網膜色素変性    更新日   23.3.11     1.022 本文へジャンプ


網膜色素変性、錐体杆体変性、錐体ジストロフィなどの遺伝性網膜変性疾患

●統計症例報告(Web公開・電子書籍版) 網膜色素変性への鍼治療 2012.12.24 
・来院された140名以上の患者さんのデータより、眼科医学に基づく測定・評価から科学的に統計化した報告です。網膜色素変性や鍼治療の実際を理解していただける内容を目指しました。

・第34回「眼科と東洋医学」研究会 特別講演 2017年3月12日 台東区区民会館にて、眼科専門医の先生方に『網膜色素変性への鍼治療』を公式に報告させていただきました。

●統計症例報告(Web公開版)
 中医学による網膜色素変性症への鍼灸治療  2008.10.1

○現代医学での概要と当院の針灸治療 
○中医学での捉え方と中国国内で行われている治療法
○千秋針灸院で行う治療法について 
○当院での治療効果の実際 
当院での症例報告
○患者さんの声から
○患者さんからよくある質問 
○院長からひとこと 
○医薬品による副作用情報 
○関連製品のご紹介、関連リンク 

現代医学での概要と当院の針灸治療


・網膜視細胞の中でも特に杆体が進行性に変性する疾患の総称で、視細胞関連蛋白の突然変異が原因です。一般に網膜色素変性(RP)は、多くが20歳代までに夜盲、求心性視野狭窄等が発症し、視力低下も徐々に進行します。効果的な治療方法はなく、眼科では経過観察とされるケースが多いです。白内障、緑内障、黄斑浮腫等の合併が多く、網膜への色素沈着、視神経の萎縮、網膜動脈の狭窄もみられます。小児期に夜盲症とされたものが、検査機器等の進歩により10歳未満から診断が付く場合もあります。また進行の程度には大きな個人差があり、中年以降に急激に進むケースもあります。

・現在では網膜の断面を診ることのできるOCT(光干渉断層計)によって、網膜色素変性の新しい病態が明らかになっています。特に従来の眼底写真では分からなかった小型の嚢胞様黄斑浮腫(CME)は十代から発症がみられ、加齢と共に大型化して変視(視界の歪み)を生じ視力を低下させるケースが少なくありません。眼科で処方されることのあるプロスタグランジン関連薬は、CMEを発症・悪化させる場合があります。

・長い間治療法が無いとされた網膜色素変性症も遺伝子レベルの研究が進んでおり、遺伝子補充療法やヒトES細胞由来の網膜細胞移植、人工網膜等は2030年代に入る頃には治療としての実用化が期待されています。こうした流れを受けて千秋針灸院でも従来の網膜での血流改善だけでなく、視力や視野を長期的に保つことで、進行した網膜色素変性からの視機能回復で課題となる、眼球からの光刺激低下による視神経(脳の視覚野)萎縮の予防を目標とした針治療を行い、将来の先端医療へ円滑に移行できることを目指しています。

・網膜色素変性は視神経の萎縮や網膜上の血管が徐々に細くなり閉塞していくこと等から、変性の進行に伴い徐々に網膜が機能不全となり、最終的には網膜の細胞が死滅して視機能が失われていく疾患です。しかし網膜の細胞が死に至るまでには、これまで考えられているよりも長い時間がかかり、視野検査で失われていると思われた視野欠損部の細胞は機能不全を起こしているに過ぎない場合も多く、適切な治療により網膜の血流を確保することで、ある程度まで回復できる可能性があります。

・網膜変性が完了し完全に死に至った部分の細胞は再生することはありませんが、進行する前にできるだけ早く治療を行うことで、機能不全部の回復と共に進行を大幅に遅らせることが可能になると考えられます。当院の針治療では、特に局所(眼底を含んだ目周囲)の血流改善を目的に治療に取り組んでおり、実際の臨床結果から以下のように推測を立てています。
(特定経穴への鍼刺激による眼底血流量の改善は、全日本鍼灸学会などで報告されています。)

・網膜色素変性症については疾患の進行により、網膜部位で
@大部分の変性が完了した部分(変性完了部位) ←完全な変性で回復の可能性は無い部分です。
A変性が現在進行している部分(機能不全部位) ←針治療により回復する可能性ありと考えます。
B変性を起こしていない部分(健全部位) ←健全になり、視力・視野の改善に役立つと考えます。

が、症状の個人差に合わせて、同時に連続的に存在していると考えられます。

・適切な針治療により頭頚部や眼周囲の血流を改善し、眼底の血流にも影響を及ぼすことで、視細胞や視神経が活性化して、視力や視野に関しては主にA、Bの部位の状態は改善すると考えられます。実際の臨床例として治療を始めると
視力については向上し、視野に関しては一定度までの改善後、足踏み状態となる症例が多く、この時期からは針治療の目的を状態の維持へと切り替えていきます。

・千秋針灸院に来院された患者の皆様の治療結果等を、「網膜色素変性への鍼治療」を、Web公開版の電子書籍(PDF)として出版していますので、どなたでもダウンロードして読んでいただけます。

