緑内障   更新日 24.4.1  1.009
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・原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、緑内障性視神経症、高眼圧症、ステロイド緑内障、血管新生緑内障、甲状腺眼症、網膜色素変性症や網膜黄斑変性症等の他疾患に伴う合併症としての緑内障、Posner-Schlossman症候群やぶどう膜炎後などの続発性緑内障、前視野緑内障(視野障害は無いが視神経乳頭等に異常がある状態) 

現代医学での概要と当院の針治療
千秋針灸院で行う測定法・治療法について
当院での治療効果の実際
患者さんからよくある質問
日常生活での注意点
院長からひとこと

○緑内障について、詳しいデータや解説のページ ←緑内障を詳しく知りたい場合はこちらへ

・統計症例報告 「鍼施術により、MDスロープに変化がみられた緑内障性視野障害について」
 【第36回 「眼科と東洋医学」研究会 平成31年3月10日(日) 台東区民会館

・統計症例報告 「鍼施術による緑内障性視野障害へのアプローチ」 
 【第34回「眼科と東洋医学」研究会一般口演 平成29年3月12日 台東区区民会館】

・千秋針灸院の統計症例報告 「緑内障への鍼治療」 平成22年10月21日 Web症例報告

・静的視野検査(ハンフリー)で長期的な視野(MD値)の改善がみられる
第36回「眼科と東洋医学」研究会より

・令和6年6月開催の日本東洋医学会学術総会では、眼科での静的視野検査結果で判明した5〜10年を超える長期経過症例を複数例提示して、適切な針治療により緑内障性視野障害を一定度改善したり、進行を抑制する可能性を報告させていただく予定です。

現代医学での概要と当院の針治療


○針治療だけでの治療ではなく、眼圧を下げる点眼薬等との併用が原則です。
(正常眼圧・高眼圧に関わらず、重要なポイントになります。針治療単独はお勧めできません。)


・緑内障とは高眼圧などにより眼底の視神経乳頭部での変化や、中心性もしくは水平性に視野の欠損が起こる病気です。進行性のため適切に治療されなければ失明する可能性もあります。緑内障は原発緑内障(開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障)、続発緑内障、発達緑内障、小児の続発緑内障に分けられます。正常眼圧緑内障を含めた、広い意味での原発開放緑内障が最も多くの方で発症しています。

・眼圧が高い症例では眼圧を十分に下げることにより、視神経障害の進行を止めたり遅らせることができますが、近年多くの発症が確認されている正常眼圧緑内障では、循環をはじめ眼圧以外の原因もあると考えられています。また日本人は40歳以上で20人に1人が緑内障であり、正常眼圧緑内障が約7割に上ります。適切な医学的アプローチを行った場合に緑内障の初期から、中心視野が障害され失明に至るまでの期間は平均40年程という報告があり、慢性に進行していく病気です。

・緑内障性視神経症とは眼球内の視神経乳頭付近だけでなく、脳の視床領域にある外側膝状体から、視皮質(視覚野)に至る視路・中枢まで徐々に変性を起こす疾患です。このため眼圧を低下させる等で末梢(眼球付近)での進行が停止しても、視神経中枢の障害が進行すれば眼圧をいくら下げても視野障害は進行することが分かっています。点眼薬や手術で眼圧を下げても徐々に進行するのは、視神経中枢障害の進行が抑制できていないこと意味しますが、現時点で眼科での有効な治療法はありません。

・現在の眼科医学では、緑内障により失われた視野は回復しないとされます。しかし続発性開放隅角緑内障の一つに、Posner-Schlossman症候群という病気があります。この緑内障は虹彩炎などの炎症疾患の後、眼圧が上昇(20〜80mmHg)して起こるものですが、薬物治療に対する対する反応(眼圧低下)は良好で、永続する視神経障害は無く、視野欠損は解消することも多い疾患です。治癒後は急な発作(眼圧上昇)に注意する必要はありますが、薬物治療(点眼)を続ける必要はありません。なお健康な若い方では一般に、50mmHgで5日間、35mmHgで7日間が視神経障害を残さない限界と言われています。

・Posner-Schlossman症候群の病態からは、眼圧が上昇して視神経を圧迫し視野欠損が生じても、比較的短期間であれば回復しているという事実が分かります。また中毒性視神経症などでは、完全な障害を受けていない視神経は3ヶ月程で回復する可能性があります。つまり視神経が眼圧上昇による持続的な圧迫を受けても、圧迫された部位の視神経は直ぐに死滅するわけではなく、機能不全を伴いながら徐々に弱り、最終的に死滅していくものと考えられます。緑内障では、視野欠損部位がそのまま視神経の死滅ではなく、機能不全部位+完全障害(視神経死滅)部位と捉えるのが自然です。

・現在、緑内障は従来の眼圧に加え、眼周囲の循環も含めた要因が関係した疾患との考えが眼科医学の主流となり、針治療を試みることで眼の周囲を含めた循環は改善し、また薬物(点眼)の効果を強めることから眼圧に対しても良好な状態が得られ易くなります。この結果、緑内障の進行を抑えるばかりでなく、個人差はあるものの明確な視野の改善が得られる症例もあり、当院でも多くの症例を集積しつつあります。針治療は薬や手術による副作用や合併症のリスクも無く、緑内障治療の選択肢の一つとなる可能性を秘めています。


