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突然視力を失ったエオメルは、わけがわからずもがいた。
驚愕と不安に走り出そうとして転ぶと、何かがかれの首を強く圧迫して引っ張り、首吊り状態にした。
息を詰まらせて呻き、とっさに咽喉元にやろうとした腕を、誰かが掴んだ。
「!?」
誰だ・・・と思うまもなく、腕をねじ上げられて背中を蹴られ、エオメルは腹ばいに倒れた。
その背中に、何者かが乗り上げてロヒアリムの両手に素早く縄をかける。
「なにをする!?誰だ!」
後ろ手に縛られながらエオメルは喚いた。
顔に当たる感触は布だった。かれは何か袋のようなものをかぶせられたことに気づいた。
いくらか目が慣れると、布を透す日の光を感じた。
だが、布目は細かく、あたりの様子はまったくわからない。
首のところに袋をとじる紐の部分があり、先ほどからかれの首を絞めていた。
その紐も更にきつく締め上げられ、固く結ばれた。
何者かは、かれの背中から腰を上げると、いましめた腕をひっぱってロヒアリムを立たせようとした。
最初の混乱から立ち直ったエオメルは、相手の位置を推測すると思いきり頭突きを食らわせた。
「ぐえっ」と人間の男のものらしい情けない声がする。
さらにエオメルは足の苦痛もかまわず、相手に蹴りを入れようとした。
だがかれの足は宙を蹴っただけだった。
暴れるロヒアリムの姿を暗い目つきで見つめているのは、まだ若い人間の男だった。
不健康な顔色のその男は、名をグリマといった。
のちに蛇の舌と渾名されローハン宮廷を牛耳ることになるグリマは、この春、体調を崩したセオデン王のもとに、アイゼンガルドのサルマンが遣わした薬師である。
サルマンの裏切りを知らぬセオデン王は、礼を言ってグリマの投薬を受け入れ、かれに侍医の地位を与えてエドラスに居を与えたのだった。
だが、グリマの目的はサルマンに利するようセオデン王を堕落させ、騎士国を滅びへ導くことにある。
この日、サルマンはモルドールに向かわせるウルク=ハイの一団に、グリマへの伝令を託していた。
それを受け取ろうと、エドラスから少し離れた東マークのこの地にグリマはやってきたのだった。
かれは悪鬼どもと接触するなどまっぴらだったが、命令なのでしかたなく落ち合い場所に出向いた。
ウルク=ハイの一団を見つけ、いやいや近づいて行こうとしたところに、突然エオメルとボロミアがあらわれて戦闘となったのである。
グリマは隠れて様子を窺いながら、いつ逃げ出そうかと思案していたが、戦いはやがて思ってもみない方向に展開した。
最初は圧倒的と思われた人間組がしだいに劣勢になり−−ついにマークの騎士団長が木に叩きつけられて気絶すると、悪鬼どもはゴンドールからの客人を捕らえて輪姦し始めたのである。
グリマはその光景を生唾を呑んで見つめていたのだが、倒れていたロヒアリムがふらふらと起き上がるのを見ると、こっそりその背後に忍び寄ったのだった。
そしていつも持ち歩いている薬草袋の中身をあけてからっぽにし、その袋の口を大きく開けてすばやくエオメルの頭にかぶせたのである。
「抵抗をやめろ」
グリマは袖口で口を覆い、声色を変えて相手に言った。
エオメルは声の方角にするどく顔を向けると、全身の筋肉を緊張させた。
「いいか、抵抗するとすぐにでも、あのゴンドール人を殺させるぞ!」
相手の攻撃の意志を感じとったグリマは、慌ててロヒアリムを脅迫した。
「なんだと・・・貴様は何者だ。オークの仲間か。悪鬼どもと通じてこのマークで何をしている」
怒りに満ちてエオメルは言った。
「おれは誰でもない。おまえはなにも話すな、黙って従え。そうしたら、あのゴンドール人の命は助けてやる」
「助ける・・・?」