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中医学での捉え方


・網膜色素変性症は高風雀目に相当し、進行すると青盲に変わり失明に至るとされます。
先天の禀賦不足、肝腎の不足、肝鬱気滞、脾の運化失調等から目が栄養されないために病気が生じ、補益肝腎、健脾舒肝、活血通絡の治療が中心となります


・中国での中薬(漢方薬)・針灸を併用した治療 (参考)
2〜3ヶ月での視力改善(2ポイント以上)は54.5%、視野改善(5度以上)は46.2%。(後期RP患者100例の経過)
  『中医臨床・2005年9月号』

・中薬(漢方薬)のみで治療した場合は、患者さんごとの「証」(体質)に合った薬剤という前提であれば効果が期待できます。しかし目周囲に限定した強い効果は針治療が上回ります。中国の患者さんは通院時に病院内で針治療を行い、体質に合った中薬を処方されて服用する治療となっています。当院の針治療では、初回の治療終了時に患者さん自身で自覚できる程の効果が得られることもあり、針治療が有力な治療法であることを示唆しています。

・中国の眼科医療機関では網膜での血流改善を目標に、針灸・中薬・薬物・手術等、様々な取り組みが積極的に行われています。
ただし問い合わせの多い中国での手術については、中国の眼科学専門書などの記述からも確実な治療方法ではなく、安全性の面からもお勧めできません。

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千秋針灸院で行う治療法について


○当初は週2回(3ヶ月間)の治療を行った後、良好な状態維持の間隔(週1回以下)へ移行します。
(視力低下や視野狭窄が軽度な場合は、当初から週1回の治療で十分なケースもあります。)

○当院の針治療は、眼窩内(深部)への刺針を行わない安全な治療法です。
(網膜色素変性に対応する安全な治療法を開発し、治療開始初期から効果が得られ易い治療です。)

(目の周囲は特に細い針を使用しますので、痛みや内出血もほとんどありません)

・患者さんごとの証(体質)や症状の重さにより若干変わりますが、後頚部、背部、下腿、目周囲の経穴に針をします。治療開始当初は、視力や視野が向上し、状態が安定するまでは週に2回(3ヶ月程度)、その後は視力や視野が維持できる治療間隔として、週1回〜隔週1回程度へ治療間隔を切り替えていきます。

・時々問い合わせがあるのですが、従来行われてきた眼窩内(深部)刺針は出血の恐れが高いため、当院では用いることはありません。当院の治療法は、眼窩内刺針と比較しても効果は十分に高く、目周囲が腫れたり眼圧が上昇する可能性が無いため安全です。

・遠方から来院される患者さんが増えていますので、提携先治療院と当院が連携した治療を行っています。当院への来院は数ヶ月〜年1回と少なく済みますので、当院へ通院するのに比べ経済的・時間的な労力を少なく適切な針治療を受けることができます。 ○眼科領域の難病治療を提携治療院で

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○当院での治療効果の実際


○多くの場合に治療開始から1ヶ月程度で、視力や視野の改善の始まりが確認できます。
(週2回の治療を行い、当院の視力表・鈴木式アイチェックチャートの測定結果によります。)
(治療開始から概ね1ヶ月以内には、半数の方で視野拡大の始まりが確認できます。)


○視力や視野の向上・拡大は測定可能な場合(測定不能例を除く)の半数以上の方で確認。
(当院の統計症例報告 
中医学による網膜色素変性症への鍼灸治療 を参考にして下さい。)
(最新の報告である「網膜色素変性への鍼治療」でも、詳しく解説しています。)

○眼がチカチカする、光が眩しい、といった諸症状は数回程の治療で緩和するケースが多いです。
(このような症状は色素変性の進行期に発生し易いようです。針治療の検討をお勧めします。)
(服用されている医薬品が関与している場合がありますので、来院時にお問い合わせ下さい)


○当院で適切な間隔で治療した方では、概ね長期の視機能維持や進行抑制ができています。
(概ね5年以内は治療開始当初よりも良好です。5年以上では緩やかに進行する場合があります。)

(適切な治療間隔で治療できない、医薬品の副服用、特殊な生活環境等では例外があります)

○特に20代までの方や発症・進行からの時間が短い場合は、非常に有力な治療法と思われます。
(10才未満で診断された場合には強くお勧めします。週1回の治療で大きな効果が見られます。)


・網膜色素変性については、10才未満〜70才代の方まで幅広い年代の方を治療する機会をいただきました。これまで来院された200名以上の患者さんは針治療の結果、10才未満の方では効果が極めて高く、週1回の治療を続けることで視力や視野の向上はもちろん、薄暗い環境等で怖がらなくなる等の症例があります。

・20才代までの方の回復も良好で、1ヶ月程で視力・視野の向上が確認でき、早期に大きな効果が得られています。30才代以降では視力・視野の向上が確認できるまでの期間は年齢に応じてやや延び、改善する幅もやや少なくなりますが、諸症状や日常生活の不便さ等は改善されています。