・現在眼科での主な治療は点眼と手術(レーザーを含む)ですが、急性に起こる閉塞隅角緑内障については、速やかに病医院での治療を受ける必要があり、治療法に選択の余地はありません。その他の、主に正常眼圧緑内障を含む広義の原発開放緑内障、続発性緑内障などについてが、針治療の対象となります。緑内障における大きな問題は、視野等の僅かな異常が発見された時点で、既に神経節細胞の約半数が障害を受けており、障害を受けた神経節細胞は点眼薬を中心とした治療では回復が期待できないことにあります。できるだけ早期に発見し、視神経の障害が軽度な間に適切な針治療を行うことで、進行を抑えることが大切です。

・当院の針治療では、眼圧を下げる点眼薬との併用を原則とし、眼周囲の循環改善を目指し、眼痛や頭痛といった緑内障に関わる症状の改善や、点眼薬と併せて眼圧降下の作用を強めることを目標にしています。その結果、通常の点眼薬のみの治療では見られないような、一定度までの視野の改善や眼圧降下が得られるケースがあります。また中心視野まで障害が進み、0.1未満へと視力が低下したケースでも、視力の維持だけでなく若干の向上を含めた視力の改善も期待できます。

・緑内障の病態とは、正常・高眼圧に限らず、主に視神経乳頭部位で血液循環が障害され、障害の程度によって徐々に視野を失っていく病気といえます。緑内障の病態に関係の深いのは眼圧なのですが、点眼薬によって眼圧を下げつつ、当院では針治療を併用し、特に局所(目周囲)の血流改善を目的に治療に取り組んでおり、実際の臨床結果から以下のような推測を立てています。

緑内障については疾患の進行により、視神経乳頭部位で
@既に完全に障害された部分(完全障害部位) ←完全な障害により回復可能性は無い部分です。
A障害が現在進行中の部分(不完全障害部位) ←機能障害の部位は針治療による循環や眼圧低下により、回復する可能性があると考えられます。
B障害を受けていない部分(健全部位) ←より健全になり視力等の改善に役立つと考えられます。
が、個人差はあるものの、同時に存在していると考えられます。

・針治療により頭頚部や眼周囲の血流を改善し、視神経乳頭部位から眼底部位への血流にも影響を及ぼすことで、視細胞や視神経が活性化して、視力や視野に関しては主にA、Bの部位の状態が改善しているものと考えられます。実際の臨床例として、治療の継続により視力については向上し、視野に関しては一定度までの改善後、安定する症例が多く、この時期から針治療の目的を状態の維持へと切り替えていきます。


・実際の臨床的な成果においては、特に緑内障の初期〜中期では一定度の視野が回復し易いことが分かっています。しかし中期以降では緑内障の病態が脳の視路や視皮質までに及ぶことから、針治療を行っていても進行を抑制する程度に留まるケースが多くなります。当院では緑内障中期以降の視神経障害の進行が止まらない症例を含めて、従来の眼球での眼圧降下や血液循環の改善だけでなく、視覚中枢を含めた視神経領域全体への針治療を開発し様々な試みをしています。時間は掛かりますが、今後の報告にご期待下さい。

・緑内障での視野障害は、現代医学的に回復不能とされる疾患です。病医院での視野検査自体が誤差の多い検査法ですので、眼科医に有効性を認めていただき難い問題はありますが、最近では症例数が増加し、当院での視力や視野測定が可能となっているため、当院での結果が良好な症例では、眼科でのハンフリー視野検査の結果から、眼科医にも改善を認めていただけることも増えてきました。

・統計症例報告 「鍼施術により、MDスロープに変化がみられた緑内障性視野障害について」
 【第36回 「眼科と東洋医学」研究会 平成31年3月10日(日) 台東区民会館】
・眼科では数回以上の視野検査から長期的な視野(MD値)の変化を捉えて、緑内障性視野障害の進行速度(MDスロープ)を参考に治療計画を立てます。MD値は時間の経過と共に低下し、通常MDスロープは水平もしくは右肩下がりで緩やかに進行して、回復に向かうことはありません。しかし適切な鍼治療を行うことにより、MD値の低下抑制に留まらず半数程度で改善したことを、17名29眼の視野検査から明らかにした史上初の報告です。

・統計症例報告 「鍼施術による緑内障性視野障害へのアプローチ」 

 【第34回「眼科と東洋医学」研究会一般口演 平成29年3月12日 台東区区民会館】

・千秋針灸院で治療を受けられ、眼科での静的視野計の複数回の結果から、一定度までの視野の改善が確実であることを、眼科医の先生方の前で統計として報告させていただきました。また長期間鍼治療を続けられた1症例については、視野障害の程度を数値で表すMD値がプラスへと変化することで、視野障害については治癒として差し支えないことも報告できました。緑内障性視野障害の治癒は難しいのですが、当院では初期の患者さんでは他にも症例があり、医師の指示で点眼薬は不要となったケースもあります。

中医学での捉え方

・緑内障は青風内症に相当する。進行すると青盲に変わり、失明に至る。
先天の禀賦不足、肝腎の不足、肝鬱気滞、脾の運化失調等から目が栄養されないために起こる。
・補益肝腎、健脾舒肝、活血通絡の治療を主とする。

