外国の温泉利用

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 温かい湯につかる入浴だけが風呂の利用法でないと繰り返してきた。また、利用する目的は身を清めたり、健康を維持・促進したり、病気の治療をするだけでもない。外国ではどのように利用しているかを文庫クセジュ『お風呂の歴史』や日本温泉科学会編『温泉学入門をもとにまとめておこう。

古代ギリシャ

 入浴は健康の鍛錬としてスポーツと結びついていた。今でいえば冷水シャワーを浴びるもので、筋肉を刺激することにあった。温水に身をひたすのは病人の治療に利用されたにとどまるという。また、蒸気浴が中心で湯につかることはなかったようである。入浴といえば冷水というのが西欧人の考えの根底にあるのも古代ギリシャの影響だろうか。

古代ローマ

 ゆっくり身を沈める入浴法を「ローマ式入浴」というようだ。これは古代ローマ帝国で生まれたスタイルとされる。ローマ人は風呂好きで今でいう英国やドイツの植民地にまで風呂の施設を作ったという。健康よりも憩いにウエイトが置かれ、国民に与える楽しみとして制度化されて170をこえる共同浴場が設けられている。3.5ヘクタールもある3,000人以上を収容する浴場が作られたというからスケールが大きい。今に残る強固な上水道もお風呂のために使われたものだ。だが、いかがわしさも生んで西欧の中世では入浴を堕落とみなす元となったそうだ。

西欧の温泉

 ドイツ・フランス・イタリア・オーストリアにはそれぞれ100〜200カ所の温泉が分布し、ドイツはクアパーク(保養公園)とクアハウス(温泉保養館)を整えて療養・保養と観光の客を集めているそうだ。
 古代ローマの領土であったイギリスのバース、ドイツのバーデン・バーデンやウィスバーデン、フランスのエクスレバンはその代表例だという。掲載写真を見ても「ローマ式入浴」で利用者は身をしずめている。
 イタリアは飲泉や鉱泥浴が盛んのようで、湯治客が医師の指示のもとに温泉を飲んで療養するそうだ【外国の物真似をして粋がる阿呆もいるから忠告しておきたい。温泉にも飲むのに適したものと適さないものがあるので安易な真似をしないこと】。

アメリカ合衆国

 西部のロッキー山中に特に多くの温泉が湧出しており、レクレーションの場として利用されているようだ。治療よりも間欠泉を眺めたり温泉浴を楽しむという【これは先住民を追い出した白人入植者の利用法である。先住民は健康や戦勝を祈る霊泉として利用していたことも忘れてはならないだろう】。

中国

 台湾を含め東シナ海・南シナ海沿岸地域に温泉が多く、西部の雲南省・チベットでも高温の温泉が湧出し、地熱が利用されているそうだ。しかし、中国の大浴場や露天風呂では水着着用が一般的で日本とは異なるようだ【郷に入ったら郷に従えという格言がある。日本と似ていても異なることを知ろう】。

風呂関係参考資料リストとホームページリンク集  
 風呂の定義と療養泉の区分
 温泉や公衆浴場のデータを探す人に【統計編
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 浴場から見たイスラム文化
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 公衆浴場の類型
 国民保養温泉地(指定順)