【珍スポ観光 File011】
ニコニコ共和国(福島県)
(その2)
1990年のゴールデンウイークのことです。うんざりするような渋滞にはまりながら東北道を北上、二本松までやってきました。一般道におりて山道をしばらく進んでいくと、道の脇に大きく「ニコニコ共和国 国境」と書かれた看板を発見したのでした。
スピリッツという漫画雑誌に載っていた相原コージ氏の記事によると、このニコニコ共和国ではパスポートを発行しており、その中には「国境検問所で国境警備隊員に“Show me the passport!”といわれたらこのパスポート見せてね。きっと皆ニコニコとほほえんでくれるでしょう」と書いてあるとのことでしたが、検問所はおろか人影すらありません(そもそも国境で私が見せなければならないのは、日本国のパスポートだと思うのですが……)。
その後、国境警備隊員に追われるというサスペンスもないまま、ニコニコ共和国のメインストリートまで簡単に密入国(?)してしまいました。
「岳温泉」と大きく書かれた看板の上部には「ようこそニコニコ共和国首都へ」という看板が掲げられています。ガイドブックによると「外国気分99%」だそうですが、今のところ大変残念ながら「マイナス120%」ぐらいでしょうか(……結局最後まで「マイナス120%」だったのは予想通りです)。
この白亜の建物(!)がどうやらニコニコ共和国の「国会議事堂」のようです。観光案内所のような気もしますが、もちろん気のせいでしょう。
国会議事堂の向かいには「国立議員食堂」が。こちらは議員でない一般の方の利用も可能です。
国立議員食堂壁面にあった看板。「日本円が使用できます」とわざわざ書かれているのは、この共和国には「コスモ」という通貨があったためで、レートはペリカのようなことはなく「1円=1コスモ」だったようです。ちなみに私が訪れたこの時にはすでに「コスモ」を見かけることは一度もありませんでした。
街を歩いていくと、学校や研究所などの施設が次々と現れます。こちらは「私立芸術学院」。カラオケを置いたスナックのような気もしますが、もちろん錯覚です。
パラダイスニコニコ店……?
どうやらネーミングのルールがイマイチ浸透していない模様です。
これもそのまんまのような……。
入っていないので断言できませんけれど、いわゆるフィリピンパブ的なお店だったと思われます(時代的にそんな頃だったのです)。
竜宮城的なもてなしとスッポン料理が出るということでしょうか? ちょっと集中力に欠ける名前ですね。もし建国の際に広告代理店が一枚噛んでいたら、間違いなくもっとポイントを絞った名前にさせられていたことでしょう。
看板に「ニコニコ共和国 国家消防庁」と書かれています。やりたいのはこういうことですよね?
とはいえ「国家」消防庁がこの有様ですか……。
「日本大使館」を発見! どのへんが日本大使館なのかは不明です。
おっ、この看板の雰囲気は……。
「国立演舞場」でした! 国立にしては、ずいぶんやわらかい演目が行われているようですね。
ちょっとのぞいてみたい誘惑を感じたものの、まだ昼前で当然営業していないので断念しました。
さて、だいたい首都は一通り見て回ったので、続いて近くにある「バードランド」というレジャー施設を見にいくことにします。
(続く)
(この頁最初へ)