・発症からの経過時間が短く、視力低下や視野狭窄があまり進んでいない場合には、視機能は大きく改善する傾向です。当院の視野測定で1ヶ月以内に治療開始当初に比較して、直径で50%以上、視野面積比で倍以上になり、非常に見易くなった症例もあります。効果に個人差はありますが、早期の治療が重要です。

・当院の結果から、特に進行の進みやすい20才代までに適切な針治療に取り組むことで、かなり効果が上がるものと思われます。30代以降の方でも5年程度までに進行(悪化)を確認した例はほとんどなく、当院測定では視力・視野の向上・維持を認めます。年齢に関わらず「治療開始前に比べて見易い」と自覚できる方が多く、少なくとも進行を遅らせたり止めるなど、改善量に幅はあるものの視力・視野を向上させる効果はあります。

・当院は網膜色素変性について、鍼治療としても、また治療や進行予防に有効な治療法としても、国内初となる症例報告 「中医学による網膜色素変性症への鍼灸治療」を公開 「網膜色素変性への鍼治療」として、PDFファイル形式で公開していますので、どなたでもダウンロードして読んでいただけますまた第34回「眼科と東洋医学」研究会 特別講演 2017年3月12日 台東区区民会館にて、眼科専門医の先生方に【眼科領域への鍼灸治療】として公式に報告させていただきました。

・今後も更に多くの症例数や長期経過等の症例報告をまとめながら、網膜色素変性への鍼治療の有効性を確認していきます。来院いただき、勉強させていただいた多くの患者の皆様に感謝いたします。

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○当院での症例報告


・網膜色素変性症は特定疾患(難病)のため、一般に眼科医は疾病の改善に否定的であり、客観的な診断をいただけない場合があり、同時に治療の道も閉ざされてきました。当院では可能な限り正確で再現性の高い、客観的な測定方法を積極的に取り入れています。当院で針治療を行った、前期、中期、後期の患者さんの症例で、特に優れた結果ではなく標準的な症例の測定結果をご紹介します。

・千秋針灸院での測定・評価法について、詳しくは眼科針灸の測定・評価法をご覧下さい。

症例@ 40代 前期・網膜色素変性

鈴木式アイチェックチャートを使用し、平面視野計の4点法(上・下・左・右)による視野測定。
青線は初診時、赤線は6ヶ月経過時の明瞭に見える4点(上・下・左・右)を結んだもの。



青線は初診時、赤線は3年経過時の明瞭に見える4点(上・下・左・右)を結んだもの。


初診時・視力 右0.4、左0.7 平均視野 右11.0度、左10.5度  上方向を除く3点の平均視野
6ヶ月後・視力 右0.9、左0.7 平均視野 右15.0度、左15.0度 上方向を除く3点の平均視野
約3年後・視力 右0.9、左0.8 平均視野 右15.5度、左14.5度 上方向を除く3点の平均視野

・約5年前に網膜色素変性の確定診断となりましたが、20才頃から夜盲症に気が付いており、発症は30年以上前と考えられる症例です。視力はやや低下していましたが視野は10度以上残っており、網膜色素変性の進行は比較的緩やかといえます。針治療を開始したところ視力・視野共に大きく改善し、約3年経過した現在も維持できています。網膜色素変性への針治療は視力低下や視野狭窄が進行していない症例ほど、大きな改善が得られやすい傾向がはっきりしています。

症例A 50代 中期・網膜色素変性

鈴木式アイチェックチャートを使用し、平面視野計の4点法(上・下・左・右)による視野測定。
青線は初診時、赤線は6ヶ月経過時の明瞭に見える4点(上・下・左・右)を結んだもの



青線は初診時、赤線は2年経過時の明瞭に見える4点(上・下・左・右)を結んだもの。


初診時・視力 右0.5、左1.0 平均視野 右7.5度、左7.5度 
6ヶ月後・視力 右0.7、左1.0 平均視野 右12.0度、左10.9度
約2年後・視力 右0.6、左0.9 平均視野 右12.8度、左13.5度


・確定診断は約12年前ですが、小児の頃から球技等でボールが飛んでくるのが分からなかったということで、小児期から発症していたと考えられる症例です。視野狭窄は中程度まで進行していますが、視力は白内障を合併しているものの比較的良好に保たれていました。針治療を開始してから視野は確実に向上し、約2年が経過しても十分維持しています。当初からの白内障の合併により、視力こそ大きな変化がありませんが、確実に視野の改善は得られた結果となりました。

症例B 60代 後期・網膜色素変性

初診時・視力 右0.02、左0.04 視野は中心及び周辺に僅かに残る程度、当院では測定不能。
6ヶ月後・視力 右0.1、左0.08 当院での視野測定はできないが、様々な日常の困難さは軽減。
約2年後・視力 右0.15、左0.08 視野測定はできないが、視力は維持しており、当初より見える。


