■ Notepad[未分類考察] |
当サイトの中でもっともいい加減なページ。形になる前の段階の考察・構想メモです。言うなれば“備忘録”あるいは“チラシの裏”的なページ。
気休めにどうぞ。
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住民の行動監視[ID検知システム] |
ID検知システムの存在
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ミッドガル住民にとっては、既に日常の一部として認識されているようだ。
FF7冒頭、列車内でアバランチのメンバー(ジェシー)がクラウドに語って聞かせる話の中に「ID検知システム」が登場します。また冒頭の壱番魔晄炉、続く五番魔晄炉破壊の際に移動手段として登場する列車内でびたびその存在がプレーヤーに示されます。
以下は壱番魔晄炉爆破から帰還する際のジェシー/五番魔晄炉爆破ミッションへ向かう際のバレットの台詞より抜粋。
- ジェシー
「プレートを支えている大きな柱に螺旋状にレールが通っているの。今は柱のちょうど真ん中のあたりね。
1.各通過ポイントの中にはID検知エリアが設置されてるの。2.乗客すべての身分やなにから全部! 神羅ビルのホストコンピュータと連動してチェックされちゃうわけよ。
ひそひそ…… (私たちはどう見たって不審人物だからニセのIDで通過してるの)」
- バレット
「ジェシーから聞いただろうが上の3.プレートとの境界には検問がある。列車ごとIDスキャンするシステムだ」
それぞれの台詞の中で出てきた事を要約すると……。
人の移動、特にプレート上下間の行き来に関してはかなり厳しい監視体制が敷かれていた事と、列車の乗客(=列車に乗車できるすべての人)にIDが設定されている事が推測できる。
ここで言う「ID」は、恐らく住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)の様なものだと考えて支障はないだろう。携行できるサイズの、現代で言う免許証(住基カードもそうですが)などのような物にチップか何かがついてる様な。それを持った人間が、検知エリア(恐らくはミッドガルのゲートにも設置されてるのではないかと思う)を通過する度に、その行動記録が送られる――仕組みとしてはこんな具合だろうか。
ID検知システムの起こり
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発想としては社員の行動監視に端を発している様な気がする。ちょうど携帯電話普及の一世代前に、ポケベルが流行った事に似た現象だと考えている。
# 元々ポケベルは、社員の定時連絡用に持たせていた物だそうで。
# 広く世間に広まるにつれて、双方向のコミュニケーションツールとして用途変化、発達を遂げた…のかな。
やがてIDは、神羅の社員から、社宅区画(FF7AC公式小説を参照するとプレート上の街)管理用のツールとして、神羅カンパニーに所属する社員以外の人々にも広まりを見せた。FF7本編開始までには、プレート上下を問わずミッドガルのほぼ全ての住民に行き渡ったのではないか?(でなければバレット達の台詞は出てこない)
そこで疑問に感じるのが、“上”の人間の多くは神羅関係者なのでID割り当ても容易だろうとは想像がつくものの、“下”の人々にはどうやってIDを割り当てたのか? 少なくとも“下”の住民はスラムの劣悪な環境や生活苦などの理由から、少なからず神羅に反感を抱いているのは明かだし。逆に神羅側からしてみれば、そんな危険因子である彼らにこそIDは必要だと判断するだろう。
“身分やらなにから全部!”がホストコンピュータに送信され、照合されると言うことは。ミッドガルの住人の全データがID管理(登録)されているという事になるわけで。わざわざ反感を持ってる相手に自分の情報を教えたがる人はいないだろう。登録申請を義務づけられても、彼らが拒むのは自然だ。
しかし五番魔晄炉爆破へ向かう時、「未確認IDを検知」された(=ニセIDだとバレた)為にクラウド一向は列車を降りなければならなかった。スラム街の住民にもID管理下に置かれているのだろう。
# 「スラム街の住民にはIDが付与されていなかった」場合も考えられるんですが……。
# そうなるとID管理制度そのものの意味が薄れると思うので、この線は無いと考えます。
ID検知システム(ID管理)の導入メリット
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神羅のホストコンピュータが関与しているなら、もしかしたらクレジット機能(カード決済)もあったかも知れない、そうすることで住民の携行率を高く(必須)にさせる事が可能である事が1点。それから、どういった物にお金が使われたのかという市場調査も兼ねているという2点のメリットがある。そうなるとミッドガルはキャッシュレス社会だったって事になるが……。
ID検知システム(ID管理)の導入と制約
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神羅カンパニーにとってはメリットだらけだが、住民にとってもそれがメリットになるとは限らない。
スラム街住民ともなれば尚のこと。
では、そんな彼らにID検知システム(登録)を普及させる方法は? そう考えたときに浮かび上がるのが「強制」の手段しかない。
先述した通りミッドガル全体がキャッシュレス社会だとすると、FF7本編で登場した@列車、高速道路などの移動手段を使うための利用料金を設定し、次にAその料金支払いをIDによって決済する。ここで同時に検知が行われて、ID所有者の行動追跡をも可能にしている。
その気になれば、神羅が“危険因子”だと認定したID(者)に対して、移動制約も加えられるって事にもなる…?
