肩を落とすまで待て、苦瓜達郎氏のコメント、テクニカル分析の良書、
ロゼッタの業績下方修正、サラリーマンが億万長者になる方法、それぞれの流儀、
新興市場の断末魔、業界内のポジション、サンリオ、コシダカHDの本質価値、
分相応、自然体、背伸びをしない、儲けを人に言うべからず、株での勝ちとは、
秋の東北旅行、株式市場の魔力
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ショートコラム(2017年10月)
■株式市場の魔力(2017年10月31日) |
名言の宝庫であり、すっかりお気に入りの株本となってしまった『株でゼロから30億円稼いだ私の投資法』より引用します。 一度この世界に入ると、永久にやめることができない、というのが株式市場の魅力であり、魔力といってもよいであろう。 たまたま、アベノミクス相場で株式投資をはじめ「思った以上に儲かったから、切りのいいところで株をやめよう」なんて考える投資家はまずいません。すっかり気を良くして、資金を追加するのが関の山でしょう。 そうこうしているうちに弱気相場がやってきて、今までの儲けをすべて吹き飛ばし、元本までも失って、最終的に退場させられます。個人投資家の大半が損で終わるのは、株式市場の魔力に取りつかれてしまうからです。 永久にやめることができない中で、生き残りを図るには、なるべく早めに自分の流儀(投資スタンス)を確立することです。流儀が決まれば、自ずと出番が分かります。 そして、他人がどれだけ儲けていようとも、自分の出番以外ではいっさい動かないこと。これが、株式市場の魔力に負けない唯一の方法のような気がします。 |
■秋の東北旅行(2017年10月29日) |
10月26日から28日まで、東北旅行に出かけてきました。今回は、ローカル線に乗るだけでなく、ちょっとした観光なども行っています。 名所を巡りだすと、もう少しちゃんとしたカメラが欲しくなります。スナップ用のコンパクトタイプでは、限界があるからです。 しかし、デジカメの高級機は、びっくりするほど高価なのも事実です。レンズを揃え、さらに画像処理用のモニタまで手を広げれば、相当な出費になります。 そんなところにお金をかけるより、あちらこちらを見て歩いたほうが賢明な気もします。まあ趣味にまで、対費用効果を求めるのも考えものですが・・・。 結局、自分の金銭感覚は、お金のなかった昔と全然変わっていません。ちなみに今回も、格安のピーチ便を使い、泊まったホテルは4千円台でした。 象潟から見る、日本海に沈む夕日 酒田の山居倉庫 鶴岡の御城稲荷神社 |
■株での勝ちとは(2017年10月25日) |
株式投資における「勝ち」について、私なりの考え方を示しましょう。 次の2つの条件を満たしている投資家は、株の「負け」が一生なくなります。持株がすべて紙切れになっても、通算損益がマイナスにならないからです。つまり「勝ち」が確定します。 ●証券口座への入金額 < 証券口座からの出金額 ほとんどの個人投資家が最終的に負けてしまうのは、今のような株高局面にて投資資金を追加してしまうからではないでしょうか。株を腹いっぱいに抱えたところで、相場が天井を打つのがいつものパターンです。 ここ数年の相場で、想定していた以上に儲かったのであれば、資金を部分的に引き出すことも検討してください。 私自身も、かつて2005年の小泉相場で大勝ちした後、はやる気持ちを抑え、1千万円を命金として個人向け国債10年に預け替えました。 後から振り返れば、このおかげで、リーマンショックでもパニックにならずに済んだのです。もっとも、償還時にマイナス金利政策が取られているとは、夢にも思いませんでしたが。 |
■儲けを人に言うべからず(2017年10月24日) |
『株でゼロから30億円稼いだ私の投資法』のおわりに、遠藤四郎氏の座右の銘のひとつとして「儲けを人に言うべからず」があげられています。 儲けを口外すれば「さすがですね」とおだてられ、驕りや慢心につながります。持株が自分のアイデンティティになってしまうと引くに引けなくなり、相場の振り子が逆に触れた場合、運命を共にする羽目に陥ります。 しかしながら、今やネット上では個人投資家の大自慢大会が繰り広げられています。時代に応じて場が変わっているものの、やっていることは同じです。 ●2000年:株式掲示板 ほぼ定期的に発生する、このような状況を見せつけられるにつけ、2〜3年後にどうなっているか、だいたい想像がつきます。 経験則から言わせてもらえば「どうしても他人に自慢したいほど儲かったとき」ほど、株の売り時であることが少なくありません。 |
