加齢黄斑変性     更新日 21.6.28   3.018 本文へジャンプ

・滲出型加齢黄斑変性(AMD)、萎縮型加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜血管腫状増殖(RAP)、前駆病変としての軟性ドルーゼンや網膜色素上皮異常
・主に50才未満の方に多い脈絡膜新生血管(近視性黄斑変性など)は→こちら


現代医学での概要と当院の針灸治療 
長期的な視機能維持と針治療 
患者さんからよくある質問 
院長からひとこと
中薬、抗酸化サプリメント、遮光レンズ等のご紹介 

当院の統計症例報告 2016.3.13 第33回「眼科と東洋医学」研究会 台東区民会館にて報告
●リンク・・・「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」 詳細に解説しています


眼科での治療法の概要と当院の針治療


・黄斑部に起こる進行性の疾患で、中心視力が徐々に失われ、視界内に歪みや暗点を生じながら進行し、失明に至る場合もあります。滲出型と萎縮型があり、滲出型加齢黄斑変性では、抗VEGF硝子体内注射が治療の主流となっています。
・当院での黄斑変性全般への鍼治療は15年以上、200名を超える実績があり、眼科医主催の研究会等で統計症例報告を行っています。
・針治療の効果は眼底周囲の循環を改善することで、軽症の場合には硝子体内注射に頼らず視力や視界の歪み・暗点などを改善したり、悪化を予防することが可能です。最近では重症の場合でも最小限の硝子体内注射と併用することで、良好な状態を保つ症例が増えてきました。


・当院の針治療は特に眼底を含めた局所(目周囲)の血流を改善することにより網膜虚血を改善し、眼底部位の炎症や出血を効果的に吸収させる治療法で、眼底周囲の血流は改善され良好な状態が維持されるため、悪化や再発の危険性を大きく減らすことができます。針治療の継続症例では再発や視力低下は10年以上の経過例でも非常に少なく、眼科医療機関で抗VEGF製剤(アイリーア等)治療等を薦められていた患者さんの多くは視力が上昇、状態が好転した結果、「当面の治療は必要無し」と診断され、OCT(光干渉断層計)や眼底写真上でも、針治療の前後で明瞭な変化がある場合もあることが確認できています。


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長期的な視機能維持と鍼治療


・加齢黄斑変性は慢性的に視力低下や変視(歪みや暗点)を伴いながら黄斑萎縮へと進行します。発症当初は抗VEGF硝子体内注射等も効果を上げますが、数年以上が経過して黄斑萎縮を生じると眼科では視機能を回復させる治療はありません。加齢黄斑変性の長期的な治療は黄斑萎縮を防ぐ視点が必要になりますが、鍼治療は網膜等を含む眼底の血流を改善することで黄斑萎縮への進行を抑えることに繋がります。

①患者さん自身で取り組んでいただきたいこととして、以下がポイントになります。
【最重要】・・・喫煙は止める、直射日光下では帽子と紫外線カット眼鏡等の着用
【重要】・・・毎日の飲酒を控える、白内障手術後は紫外線対策を徹底する、ルテインの摂取
【日常】・・・睡眠、適度な運動と食事、仕事などによる過労を避ける


②鍼治療による改善や維持・進行抑制の程度
・急速に悪化しつつある状況でなければ、鍼治療単独で視力や変視(歪み・暗点)は改善へ向かう可能性が高いです。現在は当面抗VEGF硝子体内注射による治療で悪化を止めてから、鍼治療で本質的な改善と繰り返される硝子体内注射を極力減らすことを希望される方が多いです。また鍼治療を長期間継続することで再発や健側への発症を防ぎ、長期的な視機能維持も容易なため、5~10年以上経過して生じる黄斑萎縮への進行による視機能低下を抑制してきた実績があります。

③必要な鍼治療頻度の目安 (患者さんの目の状況に合わせて治療間隔は徐々に空いていきます)
【治療開始当初】
・発症後1年以内で視力低下等が著明な場合や、抗VEGF硝子体内注射を続けている場合は週2回
・発症から長期間が経過していたり視力低下等が軽度な場合は週1回
【長期的に必要な治療回数】
・加齢黄斑変性単独では月1回程度、強度近視性など悪化リスクが高い場合は月2回程度


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患者さんからよくある質問


Q 針治療により、加齢黄斑変性が治るのですか? もしくは進行を遅らすことはできますか?