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千秋針灸院で行う測定法・治療法について


・千秋針灸院では緑内障性視野障害について、眼科での視野検査結果のMD値等からトレンド解析を行い、中長期の視野の状態を客観的に評価しています。この結果、針治療を開始してからは進行が抑制されたり、半数程度の患者さんでは改善さえ見られることが分かっています。ただし緑内障に関しては、眼科医学の常識として視野の改善には頭ごなしに否定的なため、眼科では客観的な診断をいただけない場合があります。視野検査結果が不明な場合には、当院では可能な限り正確で客観的に測定できる方法を取り入れています。

詳しくは千秋針灸院で行う測定・評価法で解説しています。

・緑内障では、明確な視野欠損が生じている状況では、既に50%以上の神経節細胞が失われるため、より早期に発見するために感度低下を検出するハンフリー(Humphrey)視野計が、主に使用されています。黄斑部以外で25%(黄斑部では50%)の神経節細胞の消失で検出可能ですが、千秋針灸院では早期の感度低下を発見するために、鈴木式アイチェックチャートの二種類の簡易視野計を併用し、様々なパターンの緑内障の状況を、患者さんの実際の見え方から把握しています。特にblue on yellow(青錐体系反応)チャートでは、見え方を記録することで部位毎の感度が把握でき、針治療による変化や様々な状況までを記録に残すことができます。

・当院の視野測定は明室で行える上、年齢を始めとした反応条件に左右されない特徴があります。初回の治療後に鈴木式アイチェックチャートで確認していただくと、半数程の患者さんで治療直後から若干の改善が自覚できます。(数名の医師や医療関係者の患者さんにも、針治療直後の改善を確認していただきました)


千秋針灸院での治療法について

○当初は週2回(3ヶ月程)、その後は状態維持を目的とした治療(週1回以下)へ移行します。
(緑内障性視野障害が軽症の場合には、最初から週1回以下をお勧めする場合があります)


○前視野緑内障(視野異常無し)の方は隔週1回〜月1回程度で、緑内障への進行抑制を目指します。
(隔週1回から始めて眼圧や視野異常、その他の状況や症状に問題が無ければ月1回の鍼治療です。)


○従来の中医針灸治療を見直し、眼窩内への刺針を行わない安全な独自の治療法に改良しました。
(眼科疾患に特化した新しい針治療法を開発し、特に治療開始初期から効果が得られています。)

○眼圧を下げても進行する、緑内障中期以降の視神経中枢障害に対しての治療も取り入れています。
(現在の眼科治療では困難な、脳の視皮質・視覚野への刺激が期待できる針治療を行っています)
(現時点での緑内障中後期への針治療の効果は、視神経中枢障害では進行抑制が中心です)

・患者さん毎の証(体質)や症状の重さにより若干変わりますが、後頚部、背部、下腿、目の周囲の経穴に対して針をします。緑内障では、症状の重さや障害の程度によって、治療回数や間隔は変わります。症状の改善、視力や視野が上昇し、可能な限り最大の視力・視野に到達するまでは週2回程度(概ね3ヶ月程)、その後は症状や視力・視野等が維持できる治療間隔として週1回〜数週1回程度へ目標を切り替えていきます。

・眼窩内への刺針は出血の恐れが高いため、当院では用いません。当院の針治療は、眼窩内への刺針を行わなくても後述のように充分な効果を確認しています。

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当院での治療効果の実際


○眼科検査の長期結果を検討すると視野障害の進行は概ね抑制され、半数程は改善がみられます。
(静的視野計のMD値の長期経過=MDスロープは半数程で改善したことを公式に報告しています。)
(針治療は眼圧に関わらず有効ですが、MDスロープの改善は眼圧15mmHg以下で多い傾向です。)


○緑内障に関わる諸症状(頭痛、目の奥の痛み等)は、早期に改善しています。
○残念ながら緑内障性視野障害は、一般に眼科医療機関では針治療の効果を認めていません。
(当院は可能なら眼科視野検査の写しを基に、長期経過を正しく検討して客観的に評価します。)


・緑内障については開放隅角緑内障(高眼圧)、正常眼圧緑内障について視力の向上や視野の拡大、眼圧低下(開放隅角緑内障)を確認しています。視力については比較的早期に上昇する傾向があります。眼圧は高眼圧の場合には境界域である20oHg以下になり、目の奥の痛みや頭痛などの症状は軽減、消失することが多いです。視野に関しても回復は早く(当院測定)、軽症例では1ヶ月程、通常3ヶ月程までに視野の拡大を確認できる症例が多いです。初回の治療直後から、見易さを自覚される患者さんも少なくありません。

・一方で重症例では眼科での精密な視野検査をいただき、ようやく幾分かの向上が確認できる程度に留まる症例もあります。長期に渡る病歴や、視野狭窄の進んだ症例ほど、視野回復は難しい傾向がはっきりしており、回復には個人差があります。幸い軽度な状態で緑内障の診断を受けた場合には、早めに針治療との併用も検討されることをお薦めします。


当院症例報告

・当院での鈴木式アイチェックチャートによる平面視野計法に基づく評価
無印・○印は正常、△+印は軽微な感度低下、△印は中程度の感度低下、△−印は高度な感度低下、×印は欠損