……ここまで想像任せの勢いで書いただけですが、考えてみれば息苦しい街だなと思います。
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思考統制[パトリシア] |
思考監視システム『パトリシア』
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DCFF7マルチプレイモード(オンライン版:2006.09.29サービス終了)で明かされる、ディープグラウンド内監視システムの名称との事。以下、抜粋。
- アッシャー
「ディープグラウンドに連れてこられる時、脳幹にチップが埋め込まれる。これが、ディープグランドソルジャーを制約する枷となる」
下線部分から考えても、実装にはかなり厳しい制約があるこのシステム。ふつうに考えればこんなシステムを導入することはほぼ不可能と断言しても支障はないだろう。
しかし、ディープグラウンドは、我々の持つ“ふつう”という概念は通用しない場所である。
正直なところ、オンライン環境が無い当方のような者でも分かるように、インターナショナル版ではこの辺の補完をぜひ希望したいところではありますが……。
そんなわけでマルチプレイモード未プレイではあるものの、『パトリシア』について話を聞く限り設定としては非常に面白いと思います。以下にその根拠(妄想過程)を挙げてみます。
表と裏
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この『パトリシア』というシステムは言うなれば思考監視装置。危険思想の持ち主を早急に発見し、行動を脳(幹)レベルで抑制するという恐るべきシステム。あまりにも常軌を逸したシステム故に、「表」のミッドガルには出せずにディープグラウンド内だけで秘密裏に運用されていた事がDCFF7マルチプレイモード(オンライン版)世界で描かれているのだろうと解釈していますが、一方で「表」となるミッドガルでは行動統制を既に実施しています。それこそがID検知システムです。
FF7(ミッドガル)とDCFF7(ディープグラウンド)の時間軸についてもう少し考察する余地はあるものの、ほぼ時を同じくしてこれらが存在したと考えると、恐ろしい。
実現の可能性は別問題として、この両方のシステムが実装された都市はもはや「人の暮らす街」では無くなるからだ。
ミッドガルという箱庭における神という存在
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しかしそれこそが、神羅カンパニーの目指したものなのではないか? そんな風に無駄に邪推してしまう。
ミッドガルが“都市”である必要も、そこに住む市民が“人”である必要もない。それらは神羅カンパニーにとって“利益を生産する媒体”であれば良い――究極の利益追求の果てに待っているのは、生という概念すらも崩壊しかねない徹底した管理世界。その中で神羅カンパニーは文字通り「神」として君臨することになる。
彼らが求めた「約束の地」、ネオ・ミッドガル計画の全容がこの管理世界の実現だったとは考えたくない。
『パトリシア』は“手段”か? “目的”か?
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ディープグラウンドの存在目的は、「人がどれだけ強くなれるか」を研究する事のみにあった。
その為に必要なのは、力の暴走を抑制する手段。アッシャーの言葉を借りれば「枷」だ。よって『パトリシア』はあくまでも研究を滞りなく進める為の手段に過ぎず、上述のように人間の“思考監視”を行うことが第一の目的ではない。
しかしながら力を持たない研究棟の連中が、力を持った被験体を支配するための手段であった『パトリシア』は、一方で新たな支配体制のモデルともなる可能性を秘めている。ID検知という都市レベルでの行動監視ではなく、パトリシアは個体レベルでの行動監視(果ては思考監視)を実現してくれる。これを実装できればIDシステム以上に安定した支配体制を確立できるのではないか? そう考えても不自然ではないように思える。
あるいは、ディープグラウンドで生産された“兵器”を“操作する”ためのツールとして存在するのが『パトリシア』であり、言ってみれば操作レバーに相当する部品なのではないか? 作り出した最強の兵器を操作し、人々を支配する。
“『インスパイア』が無機物を操作する能力”だとすれば、“『パトリシア』は有機物(生物)を操作するツール”だった――なんて、捻くれた考え方もこの際ありかも知れない。
……プレジデント神羅が望んだ「世界」は、果たしてどのような姿だったのだろうか?
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2つのライフストリームが導く[ネオ・ミッドガル]計画 |
『ネオ・ミッドガル計画』と古代種
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まずはFF7本編中、Disc1神羅ビル70階でプレジデント神羅自らによって語られる「ネオ・ミッドガル計画」について。
「セトラ、すなわち古代種は我らの『約束の地』を教えてくれる。彼女には期待しているのだ」
「約束の地は途方もなく豊かな土地と言われているからな。……土地が豊かだということは――(中略)――そこでは金喰い虫の魔晄炉など必要ないのだ。豊富な魔晄エネルギーが勝手に吹き出してくれる。そこに建設されるネオ・ミッドガル。我が神羅カンパニーのさらなる栄光……」
神羅カンパニーが躍起になってエアリスを探していた理由は『約束の地』を見つけ、巨万の富を手に入れるため。ただしこの『約束の地』が“魔晄エネルギーに満ちあふれた場所”という解釈は神羅のものであり、古代種の指す『約束の地』とは意味合いが違っていた様です。
しかし今回の話で重要なのは“(プレジデントを含めて)神羅が『約束の地』を魔晄エネルギーの豊かな土地だと信じていた”事です。
FF7Disc1重役会議-
プレジデント神羅:- 「7番プレートはこのまま放っておく。そのかわりにネオ・ミッドガル計画を再開する」
リーブ:- 「……では、古代種が?」
プレジデント神羅:- 「約束の地は間もなく我々のものになるだろう」
神羅は、エアリス(古代種)に『約束の地』までの道案内をさせて、自分達がその地に湧き出す資源を独り占めする狙いだった。すべての行動はその目的のためにあり、ミッドガルでさえその通過点に過ぎない(※)という認識だった事がうかがえます。
地中に在る“知の保管庫”としてのライフストリーム
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ところで、神羅が“古代種が約束の地への案内人になる”と信じる根拠はどこにあるのでしょう?