A 加齢黄斑変性には様々な病態があります。滲出型の中で比較的多い新生血管症、黄斑浮腫などでは、視力の向上や変視症の改善等、硝子体内注射やレーザーを中心とした現代医学でのアプローチに比較して良好な結果が得られています。また現代医学での治療法が無かった萎縮型黄斑変性でも個人差はあるものの、視力が健側並に向上する等、治癒として差し支えない程の著効を示す症例に度々出会います。萎縮型だから改善は望めないという眼科医学の常識は、必ずしも当てはまらないと考えて下さい。

・強度近視(病的近視)が関与する加齢黄斑変性では網膜自体の脆弱性から程度により、一定期間治療した後でも状態がやや安定し辛い傾向があり、また網膜血管腫状増殖(RAP)については、症例数が少なく針治療の評価は定まっていません。また過去にPDT(光線力学療法)、レーザー(光凝固術)、抗VEGF製剤の眼内注射やステロイド注射(テノン嚢下注射、硝子体内注射)等を繰り返した症例では、病気の遷延化による黄斑萎縮や様々な後遺症による障害が考えられるため、治療効果として一定期間治療した後でも状態が安定し辛かったり、やや劣る傾向があります。

  
・鍼治療の効果は黄斑変性の病態や程度により様々ですが、少なくとも現代医学でのアプローチに比べ、視力の向上や変視症の改善などの点で好結果が得られます。また10年以上鍼治療を続けられた症例などから長期的に多くの場合で悪化を回避し、健側への発症も防いでいると考えられます。現代の眼科医学では長期的には黄斑萎縮を生じ易く治癒は見込めない疾患ですが、鍼治療を加えることで病状は改善、安定し、長期に渡り黄斑萎縮による失明の危険から眼を守ることができると考えられます。

Q 医師から手術療法(PDT、抗VEGF製剤、ステロイド眼注等)を勧められましたが?

A 患者さん自身の眼の状況を正確に掴み、手術が必要かどうか慎重に判断する必要があります。
・眼科医学は検査機器が急速に進歩している分野ですが、当院に来院される患者さんで複数の眼科で診察を受けられた方は診断だけでなく、抗VEGF硝子体内注射についても軽症例では判断が異なる場合があります。短期間で急激に視力が下がるなど緊急を要する場合もありますが、医師に硝子体内注射を勧められたときには、可能な限り別の医療機関でも意見を聞いた方が良いと思います。なおPDT(光線力学療法)については、黄斑萎縮の進行を早め中長期的には視力低下を生じることが分かっていますので、行わないことをお勧めします。


・現在なら抗VEGF製剤の硝子体内注射は、活動期の新生血管に対して最も効果があるようです。(ルセンティス、アイリーア、ベオビュ等) しかし当院に来院されている患者さんの中には、抗VEGF硝子体注射後に更に視力が落ちた症例もあり、副作用が無い訳ではありません。また注射を行ってもほとんど改善しない場合もあり、この場合に漫然と眼内注射を繰り返すのは、副作用や合併症のリスクが高まります。(アイリーア等の硝子体内注射は過去の様々な手術療法に比較すれば、安全かつ効果が見込める治療法です)  

・ステロイドのテノン嚢注射は抗VEGF硝子体内注射に比較して効果が劣る上、数ヶ月で薬の効果が切れると再発し易く、副作用としての眼圧の上昇は27%、白内障の進行は31%と報告されています(OkadaAA 2003)。また注射に伴うブドウ球菌などによる感染症のリスクもあります(GharaeeH 2011)。2005年以前であれば、スタンダードな治療法ですが、現在では積極的に選択する理由は見当たらないと考えられます。

