
punishment in Hornburg・第一話


狼に追われる羊のように、王子の数歩先を、従弟がよろけながら逃げていた。ハァハァと息が乱れ、足がもつれて倒れそうになるが辛うじて踏みとどまる。
「どこに行くんだ、東谷のエオメル」
セオドレドが松明を掲げると、燦光洞の壮麗な輝きの中に、壁に縋りながら必死に進もうとするエオメルの後姿が浮かび上がった。
「あっ」
エオメルは思わず声を上げていた。
角を曲がった先は、一面宝石の鉱脈に覆われた広間になっていたのだ。
「行き止まりだな」
口元にだけ笑みを刻んでセオドレドが言った。

「エオメルが?」
西の谷の領主エルケンブランドに向かって、世継ぎの王子は秀麗な貌をしかめてみせた。
ヘルム峡谷の居城、角笛城の奥まった一室に二人はいた。
「おおそうじゃ、殿下にとっては大事な従弟殿であろうがの」
故エオムンドの嫡子エオメルは、先ごろ東谷の跡継ぎとして正式に認められたばかりだ。
かれは国王の甥であり、王子の従弟でもあるので、やがてはローハン宮廷に重い地位を占めるだろうと思われた。
「エオメルはごく素直な気質のはずだが・・・」
セオドレドが顎に手をやりながら呟く。
いつも自分の後を追いかけてきた、屈託ない少年のままのエオメルのイメージが、王子の脳裏に居座っていた。
だが従弟はごく若い時分から大胆な戦いぶりで数々の戦功を挙げている。
隣国にもその名を知られはじめており、マーク全軍を見渡しても数人しかいない騎士軍団長に命じられるのも時間の問題である。
その従弟が、東谷の領主になるなり強硬かつ高圧的な振る舞いで、騎士たちの顰蹙を買っているというのだ。
にわかには信じがたい話だった。だがエルケンブランドの人柄は誠実で、王子に嘘を告げるとは思えなかった。
かれが西マークの警備にあたる際はいつも角笛城に陣をかまえるのだが、かいがいしく世話をしてくれる老領主は祖父のような存在である。
「若くして東マークを担う従弟殿じゃ、すこし頑張りすぎているのかもしれませんな」
エルケンブランドがそう言って笑う。
「何といってもエオメル殿は陛下の甥御殿。なかなかたしなめるのも難しいものでの。王子殿下から諭して頂ければ有難い。皆の不満が高まらぬうちにな」
「わかった」セオドレドは頷いた。
(あのエオメルが・・・。まだ若いから、見栄を張ってことさら威張ってしまうのだろうか)
だが、騎士たちの和を乱すようなことがあってはならない。
従弟にきつく言わなくては、とかれは考えた。
王子は東谷に伝令を出し、エオメルをヘルム峡谷に呼びつけた。
そして従弟の到着前に、騎士たちの訴えを聞いておくことにしたのだが、その内容の深刻さに驚いた。
東谷は、隣国ゴンドールに接する国境の要所である。
その由緒はエドラスの黄金館よりも古い。
領主の住まうアルドブルグ館はもともと、エオル王の居城があった場所なのだ。
それゆえに彼の地は王家に次いで、良い馬を所有していることで知られており、名馬フェラロフの子孫も多数抱えている。
馬はローハンのもっとも重要な輸出品であり、それぞれの領地が良馬を生産することに力を尽くしている。
王家所有の駿馬は、特別の場合を除いて門外不出が原則なため、それ以外のフェラロフの血統を求めて、東谷には他の所領から交配の依頼が多く来るのである。
それが、エオメルが領主になるなり、種付けに従来の数倍の対価を要求するというので大問題になっているのだった。
王子のために設えられた豪華な居室で、セオドレドは眉間に皺を刻んでいた。
(まさか、金の問題とは)
エルケンブランドも詳細は把握していなかったらしい。
そして想像していた以上に、騎士たちの憤りは激しかった。
かれらは馬の交配の出来不出来が死活問題につながっているのだ。
同胞から不当に金銭を巻き上げようとする、東谷の新領主に多くの者が憤激しており、マークから追放して欲しいと進言する者、またエオメルに決闘を申し込みたいという者までいたのである。
従弟に「そのようなことは許さない」と厳しく言い渡し事実なら相応の罰を与える、と王子が確約したためみな納得したのだが、セオドレドは思ってもみないエオメルの言動に戸惑い、まだ事の真偽を判じかねていた。