・小児の頃から夜盲があり、約35年前に網膜色素変性の確定診断が付いている症例です。既に視野の大部分にまで狭窄が進んでおり、当院の鈴木式アイチェックチャートでは測定不能(中心視野0度)、視力も眼科検査で両眼共に0.02という状況で当院へ来院されました。2週間ほど経った頃から若干見易くなり始め、3ヶ月後には右眼は0.1まで回復しました。その後も治療を継続され、治療開始から2年後経過した現在、向上した視力を維持できています。かなり進行した網膜色素変性の為、視野の明確な改善は確認できないものの、当面失明の心配は無くなり、日常生活上での困難さは軽減しています。

・様々な年齢層や進行度合いの異なる症例をご紹介してきましたが、網膜色素変性については、適切な治療間隔で治療ができていれば、どのような状況の患者さんでも基本的に針治療は有効です。千秋針灸院では希望される全ての患者さんに、治療方針を記載したカルテの写しや測定結果をお渡しできますので、提携治療院をはじめとした全国各地の治療院で、針治療を始めることができます。
(強い紫外線や体の消耗する環境、生活習慣の問題等で良好な改善が得られない場合もあります。)
(治療者の実力や治療法が異なれば、針治療の結果も異なることはご了承下さい。)

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○患者さんの声から


○薄暗がりでの不安が無くなった、動きやすい(多くの方)
○視野が広くなっていることを感じる(多くの方)
○眩しさやチカチカする感じが和らいだ(多くの方)
○ぼんやりとしていた視界が、はっきり見える(多くの方)
○運転はしていないが、免許の更新ができた(多くの方)

○色の判別がつくようになった(後期RPの方)
○目の開閉で明るさの違いが分かる(後期RPの方)
○大きく改善したわけではないが、進行は止まった感じがする(後期RPの方)
○初めて孫の顔が見えた(後期RPの方)

○星が見えるようになった(初期RPの方)
○映画や舞台が楽しめるようになった(初期RPの方)
○夜間でも外出の不安が無くなった(初期RPの方)
○弱視が改善し視力が出るようになった(初期RPの小児)
○眩しさや頭痛を訴えなくなった(初期RPの小児)


・現在では症例数の増加に伴って、様々な話をいただけるようになりました。視力や視野等の測定結果だけでなく、目の疲労感や見辛さの軽減等「見え方の質」を自覚できることも針治療の特徴です。ただし全く健全な状態に戻るのではなく、患者さんの声からは「大きく悪化する前に戻った」、「数年前位の状態」という感じです。

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○患者さんからよくある質問


Q 針治療により色素変性が治るのですか? もしくは進行を遅らすことはできますか? 

A 現在までのところ、網膜色素変性では完全に治る(治癒する)治療法はありません。
・当院の考察では針治療でも完全に変性が完了している部分は回復しないと結論づけています。しかし失われた視野の全てが=完全に変性が完了した部分、では無いことから、多くの方で一定度まで実際に視野の拡大を確認しています。他にも視力が向上したり、眩しさやチカチカする等の諸症状は軽減されます。視力・視野などで一定度の改善が得られることは進行も遅れることを意味し、5年、10年といった長期間の治療継続は大きな意味を持ちます。当院の臨床から適切な鍼治療は進行速度を1/3程度に抑えることが分かっています。詳しくは以下の統計症例報告をご覧下さい。


・千秋針灸院に来院された患者の皆様の治療結果等を、「網膜色素変性への鍼治療」を、無償の電子書籍(PDF)として出版しています。どなたでもダウンロードして読んでいただけます。

Q 千秋針灸院で視力や視野の測定で良好な場合に、眼科検査でも同じ結果が得られますか? 

A 視力は眼科と同等の測定ですので、病院での診断でも同様な結果が得られます。

・当院の視力測定はランドルト環(C)の白黒を反転可能な、弱視や色素変性の方に最適な測定器を使用していますので、眼科での視力測定が難しい方でも、見易く測定できます。当院の測定器は公式に0.03から遠見視力測定が可能なため、視力0.1未満の場合には当院の測定結果が正確な場合もあります。


・当院の視野測定は、方眼紙様のチャートから患者さん自身に見える部分を申告していただく方法です。実際に見えている部分を申告していただくため、ご自身の視野感覚に合った測定・評価が可能です。ただし眼科で行われるゴールドマン視野計(光を見つける検査)とは異なりますので、必ずしも同一の結果を示すものではありません。また特定疾患に指定されている難病のため、例え患者さんが視野の拡がりを自覚できても、通常眼科医には良くなったという診断はいただき難いです。

・千秋針灸院や提携治療院での治療については、自覚できるご自身の状態と、当院の測定法 眼科針灸の測定・評価法 での結果から効果の有無は容易に判断できます。しかし測定・評価が行われない一般の治療院では効果の根拠自体が乏しく、本当に良くなっているかどうかは患者さんの自覚に頼ることになります。針治療は一定度の改善や進行の抑制に効果的ですが、確かな結果が得られる治療院を選んで下さい。

Q 鍼治療は網膜色素変性に効果がありそうですが、どこの治療院でも同じ治療は受けられますか?