開放隅角緑内障(POAG)の症例

治療開始前
初期マリオット盲点拡大、耳側下方に視野欠損が有り
1ヶ月後
マリオット盲点は正常、耳側下方の視野は改善
2ヵ月後
耳側下方の視野は軽微な感度低下のみとなる

・約10ヶ月前に眼圧25により開放隅角緑内障と診断され、比較的軽度の視野欠損を伴う症例です。点眼により眼圧は20前後になっていましたが、視野欠損の改善・維持を目的に当院に来院されました。2ヶ月間ほどで軽微な感度低下を残して視野欠損は解消され、視力も0.8→1.2、眼圧も17〜18と改善しました。眼科での視野検査でも視野欠損は解消しており、点眼薬は中止、経過観察のみとなりました。(画像は右眼)

正常眼圧緑内障(NTG)の症例

治療開始前
マリオット盲点拡大、耳側下方に視野欠損有り
3ヶ月後
マリオット盲点拡大を残すのみとなった

・半年前に眼科で正常眼圧緑内障(眼圧14〜15)との診断を受けた、比較的軽度な視野欠損を伴う症例です。3ヶ月間程で耳側下方の視野欠損は解消し、マリオット盲点の拡大のみが残っています。視力は1.2→1.2。3ヶ月程適切な治療を続けられた患者さんの場合、結果として残った視野欠損の改善は難しいため、3ヶ月以降は治療間隔を週一回〜隔週一回と空けて、視機能の維持を目標とした治療に切り替えていきます。

・緑内障に伴う視野欠損は、現代医学では回復の可能性は無いとされ、当院での針治療の有効性を医師に認めていただき難い問題はありますが、詳細な視野検査表の写し等をいただける場合には、データから治療の有効性を確認することが可能です。また当院でも視力や鈴木式アイチェックチャートを使用した視野測定を行っており、治療効果を客観的に捉える工夫をしています。

・千秋針灸院内でのみ閲覧していただける、眼科での静的視野検査の症例集や、当院から眼科の研究会・学会等で報告させていただいたスライド等(眼科での視野検査結果のため、HPでは非公開)を用意しています。全て患者さんから閲覧許可をいただいた検査結果になります。こうした症例集や資料・統計症例報告を見ていただければ、適切な針治療が視野障害の一定度の改善や進行抑制に繋がる事を理解していただけると思います。

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患者さんからよくある質問

Q.針治療で眼圧は下がりますか? 

A.全般に下がる傾向ですが、特に高眼圧の場合には下がり易くなります。
・目周囲を含めた血流を改善し、眼科で処方される点眼薬の吸収を高めることから、眼圧は全般に下がる傾向があります。数回の針治療で20を超えていた眼圧が10未満に低下して手術を回避できたり、点眼薬を続けても下がらなかった眼圧が針治療により初めて下がった症例もありました。但し眼圧は体の状態や季節など様々な要因が関わるため確実ではありません。例え眼圧自体に変化が見られなかったとしても、緑内障性視野障害の改善や進行抑制が最も大切です。針治療を受けられる場合には眼科での視野検査を第一に考え、可能であれば視野検査の結果を手元に置いておくことをお勧めします。


Q.針治療を行うことで、緑内障が治るのですか? 少なくとも進行を抑えることは可能でしょうか?

A.緑内障の診断基準は、視神経乳頭、視野の特徴的変化の少なくとも一つを有すること(日本緑内障学会)とされています。緑内障への針治療の効果は、特に視野内の感度低下に対して大きく改善される場合があり、初期緑内障の場合では視野異常が解消された症例が幾例もあります。また視野欠損に対しても、部分的に感度が改善される症例は少なくありません。視野に関しては、当院で比較的詳細な変化が把握できるため、個人差はあるものの、明確な改善が得られる症例があります。


・また眼科での点眼薬等に当院の針治療を併用することで、眼圧は下がり易くなる傾向があり、部分的な視野欠損や感度 低下の改善に加えて、長期的には緑内障の進行を抑えることに繋がると考えられます。なお2019年、2017年、2010年には、当院における針治療への緑内障について統計的な症例報告を行いました。

○統計症例報告・・・ 「鍼施術により、MDスロープに変化がみられた緑内障性視野障害について」

 
【第36回 「眼科と東洋医学」研究会一般口演 平成31年3月10日(日) 台東区民会館】

○統計症例報告・・・「鍼施術による緑内障性視野障害へのアプローチ」 
 【第34回 「眼科と東洋医学」研究会一般口演 平成29年3月12日 台東区区民会館】


○統計症例報告・・・緑内障への針治療 (2010年)

・針治療以外にも大切なこととして、患者さん自身で行うことのできる対策は幾つもあります。偶然の外傷を除いた多くの病気は自然に生じるものではなく、必ず発症した原因や進行する理由が複数有ります。当院では患者さんの目の状況を眼科医学の面から把握していきますが、同時に発症や進行する要因にも踏み込むことで、単に鍼治療の効果だけでなく、可能な範囲で病気に繋がる環境を変えていくことを大切にしています。失明に繋がる緑内障も視野障害が進行しなければ怖い病気ではありません。私自身の持病であるクローン病との関係同様、必要以上に医療任せにすることなく、病気と向き合えるようアドバイスさせていただきます。

Q.針治療により、視野や視神経乳頭の状態、視神経の厚みは回復しますか?