■分相応、自然体、背伸びをしない(2017年10月22日) |
『株でゼロから30億円稼いだ私の投資法』を読了しました。本書は絶版になっており、古本も安くなく迷ったのですが、どうしても欲しかったので買いました。 著者の遠藤四郎氏は個人投資家で、実際に株式投資で資産を築いた人物です。今とは時代背景が異なるだけに、遠藤氏のやり方をそのまま取り入れるのはリスキーですが、ベースとなっている考え方はたいへん参考になります。 参考までに、琴線に触れた箇所を、いくつかピックアップしておきましょう。 ●20年、30年と損したり儲けたりしながら生き延びるためには、自分なりの投資哲学を持たねばならない。それは分相応、自然体、そして背伸びをしないということである ●株式投資は付和雷同や群集心理に陥ってはならない。一般大衆の行動は常に間違っていると考えれば正しい。皆が買っている時流株は、今度は皆が売り込んでくる株式になってしまう ●いっときの成功者の末路は皆哀れ。偽物は逆に居丈高になり、威張り散らしたり、偉ぶったりするもの。それが結局墓穴を掘る ●株式投資では「軍団を組んで皆で仲良く儲けよう」という試みはまず成功しない。ひとりで孤独な戦いをしてこそ、株式投資の儲けはある。 本物の言葉は、やはり一字一句の重みが違います。今後も、折に触れて読み返したい硬派の株本です。 |
■コシダカHDの本質価値(2017年10月21日) |
昨年11月に開催したバリュー投資塾にて、コシダカHD(2157)の本質価値を計算したことがあります。 収益力をベースとした試算では、同社が公表しているセグメント情報より、ビジネスモデルの転換により収益の低迷しているカラオケ事業、ようやく黒字化した温浴事業の売上高営業利益率が10%となるサクセスストーリーを描きました。 カラオケ事業の営業利益率が一気に10%まで回復するとは考えにくかったのですが、計算をシンプルにするため、あえて10%としました。 この場合、本質価値は3,318円。安全域を考慮したバーゲン価格は2,212円です。当時のコシダカHD株は2,000円前後で推移しており、カラオケ事業と温浴事業の収益が向上する前提では、投資に値します。 本年10月11日に発表された2017年8月期決算では、さすがに私の前提を下回ったものの、EPS174.5円、71.3%最終増益となりました。株価も、さらなる収益改善を織り込む形で急騰しています。 今年の地合いでは、中小型株であれば“当てずっぽう”で買っても儲かったかもしれません。しかし、そのような投資を続ければ、やがて訪れるであろう弱気相場でツケが回ってきます。投資に当たっては、筋道(ストーリー)を重視したいものです。 |
■サンリオ(2017年10月19日) |
サンリオ(8136)の株価が低迷を続けています。月足チャートでは、120月(10年) 移動平均線を下回っており、歴史的な安値圏にあります。 ただ相場全体が堅調な中で、ここまで売られるには相応の理由が存在していることも確かです。それでも「同社の業績不振は一時的なものである」という確信に近いものを持てるのでなら、今は投資チャンスかもしれません。 問題は、いくらなら買えるかです。同社の企業価値の大半は「キティちゃんのブランド力」であり、PERやPBRなどの一般的な指標は当てになりません。 無形資産の評価は個人投資家には難しく、「ちょっと、手に負えないな」が正直な感想です。もっとも、2〜3年度には「あのときに買っておけばよかった」と地団駄を踏むかもしれませんが。 |
■業界内のポジション(2017年10月18日) |