A 実質的に治療の継続が困難な遠方の患者さんでも、継続した針治療をサポート可能です。

・当院でも遠方から来院されている患者さんの治療は大きな課題です。そこで治療法や測定方法を公開して、全国で実力があり眼科領域の鍼治療に協力いただける治療院と眼科鍼灸ネットワークを作り、遠方の患者さんへ距離の壁を越えた可能な限りの治療ができる体制を目指しています。提携先治療院での治療法は当院と完全に同一ではありませんが、当院の治療法や治療方針も参考にしていただき、また医学的な根拠に基づいた測定により鍼治療での「結果」が得られるよう努力しています。

・提携治療院が無い地域でも、当院の治療を記載したカルテの写しや測定結果をお渡ししていますので、全国の鍼灸治療院で治療を受けることは可能です。ただし針治療の結果は、患者さんの状態や通院状況、治療者の実力や治療方法によって異なりますので、必ずしも当院で報告している結果が得られるかどうかは不明です。可能であれば、当院もしくは提携治療院への通院をご検討下さい。

Q 針治療はルテインや漢方薬、アダプチノール、レスキュラ等との併用は可能ですか?

A 他の治療法との併用は特に問題はありませんが、一部の医薬品には注意が必要です。

・針治療は薬物ではなく、患者さんごとの体質や症状に合わせて、最適なツボに必要な刺激を与えることで、誰もが本来持っている治癒力を引き出す治療法です。このため基本的に他の治療法と併用されても通常は問題ありません。針治療を併用することで薬物は通常効き目が増します。(緑内障等、他の疾患でも同様です) サプリメントでは効果が実感できなかった方も、針治療を受ける場合は続けてみて下さい。

・一部の医薬品については、視野狭窄を進行させたり、眩しさ等の症状を強めてしまう場合があります。詳しくは 医薬品による副作用情報 を参考にして下さい。例えばステロイドは視野狭窄や網膜浮腫、アダプチノールは眩しさを増強させて頭痛などの原因となる場合があります。特にステロイド系医薬品の内服は、長期に使用することで回復不可能な障害を網膜に与える可能性が高いので、知らない内に服用しないよう気をつけてください。

・例えば緑内障治療薬のレスキュラ点眼薬が処方されるケースでは、それほど高い確率ではありませんが点眼後から視力や視野の低下、暗黒感(視界に影がかかり暗くなる)などの症状が出ることがあります。また嚢胞様黄斑浮腫(CME)の発症・悪化の副作用があるため、視界が歪んで見える等の場合には使用すべきではありません。長期間続けてしまうと、点眼薬を中止しても回復しない場合があります。

中薬(漢方薬)、抗酸化サプリメント、遮光レンズのご紹介を参考にして下さい。

Q 針治療は視力低下や感染症等の副作用の危険はないのですか?

A 当院の針治療は、全ての眼科的な治療に比較して、副作用も無く安全です。
・鍼治療は薬物を全く使用しません。また当院の治療法では感染症のリスクや内出血を伴う眼窩内(深部)への鍼も行いません。全てディスポーザブル(使い捨て針)を使用しますので、副作用や感染についての心配は皆無です。眼科領域の全ての治療法(点眼、外科的手術)に比較して、最も安全な治療です。当院では10才未満の子どもさんから、安全で痛みの少ない鍼治療を行っています。
  

Q 網膜色素変性が、針治療で確実に改善されている証拠となる資料はありますか?

A 統計症例報告はWeb上で、その他公開を許可されている画像は院内限定で見ていただけます。
・当院では視力・視野などは200名以上の患者さんで測定・評価していますので、針治療による一定の改善は確実です。統計的な針治療の結果は当院から『中医学による網膜色素変性症への鍼灸治療』や、『網膜色素変性への鍼治療』を電子書籍として、Web上で公開していますまた第34回「眼科と東洋医学」研究会 特別講演 2017年3月12日 台東区区民会館にて、眼科専門医の先生方に【眼科領域への鍼灸治療】として公式に報告させていただきました。ゴールドマン視野計で11年間に渡り、視野を継続して測定した症例を当院内限定ですが、見ていただくことができます。

・症例の患者さんは、比較的軽度な視野狭窄と視力低下が見られる状況でしたが、視力は完全に正常となり、視野は年々改善している状況がゴールドマン視野計によって証明されています。当院ではなく眼科での視野検査の結果であり、また患者さんの許可を得て院内のみで見ていただける資料のため、当院HPを含め一般公開はできないことをご了承下さい。

Q.できるだけ毎日治療した方が、良くなるのではありませんか? 適切な治療間隔は?

A.毎日治療したとしても、その分良くなるものではありません。結果は良くない場合も多いです。

・当院では少なくとも1日以上の間隔を空けての針治療をお勧めしています。その理由は針治療の適切な刺激が血流を改善するなどして体の回復力を高め、結果として視力や視野を良い状態に変えていく治療だからです。針治療による適切な刺激だけでなく、患者さん自身の体が自分で回復する時間が必要なことが分かっており、1日以上の治療間隔を空けた週2〜3回の治療が、初期は最も好結果が得られます。

・眼科領域全般に言えることですが、他の治療院で毎日のように治療をして、あまり効果の上がらなかった患者さんが、当院で適切な治療間隔として週に2回程の治療を行うと、大きく改善するケースは少なくありません。治療方法や治療間隔は重要になりますので、例えば毎日のような治療は避けた方が良いです。また一定度まで改善した後には、更なる改善は難しくなりますので、良好な状態の維持を目標とすべきですが、この場合には週に1回程の治療で充分です。毎日あるいは日に数回もの治療を行う治療院もあるようですが、進行性の疾患では長く続けることが大切です。過剰な治療で疲れてしまわないよう気をつけましょう。

Q.眼科で白内障手術を勧められました。行うべきでしょうか?

