【廃墟マニヤ File027】

Bランド(福島県)

(その2)

牧草地

もう9月だというのにまったく衰えない暑さの中、東京から延々クルマを運転して福島のはずれまでやってきました。
ところが問題の温泉のまわりは田畑や牧草地で、遊園地があったような気配はまったく感じられません。

 

温泉敷地

……とすると、どうもこのフェンスで囲われた温泉旅館の敷地の中が怪しい感じです。

 

温泉旅館

こういう場合は素直に正面から攻めるのが一番なので、旅館に入ってフロントにいた女性に尋ねてみることにしました。

すると、その女性はこの旅館の女将さんで、やはり予想通り現在の旅館の庭が、探していた遊園地の敷地であったとのこと。私の求めるいわゆる「廃墟」ではなかったため、少しガッカリしたというのが正直なところでしたが、まあせっかくここまで来たので、とりあえず昔の話を伺ってみることにしたのでした(それほど忙しそうな様子でもなかったので……)。以下はその女将さんから聞いた話です。

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遊園地は「Bランド」という名前で、営業していた時期ははっきり記憶にないけれど、昭和48年から昭和50年ぐらいではないかとのこと。遊園地を始めた経緯は、その昔、少し離れたところにある「Yノ森公園」で毎年菊人形展が開催されていたのですが、ある年、入口の看板が倒れて子供が亡くなるという不幸な事故があったのだそうです。
(※帰ってからこの事故の裏付けを取ろうと新聞記事などを調べたのですが、残念ながら見つけることはできませんでした)
その結果「Yノ森公園」にあった遊具があちこちに譲り渡されることになり、当時ここの温泉の経営者だったお祖父さんのところにも市会議員をやっていた関係で話が持ち込まれ、その一部を引き取って旅館の前で遊園地をひらくことにしたという話です。

「親が温泉でくつろいでいるあいだ、子供に遊園地で遊んでもらおう」というコンセプトが当たったのか、当時近くにこのような遊園地がなかったこともあり、営業を開始すると客が入りきれないほどの大人気となり、一時は臨時バスが出たり、帰りにバスに乗れなくなった子供が歩いて帰るほどの盛況ぶりでした。園内には、コーヒーカップ、チェーンタワー、ゴーカート、バズーカ砲、アニマル(コインを入れると走る小さい子供向けのライド)、豆汽車などの遊具があり、さらに名前の通り鳥も飼育していて、コクチョウやダチョウ、フラミンゴ、そして他にサルなども飼っていました。各遊具にはそれぞれ係員が必要だった上、動物の世話もあるため、従業員もずいぶんたくさんいたようです。

ところが開園して3〜4年たった頃、農地を借りてその土地を遊園地として使用していたことが発覚。農地法違反(?)ということで新聞に叩かれ、役所から、遊園地を続けるならば一度農地に戻して地主に返却し、それからまた用途を変更して再び遊園地を造れという命令が出てしまいます。とてもそんな大変なことはできないと、そのまま廃業してしまったというのが「Bランド」閉園の理由だそうです。ちなみに、その後、土地の半分は農地に戻して返し(このページ最初の写真のあたり)、半分は買い取って今の旅館の敷地となっているということでした。

 

……「もしもこのとき営業をやめなかったとしても、今の時代遊園地を続けていくのは、維持に費用がかかるので無理だったでしょう」と、しみじみと語る女将さんの話が一段落したところで、なにも残っていないと言われたのですが、そこを頼んで庭を見せてもらうことにしました。

 

トルハルバン

玄関脇にあったトルハルバンの像。まず遊園地時代のものではないでしょうが、珍しいので写真を撮っておきます。

 

ダチョウスペース

旅館の建物から庭のほうへ下りていくと、囲いがあって……

 

ダチョウ

なんと数羽のダチョウが! 遊園地時代からずっと飼っているのでしょうか!? さらに通路にはアヒルが隊列を組んで我がモノ顔で歩き回っています!

 

柵

ダチョウの柵をよく見ると、なんとなく遊園地時代の遺物っぽいイラストを発見!

 

小屋の跡

ダチョウエリアの先には、なにかの建物の基礎が残っていました。ちなみに奥の方の建物は、覗いてみたところ倉庫として使用されている模様。


(続く)


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