私は、1988年に東証一部上場の建築資材メーカーに就職します。一応、経営学部出身だったこともあり、企業がマーケティングをどのように行っているか、ずっと気になっていました。 そこで新入社員時代のある日、経営企画部門に勤めていた大学の先輩に恐る恐る聞いてみました。ところが、まったく予想だにしていなかった言葉が帰ってきます。一瞬、唖然としました。 マーケティング? そんなものはないよ。業界大手のヒット商品をコピーして、おこぼれを頂戴しているだけや それがまさに、コトラーの競争地位戦略における「フォロアー」に合致していた模倣追随戦略と知ったのは、随分と後になってからです。 当時は、資産バブルの建設ブーム真っ盛りであり、おこぼれ頂戴でも十分に通用しました。最大手の売れ筋商品が欠品を起こし、特需に沸いたこともあります。 しかし、バブルが崩壊して建築需要が低迷すると、段々と自社の居場所がなくなってきました。若い経営者が後を継いだ、ヤル気にある上得意にも見切られる始末。以降、工場を閉鎖し、営業所も減らして、事業規模は縮小する一方です。 自分は割と早めに持株会を損切りしたため助かりましたが、OB会では「売るに売れない」自社株への恨み節が未だに聞かれるそうです。 この経験より、株価がいくら割安でも、成熟産業・斜陽産業(内需関連の大半が該当)に属しているフォロアー企業への投資はリスクが高いと思っています。とりわけ、好景気の続いている足元の局面は「おこぼれを頂戴しやすい」だけに注意が必要でしょう。 |
■新興市場の断末魔(2017年10月16日) |
週刊ダイヤモンド2009年1月31日号のタイトルは『新興市場の断末魔』。今から振り返れば、目利きができて余裕金を持っていた投資家にとっては、絶好の投資チャンスでした。 昨今の新興市場やIPOの状況を見るにつけ、そう遠くない将来、似たような局面が訪れても不思議ではないように思えます。 投資資金を温存し、銘柄分析を続けながら、一人静かにその時を待ちたいです。 |
■それぞれの流儀(2017年10月13日) |
私はかつて、投資家同士のオフ会に参加していた時期があります。また株式投資セミナー講師の仕事を通じて、数多くの個人投資家とお会いしてきました。 その経験より感じていることは「株でどうやって儲けるか」という各人の流儀が、バラエティに富んでいたことです。バリュー投資家でも、人によって少しずつ違ったりしました。 まあ自分の性格や価値観に合っているやり方のほうが、無理なく行えるわけですから、当たり前といえば当たり前かもしれません。 この件で残念に思うのは「自分たちの手法や銘柄が優れており、他のやり方は劣っている」という考え方が一部に存在することです。 意見の相違があるからこそ、売買が成立し、株価が付くわけです。さらに商売に例えれば、他の投資家は大切な仕入先、販売先に当たります。 必要以上に仲良くするのも考え物とはいえ、もう少しお互いをリスペクトする気持ちがあっていいように思いました。 とにかく投資の流儀は、本人に合っているものが、その人にとって一番です。 |
■サラリーマンが億万長者になる方法(2017年10月11日) |
サラリーマン時代、会社のコンピュータルームにCSK(現、SCSK)の人がいました。うち一人はベテランで、まだ新入りだった私は、こんな話を何回か聞かされたものです。 昔から自社株を買っていた古参社員は、株価の値上がりで全員が左うちわだ。 テニススクールのクラスが同じで、自宅に何回か招いていただいた藤沢薬品工業(現、アステラス製薬)の偉いさんも、ほぼ同じ話をしていました。 本社には、1億円以上の自社株を持っている年輩社員がゴロゴロしている。昔の、株価の安いときにコツコツ買っていたからな。 いずれも、持株会の積み立てを続けながら、株価の安いとき(職場で話題になるので自ずと分かる)に自分でも買い増してきたそうです。 ごく普通のサラリーマンが株式投資で財を成した話を、身近では滅多に聞きません。唯一といってもいい例外が、この2つです。 あくまで結果論につき「単に、運が良かっただけ」と思われるかもしれませんけど、この2つの話には大切なポイントが含まれています。 ●CSKや藤沢薬品工業という成長株への長期投資を行った つまり、知らず知らずのうちに、株式投資の王道を実践できていたのです。 今や、かつての高度成長期と異なり「とりあえず自社株を買っておけばOK」という恵まれた時代ではなくなりました。しかし、銘柄を選びさえすれば、この手法は現在でも十分に使えます。 ●今後も成長を見込める銘柄を厳選する かくいう私自信も、現金を積み上げつつ、次の株安局面にて思い切った投資ができる銘柄の絞り込みを行っているところです。 |
