後書き : ALERT - 去り行く人の背中

 ちょっと長めの“後書き”です。「ラストダンジョン」を書くにあたって色々妄想考察した事を無秩序につづっています。もしも興味を持たれました方はどうぞ。
 但し性質上、一部ほんのちょっとだけネタバレがあるかも知れませんので、出来ましたら本編を読んだ後で目を通してくださいますと有り難く思います。

 

■マリンの背景と、彼女の物語
 
 デンゼル編がいわゆる“大人の理屈”に対する疑問や反抗の心理だとすれば。マリン編は“大人を心配する子ども”の視点。しかしながら、どちらがどうとハッキリ言えないのは書き手の技量の無さなのか、リーブに対する贔屓目の結果なのか。

 疑問のすぐ隣にある不安(=心配)、その裏にある反抗心。
 それらは常に隣り合った感情なのかも知れません。


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ラストダンジョン
┣━━ALERT(マリン編)     ←今回のお話
┃    ┣ALERT(デンゼル編)
┃    ┗ALERT(使途不明金)
┣エッジ:帰りを待つ子ども達
┣本部戦1:集結
┣━情報戦1:接続
┣本部戦2:パーティー分割
┣本部戦3:B7F-1対峙
┣本部戦4:B7F-2再会と訣別
┣本部戦5:1Fエントランス
┣独白[一部完結]
(以下略)
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■FF7ACのエンディング

 実は発売後1年経って(指摘を受けて)初めて気付いたんですが。
 FF7ACのエンディングで、マリンがケット・シーを抱っこしてるんですよね。
 ↓こんな風に。

FF7ACエンディング五番街教会

 しかも父ちゃんと手ぇ繋いでるんですね! 可愛い、可愛すぎるマリン(+ケット・シー+バレット。/!?)
 しかもこれ、ずっと抱っこしてるんですよ。
# 絵的にマリン以外が抱っこしてたら違和感あるってだけの話ですが。
# そんな夢のない話はいいんですよ。夢は否定されるためではなく見るためにあります。

 ちなみに、エンディングスタッフロール後の記念写真でも。

FF7ACエンディング集合写真

 抱っこしてるんですねー。
 そしてこれ、通称「心霊写真」と言われてて笑いました。きっとこれを撮影した人は念写の特殊アビリティがあったんだと思います。
# 感動の場面をネタにするな。


 ALERTマリン編は、この2枚の画像のちょうど間ぐらいで起きた(と、捏造した)出来事がテーマです。


 心霊写真……思念体……もとい、エアリスやザックスが写真に登場するというのに、何故リーブはこの時も登場しないのか。
 FF7本編でも「本体で来ようかと……」の件から、仲間達と行動を共にしていても、常に一定の距離を保っている様な印象があるリーブ。
# 実際問題、本体で来られても戦力外だとは思うけれども。

 (リーブ視点として見た時)これを“伏線”と捉えずになんとする。


■マリンにとっての父親

 彼女は元々コレル村の出身です。父・ダイン、母・エレノアの間に生まれた一人娘。今「父親」と呼んでいるバレットは、ダインの親友です。
# FF10のジェクトとアーロンでも思いますが、父の親友の子を育てるって
# このネタはけっこう多い…?
 FF7本編開始から4年前、コレル村の魔晄炉で起きた事故を隠蔽する目的でスカーレット率いる神羅軍によって村を焼き払われ、その中で生き残った幼子がマリンでした。
 バレットは親友ダインの忘れ形見を引き取り、自分の元で育てながら反神羅テロ活動に身を投じていました。
 FF7本編コレルプリズンでダインと再会を果たした際、「もう4歳か」と感嘆するダインの言葉から察するに、マリンの記憶の中には本当の父親の姿、どころか“概念”すら皆無だろうと思います。
 つまり、マリンにとってはバレットが唯一の父親なのです。


■マリンにとっての母親

 問題となるのがこの点。マリンの実母エレノアも、バレットの妻ミーナも4年前に死亡しています。
 バレットは、マリンに母親のことをどう説明しているのでしょうか?
 まず、間違いなくバレットは父親のことをマリンに打ち明けているとは考えられません。根拠は、@そもそもマリンにはバレット以外を「本当の父親」とする“記憶”、“概念”が存在しない。Aバレットが真相を打ち明けるにしても、そうまでして伝えなければならない理由が存在しない。B展開的にその方が面白い。(すみません…)
 そうなると当然ですが、母親(実母エレノア)のことも打ち明ける事はないと考えられます。
 もちろん、バレットが反神羅のテロ活動に身を投じる理由として、自らの故郷(コレル)を神羅によって焼き払われた事。その際に、母親も死亡したことを話して聞かせている可能性は大きく、むしろ「母親は神羅に殺された」と語って聞かせているのは自然だと考えられます。
# 実母エレノアは神羅によって死に追いやられたというのは事実。

 だからこそマリンは、いつも家にいない父親の事を自然な物として受け入れられるんじゃないでしょうか?