・非常に活発な活動期で、短期間に急激な視力低下(0.1未満)を伴う場合を除き、数ヶ月の針治療を行えば良好な状態に変化していく可能性は十分にあります。急激に悪化している場合を除けば、まず3ヶ月程の針治療も試してみることをお勧めします。多くの方で視力の向上や眼底病変の改善等により、軽症~中等症では針治療開始後のアイリーア等の硝子体内注射は不要となっている事実があります。黄斑変性を含めた多くの病気は発症した理由があり、原因に繋がる要因を変えない限り再発や悪化を繰り返してしまいます。この観点からも硝子体内注射は可能な限り必要最低限で済ますべきです。

・アイリーアなどの硝子体内注射が本当に必要な状況か、今一度検討してみて下さい。

・加齢黄斑変性において、VEGFは病的血管(新生血管)を生じる原因となることから、抗VEGF硝子体内注射(ルセンティスなど)が、眼科での治療の第一選択となっています。しかしVEGFは網膜などの正常血管の発達や修復にも関わっており、神経保護因子としての働きもあることから、網膜の健全性が損なわれやすく、必要最小限の投与とすべきです。最近の報告では10回以上の抗VEGF硝子体内注射を行なった患者さんの経過観察で、視神経乳頭の陥凹が有意にみられ、眼圧も上昇する傾向があることが分かっています。特に70歳以上の高齢者では8人に1人は緑内障があり、加齢黄斑変性の治療として抗VEGF硝子体内注射を頻回に行う事は、緑内障進行のリスクが高まります。

・千秋針灸院では、最新の眼科医学の知見と当院での針治療の実績・結果から、抗VEGF硝子体内注射(アイリーア等)については最初の3回程度に止めるべきであり、適切な針治療を行なっており、病変部の障害が比較的軽度であれば、硝子体内注射は行なう必要はないという結論に達しています。ルセンティスやアイリーアについては、10回、20回などと漫然と使い続けたり、2週間以内といった短期間に何本も硝子体内注射を行うケースには注意が必要で結局悪化しているようです。また硝子体内注射を行うことによる眼内炎(感染症)は1.000例に1例とされていますが、仮に10回行えば、100分の1に確率が上がることになります。


・注意すべき副作用として、網膜色素上皮裂孔が問題視されています。光線力学療法(PDT)や坑VEGF抗体硝子体内注射(アバスチン、ルセンティス、アイリーアなど)を行った後に、新生血管の消退や萎縮した網膜色素上皮などから牽引が起こり、網膜色素上皮が裂けたり小型の傷ができるもので、黄斑部を巻き込んで裂孔が生じると大幅な視力低下に繋がります。このことは加齢黄斑変性の患者さんの網膜は元々脆弱であり、網膜色素上皮剝離(網膜浮腫)などを伴うことが多いため、網膜が薬剤による急速な変化に耐えられないことを意味しています。たとえ時間が掛かっても適切な鍼治療などにより、網膜を健全にする方向が無理なく本来の姿であることは言うまでもありません。

・抗VEGF硝子体内注射の適応について、特に有効なのは活動期の新生血管に対しての効果です。網膜浮腫に対しても薬剤が残っている間は有効ですが、初期に十分な効果を発揮しない場合には、繰り返し注射を行っても改善しないばかりか、白内障・緑内障の発症や進行のリスクが生じてきます。数回の注射を行っても改善しない場合には、それ以上続けない方が安全です。

Q 千秋針灸院で視力や変視症の測定で効果が出た場合に、病院でも同じ結果が得られますか? 