(エオメルほど、信頼できる人間はいないと思っていたのだが・・・)
いらいらと髪をかき乱しているところに、近衛が「エオメルさまがお着きになりました」と告げた。
「東谷のエオメル、参上致しました」
成人したばかりの従弟が、颯爽と王子の前に歩を進めて一礼する。
「よく来てくれた」
セオドレドはそうねぎらい、指を鳴らして他の者に退出を命じた。
「また背が高くなったね。すっかり一人前の騎士だ」
二人きりになると従兄弟同士の親密さを声音に混ぜた。
「有難うございます。少しでも殿下のお役に立つよう努めております」
エオメルが生真面目に答える。
「きみになら、東マークを安心してまかせられると考えていた」
王子は大きくため息をついてみせた。そして相手を見据えて言った。
「だが、東谷の新領主にはその資格がない、と多くの者が噂している」
「・・・」
エオメルが瞳を大きく見開いて従兄を見返す。
「身に覚えがあるだろう、馬の種付け料のことだ。今までの数倍の価格に設定しているらしいが、どういうことか」
すると従弟の視線から最初の驚きが消え、挑むような光が宿ったのである。
「我が東谷の馬には、それだけの価値があると考えます」
挑戦的な口調だった。セオドレドは唖然とし、不愉快に思った。
それまでは内心、東谷のエオレドの中に金に汚い者がいて、年若い従弟に余計なことを吹き込んだのではないか−−エオメル自身はよく考えず、素直に従っているだけではないかなどと考えていたのだ。
「エオメル、領主たるもの、自領の都合だけではなく国全体の利益を考えるべきだろう」
「わたしはマークの利益を損なうつもりなどありません。それに価格は正当なものです」
王子の言葉にエオメルが反論し、さらに言い募る。
「この身は陛下及び殿下のためにいつでも捧げる所存です。しかし、所領の経営には口を出さないで頂きたい」
「エオメル」
セオドレドは身を乗り出して相手に言った。
「そもそも東谷をきみに下賜したのは誰だと思っているのか。その不遜な言い様はなんだ。そんなことでは、父の裁決を仰がねばならなくなるぞ」
意固地な表情のまま、従弟が王子を見返した。
そして「ご随意に!」と言い放ったのである。
(・・・)
セオドレドは呆れた。
今までに見たことのない、生意気な態度に怒りを覚える。
「わかった、もういい」
かれは手を振って、従弟を追い払う仕草をした。
エオメルが軽く頭を下げ、踵を返して居室を出て行く。
(どういうことだ。かれがこんな振る舞いをするとは。地位を手に入れたからなのか・・・?)
王子は椅子の背にもたれて息を吐いた。そして天井を見上げた。
「もともと、東マークの国境はゴンドールが盾となっているおかげで、西マークに比べれば敵の侵入の少ない平和な土地だ。しかし、近年はそう言ってもいられない。きみになら任せても大丈夫だと思っていた・・・」
部屋の中に王子の低い囁きが流れる。
深夜、ヘルム峡谷の最下層にかれらは集まっていた。
四方に岩肌が迫り、物音は壁に吸われて上階に届かない。
エオメルは床に膝をついてセオドレドを睨んでいた。
まわりを数人の騎士たちが取り囲み、肩を押さえられている。
夜も更けた頃、近習が「王子殿下がお呼びです」と告げに来た。
とくに疑問も感じず部屋を出ようとすると、屈強な騎士たちが押し入ってきて有無を言わさず地階に引っ立てられたのだった。
「きみは勇敢で強靭だ。それは疑う余地がない。だが若く勇敢な騎士は他にもいる。かれらときみの違いは何か?他の者を差し置いて由緒ある東谷の領主に据えられたのは、きみがエオル王家の血を引いているからだ・・・エオムンド殿の妻が王家の姫君でなかったら、その息子の地位は今と違っていたかもしれない」
セオドレドは従弟を見下ろして言った。
「東マークは利用価値が高く、わたしも父も気心の知れた者にしか任せたくない。実力以上に血筋の価値が、きみに領主の地位をもたらしたのだ」
一途にもかたくなにも見える、大きな瞳が王子を見上げる。
エオメルは黙ってかれの言葉を聞いていた。
「なのにきみは」
セオドレドがふっと笑みを浮かべた。
「少々、頑張りすぎたようだ。まだ若いから仕方ないのか・・・今期の東谷が主張している交配価格は不当だ。わたしは王家の血に見合う高潔な精神をきみに求める。東谷のエオメル、わたしの言葉に従って価格を撤回するように」