A.当院は眼科での視野検査の結果から適切に鍼治療を行うことで、MD値をはじめとした視野については、一定度まで回復する可能性があることを眼科医の先生方の研究会で報告しています。一方でOCT(光干渉断層計)による視神経乳頭の陥凹状態や、視神経の厚みの回復については現在まで確実な改善は確認できません。鍼治療により視野が拡大する理由は、残存する視神経の機能が高まったり、弱っていた視神経が機能を取り戻すためであると考えられます。

・視神経の機能が高まることは、視神経自体の健全性が高まるという意味でもあります。当院では鍼治療を適切に行っている場合には、OCT上でも視神経の厚みが長期間維持されるなど、新しい証拠を掴みつつあります。視神経の厚みが維持されることの意味は、長期的に緑内障の進行を抑えることに繋がるものです。最新の眼科検査から鍼治療を検討することで、今後更に新しい知見が明らかになると思いますので、ご期待下さい。

Q.正常眼圧緑内障と診断され点眼薬を使用していますが、眼圧は下がらず進行も止まりません。

A.正常眼圧緑内障は、そもそも眼圧は正常範囲ですので、点眼薬で眼圧を下げる余地はあまりありません。眼圧が概ね15
mmHg以下に抑えられている場合には、視神経の保護や循環改善に重点を置くべきと考えます。必要以上の点眼薬は防腐剤による副作用に始まり、眼や全身の健康状態に悪影響を及ぼす場合があります。針治療は循環改善に役立ち、一部のサプリメント等は視神経の保護に役立つ場合があることが分かっています。眼圧を低下させても視野障害の進行が抑えられない場合、針治療や栄養療法、日常生活の見直しも取り入れ、総合的に緑内障に立ち向かう必要があります。

・なお高眼圧、正常眼圧に関わらず、眼科の点眼薬と針治療の併用では、眼圧は更に下がる傾向があります。点眼薬だけではコントロールができなかった症例が、針治療を始めたところ、容易にコントロールできるようになる場合もあります。ただし既に10mmHg近くまで低下している場合には、更なる眼圧降下は期待できません。特に正常眼圧緑内障の場合には、眼圧の数値にのみ囚われるのではなく、血圧も含めた血液循環や栄養状態にも注意を向けてみて下さい。

・当院で正常眼圧緑内障の患者さんから、問診により普段の血圧を伺ったところ、半数程の患者さんで最高血圧が100前後以下の低血圧症であることが分りました。低血圧は、緑内障の発症・進行要因になることは、眼科学の常識ですが、なぜか眼科では血圧測定は行われず、専ら眼圧の下降に専念される傾向です。既に眼圧で12mmHg前後までにコントロールできている場合には、それ以上の投薬や手術は意味が薄れるだけでなく、副作用や合併症のリスクが高くなります。更に長期間の使用により血圧を低下させるβ遮断薬が処方されて、眼圧は少し下がったものの、低血圧症が生じている患者さんもありました。

Q.針治療をはじめましたが、眼圧が不安定で急に高くなったりします。

A.不安定で急な眼圧上昇の多くは、隅角の閉塞や眼や全身の薬剤が原因となります。点眼薬の使用が適切ではなかったり、眼科受診時の散瞳薬の影響による場合(半日〜数日)もあります。他にもステロイドや安定剤等、眼以外の医薬品にも影響されます。眼圧を上昇させる可能性のある医薬品は非常に幅広く存在しますが、眼科以外の専門医は副作用としての眼圧上昇はあまり問題視しない傾向です。眼圧を含めた眼の状態が不安定になる原因の一つとして、医薬品も疑う必要があります。

・鍼治療では眼窩内への深刺を行った場合、前眼部への炎症に関わる可能性があるため、眼窩内への鍼治療は避けた方が良いと思われます。緑内障は前眼部も関わる病気ですので、眼の周囲での強刺激はリスク要因になり得ます。当院から提携治療院へは注意喚起を行っていますが、一部の治療院では現在でも、リスクを伴う眼窩内等への鍼治療が続けられている場合もあり、注意が必要です。

Q.緑内障への針治療は、どこの治療院でも受けることができますか?

A.緑内障の治療を掲げている治療院は少なくありませんが、緑内障の評価に欠かせない、視野や視力の測定を行う治療院はほとんどありません。治療院で測定や評価が行われていない場合、残念ながら針治療の結果自体に根拠が乏しいと思われます。当院の治療法は、測定・評価を繰り返しながら改良を重ねた治療法であり、当院以外の提携治療院での治療を受けられる患者さんには、必ず治療内容(カルテの写し)や測定結果の記録用紙をお渡ししています。

・遠方の理由などで当院以外での治療を希望される場合には、基本的に提携治療院をお勧めしていますが、患者さんの希望により国内全ての針灸治療院に、提携治療院と同様な対応が可能です。但し希望される治療院が、眼科医学を基本とした安全な鍼治療に取り組んでいただけるかどうか、結果を出せる実力があるかどうかは分かりません。緑内障は眼科領域の他の疾患に比較して、治療方法や治療家の実力により、治療結果に差が付きやすい傾向があることも分かっています。遠方の患者さんは、できましたら実績のある提携治療院での治療をお勧めします。

Q.漢方薬との併用は可能ですか? 一般の漢方薬局や漢方を取り入れた病院などで相談できますか?