A.視力低下や実際の見え辛さを優先すべきですが、注意すべき点もあり慎重な検討が必要です。

・水晶体は加齢と共に厚くなることで、眼圧を上げてしまう場合があり、こうした場合には手術を行うべきです。また運転免許の更新がどうしても必要な場合なども、白内障手術を受ける理由になります。しかし網膜色素変性の患者さんでは、水晶体の支持組織を含め眼球全体が脆弱なため、手術自体は成功しても数年以内に視力低下等のトラブルが多くなる傾向です。眼科医学も年々進化を続けていますので、実際に白内障に伴う視力低下や見辛さをが日常生活で支障にならないのであれば、急がない方が余計なトラブルの心配もありません。

Q.網膜色素変性に有効な食べ物やサプリメントはありませんか?

A.錐体細胞の変性に酸化ストレスの関与が知られており、抗酸化サプリメント等が推奨されます。

・一般に網膜色素変性は進行するに従い、杆体細胞(主に周辺視野・明るさから錐体細胞(主に中心視野や視力・色彩)の障害へと進行します。ビタミンCやルテイン、各種ポリフェノール等の抗酸化作用や錐体細胞の保護作用により、錐体細胞の障害を抑制する可能性があります。つまり網膜色素変性が進行しても、中心視野や視力は長期間保ち易くなることを意味します。千秋針灸院ではビタミンCを安全な低用量(1.000mg/日)程で摂取し続けることをお勧めしていますが、重度の視野障害の方も視力は長期間維持できている患者さんが多いです。一方で喫煙は血管を収縮させ、抗酸化作用にダメージを与えますので止めて下さい。

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院長からひとこと


○30歳未満、発症・進行後の病歴が短い、視野狭窄が軽度の状況等では特に効果的な治療法です。
(年齢や状況に関わらず無効例はほぼありませんが、早期に良好な結果が得られ易くなります)

○10歳未満で診断された場合は遠方でもご相談下さい。
(週1回の治療を数ヶ月行った後、隔週1回の治療で良好な状態を維持できる可能性が高いです。)
(網膜色素変性に伴う弱視も解消された症例が複数有り、長期間良好な状態を維持しています。)

○屋外で紫外線を受け過ぎないことや、疲れを溜めない事が病気を進ませないことに繋がります。
(遮光眼鏡でも完全な防御は難しいため、屋外の仕事やスポーツは気をつけて下さい。)
(中医学の理論や患者さんからの問診でも、疲労の蓄積は症状悪化に結びつくことが明らかです。)
(中・高・大学生の過度のスポーツも進行原因になり得ます。十分な休養を取り行って下さい。)


○遠方の方の治療に、各地の提携治療院に協力いただき眼科鍼灸ネットワークを試みています。
(初診は当院で行い、診療情報を参考に継続した治療は、お近くの提携治療院で行う仕組みです。)

(最寄りの提携治療院の情報等、詳しくは「眼科領域の難病治療を提携治療院でを参照下さい。)

・当院で治療を続けられた140名を超える患者さんの治療結果は「網膜色素変性への鍼治療」Web公開版・電子書籍の通りで無効例は少なく、年齢や条件によっては治療者の私自身が信じられない程の著効を見る場合もありました。眼科医学の常識では「あり得ない」はずなのですが、患者さん自身の自覚に加えて、客観的な検査でも裏付けるデータが出ています。この病気の治療を始めた頃は手探りでしたが、患者さんから様々な助言やヒントをいただき、測定結果等も分析して効果の検証と治療法の改良を続けています。

・網膜色素変性は視力や視野がある程度残存している場合、病気の進行を抑えることができれば、実際の日常生活で困ることは限られています。多くの患者さんが最も苦慮されていることは、確実な治療法が無いことに加え、予想される病気の進行と思います。私自身も特定疾患のクローン病(消化管の自己免疫疾患)を患っていたため、以前は同じ思いで苦しんできました。当院が積み重ねてきた針治療は、少なくとも網膜色素変性の進行を抑え、半数以上の方で明らかな改善さえ得られている治療法です。手術法ではなく薬物も使用しないため、副作用や合併症の可能性も皆無であり、最も安全な治療法といえます。

・患者さんに気をつけていただくこととして、喫煙(血管を収縮させて眼底の血流量が低下する)は止めることや、強い光や紫外線(酸化作用により変性を促す)を避ける、野菜を中心とした食事やルテインの摂取、スマホ等の目に負担をかける作業は極力避ける、遮光眼鏡を使用する、適度な運動、睡眠不足やストレスを避ける等の指導をしています。仕事等、止むを得ない場合もありますが、ご自身でも努力していただきたいと思います。