上記と同様にDisc1神羅ビル内でのエアリスの台詞。
『セトラの民、星より生まれ星と語り、星を開く』
『セトラの民、約束の地へ帰る。至上の幸福、星が与えし定めの地』
- 至上の幸福=魔晄エネルギーが豊富な土地
- 星と語り =情報を収集・分析する。
- 星を開く =情報との照合を繰り返し、その場所を割り出す。
古代種が代々口伝して来た言葉を、エアリス自身でさえこの段階では「言葉以上の意味を知らない」のですから、本来は部外者となる神羅が誤解してもおかしくありません。
それどころか、直接的な表現を用いない口伝を一種の“暗号化”と捉え、その文言を成文化しないのは他者の目から隠す“保護”目的だと考えれば、それが示す内容が非常に重要なものだと推測するのは不自然ではありません。
つまり古代種が『約束の地』へ至るためには、まず第一に代々伝えられてきた言葉(情報)が必要だった。
# 現に、黒マテリアや白マテリアは古代種のみが知り得た情報だった。
その上で神羅は、古代種には“約束の地を特定する”特殊能力(特性)を先天的に備えている、と仮定したのだと思われます。この特性も身体的能力に限らず、上述の口伝のように代々受け継がれてきた様々な要素(たとえば風習など、言葉以外の形のもの)の中に隠されている可能性も想定したはずです。
# 古代種が先天的に特殊な身体的能力を有すると言うのは、
# ガスト博士がジェノバを古代種と誤認した点にも因果関係がありそうです。
マテリアが直接的には神羅の軍事力の後ろ盾であっただけでなく、魔法を発動する理屈も『マテリアの中に閉じこめられた古代種の知識』という解釈がなされている事から、ライフストリームはエネルギー資源という以上に、知的資源という側面からも神羅に「さらなる栄光」をもたらすと考えられていたのでしょう。
言ってみればライフストリームは地下に埋まった膨大な知的資源であり、古代種はその知的資源を引き出す術(=星読み)を持っている存在。神羅が欲していたのは、彼らの持つ“術”だった。
地上に作られた“知の保管庫”ネットワーク
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FF7本編中でも既に登場しているコンピュータと、それらを繋ぐネットワーク技術によって、ライフストリームと古代種の関係性を置き換えてみることもできそうだ。
ディープグラウンドがFF7本編と並行して存在していたと考えれば、神羅はコンピュータのデータ同士を結ぶネットワーク技術を“人工的なライフストリーム”に見立て、厖大な量の情報を管理するだけではなく、その中を“人が直に捜索する”技術を開発する目的でSNDの研究を行っていたのではないか? という仮説だ。
SND研究を機械ではなく人に対して行った理由は、端末内にデータとして存在する“記録”ではなく、人の中に“記憶として存在する情報”を取り出し、機械と互換性のある“記録”に変換するため。こうすることで、多くの研究者がその情報を共有し解析する事ができる。端的に言えば古代種が行った「星読み」を人工的に再現したのが「SND」だった、という事になる。
また、安易ではあるが古代種が口を割らなかった場合の最終手段としてSNDを用いようとしていた可能性も否定はできない。むしろこちらの方が実用的かも知れない。
あるいは古代種自身でさえ自覚していない情報を、長期間に及ぶ観察を経ず短期間で入手するのにSNDは適していると評価され、ディープグラウンドで秘密裏に研究が進められたとすれば、あれだけの規模の地下施設が存在していたと言うのもある程度の納得がいく。
※:[ネオ・ミッドガル]計画とリーブ
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下線について、あくまでも仮説。
上記の会話からすると、リーブも『ネオ・ミッドガル計画』の存在を知り、現行のミッドガルがその通過点に過ぎないという認識はある様です。
プレート支柱爆破直前の遣り取りでは、プレジデントに対して意見したリーブの姿からも、彼がミッドガルに対して一方ならぬ思い入れがあった事がうかがえたが、『ネオ・ミッドガル計画』のためにミッドガルを放棄(=復旧工事をしないと判断)する事には抵抗を示していない。
この場面からは、プレジデントに「金食い虫」と評される魔晄炉と(各地の事故の件も含めて)、それを基盤としたミッドガルが内包している脆弱性をリーブ自身も理解している事を示唆している。
あくまでもリーブが固執したのはミッドガルという都市そのものではなく、そこに暮らす人々(=「土を持ち込んだ」自分の親も含まれている)の満足や安全だった。その為に、現状より良いものであれば積極的に取り組むという姿勢の現れとして見る事もできる。
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[占い]の能力とその信憑性 |
占いマシーン
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FF7Disc1でゴールドソーサーを訪れたクラウド達と接触する際の口実として使われているのが“占い”だった。また曰く「失せ物、失せ人なんでもございや!」と豪語するほどの精度を誇り、その自負からか、やたら図々しい態度で強制的にクラウド達の旅に同行する事になった。
この自称“占いマシーン”ケット・シーを操作しているのは、都市開発部門のリーブである。図々しくも堂々とスパイをやってのける彼らの背景には、魔晄炉爆破テロと七番街プレート支柱爆破という2つの大きな惨劇がある。この段階で“占い”は、あくまでも接触手段でしかなく、占いの結果が当たるか否かは懸念すべき事項ではなかった。
占う対象とその精度
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FF7、BCFF7の両作品で登場するこの特技について、どれほどの精度があったのかを検証してみる。
- 自分の身に近い将来起こる出来事
- 「用とは一体なんですか? その内容まではさすがに占えなかったもので」(BCFF7第20章)
この場面で用いられる“占い”は、カムフラージュと捉える方が自然なのかも知れない。
描かれている場面では、ヴェルドの指示を受けたタークスがリーブに接触しようとしている。この時タークスはプレジデント神羅の意向に背く行動を選択し、リーブは(事件の全貌を知らないまでも)積極的に彼らの手助けをする形でプレジデントの意向に反した行動を取っている。
またヴェルドはタークスだけでなく、リーブにも(タークスを援護するよう)指示をしたとも考えられるが、その場合“占い”は完全にカムフラージュとなる。
- 未来
- 「エアリスさんの星と クラウドさんの星!すてきな未来が約束されてます!」(FF7Disc1古代種の神殿)
黒マテリアを手に入れる為に神殿内に残る事を申し出たケット・シーを、クラウド達が見送る場面での遣り取り。
ちなみにエアリスは「ふたりの相性」をリクエストしている(後述)が、ケット・シーは彼らの“未来”にまで言及している。ちょっと余計なお世話なのかも知れないが、「司会・仲人・スパイ」の役を買って出るなど、ケット・シーなりの可愛らしい気遣いが伺える。
しかし残念ながらこの占いは完全にハズレることになった。
- 失せ物、失せ人など
- 「探している(特殊な)マテリアのありかを部長に聞くように、ある人物に指示されました」(BCFF7第20章)