見つめられてエオメルの瞳が一瞬ゆらいだ。
だが、従弟はきつく眉根を寄せると、すぐに「嫌です」と答えたのだった。
居合わせた騎士たちがどよめく。
年若いロヒアリムが、あまりに明確に世継ぎの王子に逆らったからだ。
セオドレドは肩を竦めて従弟に背を向けた。
そして一段高いところに据えた椅子に、どさりと腰を下ろした。
「そういう訳だ、諸君。新領主殿はすっかり高慢の虫に取りつかれて、わたしの言葉など耳に入らんらしい」
騎士たちの顔を見渡しながら王子は言った。
そしてエオメルに視線を向ける。
「わたしはきみを甘やかしすぎたようだ。このあたりで厳しい躾けも必要だろう。そのために、かれらに来て貰ったんだからね」
王子が頷くと、騎士たちはエオメルを床に引きずり倒した。
押さえつけられ、床の上に貼り付けにされる。
エオメルは騎士たちをにらみつけながらも抵抗しなかった。
強壮なロヒアリムに複数でかかられては、もがいても無駄だとわかるのだろう。
「素直だな。さほど危険を感じないからか?わたしがきみに酷いことをするはずないと思っているのか」
「・・・」
従弟は唇を引き結んで黙っている。
セオドレドが物憂げに続けた。
「確かにきみがとても可愛いけどね・・・だからといって、可哀想な目に合わせるのが嫌か、と言うとそうでもない」
セオドレドが手を振り、それを合図に男たちは若いロヒアリムの衣服を剥ぎ取りにかかった。
「!」
エオメルは騎士たちを見回した。そして嫌がってもがいた。
すぐに上衣を取り去られ、下衣に手をかけられた。
「離せ!」
激しく足をばたつかせたが、下穿きごと抜き取られて肌をあらわにされる。
裸に剥かれた身体がその場の者たちの視線に晒された。
均整の取れた綺麗な肢体である。
若い肌がなめらかに張りつめて、灯明に照らされていた。
頭髪と同じ金色の茂みとピンク色のペニスが若々しい。
豪胆なエオメルもさすがに頬を赤らめた。
だが、恐れた様子もなく従兄を仰ぎ見て言った。
「どうするのか知らないが、さっさと済ませて頂きたい。わたしは眠いんだ」
セオドレドは苦笑した。
そして「領主殿の目を覚まさせてやれ」と告げた。
いくつもの手が触れ、肌の上を這い回る。
「うう」エオメルはイヤそうに呻き、唇をひん曲げた。
男たちが従弟の上体を抱き起こして一人が後ろから羽交い絞めにする。
床に座る形になったエオメルの足を、前にまわった騎士が足首を掴んで開かせた。
そして横から延びてきた掌に性器を握られた。
エオメルは大声で叫んだ。
「なんなんだ!気持ち悪い!」
思わずふき出しそうになるセオドレドだった。
身体だけは大きく育っているが、従弟はまだ子どもなのだ。
反応は淫靡なものとは程遠い。
「感の鈍い領主殿によく教えてやれ」
笑い混じりに王子が言う。騎士たちはそれぞれ頷きを返した。
「あっ・・・」
何本も絡みついた指が乱暴にペニスを擦り上げる。
弄られ揉み込まれてエオメルは喘いだ。
「くッ、畜生」
若い身体は敏感に反応して固く張りつめてしまう。
勃起してしまうと従弟の全身が、桃色に染まった。
エオメルはあらためて王子に向けて大きく開脚させられた。恥ずかしい部分が丸見えである。
「なかなかのものだね」
顎に指をあてて論評すると、従弟が悔しげにかれに噛み付いた。
「なんだよ!こんなことして楽しいんですかッ」
セオドレドはまた笑った。
「楽しんでるのはきみの方だろう。そんなに大きくして−−自分でするより良いようだね?ほら、もっと弄ってもらえばいい」
王子の言葉を受けて、さらにエオメルの性器に愛撫が加えられた。
男たちの指は根元を締め付け強弱をつけて竿を擦り、カリを揉みながら先端をいじるのだった。
「んっ、ううッ、や、やめろよッ」
エオメルが顔を真っ赤にして激しく首を振る。
ペニスはさらに角度を増し、握られた先から透明な露を滴らせた。
「あ・・・!うん・・・!」
ビクビクしなる身体を見ながら、セオドレドは立ち上がった。
「困るな。悦ばせるために連れてきたんじゃない」
王子が従弟のもとに歩み寄る。
騎士たちはエオメルの肩と腕、足を抱えなおしてガッチリといましめた。