A.全身の体質から変えていく漢方薬と、目に対し直接効果を発揮しやすい針治療は相性が良いです。鍼灸と漢方は共に東洋医学であり、どちらにも共通する「証」という体の状態を表す観念があります。このため「証」に基づいた治療であれば、鍼灸・漢方の併用は相乗効果を発揮できます。当院では眼科領域という専門性の高い分野で正しく漢方薬を併用していただくために、眼科専門医が漢方治療を行う医療機関を推奨します。また当院が参加・各種報告をしている、「眼科と東洋医学」研究会に出席されている眼科医療機関などがお近くにありましたら、来院時にご説明いたします。

Q.正常眼圧緑内障で、眼圧を下げるため手術を勧められています。鍼治療で眼圧は下がりますか?

A.眼科での点眼薬に加え、鍼治療を併用することで眼圧が明確に下がるケースは半数程度ですが、正常眼圧緑内障については眼圧自体が正常範囲ですので、眼圧が低い方ほど鍼治療を行っても下がり難い傾向が有ります。一般に眼科では緑内障は眼圧降下だけが唯一の治療法と考え、眼圧が日本人の平均値で正常範囲の15未満であっても点眼薬や手術で眼圧を下げるよう試み、患者さんも眼圧の数値に囚われてしまう傾向があります。しかし眼圧は病的に高いケースは別にすると、血圧と同じく季節や日内変動など体の生理機能によって、適切にコントロールされている数値です。また正常眼圧緑内障では、眼圧の数値だけで緑内障が進行する訳ではありません。

点眼薬や鍼治療については、不適切な場合には中止することが可能ですが、手術についてはどのような結果であれ、元に戻すことができません。特に観血的手術(メスを入れる)は、正常眼圧緑内障ではリスクが大きいため避ける事をお勧めします。やむを得ず手術を行う場合には、@レーザー線維柱帯形成術(ただし眼圧降下作用は弱く、経年で減弱する)、もしくはA経毛様体光凝固術(マイクロパルスと呼ばれ、2017年認可も実施できる眼科は限られる)に絞るべきと考えます。正常眼圧緑内障では眼圧に関して、必要以上のリスクを患者さんが負う必要はありません。眼圧が20を大きく超えるような高眼圧を除いて手術はできる限り避けて下さい。

Q.針治療は緑内障の程度を問わず効果があるのでしょうか? 緑内障の進行が止まりますか?

A.視野障害の程度に関わらず効果があると考えられますが、特に初期〜中期の方にお勧めします。
・現在の眼科での点眼薬や手術などの緑内障診療は、眼球内の眼圧などを主要因とした視神経(網膜神経節細胞)の軸索障害を対象としていますが、実際には眼球内の視神経乳頭付近だけでなく、脳の視床領域にある外側膝状体から、視皮質(視覚野)に至る視路から中枢まで徐々に変性を起こす疾患です。このため眼圧を低下させるなどして末梢(眼球付近)での進行が停止しても、視神経中枢の障害が進行すれば眼圧をいくら下げても視野障害は進行します。点眼薬や手術で眼圧を下げても徐々に進行するのは、末梢(眼球)障害の進行が抑制できても、視神経中枢障害の進行が抑制できていないことを示唆しています。

・当院では眼球周囲はもちろん、後頭部の視皮質(視覚野)に近接した部位に適切な針治療を行うことで、直後からコントラストが上がり、はっきり見えるという患者さんが少なくありません。しかし緑内障の進行と共に視神経中枢の障害が進行してしまうと視機能の回復は限定され、進行を抑えることで精一杯になります。このため視神経中枢への障害が少ない初期〜中期までの方に特にお勧めします。後期〜末期の方では大きな回復は難しいのですが、眼科での治療に加えて針治療を行うことで、視神経中枢での進行を抑えるアプローチにより長期間の視機能維持を目標としています。

Q.視神経末梢(眼球周囲)だけでなく視路・視神経の中枢障害に対して、自分でできることは?

A.緑内障は大きく捉えれば、視神経を中心とした脳の病気とも言えますので様々な対策が可能です。
・緑内障性視神経障害が進行すると視野や感度が低下し、後頭部の視皮質(視覚野)への刺激が低下してしまいます。そうなると脳内の外側膝状体から視皮質に至る部位で徐々に変性が起こり、眼球内で眼圧を下げても視野欠損は進行することになります。

・ご自身でできることとしては鮮やかな写真や景色を見ることで、視覚からの視神経への刺激が得られます。その際にテレビやスマホ等の発光体による映像は避けた方が無難です。LED等の光は直進性やエネルギーが高く、反って眼を傷める可能性があるからです。また眼が疲れると後頭部が凝る、鈍く痛むという感覚はありませんか? 眼の周囲だけでなく後頭部への軽い刺激は、僅かでも視皮質の血流改善等に繋がる可能性があります。ご自身で無理なく始められることから実行してみて下さい。

Q.視野は大丈夫ですが、視神経乳頭の異常などを指摘されています。鍼治療は有効ですか?