BCFF7では『サポートマテリア』と呼ばれる特殊なマテリアを探すために、ケット・シーの占いによって示されたゴンガガの魔晄炉(稼動停止中)へと向かう事になる。
解説によると『マテリア』は、魔晄エネルギーが高濃度に凝縮された結晶体とされていることから、魔晄エネルギーを吸い上げる魔晄炉内には頻繁に発生したものと思われる。
またFF7ゲーム中の描写(Disc1:魔晄料金の調整と差益分配。Disc2:魔晄炉の出力調整)から、魔晄炉の管理は都市開発部門の管轄だったと推測される。
そこで都市開発責任者だったリーブが、ミッドガルをはじめ各地の魔晄炉の稼働状況についてのデータを握っていたとしても不自然はないだろう。
ケット・シーの占いが“データを元にした誘導”だとすれば、ヴェルドがリーブにサポートマテリアの所在をタークスに教える様、事前に根回しをしていた可能性も考えられる。(こうして考えると上記1の行動とも辻褄が合う)
直接関係はないものの追記として、「部長に」と指示されているのに、「ボクの出番や!」とケット・シーが名乗りを上げるところが深読みしたくなるポイントだ。
- 「求めれば必ず会えます。しかし最も大切なものを失います」(FF7Disc1ゴールドソーサー)
セフィロスを追ってゴールドソーサーを訪れたクラウド達にとって、この意味深な言葉に強く興味を引かれるのは無理からぬ話だった。一方のケット・シーはこの占いの結果を口実に、同行を申し出る。また、申し出の意図は承諾ではなく認知であるから、一方的だったのではないかと。
そして結果的にこの占いは、忘らるる都で実現してしまう。
彼らが「求める」のはセフィロス。そして引き替えに失った「大切なもの」はエアリスだった。
……もう1つ別の解釈があるとすれば。
ケット・シーはリーブの遠隔操作で動いているから、クラウド達がセフィロスを追って移動している事はリーブも把握していると思われる。同時に、古代種の神殿の鍵となるキーストーンを神羅に渡すという役を担っている彼は、クラウド達にとっても重要なキーストーンを奪う立場にあった。
つまり、彼らが「求める」セフィロス(の居場所が古代種の神殿)まで導き、引き替えにクラウド達が失うのは「キーストーン(古代種の神殿への鍵)」――近い将来、自分が起こす行動への伏線として語っていた、という可能性もあるだろう。(古代種の神殿を目指す彼らにとって“もっとも大切なもの”はキーストーン。そこで“求める”セフィロスに会えた。という解釈)
- 相性
- 「ええかんじですよ。おふたりの相性、ぴったりですわ!」(FF7Disc1古代種の神殿)
コンピレーション作品群を含めて、恐らく相性占いはこの場面が唯一。
正直なところ占いの真偽は分からない。
ただ、少なくとも(神殿に残るケット・シーを見送るという場面で、別れる相手に言葉を向けるのが)「苦手だ」と語るクラウドや、そこに同意を示したケット・シーの雰囲気を緩和させるために、相性占いをリクエストしたのはエアリスの気遣いなのだと受け取っている。
続く遣り取りでは、クラウドとの「“相性”占い」をリクエストしたエアリスの心理と、結果を語る事でティファが落ち込むのではないかと案ずるケット・シーの気遣いが描かれている。
みんなが互いに気を遣いあっている――そんな微笑ましい光景を、ケット・シー1号機への手向けとしているのが印象的。
こうして占いと結果を並べてみると、まさに“当たるも八卦当たらぬも八卦”ならぬ“当たるも〜ケット・シー当たらぬも〜ケット・シー”だ。
これらのことから確認できるのは、彼らのしている事はあくまでも“占い”であって“予言”ではないという事実である。……恥ずかしながら当方は、ケット・シーの能力を“占い”ではなく“予言”と勘違いしている節があった。
“占い”は確たる根拠を持った“推測”表現
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作中に登場した占いと、その結果を並べてみた上記の流れを汲んでの考察。
それは、ケット・シー(操作者リーブ)にとって“占い”とは特殊能力ではなく、推測表現なのではないか? という事。
占いの結果として語られる言葉は、その背景と照らし合わせて考えてみると、すべて根拠があって語られている事のように思えてならない。
推測は事実ではない。しかしながら現時点までの経緯・背景を踏まえた上で、次に起こりうる事実を見越した発言――それを、「占い」というオブラートに包んで相手に伝える為の、1つの方法だったのかも知れない。
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世界再生機構の変遷[W.R.O.] |
復旧を優先とした創設初期
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ミッドガルを中心に甚大な被害をもたらした『メテオ災害』から約1年後(FF7AC)には、すでにその組織ができあがっている世界再生機構(WRO)。高速道路に設置された「立入り禁止」の立て看板からも推測できるとおり、この当時は交通網の整備など都市機能の“復旧”が主たる活動だった事が伺える。
FF7ACから2年後のDCFF7で描かれる『カームの復興祭』を見る限り、この頃までには各地の復旧活動はおおかた完了したという事になりそうだ。
このことから、創設〜DCFF7前までを、ひとまず『WRO創設初期』とする。
治安維持活動への転換と軍備拡張
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しかしDCFF7(メテオ災害から約3年後)の時点で同機構の活動理念は「星に害をなすあらゆるものと戦う」となっている。また、武器を携えて各地に展開する隊員達の姿からも、その存在が創設初期とは異なりつつある事が伺える。
つまり、この頃からWROの活動は各地の復旧(復興)事業ではなく、治安維持活動に重きを置くようになっていった、と考えても不自然ではないだろう。
また小説On the Way to a Smileデンゼル編(DCFF7から1年後が舞台)では、「WROは今や軍隊」とリーブ自身の口から語られるほど明確な軍拡路線をとっていた。それが局長自身の意思(本意か否かに関わらず、認識したうえ)での方針だった事は間違いない。
ここまでは、ゲーム中と小説に描かれる内容からの推測。
以下は言葉尻の問題になりますが。
“WRO”の正式名称に使用される単語の違い
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実は気になっていたのが、日本版と海外版の「WRO」の正式名称に使用されている単語が違っているという点。日本語版ではWorld Restoration Organization。海外版ではWorld Regenesis Organizationとなっている。
※注:
言い回し(単語)の変更はWROだけに限らず、
エンシェントマテリア→Protomateria
センシティブ・ネット・ダイブ→Synaptic Net Dive
など、いくつか存在する。おそらく英語圏で使われる単語のニュアンスが日本版で示す意味とは異なってくるor単純に語感など、理由はあると思いますが、当方には語学力が無いのでこの辺はサッパリ分かりません。
- Restoration
━━ n. 回復 ((to)); 復旧, 復古; 復位; 復原(した物); 修復工事[作業]; 返還; 【コンピュータ】消去復元; 【英史】(the R-) (Charles IIの)王政復古 ((1660-88)).