火を噴く視線で睨んでくる相手に、王子が微笑む。
そして懐から銀色の串を取り出した。
太さは数ミリ程度、長さは指先から手首くらいの代物である。
「・・・?」
従兄が目の前にかがみこむと、荒い息を吐いていたエオメルは不審そうに相手の手元を見た。
銀串の先は丸く削られている。その突端が、性器の先に押し当てられるのを見て目を見開く。
「なっ・・・」
もがいて騎士たちの腕から逃れようとするが、きつく固定されて動けない。
雫の滴る尿道口をセオドレドが指で広げ、狙いを定めて串をズイッとめり込ませた。
「ひぁーッ!」
エオメルの悲鳴が響く。跳ね上がる体は、全力で押さえつけられた。
「動くんじゃない。大事な物に傷がつくだろう」
セオドレドが可笑しそうに言う。従弟はさらに声を上げた。
「いっ、嫌だッ!」
だが串は、細い道を押し分けてさらに中へと差し入れられた。
「あぁっ、あーーーーーっ!」
誰かに触れられることにも慣れていない性器が、無理矢理こじ開けられ内部まで犯される衝撃に、エオメルは悲鳴を発した。
「よく濡れてるから、入りやすい」
串がごく狭い器官の中に、半ばまで収まったところで王子が呟く。
そして慎重に指先で回転させた。
「ひっ・・・・」
尿道を異物がぐりぐり刺激する。
「いやぁぁぁッ!ああーーッ!」
従弟が金髪を散らして、激しくのたうちまわった。
握ったペニスは銀串を刺したまま固く大きく反り返っている。セオドレドはさらに続けた。
「こういうのは、どうだ?」
串をゆっくり途中まで引き抜く。
「あぁ・・・っ」
かすれた悲鳴を聞きながら、再びズブッと挿入した。
「ヒィーッ!ひぃあぁッ!」
抜き差しが始まると強烈なショックが次々にエオメルを襲った。
敏感すぎる場所を残酷に攻められ苦痛か快楽かわからない、想像したこともないエクスタシーがもたらされる。
「ペニスにはこういう使い方もあるんだ・・・うん?我慢できないか?」
セオドレドが一旦串を抜くと、エオメルはすぐに勢いよく射精した。
「うぁぁーーーーー・・・っ・・・」
悲鳴とも喘ぎともつかない声を発する従弟の白濁を、かざした手のひらで受けとめる。
そして濡れた指を舌で舐めながら、王子は言った。
「硬度はそのままだ・・・いいね。まだまだ欲しいんだな?」
「あぁんッ、やあッ!はぁあんッ!」
繰り返し尿道をなぶられ、エオメルは体裁も何もなく涙を流しながらよがり狂った。
赤く膨張したペニスは、続けて射精を強要させられていた。
あふれ出た液が汁ダクに太腿を汚している。
セオドレドは騎士たちに命じて、エオメルを体勢を変えさせた。
上半身は仰向けの磔にしたまま、腰から下を捻って横向きにさせる。
片足を曲げさせて上に抱え上げ、尻を大きく開かせた。
きゅっとつぼまった秘所がむき出しに晒される。
性器を串で刺激するとそれに応じてヒダが誘うようにヒクついた。
騎士たちが感に堪えぬ息を洩らした。
東谷の若い領主の痴態に、かれらもすっかり下半身を熱くしているのだ。
その場に集められたロヒアリムはセオドレドが厳選した者たちである。
いずれも口が堅く腕がたち、王子に忠誠を誓っていた。
強い自制心の持ち主ばかりだったが、そのかれらも、すぐにも飛びかって犯してやりたいと言いたげに瞳をギラギラさせながら、エオメルの後腔を凝視している。
騎士たちの様子を見比べて、口元を歪めるセオドレドだった。
もともとエオメルは容姿と血筋に恵まれた存在である。
普通なら手を出しかねる高嶺の花が、目の前でいやらしく乱れたらどんな男でも我を忘れて情欲に逸るはずだ。
このまま獲物を投げ与え、嬲り尽くさせれば、従弟は完膚なきまでに自尊心を砕かれこれまでの言動を後悔するだろう。
(だが)
世継ぎの王子が目を細めてエオメルの肢体を見下ろした。
肌が高潮して艶めいている。
(誰かにくれてやるのは惜しい・・・)
「領主殿のここも、なかなかそそる色をしているようだが」
かれは騎士たちに言った。
「これはあくまでお遊びだ。必要以上のダメージは与えない。まあ、指くらいならいいだろう」
ため息とも感嘆ともとれる声が上がる。ロヒアリムたちの手が次々従弟の尻にのばされた。
「アッ」
傍らに位置を変えたセオドレドに串で責められながら、秘所に指の侵入を感じてエオメルはビクンと震えた。
