天井圏の株価と200日移動平均線、無配株が資産株、サイバー藤田社長が自社株を売却、
経営者の役割、ホクリヨウの業績上方修正、日本情報クリエイトの3カ年成長戦略、
オンリーのMBO、奥野一成氏のセミナー、9月のバリュー投資塾、
オーナー企業のパフォーマンス、長期集中投資を実践したアンネ・シャイバー、角山智のバリュー投資チャンネル
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ショートコラム(2021年8月)
■角山智のバリュー投資チャンネル(2021年8月30日) |
ユーチューブに角山智のバリュー投資チャンネルを開設しました。昨日、3本目の動画をアップしましたので、こちらでも紹介しておきます。 動画というものは、本格的にやろうとすれば、カメラなどに相応の投資が必要となり、編集作業にも習熟を要します。 とりあえず、できる範囲から始めてみましたので、パワーポイントのスライドに音声(自分で録音したもの、音声読み上げソフトで作成したもの)を加えた紙芝居風となりました。 将来的には、見栄えのする動画を作れたらいいなと思いつつ、マイペースで続けていきたいです。 |
■長期集中投資を実践したアンネ・シャイバー(2021年8月28日) |
ごく普通の個人投資家ながら、50年にわたり株を持ち続け、2215万ドル(24億円)の遺産を寄付したアンネ・シャイバー(anne scheiber)の上位保有銘柄に関しては、2010年10月16日付のアンネ・シャイバー女史の株式ポートフォリオで取り上げています。 今回、こちらのデータを元に保有割合を試算してみると、ウォーレン・バフェット氏も顔負けの長期集中投資を行っていることが分かりました。 特にメルク(当時はシェリング・プラウ)の割合が突出しており、評価額も4億円を超え、この銘柄だけで金融資産24億円の1/6に相当しました。さらに上位6銘柄で株式ポートフォリオの7割近くを占めています。業種も医薬品と飲料の比重が高いです。 いったん買った株は絶対に手放さないという投資方針のため、彼女は100銘柄以上を保有していました。しかし実質的には、少数の銘柄でリターンを得ていた集中投資派だったと言えそうです。 【アンネ・シャイバーの株式ポートフォリオ(1995年)】 注:金融資産2215万ドル(24億円)のうち、60%を株に投資していたと仮定し、保有株数と当時の株価より割合を計算 |
■オーナー企業のパフォーマンス(2021年8月26日) |
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我が国の時価総額上位10銘柄(2014年に上場したリクルートHDを除く)をオーナー企業と非オーナー企業に分けて、過去15年間のパフォーマンスを計算したところ、興味深い結果となりました。 それぞれの平均はオーナー企業が7.3倍、非オーナー企業が2.5倍で、オーナー企業が非オーナー企業を大幅に上回りました。ちなみに同期間の日経平均は1.9倍、TOPIXは1.2倍です。 投資対象を選ぶ際の視点に「オーナー企業か否か」を加えてみるのも一興でしょうか。 【オーナー企業】
【非オーナー企業】
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■9月のバリュー投資塾(2021年8月24日) |
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9月のバリュー投資塾は「オーナー企業」です。実はこのテーマ、以前から温めていました。 というのも、次の弱気相場で「この社長に出資したい」という会社を何社か選び出し、長期的に保有する投資を行いたいと思案しているからです。 少しずつ調査を進めており、ある程度まとまってきましたので、第一弾としてお話しすることにしました。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名と電話番号(列車が遅れた際など、非常時の連絡に使用します)を記入してお申込みくださいませ。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■奥野一成氏のセミナー(2021年8月20日) |
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『教養としての投資』の著者であり、ファンドマネージャーとしてバフェット流長期投資を実践している奥野一成氏のセミナーが開催されます。主催は私も外部講師としてお世話になっているファイナンシャルアカデミーです。 奥野氏から直々に話を聞ける貴重な機会です。圧倒的な競争優位性のある企業の探し方を身につけたい方、長期的に利益を上げ続ける企業への長期投資を行いたい方は、受講を検討されてはいかがでしょうか。
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■オンリーのMBO(2021年8月18日) |
本日、スーツ量販店のオンリー(3376)がMBOの一環として、TOBを発表しました。TOB価格は765円。直近BPSの1,409円を大幅に下回っています。 同社が上場したのは2005年7月8日。初値は1、527円でした(株式分割調整済)。上場時に同社株を買い、16年あまり持ち続けた投資家は、ほぼ半値で売らされる羽目に陥りました。 長期投資において「参入障壁を持たないB2Cビジネスを避けるべき」という事例として、記憶に留めておきたいです。 【オンリー 月足チャート】 |
■日本情報クリエイトの3カ年成長戦略(2021年8月16日) |