- Regenesis (=regenerate?)
━━ v. 再生[改心,更生]させる[する]; 刷新する; 【生物】(器官を)再生する.
━━ [-r?t] a. 改心[更生]した, 刷新された.
どちらにしても「再生」という意味はあるようなんですが、英和辞書で見るとニュアンスが若干違う様に感じます。どちらかというと前者(Restoration)だと復旧、後者(Regenesis≒regenerate)だと復興の意味合いを強く感じます。
- ふっきゅう ふくきう 0 【復旧】
(名)スル
前の状態にもどすこと。こわれた物や乱れたものがもとの状態にもどること。
- ふっこう ふく― 0 【復興】
(名)スル
一度衰えたものが、再び盛んになること。また、盛んにすること。
……まさか、「re + genesis」なんて事は……ない……ですよね?
Restoration=“復旧”/Regenesis=“復興”が示唆するもの
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復旧(=以前の状態に戻すこと)を言えば、結局のところ神羅の支配体制体制に戻ることを示唆しているのではないか? とも読めてしまいます。WROへの資金提供者が「神羅の再建」を考えているのだとしたら、提供者に対して体裁を繕ったと考えることも可能ですが、DCFF7第7章のリーブの言葉を聞くに、それが真意ではないように思えます。
対して、一度衰えたものを再興するには従前と全く同じ方法では効果がありません。“衰えた”原因を“改善”し、システム自体を刷新しなければ復興はなし得ないからです。魔晄から石油へのエネルギー転換などの背景を考えても、世界は“復旧”ではなく“復興”の道を模索しているのは明らかです。
また、「星に害をなすあらゆるものと戦う」というWROの概念は、星に害を成した魔晄文明の否定であり、脱却を計る事を表しているのではないでしょうか?
こうして(英語分からないなりにも)意味合いから考えると、RestorationよりもRegenesisの方が適切なのではないかな? ……という結論に達する訳ですが、実際の所はどうなのか分かりません。海外版プレイした方の見解をぜひ伺ってみたいです。
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危機の飽和と能力のインフレ |
攻撃力のインフレ現象とクリアの難易度
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FF7をプレイされた方でしたら多少の差はあれ“能力(攻撃力・与ダメージ)のインフレ現象”を感じる場面があったのではないかと思います。
# 余談ですがこれはFF7に限った話ではなく、
# FF6の方が顕著かも知れません。
俗に言う『やり込みプレイ』ができるほど器用な性格でもなく、且つゲームが得意という訳でもない当方のような初心者にとって、それは「クリアを楽にする」という救済措置とも言えるので、今回の文章はその現象自体を否定する意図ではないことを予め断っておきます。
コンピレーション作品が生み出す『魅力』と『違和感』
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攻撃力のインフレと同様に、FF7コンピレーション作品が登場するにつれて浮かび上がってきた違和感の一つに『危機の飽和』が挙げられます。
もともとが一作完結だった「FF7」に、後から世界やキャラクターの設定を加えていった為に矛盾が生じるのは仕方がありません。そんな中でもDCFF7などはかなり上手くFF7の設定を活かした後付になっていましたし、制作者側もオリジナルから大きく逸脱した設定などは作っていないように見受けられます。もちろん後付である以上『違和感』となる要因はゼロではありませんが、当方のような脳内妄想がやたら発達した者にとってはそれほど大した問題にはなりません。(むしろそれを楽しんでしまう節もあります)
その一方で、FF7コンピレーション作品(2007.03.27時点で発売済みのFF7AC、BCFF7、DCFF7…)は、その名が示すとおり各キャラクターの魅力を描き出し、時にはFF7の世界観をより深く掘り下げてくれているのも事実です。ゲーム開発会社の売上げや販売戦略という“大人の事情”を抜きにしても、好きな作品に関連した余話が見られるというのは、ファンにとっては嬉しいものです。
ところがどうしても、『危機の飽和』に関してはどんな考察をしたところで違和感を拭えないのです。
危機の飽和
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具体的に言えば
- BCFF7:ジルコニアエイド
- FF7 :ジェノバ
- FF7 :ライフストリーム枯渇問題(厳密には人為的要素)
- FF7 :ウェポン
- FF7 :黒マテリア(参照[スキル:黒マテリア])
- FF7AC:星痕症候群(厳密にはジェノバに関連)
- DCFF7:オメガ
すべて「FF7」で描かれている三大危機(ジェノバ・ウェポン・ライフストリーム)から派生した問題として、各コンピレーション作品でその危機が描かれているのですが、それにしてもこれはちょっと無理がある気がします。
# 主観だけで関連付けをするなら……。
# 1,4,7,(5)が同一要素(ウェポン=星の自衛手段)
# 2,3,6が同一要素(ライフストリームとジェノバ)
発端となるFF7は、古代種唯一の末裔エアリスと『黒(白)マテリア』を巡り『ジェノバ』と『人間』の星を巡る戦いが中心にあり、その周りにウェポン、神羅を中心とした情勢、各キャラクターの思惑(憎悪・成長etc)が描かれる構成になっています。この時点で既に「詰め込みすぎ」という感は否めませんが、それは彼らが必死だからです。むしろ彼らが直面するのが“未曾有の危機”(=一作完結として作った)だから、逆に真実味があって良かったと当方などは思います。