・一部の医薬品は網膜色素変性に伴う症状や視野狭窄などに関わりますので、患者さんは特に気をつけていただく必要があります。眼科以外の他科で普通に処方される医薬品の中でも、特にステロイド系薬剤は可能な限り回避すべきです。、他にも様々な症状や進行に関わる医薬品は少なくありません。当院では眼科薬理学の専門的な資料や医療機関向けの医薬品データベースを完備していますので、服用されている医薬品に対して、目への影響の可能性を説明することができます。

・遺伝が関与するケースも多い網膜色素変性ですが、中医学的には身体の消耗(主に肝腎両虚症)により、進行することが分かっています。逆に言えば身体の消耗が少なければ、進行は緩やかになります。特に疲労を蓄積しないこと、十分な睡眠や休養、バランスの良い食事が大切になります。現代医学的な病因・病理だけでなく、病気の本質を考えた日常生活が大切になります。

・千秋針灸院には眼科領域の様々な病気や症状の方が来院されますが、網膜色素変性では200名を超える治療実績があります。このため臨床数が非常に多く、データや治療法、経験も豊富に蓄積されており、様々な進行状態にある患者さんの状況に合わせた治療方法を提案することが可能です。また当院は眼科領域の専門治療院ですので、全力を挙げて眼科疾患に集中した取り組みを行っており、 他の眼科領域の疾患も含め、高い専門性を皆様に役立てていけることを目指しています。


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医薬品・手術による副作用情報

・医薬品による副作用の情報については、

眼科関連情報
 および、目の健康に影響を与える医薬品情報 も参照して下さい。

・網膜色素変性ではステロイド系薬剤が網膜に影響を与え、視野狭窄を増幅させる実態が分かってきました。ステロイドの内服や坐薬は特に影響が大きいため、可能な限り避けることをお勧めします。ステロイドは抗炎症・抗アレルギー等を目的に、非常に広範に使用されています。ご注意下さい。
・ステロイド系薬剤の副作用...視野狭窄や黄斑浮腫といった網膜障害、眼圧上昇、白内障の進行

・網膜色素変性症で広く用いられているアダプチノール(バイエル)は、眩しさの増強や光視症の副作用を伴いやすく、症状として眩しさが気になる患者さんは、無理に使用しないことをお勧めします。その他にも下痢や軟便といった消化器症状、疲れやすい、頭痛や頭部の圧迫感も副作用です。
・アダプチノールの副作用...眩しさ増強、光視症(光がチラつく、光が見える、光が眼内を走る等)

・比較的副作用は少ないとされるレスキュラ点眼薬(アールテック)ですが、当院の患者さんで点眼開始後から明らかな視力低下・視野狭窄・視界が暗く感じる等の副作用が出ています。点眼の開始後から異常を感じる場合には、副作用の可能性がありますので、医師にご相談下さい。

・レスキュラを含めたプロスタグランジン関連薬の点眼薬は、嚢胞様黄斑浮腫(CME)を発症・悪化させる副作用があります。CMEが一定の大きさを超えると歪んで見える変視症となり、眼科での治療は難しくなります。OCT(光干渉断層計)による検査結果では、若年者も含めて網膜色素変性の比較的多くの患者さんでCMEが存在していることが明らかになっています。こうした点眼薬を使用する場合には少なくともCMEが発症していないことを確認されることをお勧めします。
・レスキュラの副作用...結膜充血、眼の痛みや異和感、視力低下、暗黒感、頭痛や圧迫感、動悸等
・嚢胞様黄斑浮腫(CME)の発症・悪化リスクがあり、使用前にOCT(光干渉断層計)検査を行う必要

・抗コリン作用を持つ薬剤は散瞳を伴うため、アダプチノールと同様に眩しさなどの症状を増強させる副作用があり注意が必要です。また隅角の狭い方では、急性の閉塞隅角緑内障や眼圧上昇を生じる可能性があります。デパス等の安定剤をはじめ、幅広く処方されていますので注意して下さい。
・抗コリン作用を持つ薬剤の副作用...眩しさの増強、眼圧上昇や閉塞隅角緑内障を発症させる恐れ

・また精神安定剤や喘息等への抗炎症薬として一般に処方されているフェノチアジン系抗精神病薬、一部の抗アレルギー薬について、薬剤性の網膜色素変性を発症させる恐れがあります。()内は代表的な商品名です。薬剤性RPは一般的な網膜色素変性とは進行の程度などは違うようですが、注意が必要です。
・フェノチアジン系薬剤の副作用...長期または大量の使用で、網膜色素変性の発症や進行の可能性

・クロルプロマジン(コントミン、ウインタミン)
・レボメプロマジン(ヒルナミン、レボトミン)
・チオリダジン(メレリル)
・フルフェナジン(フルメジン)
・プロペリシアジン(ニューレプチル)
・ペルフェナジン(ピーゼットシー、トリホラン)