■ロゼッタの業績下方修正(2017年10月9日) |
ロゼッタ(6182)が業績下方修正を発表しました。リリースを読んだ正直な感想は「何だこれ。汎用的な機械翻訳に取って代わられる程度の仕事だったのか」です。 たしかにグーグル翻訳などの精度は向上しているものの、専門用語の誤訳が多く、実用レベルに達しているとは言い難い面があります。しかも同社は、専門的な産業向け翻訳に特化していたはず。 株価はストップ安を付けるかと思いきや、そこまでは下がりませんでした。地合いの良さに助けられているのでしょうか。あるいは、私が心配性なだけでしょうか。 |
■テクニカル分析の良書(2017年10月5日) |
9月のバリュー投資塾では、いつも参加されている方からのご要望を受けて、テクニカル分析の簡単な解説を行いました。その中でおすすめしたテクニカル分析の良書を、こちらでも紹介しておきます。 『投資の王道―株式市場のテクニカル分析』 『投資の王道』は、 「チャートはまがいもの」という、個人的なテクニカル分析に対する偏見を改めさせられた本です。本当にこの本に巡り合えて良かったと思っています。 『移動平均線の新しい読み方』は、短期売買、長期投資の双方に活用できる実用書です。移動平均線の奥の深さを学ぶことができます。 自らの経験を語らせてもらえば、バリュー投資といえども、テクニカル分析を補助的に使用すればパフォーマンスがあがります。 株価の下げ止まりを確認できることで、買った後、低迷を続ける株価にやきもきすることが減ります。売った後、長期投資家と入れ違いに参戦するトレーダーの買い上がりにより、上昇に弾みがつく株価に地団駄を踏むケースも少なくなります。さらに「セオリーを知りつつ、あえて裏をかく」高等テクニックも使えます。 そういう意味で、テクニカル分析に関する最低限の知識は身に着けておきたいものです。 |
■苦瓜達郎氏のコメント(2017年10月4日) |
4月のショートコラムで紹介した、ファンドマネジャーの苦瓜達郎氏が、大和住銀日本小型株ファンドの月報にて、次のようにコメントしています。 ここ数ヵ月間の企業規模による株価動向の格差はかなり行き過ぎ感があり、今後修正局面を迎えることが考えられます。 小型株の中で相対的に安全と見られる割安銘柄に関しても、細心の注意が必要と考えています。 当ファンドは割安株投資に徹するほか、急上昇銘柄に関してはこまめに利益確定を行うことで、修正局面に転じた際のリスクを低減する方針です。 まったく同感です。直近の相場は出遅れ銘柄までが急騰を演じる始末で、前回、小型株が異様な盛り上がりを見せた2005年末に近い雰囲気となってきました。 小型株は個人投資家が売買主体であり、投資家心理の影響を多大に受けるため、上がるにしろ、下がるにしろ、値動きが一方通行になりがちです。 これまでは割と楽勝だったかもしれませんけど、いつ相場の雲行きが変わってもおかしくありません。せっかくの儲けを吹き飛ばさないよう、慎重な対応を迫られる難しい局面に差し掛かったといえます。 |
■肩を落とすまで待て(2017年10月2日) |
本日、発表された日銀短観によれば、大企業・製造業DIが2007年9月以来、10年ぶりの水準まで上昇しました。ひねくれ者の私としては、景気の良すぎる点が、逆に気になります。 この調査結果を見て、ジョン・トレインが著書『ファンド・マネジャー』(後に『マネーマスターズ列伝』として再編)で力説していた文言を思い出しました。 要するに、ウォール街でコンセンサスが形成されたとみるや、黙ってその反対をやるのが最も安全な投資ということになる。銀行の「長期景気見通し」に青信号が出たといって、慌てて株に飛びつくようなことは間違ってもやってはいけない。 大型の不況が進行し、銀行やエコノミストたちがもう駄目だと肩を落とすまでじっくり待つのだ。そうすれば素晴らしい資産を実体価値の半値で手に入れたり、超一流の成長株を捨て値で買うことができる。 書いているうちに思い出したのですが、2007年9月はすでにピークアウトした日経平均が下降トレンドに転じていた時期でした。その1年後、銀行やエコノミストたちが肩を落としています。さて今回は、果たしてどうなるでしょうか。 |
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