A 視力の場合は眼科と同等の測定ですので、病院での診断でも同様な結果が得られることを確認しています。当院の視力測定は公式に0.03から測定可能ですので、通常の医療機関では手動弁(カード等)となる0.1未満の視力でも正確に測定可能です。手動弁(カード等)や近距離での視力検査に比較して、NIDEK社システムチャートSC-2000を使用した当院での測定結果の方が状況によっては正確と考えられます。


・当院の変視症測定については、鈴木式アイチェックチャート、M-CHARTS共に、眼科医学に基づいた医学的根拠のある評価法として認知されているものです。しかし現在の眼科医学は患者さんが自覚できる視力や変視等の変化よりも、眼底の状態を画像として捉える他覚検査に重点が置かれており、患者さんの自覚による評価法は重視されない傾向があります。当院での測定結果は眼科医学としては通用するものですが、当院での測定法を眼科が採用していない場合には、評価していただけないケースがあります。

・当院では患者さんに自覚できる視力の向上や変視症の改善が最も重視すべき点と考えており、鍼治療も含め病医院とは別の角度から加齢黄斑変性に対しての治療を行ってきました。また鍼治療の効果を客観的に判定するために、各種の評価法を取り入れ、加齢黄斑変性への鍼治療を確実にしていくことが目標です。  

Q 鍼治療は黄斑変性に効果がありそうですが、どこの治療院でも同じ治療は受けられますか?

A これまで眼科領域を専門とする治療院は一部の大都市に限られ、遠方の患者さんは実質的に治療の継続が困難でした。当院でも遠方から来院されている患者さんを、どのように治療していくかは最も深刻な課題です。そこで当院では治療法や測定方法を公開して、全国で実力があり眼科領域の鍼治療に協力していただける治療院と眼科鍼灸ネットワークを作り、遠方の患者さんへ距離の壁を越えた可能な限りの治療ができる体制を目指しています。提携治療院の治療法は当院と完全に同一ではありませんが、当院の治療法や治療方針を参考にしていただき、また医学的な根拠に基づいた測定により鍼治療での「結果」が得られるよう努力しています。


・当院では視力や変視症に対しての医学的な根拠に基づいた評価法を重要と考え、積極的に導入してきましたが、眼科領域を掲げる他の治療院では、適切な評価法は行われていないようです。医学的根拠に基づく評価法が行われないということは、その治療院の鍼治療自体に根拠が乏しいと言われても仕方がありません。また眼科医療機関では通常眼底検査(造影・OCT等)が重視され、眼科医療の基礎である視力や自覚検査は、あまり丁寧ではない場合があります。患者さんにとっては自覚検査も他覚検査(眼底等)も共に大切ですので、眼科鍼灸ネットワークでの治療では、当院での視力や変視症の測定・評価を大切にしています。

・なお当院での初回測定や治療を行わず、提携治療院へ直接通院される場合、患者さんへの適切な治療や指導が行われているかについて、個別の状況が分りかねますので当院は関知できません。提携治療院へ直接通院される場合には、病気への説明や治療、生活指導などは全て提携治療院の先生にご相談下さい。最近こうした問い合わせが多いのですが、一度も診せて頂いたことの無い患者さんへ、電話等で個別に適切な助言ができる専門家はいないと思います。申し訳ありませんが、敢えて書かせていただくことにしました。


眼科領域の難病治療を提携治療院で(当院ページ)
から、お近くの治療院をお探し下さい。

Q 針治療はサプリメント(ルテイン等)や漢方薬、処方されている医薬品との併用は可能ですか?

A 針治療は薬物ではなく、患者さんごとの体質や症状に合わせて、最適なツボに必要な刺激を与えることで、誰もが本来持っている自然治癒力を引き出す治療法です。このため基本的に他の治療法と併用されても通常は問題ありません。針治療を併用することで、薬物は通常効果が増します。(緑内障やバセドウ病等、多くの実例があります) ルテインや漢方薬だけで効果が実感できなかった方も、当院の針治療を受けられる場合は続けてみて下さい。以下、各療法の併用での注意点を挙げます。


