〜幕間 the story of delivery〜




 彼女の名前は朝樺深雪(あさか みゆき)という。
 彼が彼の物語を創るように、彼女も彼女の物語を創っている。
 そして彼の物語はここで一旦幕を閉じる。
 ここから始まるのは彼女の物語。
 ここから始まるのは朝樺深雪という一人の女性の物語。
 彼女の紡ぐ物語は彼女だけのもの。自分の物語を紡いでいる彼が、彼女の物語を知る由など無い。
 それでも進む。時間というベクトルは誰しも変えることなど出来ない。
 変らないものがあるとしたら、それは想い。
 その想いは遥か遠く。
 二年前の高校時代まで遡る。
 そこから、彼女の物語が始まる。



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