それを聞いたエオメルは性急に叫んだ。
「なら、いますぐあれを止めさせろ!やつらをボロミアから引き剥がせ!」
「うるさい、うるさい!おまえは口をきくなといっただろう、黙れ」
グリマは、エオメルの縛られた腕をつかんで揺さぶった。
そしてねつい口調でささやいた。
「あのくらいじゃ死なん。あいつらが満足したあとで、殺さずに開放してやればいいんだろう。おまえは黙ってわたしに従えばいいんだ。わかったか?藁頭」
ボロミアの命を保障するという正体のわからぬ相手の言葉に、狂おしく動揺しながらエオメルはひったてられ、程近い草叢のかげに連れ込まれた。
グリマの言葉はただのでまかせだった。
かれはゴンドール人になど興味はなく、ボロミアが生きようが死のうがかまわなかった。
第一、悪鬼どもがかれの言葉に従うとも思えない。
ウルク=ハイは欲望を満たしたら、平気で白の大将を引き裂いて殺すだろう。
グリマにはどうでもよかった。
かれが関心があるのはこのロヒアリムのほうだった。
ローハンの宮廷に出仕するようになったグリマの目を惹きつけたのは、王家の子弟たちである。
セオドレド、エオメル、エオウィン−−いずれも明るいプラチナブロンドの髪をなびかせて巧みに剣と馬を操る、輝かしいエオルの子たち。
いつも物陰から眺めていただけの、思慕というには邪な感情を向けていた相手の一人が、いま自分の虜となってここにいる。
エオメルのほうでは、自分のことなど気に留めていないことをかれは知っていた。
騎士軍団長が伯父王の侍医に興味を持つ機会はなく、かれらは言葉を交わしたことがない。
千載一遇のチャンスに、グリマは身もだえするような興奮を味わいながら、エオメルを突き飛ばして地面に転がした。
かれは一応慎み深い人間なので、ウルク=ハイどもから丸見えな場所では気分が出ない、ということでこの草叢の中に相手を連れてきたのである。
茂みの向こうからは、悪鬼が責め方を変えるか何かしたのか、いままでとは違うリズムで喘ぐゴンドーリアンのかすれた声が聞こえてくる。
「ボロミア殿が・・・」
エオメルが悲痛な声を上げて身を起こそうとした。
グリマは肩を押さえて許さず、「寝ていろ!」と命令した。
男の声に歯ぎしりしながら、エオメルは従った。
相手の意図がよく飲み込めない。
自分が男の言うとおりにしていれば、本当にボロミアの命が救われるのだろうかと、希望と疑いに苛まれ苦悩するうちに、身体からマントと皮製の胸当てが取り除かれた。
グリマは細いナイフを取りだすと、さらにロヒアリムの服を切り裂きにかかった。
状況をよく理解できず戸惑う相手を、袖の部分や乗馬用ブーツなどを除いたほとんど全裸に近い格好にしてしまう。
日焼けした筋肉質の裸体が陽光のもとにさらされると、グリマはその引き締まった身体を羨望の目で眺めた。
そしてロヒアリムの腹から乳首のあたりを、手のひらを密着させて撫で上げたのである。
「・・・!」
エオメルが嫌がり、身体をよじる。
さらにグリマは獲物の両乳首をつまむと、指で強く揉みこんだ。
「下郎!くだらんことは止めろッ」
エオメルは布の中からくぐもった声をあげた。
口調に怒りがこめられている。
服を裂かれた時点でよもや、と思っていたのだが、この見知らぬ男が怪しからぬ行為に及ぼうとしていることを悟ったかれは、心底相手を嫌悪した。
下手に男に逆らうと、ボロミアが−−ということは判っているが、誇り高いマークの騎士軍団長は脅迫されて身体を自由にされることなど我慢ならなかった。
「まったく、黙っていろと言ったのがわからんのか、この藁頭は」
グリマは忌々しげに言い、露出したエオメルの性器をぎゅっと握った。
ロヒアリムが「ウッ」と呻いて仰け反り、次に激しくもがいて相手を蹴ろうとした。
それをひょいとよけてグリマは言った。