■ティファの存在

 バレットと共にミッドガル七番街で暮らすマリンの面倒を見ていたのがティファです。バレットとティファがどういう経緯で知り合ったのかは分かりませんが、FF7ゲーム中、マリンはティファに懐いてる様子からも、ふたりの間にはある程度の信頼関係ができているはずです。
 マリンにとってティファは、文字通り年上のお姉さん的な存在だったのでしょう。
# FF7本編OP後、アジト帰還直後の描写から。
 だけど、“お姉さん”であって決して“お母さん”の代役ではない気がします。


■エアリスの存在

 FF7のED、メテオ落下目前で発動した白魔法ホーリー。それでも防ぎきれずにライフストリームが動き出す直前、マリンは“エアリスの遺志(意思)”を感じ窓を開くという描写があります。
 2年後の世界を描いたFF7ACでは、大いなる福音の発動直前に、やはり同じようにして“エアリスの遺志(意思)”を感じている場面があります。
 FF7ACで仲間達全員が付けている“エアリスのリボン”を、マリンだけは亡きエアリスと同じように髪を結うために身につけています。それだけ、マリンにとって大きな影響を及ぼしたのがエアリスだという描写だと受け取りました。
 ただこれ、他(FF7AC参照)と違うのは、マリンにとってエアリスが「母性」ではない事ですかね。やっぱり「おねえちゃん」って呼んでるし。


■エルミナの存在

 エアリス育ての母です。七番街から逃げる途中、ツォンに発見され追われながらも自宅まで連れ帰った後、彼女がマリンの面倒を見ます。
 さらに、七番街のプレート落下から辛くも逃れマリンを追って駆けつけたバレットには「父親として娘の傍にいてやるべきだ!」と叱る場面もあります。ここが彼女を象徴する一番の場面だなと思いました。
 彼女は数年前、エアリスを引き取ってから夫と死別(戦死)している経緯があります。彼女には実の子どもはいないようです。(ゲーム中の描写からは確認できませんでした)
 それでも、“子を持つ母親”の気持ち、なにより“夫を待つ妻”の気持ちを説きながらも、戦いに身を投じるバレットの「どうして良いか分からない」という気持ちにも同意してあげているのです。なんと包容力のある女性でしょうか。
 エルミナ夫妻に実子があったかどうかは分かりませんが、彼女はFF7の中でも「母性」を示す重要な位置にいた人物のひとりだと思えてなりません。

 また、ここから先はこじつけですが。
 ミッドガル七番街で生まれたデンゼルにとって、五番街のルヴィさん。
 ミッドガル七番街スラムから来たマリンにとって、五番街スラムのエルミナさん。
 それぞれが、彼らの行く先に少なからず影響を与えていたという経緯は、ちょっと面白いかなと思ったりもするのです。


■五番街

 FF7の後半ぐらいで、教会でお花の世話をしてあげている子どもはマリン……だったかな?
 当時4歳のマリンにとって七番街スラムから出たのは、きっとエアリスに連れられて街を離れたのが最初ぐらいだったんじゃないかな? と思います。父親がテロリストですから、スラム街でもふつうの生活はしてないような気がするんですよね。バレットにとって最大の弱点になるから、滅多なことでは外に出せない、という事情が一番大きいんじゃないかなと。
# セブンスヘブンは外に出なくても外からの情報収集にうってつけだと思います。

 初めて自分を外へ連れ出してくれた存在がエアリスであり、訪れたのがエアリスの家。
 しかもミッドガル(スラム)では育たないはずの花が咲いていたのは、五番街教会とエアリスの家だけでした。
 そう言った意味で考えると、「教会」と「エアリスの家」は、マリンにとって特別な思い入れがある場所なのではないでしょうか?


■エルミナとマリン、そしてリーブ

 キーストーン強奪の際、人質にされた2人。ケット・シーが通信機の向こうにいるマリンの声をクラウド達に聞かせる場面は初プレイの時ちょっと腹立たしく感じたものです。
 しかしながら、ケット・シーを遠隔操作しているのがリーブである以上、現地に(リアルタイムでなかったとしても)リーブ本人が出向いて2人と対面しているという可能性は無くもないと思います。
# この辺はSS[罪状認否]で書いてみました。

 一連の流れをまとめると、以下のように事態は進行しています。

 エアリスと一緒に避難する最中にツォンに見つかり
   ↓
 マリンはエルミナ(エアリス育ての母)さんに預けられエアリスは神羅ビルへ連行
 # この一連の様子を4歳のマリンは理解度は別として見ている。
   ↓
 古代種の神殿への鍵となるキーストーン強奪(ケット・シー@ゴールドソーサー)
   ↓
 「人質なんてヒレツなやり方は嫌だけど」(リーブ@伍番街)
 # この一連の様子も4歳のマリンは全部見ているわけで。
   ↓
 ミッドガルからカームへ移動。(時期不明。でもエンディングはカーム)
   ↓
 エアリスの死亡をリーブから聞かされる。

 こうしてFF7の進行に準じて考えると、(エルミナと)マリンと、リーブって結構接点があるんですよね。その辺のお話を書いてみたつもり。(あくまで「つもり」)

[REBOOT]