A.鍼治療により視神経乳頭陥凹は修復されませんが、今後の視野障害の進行抑制は可能です。
・緑内障を示唆する眼底所見(視神経乳頭を含む)を呈しながらも緑内障性視野障害を認めない状態は、前視野緑内障と定義されています。緑内障の前段階とされ眼科では慎重な点眼薬治療か経過観察となります。前視野緑内障への鍼治療は視野障害の発症を遅らせ、患者さん個々の状況に合わせた指導は今後の緑内障への移行や進行を抑制します。当院では適切な鍼治療を行えた場合には緑内障への移行例はありません。また前視野緑内障で他に問題が無い場合には、隔週1回から月1回程度の治療間隔で大丈夫です。

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日常生活での注意点

・患者さんからよく聞かれる質問について、主に日常生活上の注意点からまとめてみました。

○一度に大量の水分やカフェインの摂取は、一時的に眼圧を上昇させます。
・一度にコーヒーで3杯以上、紅茶で4杯以上の摂取は、その後の数時間に渡り眼圧が上昇しますので避けるべきです。コーヒー等のおかわりは避ける程度の注意で大丈夫です。また最近の研究では、一日3杯以上の摂取は落屑緑内障のリスクを高めるとの報告も出てきました。コーヒー好きな方も、ほどほどにしましょう。

○1日に一合程度までの飲酒は、緑内障に対しての影響は心配ありません。
・アルコールの摂取は一過性に眼圧を下げることと同時に、毎日大量に飲み続けると眼圧を上昇させることが分かっています。1日にアルコール20g相当(ビール500mlもしくは日本酒1合)程度まであれば、眼圧に対しての影響は心配しなくて良いでしょう。当院での話として、毎日3合以上もの飲酒をされている眼科領域の患者さんは、針治療をしても回復が難しいという結果が出ています。但しアルコールの分解は少なからず体への負担になります。全身を診る東洋医学の観点から、飲酒は週末のみとする等、節度ある付き合いをお勧めしています。

○タバコは止めてください。
・タバコは血管を収縮させ、目の周囲も含めた血流を低下させます。急には止められなくても、少しずつ減らしていくなどして、計画的に止めていくようにして下さい。タバコに限らず血圧に対して良いことは、眼圧に対してもプラスに働くことが多いです。

○眼球を押さえ付けることは避けましょう。
・眼球は手で僅かに押さえるだけでも、かなり大きく眼圧が上昇してしまいます。疲れた時に目を抑える方がありますが、眼球を押すことは避けてください。眼球はやや強く押すだけで眼圧は100mmHgにも達します。目の上に蒸しタオルやアイピローを乗せたり、マッサージを受ける場合も注意が必要です。

○眼科以外でいただく医薬品にも注意してください。
・緑内障では特にステロイド系薬剤について注意が必要です。ステロイドは様々な難病をはじめ、花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息等へ炎症を抑える目的で幅広く処方されています。眼圧に対しての副作用は意外にも強く、例えば点眼薬の例では1日3回4週間の使用で、3人に1人は6mmHg以上の眼圧上昇(0.1%デキサメタゾン)が起こります。内服薬・坐薬が最も副作用が大きく、次に点眼薬などの外用薬が続きます。またステロイドの長期使用は、眼房水の濾過機構に不可逆的な変性が起こり、眼圧が下がり難くなります。ステロイドは効果の高さから、副作用に目をつぶる傾向がありますが、非ステロイド系薬剤に切り替えることが可能であれば、他剤へ変更した方が賢明です。

・当院に来院されている患者さんの中で、特に30代までの患者さんには、アトピーなどの既往により、長期間ステロイドを使用されてきた患者さんが少なくありません。例え医師が否定的であっても、また外用薬であっても体質や使用期間・薬の強さ・部位によっては、眼圧に影響を与えることは明らかです。特に原因がステロイドなどの医薬品にある場合には、可能な限り使用し続けることを避けるようにして下さい。

○低血圧(最高血圧で100mmHg未満)の方は、血圧による対策が必要です。
・当院で調べたところ、緑内障の患者さんは全般に血圧が低いケースが多いことが分かりました。低血圧の患者さんでは眼球内への血流が不足し、緑内障の発症や進行し易い傾向があることが、専門書にも明記されています。一般に眼科では血圧については無関心ですが、低血圧が改善することで視力や網膜の感度が改善する場合もあります。チーズや赤ワインは低血圧を改善しますので、積極的に摂取しましょう。またミケランやチモプトールなどのβ遮断薬の点眼は、長期間の使用により眼圧だけでなく、血圧も低下させているケースがあります。視野狭窄や視力低下に関わる場合もありますので、思い当たる場合には、医師や薬剤師にご相談下さい。ただし眼科で血圧を管理していない現状から、例え眼科医でも詳しく知らない場合が有ります。