サプリメント(ルテイン等)...過剰摂取にならないよう用量を守り、多種類の摂取は控えましょう。
漢方薬...体質に合うかが最も大切です。漢方治療に精通した眼科医による処方をお勧めします。
医薬品...当院から薬物療法への指示はできません。原則は医師の処方で服用して下さい。


Q 針治療は視力低下や感染症等の副作用ないですか? 医師には分からないと言われますが。

A 鍼治療は薬物を全く使用しない治療法です。また当院の治療法では感染症のリスクや強い内出血を伴う眼窩内への鍼も行いません。また使い捨て(ディスポーザブル)の鍼を使用していますので、副作用や感染症の心配は皆無です。眼科領域の全ての外科的治療(レーザー、眼内注射など)に比較して、最も安全な治療法です。当院の眼科疾患では10才未満の子どもさんから、安全で痛みの少ない鍼治療を行っています。 


・日本では医師の教育や医療制度に鍼灸が組み込まれていないため、鍼治療の実際については、多くの医師には理解されてはいません。しかし眼科領域は検査機器が進歩している分野です。医師には理解していただけない部分もありますが、一人一人の患者さんを丁寧に治療し、現代医学的にも結果を積み重ねることが、この病気の克服に繋がるものと思います。現代医学以外は一切信用しない方もありますが、私自身が難病のクローン病(特定疾患)を患い克服できた経験から、どのような治療でも、結果を出せる治療が患者さんにとって意味があり、結果の出せない治療法は現代医学でも鍼治療でも意味が無いと考えています。

・千秋針灸院は2016年3月13日 第33回「眼科と東洋医学」研究会での一般口演で、「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」を統計症例報告として発表しています。公の場での眼科専門医に向けての報告ですので、今後は医師に眼科領域の鍼治療の存在も少しずつ理解していただける可能性があります。

Q 眼科医から「瘢痕化しているため、治療法はありません」と告げられました。針治療の効果は?

A.瘢痕病巣の大きさや病歴の長さにもよりますが、視力や中心暗点が改善する症例も少なくありません。
・円板状の瘢痕病巣が小さく病歴が比較的短い場合には、病巣が小さくなるなどして灰色に見える中心暗点は小さくなったり、薄くなることがあります。瘢痕病巣とは新生血管からの出血などによる炎症後、増殖した線維芽細胞に網膜色素上皮細胞やグリア細胞が入り込んでいる組織で、瘢痕治癒の過程でのマクロファージなどによる異常な免疫炎症反応が関与しているとされます。適切な針治療を行うことにより眼底血流は改善し、異常な免疫反応は起こり難くなることから、網膜黄斑部の瘢痕の拡大は停止し、黄斑部組織の損傷や萎縮による視力低下を防ぐことに繋がります。この結果、数年単位の観察では網膜が健全になることから、視力や中心暗点は改善していく症例は多いです。


Q.硝子体内注射を定期的に続ければ、加齢黄斑変性は悪化しないと言われましたが?

A.加齢黄斑変性自体は薬が効き続けるため当面は悪化し難くなりますが、他の合併症を受け易くなります。
・硝子体内注射(アイリーアやルセンティス)を数ヶ月毎に行うことで、黄斑変性の再発を予防し視機能維持に繋げようという治療が目立ちます。従来の悪くなるまで待つ方針よりは積極的で、数年までといった中期的には視機能維持に繋がる結果も出ているのですが、数年以内に10回以上の硝子体内注射を行うことになります。概ね10回を超えると緑内障の発症確率が有意に高まることから、眼科でも視野や眼圧をチェックしていますが、緑内障を発症して点眼薬などの治療を始められる方も少なくありません。加齢黄斑変性に加えて医原性の緑内障を合併しては、目の健全性は大きく損なわれてしまい、10年以上といった長期では視機能維持が困難な状況に陥る可能性があります。また脳出血や他の合併症も回数を重ねる程に発症確率が上がります。