# 発売当時(1997年)の時流や制作者側の事情は分かりませんが、
# スーパーファミコンから一躍進化したプラットフォームでの開発……
# という事を考えると、制作者側も必死だったのだろうとは想像に難くありません。
# その意味で言えば、制作者側と生み出された世界のキャラクターが同様に
# 「必死」だったからこそ、あれだけの勢いと魅力を兼ね備えたゲームになった
# ……そんな風に思えてきます。
発売から10年の時を経た今、こうして関連作品が登場することでオリジナルでは描ききれなかったキャラクターやFF7世界の魅力が増す反面、作品と同じ数だけ発生する“惑星規模の危機”が訪れるという事態に陥りました。
FF7は一作完結だったからこそ“未曾有の危機”に立ち向かう者達の生き様を魅力的に描き出していたにもかかわらず、コンピレーション作品ではその重要な部分をぼやけさせてしまう、言ってみればFF7で星自体が抱える危機が飽和してしまった為に、それぞれの危機の大きさ・重さ・重要性が薄れてしまっている様に感じる面があるのです。
特にこの視点は、リーブを中心にFF7を見ようとする観点に立つと、とても深刻な現象のように感じるのです。
# 少なくともリーブは、BCFF7/FF7/DCFF7で物語の中心となる“危機”に
# ある程度の距離を保ちながら、なおかつ生存中に関わりを持っているため
# であると思われます。
RPGの限界?
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……つまりリーブが立場的に非常にオイシイ役回りである事は間違いありません。
しかしながらFF7(コンピレーション作品)が土台をRPGとしている以上、この“危機の飽和”という問題はつきまとうのかも知れません。
当方の知る限り、RPGの基本概念は『力をもって力を制す』という点においてどの作品も共通しています。
勇者だろうが魔王だろうが、すべては“力”が問題解決のカギであり、ほとんどの場合“戦闘”によって事態が進展していきます。
だからこそ、主人公達の直面する問題の大きさに比例して彼らの得る力も強く・能力も高くなり、戦闘における与(被)ダメージのインフレと、危機の飽和が起きるのです。
コレを解決するには、もう別ジャンルでFF7コンピレーション作品を展開するしかありません!
……そ、そんなわけでFF7版都市開発シミュレーションを……出…してやくれまいか。
# (ミッドガル)都市開発を通じて直面する地価高騰と開発費の問題とか、
# 対ウータイ戦争の長期化に伴う物価高騰とか治安悪化とか、
# 魔晄炉増設に比例して発生する災害とか、反魔晄(=アバランチ?)台頭とか
特にリーブは「戦うのが苦手」(DCFF7第1章:カーム)で、しかもどんな危機的状況においても力での決着を望みませんでした(DCFF7第4章:WRO本部地下)。そんなリーブだからこそ、戦闘以外の方法で問題を解決していくという新たな方向性を示せるのではないかと考えた訳です。
さんざん屁理屈並べておいて、主張したいのはそれだったのかというご指摘はごもっともです、はい。
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他者との距離を測る材料 |
敬称の有無
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見知らぬ者同士が知り合った時、よほど特殊な環境下でなければ最初は“よそ行き”の態度を取るだろう。しかし交流を図る中で互いにうち解けてくると、会話中の言葉遣いや相手の呼称なども徐々にくだけた表現へと変化していくものである。
そこで今回は、リーブから見た周囲の人々との“距離”を計る手がかりの1つとして「呼称」に注目してみた。ここで言う呼称とは「敬称の有無」になるが、思いつく限りざっと書き出してみた。
- 「クラウドさんらしいですけどね」(リーブ@FF7AC)
- 「もしもし〜クラウドさん」(ケット・シー@FF7Disc1古代種の神殿)
- 「ティファさんに悪いわ」
「エアリスさんの星と クラウドさんの星!すてきな未来が約束されてます」(ケット・シー@FF7Disc1古代種の神殿)
- 「これ、秘密情報ですけどな ルーファウスさんも間もなく到着しまっせ」(FF7Disc1@ガイアの絶壁)
- 「ティファさんに看病してもらえるなら、――」(ケット・シー@FF7Disc2ミディール)
- 「バレットさん!! 何ですか、今の『ポリポリ』ってのは!」(ケット・シー@FF7Disc2飛空艇)
- 「ほな、シェルクはん、お願いします」(ケット・シー@DCFF7飛空艇)
- 「気にせんといて下さい、ヴェルドさんとは古い付き合いやさかい」(ケット・シー@BCFF7第20章)
- 「プレジデント! 本当にやるのですか?!」(FF7Disc1@神羅本社ビル)
- 「ハイデッカー達が何か考えてるに違いまへんわ」(ケット・シー@FF7Disc2飛空艇)
- 「ルーファウスはあれでセフィロスを倒すつもりなんですわ」(ケット・シー@FF7Disc2飛空艇)
- 「宝条!」(リーブ@FF7Disc2神羅ビル※)
- 「クラウド達が来てくれるそうや 邪魔しないでくれよ!」
「おい! 待て!! クラウド、みんな、すまん……でも!!」(リーブ/ケット・シー@FF7Disc2ミッドガル)
- 「ヴィンセント・ヴァレンタイン」(リーブ@DCFF7)
検証1:旅路を共にした仲間達
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代表的(というか一連の流れの中で目立つもの)を列記したところ、基本的にリーブは相手を敬称で呼ぶ事が多いのが見て取れる。(1〜8)
特に仲間内であっても「さん」付なのが印象的。