「抵抗するなと何度言わせればわかるんだおまえは−−そんなに頭が悪いのか?逆らえばあのゴンドーリアンの命がなくなるんだぞ。おまえは仲間が死んでも平気なのか?自分さえよければいいのか?我儘にもほどがあるというものだぞ」
「な、なにおう」
その身勝手な言い草にエオメルはさらに男への怒りを募らせ、激昂のあまり息を詰まらせた。
とはいえ、むろんボロミアを死なせるようなことがあってはならない。
自分が、この得体の知れない男の言いなりになりさえすれば、本当に執政家の長子が救われるのだろうかと思い迷う。
こんな男の言葉など、信ずるに値しないのはあきらかだが、腕を縛られ袋で目隠しされた身で、男と悪鬼どもを倒しボロミアを救い出すことは不可能だった。
他に選択の余地はない。エオメルは唇を噛締め、決断した。
「わかった、どうにでも好きなようにしろ。貴様が何をしようとわたしは揺るがん」
そう言い放つと、エオメルは足を投げ出して身体の力を抜いた。
すぐに、男の手が嬉々としてかれの肌を這い回る。
なぞったりつまんだりこねくり回したりする指の感触に耐えながら、少なくともこの男は自分と同じ人間だ、けだものではないのだから−−そうエオメルは自らに言い聞かせた。
男はふたたびかれの性器を掴むと、熱心に弄りはじめた。
だが、感じるのは悪寒だけだった。
屈辱的な現実から逃れたい騎士軍団長はなにか別のことを考えようとした。
そしてまっさきに脳裏に浮かんだのは、エドラスの黄金館の情景だった。
宮殿のバルコニーにベンチに腰掛けて読書に耽るセオドレドの姿が見える。
(そうだ・・・早く殿下の元に帰らなくては。きっと寂しがっておられる・・・)
こんな理不尽な状況は、なにもかも嘘のような気がした。
今すぐボロミアとともに帰館して、王子や妹と食卓を囲みたかった。
エオメルは我知らず涙ぐんだが、嗚咽を洩らすことは自尊心が許さなかった。
グリマが剣など持ったこともない青白い指でエオメルのペニスをさする。
だが、相手の反応のなさに舌打ちした。
かれは騎士軍団長の足を大きく開かせ、M字に膝を立てさせた。
そしてその奥の色づいた肉襞に触れた。
エオメルがビクン、と身体を震わせる。
太腿を抱える格好で性器を愛撫しながら、グリマはエオメルの秘部に人さし指をめりこませた。
「う・・・」
かすかに呻く相手の声を聞きながら、挿入した指でポイントを探りあて、内壁を強くかき擦る。
その刺激にエオメルの、ロヒアリム特有の雄大なペニスが頭を持ち上げて先端に汁をにじませた。
濡れた部分をぐりぐりと弄り、「あぁッ」と声を上げさせる。
ようやく反応を見せるようになった相手の、よくしなる見事に筋肉のついた身体をグリマはうっとりと眺めた。
かれはたまらずロヒアリムの股に顔を埋めた。
柔らかな舌がピンク色の性器に絡みつき、根元から先端へと上下する。
存分に嘗め回して睡液で濡らすと、さらに内股に顔をつっこんで、そこだけは陽に晒されたことのない白い肌を強く噛み、歯形をつけた。
グリマはやにわに起き上がると、荒い息を吐きながら自らの衣服の前をはぐった。
すっかり硬くなったものをつかみ出す。
そして受け入れる体勢をとらせようと、エオメルの左足をつかんでぐいと押し上げたところ、袋の中から悲痛な叫び声があがった。
見ると左足のほうだけ、右と比べてブーツの下がぱんぱんに膨らんでいる。
一応、腐っても侍医のグリマである。
かれは素早く短剣でブーツを切り分けて脱がせた。
するとエオメルの左の脛は、先刻ウルク=ハイに打ち据えられた部分が真っ赤に腫れ上がっていた。
指で押して確認すると、骨は折れていない。
だがひびが入っているようだった。
グリマは「可哀想だな。痛いのか」と呟いて患部に手を当てたが、すぐに気を取り直して陵辱の続きにとりかかった。
