
真鶴・琴ケ浜の海底地図を作製しようとしたが失敗。原因は机上の計画と実際の作業とのくい違いが大きかったことと、
測量というものと水中作業それ自体に不慣れだったことだ。
第2回
目的は前回と同じだったが、方法を簡単にした。その結果、下書きを作製することができ成功したかに思えた。
ところが、後期には台風のため海底が一変していて前の下書きは全く意味を持たなくなってしまった。
第3回
水中伝言板の設置と、UWNを行なった。今回は完全に成功した。
水中伝言板には部外者のダイバーまで書いてくれていた。
UWNは一・二・三年生全員が全く経験がなかったのだが、地図も予想以上に正確にできたし、ほぼコンパス通りに泳げた。
【アドベンチャー班】
第1回
『水中会話』
色々な水深、距離、道具を用いて会話を試みた。
その結果は透明度がよく静かな海底で手術用手袋に空気を詰めしゃべるのが最良の方法であった。
第2回
『変わった水中呼吸法』
レギュレターを使用せず直接ボンベから空気を吸う潜水を試みた。
危険性を充分考慮し、水深3m以内で実験をした。
その結果、バルブから口を2cm位離し給水機から水を飲む要領で空気の泡を吸うことが可能であった。
第3回
『水中喫煙』
1辺50cmのセル容器を水中に底を上にして設置し、中に空気を溜め喫煙室を作る。
そして小型セル容器に煙草とマッチを入れ、喫煙室に持ち込んだ。
上半身を喫煙室に出し煙草を吸った。結果としては約1名成功! ヤッタゼ!
次回には喫煙室を大きくし、容器の固定をもっとしっかりと迅速に行ないたい。
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