○複数の点眼薬を使用している場合などで、目の痛みなどを感じたら角膜上皮障害を疑いましょう。
・近年、緑内障の新薬を使われた患者さんで、「目がヒリヒリする」、「充血が酷い」、「視力が下がった感じ」などを訴えられることが増えています。複数の点眼薬を使用していたり、グラナテックやルミガンといった新薬や効果の高い点眼薬にみられ、防腐剤による角膜上皮障害を生じているケースが多いです。角膜上皮障害は放置すると遷延し危険ですので、原因となる点眼薬を中止する必要が有ります。緑内障の点眼薬には防腐剤フリータイプも増えてきましたので、もしも目の痛みなどを感じた場合には、眼科医に必ず話し角膜上皮障害の診断であれば点眼薬を変更していただきましょう。

○近視の方、特に強度近視の方は、スマホ等の使用機会を可能な範囲で制限しましょう。
・緑内障性視神経症は生理学的には眼圧や血流、脳脊髄圧などが関与しますが、解剖学的には視神経乳頭部にある篩状板の変形が原因です。篩状板は加齢や近視の進行に伴い変形し、乳頭周囲の血管構造が損なわれることで、乳頭部での血流量の低下に繋がることが近年のOCT等の検査により判明しています。

・加齢は止められませんが、最近では50〜60代になっても近視の進行が止まらない方が増えています。数十センチの近い距離でスマホ等を使用して目を酷使したり、過矯正状態(5mの視力がよく出るように合わせた眼鏡やコンタクトレンズ)で手元の作業をする等は、近視を進行させる原因になりますので避けましょう。特に強度近視の方では、乳頭部位での篩状板変形による血流低下は避けられませんので、緑内障の進行リスクに繋がる生活習慣を改めて下さい。スマホやコンタクトレンズの使用は必要最小限にし、度数の異なる眼鏡を使い分けて目の負担を減らしましょう。

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院長からひとこと


○緑内障性視野障害の全期に渡り視機能を維持し易くなるため、広くお勧めできる治療法です。
(高齢の方で視野障害が軽度な場合等、患者さんの視機能維持に必要な治療間隔をお勧めします)
(眼科の治療で急速な進行が続く症例では、針治療でも進行を遅らせる程度の場合があります)
(点眼薬等により、概ね適切な眼圧であることが前提です。点眼薬は続けて下さい。)

○視野欠損が生じていない前視野緑内障や感度低下(初期緑内障)から、針治療をお勧めします。
(針治療による効果として、特に軽度の感度低下は改善が得られやすいことが分かっています。)


○高眼圧症、網膜色素変性等の合併症としての緑内障等、様々なケースが針治療の対象となります。
(点眼薬と針治療の併用で眼圧低下や眼周囲の血流が改善する等、様々な効果が期待できます。)

・緑内障は第一に眼圧のコントロールが大切な疾患です。しかし眼圧を下げたとしても、それだけでは視神経の自然回復はほぼ無いと考えられ、その結果が視野障害の改善は有り得ないという眼科医学の常識になっています。しかし、針治療による眼周囲での血流改善効果を加えることで、特に初期〜中期での視野障害は一定度まで改善する可能性があることが分かってきました。また点眼薬と針治療の併用は、効果的に眼圧を下げることが期待できます。自覚症状に乏しい緑内障ですが、回復する可能性のある時期を逃さず治療を行うことで進行を抑えるのみではなく、可能な限り良好な状態まで改善させた上で、長期に渡り維持することが可能です。

・鈴木式アイチェックチャートによるblue on yellowチャートを使用した測定から、針治療の効果は特に感度低下に対して良好な結果が得られています。緑内障における感度低下とは、その部位が視野欠損までには至っておらず、視神経節細胞の20%〜40%程度が損傷を受けている状態で、緑内障の進行により視野欠損が生じる前段階を意味します。感度が低下した部位は実際の見え方として、やや暗く感じたり、ぼやけたりする見え方をします。針治療により感度低下の部位を改善・解消させることで、長期に渡り緑内障の進行を抑えることに繋がります。

千秋針灸院は眼科領域の専門治療院であり、緑内障の患者さんは既に200名を超え、眼科領域の患者さんは来院される方全体の7割以上、年間延べ6.000名以上に上ります。一般の治療院に比較して、眼科領域の疾患に関しては臨床例が圧倒的に多く、データや治療法、経験も豊富に蓄積されているため、治療結果にも大きく差がつくと考えられます。緑内障は他の眼科領域の疾患に比較しても、技術の差が大きくなる傾向があります。緑内障の治療に対応できる治療院は非常に限られますので、通院可能な場合は出来る限り当院、もしくは提携治療院で治療を受けられることをお薦めします。

・千秋針灸院では眼科領域の針治療に留まらず、全身状態から目を診ていきます。最新の眼科学を踏まえながらも、個別の患者さんに合わせた治療や指導を行えることが最大の強みです。患者さんの目に関わる環境を変えることで、緑内障の発症や進行の原因に踏み込み、視野障害の進行を遅らせるための様々な対処法をご説明します。初診で来院される患者さんは、疑問点などを解消していただいた上で、遠方の方は提携している治療院へのご紹介も積極的に行っていますので、ご相談下さい。

●関連リンク

中薬(漢方薬)、抗酸化サプリメント、遮光レンズのご紹介

眼科領域の諸疾患 (当院ページ)

眼科領域の難病治療を提携治療院で(当院ページ)

●参考文献

参考文献・蔵書一覧

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  ・本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いたものです。
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