三焦辨証 1.000 2001.12.6
三焦辨証とは、清代の呉鞠通が『温病条辨』で述べられた外感温病の辨証方法である。
『内経』で説明された三焦の部位と衛気営血辨証を基礎として、温病の病理変化等を説明する。
温病を上焦、中焦、下焦の病証に分類している。
1.上焦病証 手太陰肺経と手厥陰心包経の証侯を包括
軽い悪風悪寒、身熱、自汗、口渇あるいは口渇はないが咳、脈浮数や寸口脈が大
邪が心包絡に入ると舌の運動障害や四肢の冷え、うわ言をいう等が出現
2.中焦病証 足陽明胃経と足太陰脾経の証侯を包括
陽明燥熱 面目が赤い、呼吸が荒い、便秘、口等の乾燥、唇が裂ける、舌苔黄や焦黒、脈沈渋
太陰湿熱 面色淡黄、頭や身体が重い、胸悶、空腹感が無い、身熱等、舌苔黄膩、脈細・濡数
3.下焦病証 足少陰腎経と足厥陰肝経の証侯を包括
身熱、面赤、手足心熱、特に手背に熱感、口舌乾燥、神倦、難聴、脈虚大
または手足蠕動、神倦、意識の低下等、舌質紅絳、舌苔少
三焦病の各種の証侯も、温病の病理変化の段階を表しています。上焦、中焦、下焦と病が
進んでいくとされており〔途中で治癒に向かう場合もある〕、病証の出現部位や属している臓腑
経絡等も関連しているとされます。六経辨証、衛気営血辨証と同じく病理変化を掴むタイプの
辨証法で八綱辨証や臓腑辨証を補い、病因、病位、病程等に一歩踏み込んだものといえます。
臨床的には湿熱を主とする外感病に相当し、衛気営血辨証と同じく重症の伝染病等を指している
ため、日本国内の一般の針灸院で治療する機会は無いでしょう。東南アジアや中南米等の
海外の一部では応急処置として針灸を用いる場合もあると説明されました。