経験のない異物感に「あっあっ」と立て続けに喘ぐ。
数本の指が肉を掻き分けて、後腔に突き入れられた。
「い、痛い」
指は遠慮なく内壁をかき回した。従弟が苦痛の声を上げる。
騎士たちの目も血走っていた。
ニ、三本の指を交代で押し込んで蠢めかせ、セックスそのもののようにエオメルを犯している。
犯しながらもう一方の手をズボンの中につっこんで自慰にふける者もいた。
セオドレド自身もすっかり張りつめている。
欲望と戦いながら、手のひらでエオメルのペニスを柔らかく摩擦し、串の抜き差しを続けた。
「あ!うあッ!」
過度の刺激を与えられて、より敏感になった身体がうねり、泣き声混じりの悲鳴が部屋に響いた。
「や、駄目ッ、ま、またッ」
「またなんだ」
「い、いっちゃうよ!ひぅッ!これ以上いきたくないよッ」
頭を打ち振って従弟がわめく。
「もう離してくれッ」
「では」
セオドレドは冷静な声で尋ねた。
「自らの過ちを認めて謝罪するか?東谷のエオメル」
乱れていた表情が一瞬引き締まり、見開かれた瞳がかれを見上げた。
そしてギュッと眉根を寄せた従弟は「嫌だ!」と答えた。
王子は皮肉な笑みを浮かべると「わかった」とだけ言った。
「アッ、あっぁっ、はぁッ!ひあぁッ!」
肉棒を摩擦されながらの尿道責めと後腔への刺激の繰り返しに、エオメルはこれまで以上によがり悶えた。
後ろから回された騎士の指が、睾丸も愛撫している。
「いきたくないと言ってたね」
セオドレドは根元をぎゅっと押さえた。従弟がウッと仰け反る。
そのまま、大胆に串を抜き差した。
銀色の棒がジュブジュブ上下し、出し入れのスピードが速まる。
秘所は強引に広げられて四本も指が埋っていた。
内部を荒々しく擦りながら、ぐりぐり前立腺を刺激している。
「はーーーーーッ!あぁーーーーーッ!」
エオメルの声が絶叫にまで高まった。
「駄目だァッ!熱いッ!熱いようっ!駄目ぇッ、うぁぁあッ!」
「駄目って何が」
セオドレドの意地悪い問いかけに、エオメルは叫んだ。
「い、いきたい!いきたいよッ!いかせてぇーッ!変になるぅぅーッ」
「いきたがったり嫌がったり、我儘な子だ」
そう言いながら、かれはぐいっと突き込んだ串を一気に引き抜いた。
同時に根元を押さえていた指も離す。
「ひぁぁあーー・・・・・・!」
掠れた喘ぎと共にエオメルの四肢がつっぱり、性器から精液が迸り出た。
「うぁ・・・ぁ・・・ッ」
開放された欲望の噴出が宙に散る。
次の瞬間、エオメルの身体がひどく痙攣し、グンッとはねた。
「・・・ひ・・・!」
搾り出すような声と共に、たった今射精したペニスから、シャアアアァと尿があふれたのだった。
あまりの絶頂感に、自失してしまったのだ。
「い・・・いやだぁ・・・」
エオメルは顔を歪めて泣き声をあげた。
生々しい匂いを発しながら、湯気を上げる大量の尿が従兄と騎士たちの足元に流れ出る。
「−−おやおや。領主殿・・・お漏らしするほど喜んでもらえたとは。随分たくさん出るものだ。いやらしい臭いがプンプンするよ」
セオドレドの嘲笑と騎士たちの好奇の視線に、エオメルは苦悶し、顔色はどす黒くなるほど紅潮した。
「そんなに顔を赤くして、血管が切れたら大変だ」
そう告げて、セオドレドは従弟の眼前に膝を着くと前をはぐった。
下衣を下ろし、先刻から大きく勃ち上がっていたものを取り出す。
逞しく屹立したペニスをエオメルに見せつけ、自らの手で擦りながらかれは言った。
「これできみの熱を冷ましてあげよう」
エオメルは失禁のショックからか、虚ろに目を見開いて王子の股間を見つめている。
舌で唇を舐めながら、セオドレドは指の摩擦を強めた。
そして「うッ、くッ!」と呻くと、エオメルの顔に放出したのだった。
「ひぅッ・・・」
熱い精液を顔にぶちまけられるのを、従弟は呆然とされるがままになっている。
「いや、冷たくはなかったね。失礼した」
冷静な声音でセオドレドが言う。
エオメルは糸の切れた人形のように、ガックリとうな垂れた。
そしてそのまま意識を失った。
→第二話
→隔離室に戻る
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