それはスパイ活動をしていた事への後ろめたさなのか、旅に参加しているのが“本体”でない故の心理的距離の現れなのか。理由はどうあれ「さん」付が“リーブ”と仲間達の距離(誤解を恐れずに言えば「埋めることのできない隔たり」の存在)を表しているように感じられる。
そんな中で唯一、クラウドを呼び捨てにしたのがウェポン接近時の救援要請。この場面自体、ケット・シーとリーブの言葉遣いの混同や、交互に描かれる遠隔地の描写などで緊迫感を演出しており印象深い場面のひとつだ。
さらに神羅ビル内で兵士に囲まれながらも「クラウド、みんな! すまん……でも!!」と訴えるリーブから、ケット・シーが後を引き継いで飛空艇内で呼びかける場面は、両者の物理的な距離だけではなく、危機の中で信頼した相手を“頼り”返答を“委ねる”という心理面での距離を縮めた事の現れである様にも感じられる。
これを、(ケット・シーではなく)リーブがはじめて『仲間』となった瞬間だと読めば、より一層印象深いシーンになる。
検証2:神羅カンパニー内
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一方でハイデッカー、スカーレット(Disc2報道員扮装時を除く)、宝条(ただし場面は緊急時)ら神羅カンパニー所属の社員に対しては敬称無しで呼び捨てにしている。(9〜12)
また「プレジデント」については、それ自体が既に名前なのか敬称(役職名)なのか判断がつかないため断定は出来ないものの、恐らく役職名と捉えて問題はないだろう。
# 「プレジデント神羅」は、もしかしたら代々の襲名かも知れない。
# どちらにせよ役職名自体が敬称にあたるので「プレジデント」という呼称に落ち着く。
ヴィンセントについても、元神羅製作所総務部調査課の構成員であった経歴を考えればこのカテゴリに入る。(14)
- フルネームでの呼び捨て
これは余談になるが、だからといってDCFF7第1章でわざわざフルネームで呼ぶ必要性は無かったような気がする。
待ち合わせの建物(カーム)はDGに占拠されており、最初の呼びかけには安否確認の意味合いも含まれていたと思われるが、そうなると尚更、手短に済ませた方がいい。ここが初対面であるというのなら話は別だが、直後のヴィンセントの台詞「今日はふつうの格好」から推察するに彼らが初対面とは考えづらい。というわけで、ヴィンセントをフルネームで呼ぶ必要性がまったく思い当たらない。
ここに無理矢理にでも理由を付けるとするなら、“再会の喜びから思わずフルネームを口走った”とでもしておくしかない。……無理がある気はするが。
“相手をフルネームで呼び捨てにする”行為について、当方はあまり良い見解を持っていない。それはDCFF7第1章/第4章でそれぞれシェルクが実践しているとおり、“個体認証”としての“名前(フルネーム)”であり、そこに感情的なものは介在していない場合に該当するからだ。
以上、余談。
これらの点から考えて、リーブは自社の人間(神羅関係者)のみ呼び捨てなのではないかなと。
一般的に自分の所属する組織を(弊社と言った具合に)謙った表現をする慣習があり、社外に対しては社員名(発言者よりも目上か目下かは関係なく)も通常は敬称を使わないで表現する。FF7で言えば、「ルーファウス副社長が」ではなく「副社長のルーファウスが」となる。リーブが自社の人間を呼び捨てにする根拠は、この慣習にある。
# この辺はいかにもサラリーマン気質を感じるので、敢えてこう解釈しておきたい。
しかし例外的にヴェルド(元タークス主任)については呼び捨てにせず敬称(さん)が付けられている。(8)
これは、発言がヴェルド離脱後と言う時期を踏まえると、彼を“社外”扱いとした為だとも考えられる。
- 死亡退職と依願退職
この話はあくまでも憶測でしかないが、ヴェルドとは違いヴィンセントは依願退職扱いにはならないだろう。事実、宝条とルクレツィアの実験によって心身に変調をきたし、通常の業務遂行が不可能と判断されたと解釈できる(殉職にあたるかは不明)。FF7神羅屋敷でヴィンセントと遭遇した当初「神羅とは関係ない」と本人は口にしているが、「本人の意思によって退社」した訳ではないのでヴィンセントは神羅関係者扱いとしている。
どちらにせよ通常の方法ではタークスを抜けられない、という掟には変わりない。
検証3:感情の揺らぎと敬称
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6、12、13はFF7のゲーム中、特にリーブの感情が大きく揺れ動く場面であるにも関わらずすべてが敬称ナシという訳ではない点に注目したい。
やはり特筆すべきは6(バレットさん付)だろう。
仲間達の集う飛空艇内で、反神羅組織アバランチのリーダーとして魔晄炉爆破テロを企図したバレットの行為(=身内であるマリンのみを気に懸ける)を糾弾する場面である。
この場面と前後してリーブが(交渉のための人質にするべく)エルミナとマリンに接触していると仮定すれば、マリンの身を案じるバレットの“親心”を理解できなかった訳ではないと推測され[詳細は別項を設けます]、マリンの安否を第一に考えたバレットの人間性までもを否定する意図ではなかったという見方もできる。しかしその後に続く痛烈なテロ批判を聞けば、リーブの心中が決して穏やかでなかったことも容易に察しがつく。
もちろん、七番街の一件に言及されれば立場は逆転する。それも念頭に置いた上での発言だったとしても、ケンカを売る相手にさん付けというのは微妙に違和感が残る。
感情よりも優先するもの
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「親しき仲にも礼儀あり」――その一言で表現するのは大雑把すぎるのかも知れないが、上記の流れでリーブという人物像を見ているとどうも“感情”面ではなく“礼節”に重きを置いて行動している様に見える。これは社会人としてとても重要な要素であり、そつなくこなすリーブは器用である。あるいは長年の勤続生活で染みついた習慣は、(両親伝来の訛を捨てた事と同じく)もはやリーブの個性の一部となった、と言っても良い。
