チリ通信 - 11  20050706

皆様、お元気でしょうか。
私は元気です。

チリ北部地震のニュースもテレビに出なくなり、その後つづいていた余震もほとんどなくなりました。
今回の話題は第1回アルツーロプラト日本食大試食会です。

1.目的

そもそもこの大会を思いついたのには深い訳があります。
まず私が勤務しているハッチェリー(種苗生産場)の取水施設を新しく付設する必要があるのですが、
毎度のことで大学に資金が十分にないとのこと。
終了したヒラメプロジェクトで生産したヒラメを500尾ほど継続飼育中であり、その餌代の捻出に四苦八苦していること。
さらには親魚候補としての大型ヒラメ200尾以外は不要であり、ハッチェリーの運営を圧迫している状態となっています。
もうすぐ始まるであろうプロジェクトの運営にはどうしても給水施設の改善は必要で、
一石二鳥の解決案として試食大会を始めることにしました。
すなわち余ったヒラメを使って日本食の食事会を開き、売り上げで建築材料を購入しようとするものです。
もう一鳥としては日本食の講習会や食材としてのヒラメ販売も視野に入れており、相変わらず風呂敷は広がるばかりです。

2.材料と方法

まずはハッチェリーのオペレーターと研修中の学生におもな日本食の作り方を自宅にて伝授しました。
メニューはヒラメのさしみ・酢の物(セヴィッチェ)・吸い物(ソパ)、巻き寿司、焼き鳥、玉子焼き、サラダ、緑茶ゼリー(ポーストレ)、ワインとし、材料は全てローカルにて入手可能な物としました。
寿司飯は米酢がないので甘みのあるリンゴ酢を使い、評判より酢と砂糖は少なめにしました。
紆余曲折はありましたが味もホドホドで、いちおう日本食として恥ずかしくないものができました。
次に大学の教授連へ一斉メールをしてもらい、パー券や材料を書いた御品書きも準備しました。
ちなみにワインは2杯目からは有料で、皮算用がみこまれます。



3.結果

食材調達資金は基本的にパー券を現金と引き換えにすれば問題ないのですが、
知り合い同士でもあり日本と慣習が違いこれは不可能に近い。
実際、食材調達時に現金は3人分しか手元にない常態でした。

蛇足ですがラテンの習慣で、
何事もできない(インポッシーブレ)とはまず言うことはなく、こう言われたら身構えてしまいます。
普通はちょっと難しい(コンプリカード)が同じ意味に当たりそうで、この場合はスッパリ諦めたほうが懸命でしょう。
また明日の(マニャーナ)は次の日だけではなく、明日を含む未来永劫を指すことで、
何時ですか(ケオーラ?)などと日時を区切るか、まめに日参する必要があるでしょう。
などと修士論文を書きに来ているドイツ人と話している、今日この頃です。

当日は学生食堂を借りて各人の担当料理ごとに仕事をはじめ、少し時間に遅れましたがほぼ料理ができました。
というのも肝心のレンジのガスが料理中に切れ、急遽炭に切り替えたためです。
教授連は全ての料理を完璧に食べてくれ、評判も上場でした。
寒さも手伝ってかコンボスティーブレ(燃料=ワイン)のお代わりもまずまずで、みんな満足のようでした。

  

4.問題点と対策

食事は25人分を準備したのになんと10人しか集まらず、結局セメント2袋分しか資金が調達できませんでした。
これはメールで知らせるのが遅かった、食事が8時からで遅い、月末でパー券が購入できなかったなどの意見が聞かれました。
メニューは金額的にはスーパーで売っている巻き寿司モドキに少し上乗せしただけで、十分リーズナブルと思っています。
試行錯誤がまだ必要なようです。
計算では建築資材は200食分に相当するので先はまだ永いし、改善点はまだまだありそうです。

などとプロジェクト準備の合間に、マーケッティングの仕事もしております。

お体大切にお過ごしください。

二川

    

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