・加齢黄斑変性の根本的な原因は、黄斑部での血流が不足し、酸素や栄養が行き届かず老廃物が溜まるために起こります。硝子体内注射は弱った網膜細胞から出るSOS(VEGF)信号を薬品で打ち消すことで、新生血管を生じないようにする治療です。硝子体内注射を長期間続けた場合には弱った網膜細胞を見殺しにする上、健全な血管を補修するのに必要なVEGF信号も打ち消してしまうため、10年以上といった長期的には網膜本来の健全性が損なわれて黄斑萎縮を生じ、視力を含めた視機能維持が困難になる可能性があります。実際に以前は主流の光線力学療法(PDT)は、近視性の場合には黄斑萎縮を早めて視機能を失う可能性が高いことが報告されたように、大切なことは後から分かってきます。

・当院の針治療を適切に続けている患者さんでは、10年以上でも加齢黄斑変性の悪化はまずありませんし、針治療を行っていない場合でも様々な注意点をできる範囲で守れば、概ね治癒している状態から再度悪化する可能性は高くはありません。硝子体内注射は大きく悪化している場合にのみ行い、予防などとして必要以上に漫然と注射を続けることは合併症を招く結果に繋がります。ご自身の目ですから硝子体内注射や針治療も含めて他人任せにせず、様々な観点から治療法や対策をご検討下さい。例として薬効が切れている状態で矯正視力1.0以上がある場合に、硝子体内注射は不要です。当院に来院された方には変視(歪みや暗点)も無く、視力1.5でも硝子体内注射が必要と言われた患者さんがありました。硝子体内注射の治療に疑問や不安がある方は、当院の初診時にご相談下さい。


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院長からひとこと


・症例報告にあたり、黄斑変性への当院の針治療の役割が明確になりましたので、まとめました。

針治療は硝子体内注射に比較して、視力をはじめとした視機能の改善に優れ併用も可能です
(当院統計症例報告 
「黄斑変性への鍼施術が、視力に及ぼす影響について」を参考にして下さい)

長期に渡り、再発や黄斑萎縮による視力低下等の悪化、健側への発症を予防する目的
(やや高い確率で再発や悪化、健側への発症が起きます。当院では15年以上の実績があります)

ルセンティスやアイリーア、ベオビュ等の硝子体内注射、PDTなどの再手術を回避する目的
(針治療は視機能の改善や維持が容易なため、多くの場合に再注射を回避します)

・当院の加齢黄斑変性の治療は全ての症例が治癒する訳ではありませんが、特に視力(矯正視力)の向上と維持・症状の軽減に特徴があり、眼科検査でも良好な結果が得られています。軽症な症例では視力1.0以上、変視(暗点や歪み)の解消など実質治癒の場合も少なくありません。視力低下や変視の程度が少なく、発症して数年以内の場合には治療効果も高く、かなり短期間に改善する傾向があります。針治療により注射等も回避できる可能性が高いため、早期に治療を受けられることをお勧めします。

・当院のホームページから来院され、発症後数週間という、かなり早期に治療を開始できたケースがあります。このケースでは視野内の暗点(眼底出血)が少なく視力低下が固定されなかったため、針治療のみで半年程度の期間で視野内の暗点がほぼ消失し、視力が発症以前の状態に回復した症例がありました。早期の治療開始が好結果を生んだ症例と思います。 この症例では2年後に眼科医から「黄斑変性ではない」と診断されました。当初は新生血管の存在が確認され、光線力学療法等が検討されていたことから、間違い無く黄斑変性なのですが、眼科では経過観察のみで治療が行われていなかったため、「黄斑変性が自然に治る訳が無い」という意味の裏返しの診断なのでしょう。つまり針治療のみで医学的に治癒したことになります。