しかしそれは時として「他人行儀」という印象を他者に与え、そうすることによってリーブは常にある程度の距離を保ちながら周囲の人々と接している。と言うように解釈してしまえる。
『英雄』さえも職責に
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相手との間合いを常に維持しながら接する――『ジェノバ戦役の英雄』となったリーブはWRO〈世界再生機構〉を立ち上げ、自らも運営に携わった。組織の維持と拡大のために各自の能力を的確に把握し、集う人材を適材適所に配置(あるいは依頼)する為には、ビジネスライクなものの見方・考え方で振る舞い続けなければならない。
裏返せばそれは、神羅カンパニーが破綻した後も『都市開発部門統括』としての仕事(事後処理)を全うしようとするリーブの決意の現れであり、彼は『英雄』という賛辞さえも職責にしてしまう責任感の強さを持った人物なのではないだろうか。
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FF6に見るリーブ的キャラクター |
今後(時期は未定ですが)「character」の項目でFF7世界をベースにした真面目な考察を記載する予定です。
しかしながらここでは本気で無根拠に好き勝手言ってますので、その点あしからずご了承下さい。
尚、このサイトの管理者はFF6に関しては好きを通り越して変態の域なんじゃないかと思うぐらい、FF6が好きですので、これまで以上に変な思考プロセスになってる可能性が大きいです。
「FF7世界で生きるリーブ」という観点での考察以外は目にしたくないという方は、読まない方が賢明です。
FF6的リーブ:1[エドガー]
- まず挙げるならFF6のエドガーがキャラクターとしては一番近いかな? と思います。共通点というか似ているなと感じる要素は以下の通り。
- 公人と私人の二面性
- ちょっと“変な人”
- 住民を救うという熱意
しかしながらエドガーの場合、彼を彼たらしめる「女好き」という最大にして最重要の要素があるため、リーブに似てるという観点は否定される事になる訳ですが。
それでも以下に根拠…というよりも苦しい言い訳を並べてみることにします。
- 公人と私人の二面性
エドガーの台詞一人称で「私」と「俺」の使い分けがある事。
リーブの場合は一人称ではなく「言い回し」として表れる。(参照:FF7Disc2魔晄キャノン対宝条戦前の救援要請)
- ちょっと“変な人”
エドガーはサマサで初対面のリルムに「変な人」呼ばわりされている。
リーブは本社ビルでスカーレットに「変な人」呼ばわりされている。
# 実際には「変なしゃべり方」と指摘されてる。
「世界中のレディを口説くのは礼儀」だと言い切る国王エドガーと、自分の操作するネコ型ロボットに愛情を注ぐ都市開発責任者リーブは、同じとは言わないけど限りなく“変な人”というカテゴリにおいて近い存在なのではないかと。
- 住民を救うという熱意
FF6世界崩壊後における、フィガロ城と城内の国民救出がエドガーの行動理念だった。
FF7メテオ接近時における、ウェポン襲来(後のメテオ飛来)からミッドガル市民を守ろうのがリーブの行動理念だった。
彼らのふたりにとって「国民・住民尊重」という価値観が、この項目を書いた最大の根拠です。それが公人(国王・都市開発責任者)としての義務だけではなく、彼らの行動を決定する第一優先事項になっているという点に惚れたわけです。
# 単に筆者の好きなキャラクターについて語ってるだけと言えなくもない。
しかしFF6にはエドガー以上にリーブに近いなと感じたキャラクターがいます。
そして残念なことに、そのキャラクターには(ゲーム中で見る限り)名前がありません。
FF6的リーブ:2[サウスフィガロの少年]
- 「100回壊されても、101回作り直せばいい!」
崩壊後の世界で、もっとも前向きに生きた人間の一人として描かれています。恐らく彼は、FF6主要パーティーメンバー14名よりもポジティブな思考の持ち主であり、魔導という力に頼らない世界再生を目指した救世主なのだと思っています。結果的には魔導という力の傀儡に成り下がったケフカを討ち滅ぼした14人の英雄は、しかしながらケフカと同じ魔導の力でもって相手を制したというだけに過ぎず、一歩間違えば魔大戦の再来となった訳です。(そこに歯止めをかけたという点が、彼ら14名を英雄とする所以ですが)
しかし武力に頼らない方法を見出した彼[サウスフィガロの名も無き少年]は、その意味で“本当の英雄”だったのではないか? 三闘神の生み出した魔導の呪縛から脱却するためのカギは彼の言葉・考え方にある。そう思いました。
# 余談ですが。
# FF6の制限プレイで[魔法使用不可]にすると、この問題を見事にクリアできる…
# と思ったのですが、実際(検証はPS版)は魔法以上に各個人の特技の方が強力。
# その点から考えると、FF6世界では魔大戦終結から1000年の時を経て人々は既に
# “魔法以上の力”を勝ち得ていて、それを手に魔導(三闘神)から脱却する物語
# ――っていう描写なんだなと。(冒頭の『魔大戦…』の句がまさにコレ)
……何が言いたいのかというと、リーブのアプローチの仕方ってこの[サウスフィガロの名も無き少年]に近い物があるような気がするんです。個人的には彼のキャラクターをFF6から引き継ぎFF7で形にしたのがリーブだと思っています。
破壊には屈しないという意志と、物を生み出す(作り出す)という強さ。手にする物は、破壊を目的とした武器ではなくて。物を作り生み出すための道具。
そんな彼の精神は、とても尊い物なんじゃないかなと思うわけです。
# 100%主観だけを根拠に好き勝手述べてきましたが、わりと真面目に考えてます。
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[REBOOT] |