【廃墟マニヤ File010】

S野煉化Hフマン式輪窯(栃木県)

(その3)

窯焼成室

中がどうなっているのか見てみたい!
もちろん国指定の重要文化財なので入るわけにはいきません。「そうだ! 野村スコープで見てみよう!!」というわけでシートの内部の様子です(ちなみに本当の野村スコープは透視メガネではありません!)。ブルーシート(通称ドカシー)が台無しにしてくれていますね〜。

 

窯焼成室アップ

窯の各室の上には号数が刻まれていました。前述のように、この建造物は上から見ると16角形をしており、窯も16号室まであります。おもしろいのは(私だけかもしれませんが……)、この窯の基本設計はドイツ人であるけれども、煉瓦の積み方がドイツ積みではなく、イギリス積みである点です。日本の場合、明治時代イギリスから技術が伝わる部分が多かったため、このようになっているのでしょうか。余談ですが、軍事関係は明治初期にはフランス積みが多く使用され(初期にはフランスを範とした軍のシステムが導入されたため)、日清戦争(1894-1895年)以降はイギリス積みが主流になっていきます。

 

通路下アーチ

窯の上に上がる階段下のアーチ。

 

上部へいたる通路

窯の上部に上がる階段は雑草が生い茂っていました。スロープのように見えますが、ゆるーい階段です。ちなみに煙突の横からも草が生えちゃってますね。それでは窯の上をのぞいてみましょう。


煙突基部

中央の煙突。屋根の支柱は木材でした。
鈴木清順監督の「ピストルオペラ」では、この窯の中が広い空間のように撮られていましたけれど、映画のマジックですね。

 

梁に渡された電線

梁には電線が張られています。電灯用なのか、何か別の動力用だったのかよくわかりません。でも古い木造家屋の天井裏を以前に見たとき、こんな感じで碍子を使って配線されてました。


投炭孔とレール

鉄の蓋状の部分は投炭孔で、ここから粉炭を補給していたとのこと。レールはその粉炭補給のトロッコ用のものだそうです。

さて、貴重な文化財なので、作業用足場から外れないように引き返すことにしましょう。……あっ、野村スコープで見てたから大丈夫なんだったっけ。

※2006年に所有がN町に移って、その後どうやら修復工事も一段落ついた模様。2008年現在、(周囲の)敷地はWH乗馬倶楽部のものとなっていますが、倶楽部の許可をとれば外側の見学は可能なようで、さらに年1回の一般公開日には内部を見ることができるという話です。

 

END
(2003.8)


123

この頁最初へ

廃墟マニヤMENUへ