チリ通信 - 10 20050616
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
私は元気です。
チリ北部地震の速報6月15日版です。
6月13日夕方6時、大学で学部長・同僚の教授と会議中にいきなり地鳴りと共に立て揺れが始まりました。
以前にも小さな揺れはチョクチョクあったのですが、今回は揺れ初めからこれはチト違うゾという感じでした。
すぐに電気が消え、教授たちは部屋から飛び出して行きました。
私は暗い部屋に一人残り、もっと揺れたら机の下に非難するかなどとぼんやり考えていました。
揺れは30秒ぐらい続き天井から埃がパラパラ落ちてきたので、私も外に走って出ました。
その頃には地震も終わり、外では興奮しながら喋る人たちや、ショックで泣き出しそうな女性が目に付きました。
携帯で自宅に電話する人もいましたが、不通状態になっており、次に彼らがした行動は家族の元に返ることでした。
大学関係者や学生が車に乗り合わせ、風のごとく去っていきました。
大学から市内の海岸通りが良く見えるのですが、車のライトが鈴なりになっており渋滞が始まっていました。
自分の部屋の事も気になりましたが、どうせ家族はいませんし停電で給水や通気が止まっているので、
飼育中の魚の手当てをすることしました。
発電機が動かないので自分の車のバッテリーを使うことにしましたが、
津波が心配なので車は高台に停め、重いバッテリーをウンウン言いながら運びました。
でも、やはり動きません。
結局、自分は発電機の動かし方が良く解っていないのでした(ワタシハコンナモンデス)。
そこでハッチェリーにある酸素ボンベを持ち出し飼育水に通気する準備をしていると、オペレーターたちが帰ってきました。
彼女(オペレーターの頭)は十分にチャージしたバッテリーを持ってきており、一発でジェネレーターを駆け関心した事です。
抜けたパイプを押し込んだりして、魚のほうはまず安心となりました。
発電機の燃料を買った頃には電気は回復し、一安心というところです。
ハッチェリーに帰ってみると、蛍光灯がアチコチ落ちたり棚が落ちたりしていましたが、まずは大きな被害は無しと言うところです。
オペレーターを家に送っていく途中、水道管が破裂したのか市内の道路が水浸しになっていました。
ここイキケはアタカマ砂漠の端っこに位置するため雨は10年に1回しか降らないそうですが、
大雨が降ったようだとオペレーターと笑ったものです。
市内はまだ停電状態で、真っ暗な街角には不安そうにかたまって話している人たちが車のライトに浮かび上がっていました。
自分の16階建てのアパートがまだ建っているのを確認して帰ってみると、
入口にはショックでうずくまっている老婆が家族に介抱されており、上の階はかなり揺れたはずです。
部屋に入ってみると机が真っ二つと思いきや、伸ばして広くできる机が動いて開いているのでした。
買ったばかりのTVは棚の端っこに残っておりまずは一安心。でも、冷蔵庫や食器棚は30cmほど動いていました。
部屋の中心にある大きな柱にはバリッと裂け目が入っており、アチコチの壁が落ちていました。
電気と水道は使える状態で、アフリカの経験では水さえあれば何とか生活できるもので一安心しました。
夜中には日本の家族から電話が入り、無事と伝えておきました。
いつ起きるか分からない地震を心配しても仕方ないので、遅い夕食をとってベッドにつきました。
夜中に余震で目がさめましたがそのままグッスリでした。
翌朝、日課のジョギングをしていると大使館より安否確認の連絡が入り、市内の状況を説明しました。
連絡がなかなか付かなかったようでお手数をかけ申し訳ございませんでした。
師匠筋の第3州(車で10時間南方)にいる人に電話すると、まったく揺れは感じなかったそうです。
学校は休みでハッチェリーの片付けや実験の準備をし、昼食をとりにスーパーの食堂に出かけました。
そうすると道路まで車があふれており何事かと見ると例のアレです。
イキケでは100年ぶりの地震なのでパニック症候群にかかったようで、食料品や生活資材の買出しの列ができていました。
魚類養殖を広めようとしている私にとっては何が一番に売れるのか興味があるので棚を見てみると、
肉の棚はほぼ空っぽでパンと惣菜売り場の前には人だかりができていました。
実際、この日も水や電気が止まっている地区(庶民の住宅地)もあったのですが、
どう見ても中の上の人たちがガッチリ買い込んでいます。
やっぱりチリの人は肉食で、特に緊急の場合はカロリーが高い食物を求めるのは本能でしょうか。
ここでもイレットペーパーが売り切れており、新しい在庫を出すところでした。
結局この地震で儲けたのはスーパーと建築資材屋でしょうか。
3日目の今日、この報告を書いている時も余震がありましたが都市部は平常に戻ってきています。
でもTVによりますと震源地に近い山岳部では家が全壊してかなり被害者が出ているようです。
山岳部は産業がなくとても貧しいので家も鉄筋の入ってない家が多くあり、これも被害大きくした原因だと思います。
友人のコロンビア人はもっと大きな地震が来るともいっていましたが、こればかりはNo body knowsです。
後100年は大きな地震が来ないということにして、作業再開です。
ここは毎月いろんなことが起こり飽きません。
チリ通信10-1 20050618 (10の写真が届く)
チリ速報の写真を送ります。
カルティージョは非常にシンプルな料理なので、自分たちでも作れると思います。
海錬の昼飯に作れば楽しいのですが、海岸でカルティ−ジョを作ると誤解される恐れがあることでしょうか。
面倒くさいことです。
昨日はロコ貝(チリアワビ)の卵を採取し、育卵の実験を始めました。
地元でもロコ貝は人気があるのですが、資源枯渇で採集禁止となっています。
この貝も海洋牧場の対象魚種に入れており、うまく種苗生産ができると良いのですが。
お体大切にお過ごしください。
二川
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