・患者さんに気をつけていただくこととして、喫煙(血管を収縮させ眼底の血流量が低下する)は止めることや、飲酒量(網膜浮腫を生じる可能性が高まる)を減らす。紫外線(黄斑部を刺激し変性を促す)を避ける、野菜を中心とした食事やルテインの摂取、パソコン・スマホ等の目に負担をかける作業や、コンタクトレンズ(目への負担を避けるため)の使用を最小限にする等の指導をしています。仕事等、止むを得ない場合もあるかと思いますが、可能な範囲で努力していただきたいと思います。患者さん自身の努力の結果が、当院の黄斑変性治療への高い成功率に繋がっていることは間違いありません。

・千秋針灸院には様々な病気や症状の方が来院されますが、当院では既に200名を超える黄斑変性の治療実績があります。この結果、加齢黄斑変性に関しても臨床数が圧倒的に多く、データや治療法、経験も豊富に蓄積されているため、患者さんの様々な状況に合わせた治療方法を提案することが可能です。

・当院の眼科領域の治療は、唯一の専門領域と位置付けているため、全力を挙げて眼科疾患に集中した取り組みを行っており、 他の眼科領域の疾患も含め、高い専門性を皆様に役立てられることを目指しています。遠方の方は提携治療院等、通える範囲にある治療院を紹介していますが、眼科領域の疾患に対応できる治療院は限られますので、通院可能な場合は出来る限り当院もしくは提携治療院での治療をお薦めします。

○遠方の患者さんに、実質的な治療が行える鍼灸ネットワーク(仮称)を行っています。
(当院で初診を受けられた患者さんは、お近くの提携治療院へご紹介が可能です。)


・遠方から来院される患者さんに実質的な治療が行えるよう、全国規模で提携先治療院と当院で連携した治療を行っています。当院への通院回数は数ヶ月から年1回と少なく済みますので、当院へ通院するのに比べ経済的・時間的な労力を少なく針治療を受けることができます。   眼科領域の難病治療を提携治療院で

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中薬(漢方薬)、抗酸化サプリメント、遮光レンズ等のご紹介


関連リンク・・・抗酸化サプリメント、遮光レンズ等のご紹介

・千秋針灸院では、単なる治療にとどまらず、様々な日常生活での注意点や、適切なサプリメント等の紹介や摂取法、遮光レンズに代表される有用な道具の説明や紹介をしています。患者さんによるこうした努力は結果として、早期の回復や大幅な改善、治療回数を少なくできる等、当院の統計症例報告にもあるような、他の治療では見られない好結果に繋がっていると考えられます。

○漢方治療を希望される患者さんには、漢方薬に理解のある眼科をご紹介させていただきます。

・当院が参加、各種の臨床報告を行っている「眼科と東洋医学」研究会には、漢方薬での眼病治療を積極的に行う全国各地の著名な眼科医の先生方が出席されています。先方にご迷惑をかける恐れがありますので、ご紹介は来院された患者さんで希望される場合に限らせていただきますが、適切な漢方薬は針治療と併用することが可能です。ご相談下さい。

○眼科医学や抗加齢医学に基づき、眼科領域に関わるサプリメントをご紹介します。
(当院は特定商品の斡旋・販売は一切行いません。抗加齢医学会など各種報道を基にご紹介します。)

○遮光、偏光、ブルーライトカット等の眼鏡やレンズサンプルをご用意しています。
(当院はサンプルのみです。全国各地の眼鏡店で取り扱いがあり、様々な矯正や加工が可能です)

・当院では様々な眼科領域の疾患に対して、日常生活における紫外線の遮断や眩しさの原因となる短波長光(青色光)軽減を目的として、遮光・偏光レンズによる眼鏡の使用を推奨しています。最新の遮光レンズは非常に薄い色で一般のサングラスを上回る紫外線の遮断効果、短波長光を減少させ眩しさを軽減する特徴があります。千秋針灸院ではサンプルを用意していますので、必要とされる患者さんには説明や紹介をしています。また手軽に入手可能なブルーライトカット眼鏡もお勧めします。

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   本ページの内容は眼科医学及び中医学、抗加齢医学、千秋針灸院の治療実績に基づいて書いています。
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