性器や肛門を弄られた末に身体を折り曲げられ、誰にも許したことのない淫らな姿勢を強要されたエオメルは、屈辱を感じるよりも呆然としながら相手に身を委ねていた。
通気性があるとはいえ、網目の詰まった布をかぶせられたかれは酸素供給が間に合わず、酸欠による脳貧血を起こしかけていた。
そのために抵抗する気力を失っていたのだ。
だが、男がかれの秘部に硬いものを押し当て強引に進入をはじめると、さすがに嫌悪に身をすくませた。
力を振り絞って進入を拒み、押し戻そうとする。
強烈な異物感に吐き気がした。
なんとか陵辱を阻止しようとしたものの、そのせいでさらに酸欠状態が亢進して、かれは気が遠くなった。
ロヒアリムの抵抗が弱まった隙に、グリマはぐいと肉を押し分けて先端を埋没させた。
エオメルの身体がショックにのけぞる。
傷つけぬよう馴染ませながら徐々に入れていき、ついに根元まで貫通させた。
深く息を吐くと、男はそのきつく締め付ける感触を楽しんだ。
グリマはすぐに腰を打ち込みはじめた。
突きに応じてロヒアリムが「アッ、ウッ」と短い声を洩らす。
布から獲物の長い金髪がはみだしていた。
その髪をすくいとり、愛しげに撫で梳くグリマである。
と思うと髪を指に絡めて強く曳き、「おまえは馬で、おれは騎手だ−−どうだ、おれの手綱さばきは?」などと言いながら腰の動きに合わせて何度もひっぱった。
男はくすくす笑いながら、「もっと鞭が欲しいか」と乱暴に突上げ、次に「エサのほうが好いか」と言ってエオメルの性器を愛撫した。
前後を陵辱され、マークの騎士軍団長は喘ぎか悲鳴かもわからぬ声を上げて身悶えしていた。
さらに堪能しようと腰をグラインドさせはじめたとき−−グリマの小心ゆえに敏感な耳は、森の中を駆けてくる荒々しい足音を捉えていた。
(誰かが来る)
時間帯からいっても、そろそろマークの騎士たちが帰らぬ軍団長と客人を探しに来てもおかしくなかった。
剣が甲冑がこすれるかすかな金属音が聞こえた。
軍装した人間のものに間違いない。
グリマはすばやくペニスを引き抜いて、獲物を手離した。
ぐったりと横たわったエオメルの裸体に未練げな一瞥を投げかけると、かれは身を翻してその場を逃げ出した。
解放されたこともよく判らず、半分気を失っていたエオメルも、近づいてくる足音を認識した。
その主は、草叢の陰に倒れているかれには気づかず、そのそばを通り過ぎてしまったが、続いて聞こえてきた叫び声に、騎士軍団長は号泣したくなるほどの安堵を覚えたのである。
その場に駆け込んできたのは、剣を振りかざしたローハンの王子だった。
セオドレドは、眼前に繰り広げられている壮絶な陵辱の光景に愕然とした。
二匹の巨大なオークが、全身血塗れのゴンドーリアンを抱きかかえて肛門を侵しながら、その血を啜って陶然と唸り声をあげている。
「汚らわしい!」
我にかえった王子は、あたりの大木を揺るがすような大声で一喝した。
「悪鬼の分際で、白い塔の長官の肌に爪をかけるとは!」
ウルク=ハイたちは、ボロミアに没入していために敵への対応が遅れた。
「地の底に去ねッ」
そう叫びざま一閃したセオドレドの長剣が、ボロミアを貫いていたけものの首を一撃で跳ね飛ばした。
その返す刀で、もう一匹の悪鬼の胴を薙ぎ払う。
黒い血を飛び散らかして、二匹のウルク=ハイが地に倒れると、セオドレドはボロミアのもとに駆け寄った。
だが、ゴンドールの白の総大将はぴくりとも動かない。
その胸も胴も足も、どこもかしこも血に塗れてとうてい生きているとは思われなかった。
セオドレドがゴンドーリアンに手を触れかねて立ち尽くしていると、傍らの茂みの向こうからうめき声が聞こえてきた。