・眼科薬理学ではフェノチアジン系抗精神病薬は長期又は大量の服用により、薬剤性の網膜色素変性(色素沈着)を生じる可能性が知られています。健常者では比較的軽度の障害とされていますが、発症リスクのある方の引き金を引いたり、既に発症している場合には進行させる恐れも考えられます。またフェノチアジン系以外の精神安定剤や他の医薬品についても、角膜や水晶体などに対して副作用を持つ薬があります。安定剤をはじめ、他の医薬品も含めて必ず薬理学に詳しい専門家の意見を聞き、慎重に服用されるようにお勧めいたします。


・薬の副作用の考え方として、一般的には「副作用が出なければ服用しても良い」と解釈されていますが、既に副作用と同様の病気が発症している場合や、様々な理由で副作用の出現する確率が高いと考えられる場合には、できる限り「疑わしきは避ける」とした方が賢明です。(詳しくは医師や薬剤師にご相談下さい。当院でも医療機関で使用される医薬品のデータベースから、正確な情報を提供しています。)

・白内障手術は手術時に挿入する人工水晶体が、網膜毒性のある400nm〜500nmの短波長光を十分にカットできず透過させてしまうため網膜に負担を掛け、手術後当初は視力が上がっても半年から数年以内に視力低下を生じる症例が多くあります。また術後は黄斑浮腫などの合併症のリスクも高くなるため、積極的な白内障手術はお勧めできません(眼圧上昇など医学的にリスクがある場合を除く)。やむを得ず行う場合はできるだけ両眼同時は避け、既に手術後の場合には遮光眼鏡の使用や日中はつばの広い帽子をかぶる等、強い日光を避ける工夫が必要です。またルテインなどの服用も短波長光から網膜を保護する作用が期待できます。
・白内障手術は、術後数年以内に視力低下等を生じる症例が多く、手術には慎重な判断が必要です。

関連製品のご紹介(中薬、抗酸化サプリメント、遮光レンズなど)


○抗酸化サプリメントについて(白内障対策・錐体細胞保護)

・当院の針治療は網膜色素変性に対して、視力・視野といった視機能の改善・維持を多くの場合に確認できていますが、合併症として多い白内障に対しては、確実に抑止効果があるかどうかという点で不明でした。視力・視野は改善していても、白内障は関係無く進行する症例が見られるからです。当院では遮光レンズによる紫外線対策と共に、長期間に渡り水晶体に多く含まれている紫外線への抗酸化作用を持つビタミンCを、安全な低用量(1.000mg/日)程で摂取し続けることをお勧めしています。なお必要な容量を日に数回に分けて摂取していただければ、安価な商品(月に数百円)でも問題ありません。

・また近年では錐体細胞の保護に抗酸化物質が関与していることが報告されています。ビタミンCだけでなく、ルテインや各種ポリフェノール等の摂取は網膜色素変性の進行を抑制する可能性があります。

関連リンク・・・中薬(漢方薬)、抗酸化サプリメント、遮光レンズのご紹介


○当院の遮光レンズ(サングラスを含む)について


・網膜色素変性の患者さんの多くの方は、遮光レンズ(CCP等)を使用されています。しかし使用されている遮光レンズの色は濃色が中心です。眩しさの軽減が目的でも暗くなる為に瞳孔径は大きくなり、眼鏡と顔の隙間から入る光や紫外線の影響を受けやすくなります。また瞳孔径が大きくなると虹彩と水晶体の間隔が狭まり、眼房水の流れも悪くなる為、眼圧上昇の原因にもなります。網膜色素変性では白内障や緑内障の合併も多いことが知られていますが、濃色レンズの日常的な使用も無関係では無いのかもしれません。


・当院では高性能な遮光性能を持つ薄い色の遮光レンズをお勧めしています。眩しさを抑える目的が達せられる遮光性能があれば、上記の理由から濃色レンズを使用する必要はありません。来院されている患者さんからも、薄い色の遮光レンズに変えたところ眼圧が下がった方や、濃いレンズにした頃から色素変性や白内障が進んだといわれる方がありました。なお遮光性能は特に色の薄いレンズでは数年程度で低下する(色落ち)ようです。目の状態も変化しますので、5年程度で作り変えることをお勧めします。

・遮光レンズとは別に室内向けの眼鏡レンズとして、ルティーナ(東海光学)等をお勧めしています。ほぼ透明なレンズでUVだけでなく、LED照明器具やテレビ、スマホ等から生じる青色光を大幅に軽減します。遮光レンズとは異なり明るさは変わらないので夜間や室内でも使用でき、網膜色素変性の患者さんに喜ばれています。

○関連リンク

○当院症例報告(Web公開版) 中医学による網膜色素変性症への鍼灸治療
○当院症例報告(Web公開版・電子書籍) 「網膜色素変性への鍼治療」

眼科領域の難病治療を提携治療院で(当院ページ)

ナガレボシのココロ 網膜色素変性 Emuさんのブログ ページ作成等、ご指導いただきました。

○参考文献

○参考文献・蔵書一覧

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   ・本ページの内容は現代の眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいています。
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