本日、賃貸用不動産の管理ソフトを手がけている日本情報クリエイト(4054)が2021年6月期決算を発表しました。増収増益ながら、営業利益は四季報予想を下回って着地しています。 決算説明資料には、3カ年成長戦略(2022年6月期業績計画を含む)が掲載されていました。2022年6月期は先行投資により減益となるものの、2023年6月期以降は売上拡大による大幅増益を見込んでいます。 同社に関しては、地道に売上と利益を積み重ねていく企業というイメージを持っていただけに、野心的とも言える3カ年成長戦略は意外でした。「果たして、そんなに上手くいくのかな?」というの正直な印象ですけど、世間一般の投資家はどのように感じたのでしょうか。明日以降の株価に注目したいです。 【日本情報クリエイト 3カ年成長戦略】 【日本情報クリエイト 日足チャート】 |
■ホクリヨウの業績上方修正(2021年8月12日) |
本日、ホクリヨウ(1384)が業績上方修正を発表しました。修正の理由は次のとおりです。 昨年秋以降全国に感染が拡大した鳥インフルエンザにより採卵鶏の淘汰が行われ、今年2月以降鶏卵相場が急騰、現在まで前回業績予想発表時の想定鶏卵相場水準を上回って推移しております。鶏卵相場は今後秋に向かって下落局面に入りますがそれでも年末までは前回業績予想時の鶏卵相場を若干上回ると予想しております。 上記修正鶏卵相場予想を踏まえ業績予想の再検討を行った結果、売上高は15,766 百万円(前回予想比+5.8%)、営業利益は1,044 百万円(同+197.9%)、経常利益は1,106 百万円(同+175.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は845 百万円(同+247.8%)と、前回予想を上回る見通しとなりました。 経営努力に関しては、一切触れられていません。同社の実態が、鶏卵相場に業績の左右される市況関連株であることを端的に表している文面です。 この件に関して、ジョエル・ティリングハスト氏は著書『ティリングハストの株式投資の原則』で次のように述べています。 一次産品の生産企業は投機家の遊び場であるが、投資家にとっては地雷原である。生産物はすべて均一で、需要と供給を反映した市場価格で取引される。 ホクリヨウへの投資を検討するのであれば、同社自体の調査はほどほどにして、鶏卵相場の分析に力を入れる必要がありそうです。 |
■経営者の役割(2021年8月9日) |
『破天荒な経営者たち』より引用します。 ●資本配分とは、株主のリターンが最高になるように企業の資源を配分していくことである ●CEOとして成功するには(中略)、事業を効率的に運営し、そこで得た現金をうまく使うことである ●基本的に、資本配分は投資なので、すべてのCEOは資本配分者と投資家を兼ねることになる 東洋経済の記事によれば、ウォーレン・バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイ社の株主総会で次のように答えています。 経営者として、資本をどこにどう投下するか(キャピタルアロケーション:資本配分)の決定は非常に重要な役割だ。これが最も求められる経営者の資質といってよい ソフトバンクグループ(9984)の孫正義会長兼社長も、日経新聞のインタビュー記事でほぼ同様のコメントをしています。 会社が(売上高)1千億円とか2千億円を超えたら、経営者は投資会社として考えるべきだ(伸びる事業と縮小する事業を見極め経営資源を配分することが経営者の役割との持論) 「CEOは投資家である」と考えれば、その職務をまっとうしている経営者は、我が国では稀有な存在です。 とりわけ雇われ社長(サラリーマン社長)では皆無に近く、オーナー経営者の中でも資本配分に長けている社長はそう多くありません。 長期投資家としては、常日頃から「この社長(=投資家)に資金を託したい」と思える会社をいくつか見つけておきたいところです。 |
■サイバー藤田社長が自社株を売却(2021年8月6日) |
サイバーエージェント(4751)の藤田晋社長が保有している自社株の一部を売却しました。7月28日付で、1000万株を1株2050円で処分しています。 同社は過去に4回、自己株式の取得(自社株買い)と消却を実施済みです。いずれも株価の安い時期に行っており、相当に効果があったと思われます。 ひょっとすると、藤田社長は投資の名手なのかもしれません。そう考えれば、足元のサイバーエージェント株が過大評価されているとも受け取れそうです。 個人的には、同社がいつ、次の自社株買いを行うのかにも注目しています。そのときが投資チャンスになりえるからです。 【サイバーエージェント 自己株式の取得】 |
■無配株が資産株(2021年8月5日) |
『まちの相場師』に赤字で無配の日本郵船を大量に買った老人の話が出ています。 この老人が今でも健在であったなら、赤字で無配となった2017年3月期の業績を見て、同社株を再び大量に仕込んだはずです。そして、上方修正された2022年3月期の業績を横目に、売り時を考えているのはないでしょうか。 本書を読んで「投資アイデアとしては面白い」と感じたものの、まさか、書いてある話がそのまま実現するとは思いませんでした。他の景気循環株にも応用できそうです。 【日本郵船 業績推移】 【日本郵船 月足チャート】 |
■天井圏の株価と200日移動平均線(2021年8月1日) |
『ミネルヴィニの成長株投資法』によれば、天井圏の株価と200日移動平均線の特徴は次のとおりです。 (1)株価は今までよりも変動幅が大きく不安定となり、ボラティリティが高まる 足元の日経平均は、1番目と3番目が当てはまります。天気予報に例えれば、注意報レベルと言ったところでしょうか。 もし、この8月に出来高を伴う株価の急落があり、200日移動平均が横向きとなれば、全てが当てはまることになります。天気予報では警報レベルです。 株価の方向性が定まるまで、当面の間は神経質な展開が続くかもしれません。自己資金を運用する立場としては、無理をせず「高見の見物」でも構わないと思いました。 【日経平均 日足チャート】 |
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