見ると、これもすべて服を切り裂かれたあられもない姿の、頭に布袋をかぶせられた男がもがいている。
その布からこぼれ落ちる金髪の色は従弟のものだった。
「エオメル、大丈夫か」
きつく結ばれていた紐を短剣で切り、袋を取り除くとその中から涙に汚れた見なれた顔が現れた。
さらに腕のいましめも解かれると、軍団長は「ボロミア殿は、ボロミア殿はどうなされましたッ」と従兄にすがって叫んだ。
「あちらにおられるが・・・」
肩を貸して従弟を立たせる。
すばやく相手の全身に視線を走らせた王子は、エオメルの左膝下がひどく腫れ上がり、一見して折れたかひびが入ったかしているのに目を留めた。
あとは特に外傷はなく、問題ないように思われたが・・・エオメルの肌を鋭く観察しながら、セオドレドは落ちていたマントを拾って着せかけ、早くボロミアの元に行こうともがく従弟を抱きかかえた。
エオメルは血に汚れて横たわるボロミアの姿を見ると蒼白になり、よろよろと傍らに座り込んだ。
「死んでいるのか」
セオドレドが恐る恐る言う。
「そんなはずありません!!」と従弟は激しく叫んだ。
ゴンドーリアンの胸の血を、エオメルが自分のマントでそっとふき取ると、たくさんの切り傷があらわれた。
だが傷は皆浅く、致命傷ではない。
それらの傷は、陵辱に興奮して人間の血をすすりたくなったウルク=ハイが、ボロミアの肌を爪でいくつも切り裂いた痕だった。
だが悪鬼どもはまだ獲物を殺すつもりがなかったので、その傷はごく浅いものばかりだったのだ。
エオメルが大将のそこだけは汚れていない白い顔をそっと撫でる。
「ボロミア殿・・・お助けするのが遅れて申し訳ありません・・・でももう大丈夫です・・・」
そう語りかけながら涙を流した。
ボロミアの口元に手をかざしたセオドレドが、かれの呼吸が規則正しいことを確かめて告げた。
「息はしっかりしているようだ。頑健であられるし、大丈夫だろう。すぐエドラスに連れ帰って医師に見せよう。馬は二頭いるから、わたしがボロミアを連れて行く。エオメル、きみは一人で馬に乗れるか?」
「もちろんです」と答えた従弟に、王子は気がかりな目を向けた。
「きみはその・・・なんともないのか」
「足を折ったかもしれません。ですが馬には乗れますし、他はなんともありません」
セオドレドはまだ何か聞きたげな様子で相手を見つめたが、それ以上は何も言わず、馬を呼びに走り去った。
王子は森の入り口に自分の馬と、エオメルの馬をつないでいた。
騎士軍団長と執政家の長子が昼餐の時間をかなり過ぎても戻らないので、宮廷はローハン各地に騎士を飛ばして二人の行方を探させることにしたのだった。
そして世継ぎの王子みずから捜索に乗り出したところ、東マークの平野を主を失って彷徨うエオメルの馬を発見したのである。
乗り手の不在に異変を感じたセオドレドは、味方を呼ぶ暇を惜しんで単身従弟を捜し求めた。
マークの優れた騎士は、ある程度なら馬と意志の疎通がかなう。
王子は従弟の愛馬に、主人の元に導くよう告げ、その案内に従ってこの場にやって来たのだった。
こうしてかれは従弟を見つけることが出来たのだが・・・セオドレドは馬の手綱を曳きつつ、眉間に皺を寄せて何やら考え込んでいた。
そしてエオメルは、横たわるボロミアの手を撫でながらただただ、涙を流し続けていた。
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エオルの誓い後編に続きます。兄上を可哀想な目に合わせてしまった・・・と反省しています。
メルっちは別にいいんですけどねゲフンゲフン
後編、すっとんでくる弟。 andセオドレドさまのお仕置き炸裂。どうなる兄貴。
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