時流というもの9月のバリュー投資塾三菱地所米国株のバリュエーション
高配当という撒き餌株式投資という精神修養米国でも楽観主義が台頭
銘柄選択基準精々3、4年ゲンキーの四季報記事タイムカプセル
「オンリーワン企業」音声CD嬉しい反面

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ショートコラム(2017年9月)

■四季報秋号の印象(2017年9月30日)

会社四季報秋号の通読を終えました。「チャートの上がりきった銘柄が多いな」というのが全体的な印象です。

PERで見た「安い株」も少なく、その大半が不動産関係でした。不動産会社の収益は市況に左右されることから、好況時のEPSはあってないようなものです。そう考えれば、本当の掘り出し物はあまり残っていないのかもしれません。

もし時間的余裕があれば、前年の会社四季報秋号と読み比べてください。1年前は、チャートが調整中の割安銘柄がけっこう散見されました。今から振り返れば、絶好の投資チャンスだったのです。

経験則では、今は「待ち」の状況です。あそらく半年から1年後には、マーケットの景色も変わってくるのではないでしょうか。2015年夏と2016年夏が、天国と地獄の違いだったように。


■嬉しい反面(2017年9月29日)

このところ「バリュー投資塾月刊レポートに出ていた銘柄を買い、儲かりました」という声をあちらこちらでいただきます。

私が取り上げたのはあくまで事例で、銘柄推奨でも何でもありません。自分なりに検討を加え、売買タイミングを考慮して投資を行った結果の利益は、本人の実力です。

ただ「世間で注目されていなくても、ビジネスモデルが興味深く、業績がまずまずの会社を割安な水準で買えば儲かる」というバリュー投資の成功体験を得られたのであれば、当方としても嬉しく思います。

しかし今年に関しては、バリュー投資の対象となりがちな東証2部やJASDAQの活況という、追い風が吹いていることには注意が必要でしょう。私自身も「あの地味株が、そんなに上がるとは思わなかった」ケースが数件ありました。

株は、割と楽に儲けられる局面と、どう頑張っても損をしてしまう局面が交互に訪れます。そろそろ「どう頑張っても損をしてしまう局面」に対する備えが必要な時期に差し掛かっているような気もします。


■世帯収入の中央値(2017年9月27日)

政府の見解によれば、景気の拡大が続いており、あの「いざなぎ景気」を超える長さになった可能性が高いそうです。

しかしながら、個人的にそのような印象を受けません。近場のスーパーも、店舗が混み合うは特売の日だけ。しかも特売のやり過ぎで、以前ほど人が集まらなくなりました。

NHKのサイトに掲載されているグラフによれば、共働きが増えているにもかかわらず、世帯収入の中央値は下がり続けています。2015年の中央値は428万円で、ピーク時より122万円下がりました。

収入が増えない以上、個人消費の盛り上がりようがありません。庶民レベルでは、景気回復を実感できなくて当然でしょうか。

世帯収入の中央値と共働き世帯数


■「オンリーワン企業」音声CD(2017年9月26日)

9月のバリュー投資塾「オンリーワン企業」の音声CDを販売します。

今回は、あえてノーカットで編集しました。多少、聞き苦しい箇所があるかもしれませんけど、その分、セミナーの臨場感を十分にお伝えできそうです。

さらに、参加された方からのご質問などにより、テキストに掲載しきれなかった銘柄についても解説しましたので、より充実した内容になったと自負しています。自習用に活用していただければ幸いです。

ご購入を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

「オンリーワン企業」音声CD
セット内容

CD1枚組(約256分)、テキスト・資料付き、2017年9月23日収録

バリュー投資塾の音声を収録しています。映像は含まれておりません。なお、私のセミナーはプロジェクターを使用しないアナログ方式につき、音声のみでも分かる内容です。

受講料

銀行振込 26,400円

着金確認後、最寄りの郵便局より郵送します。郵送以外での送付を希望される場合、送料は実費をいただきます。

内容

時流に乗ったオンリーワンビジネスを展開しており、今後の成長を見込める企業を、4つのパターンに分類して解説します。

なお本題に入る前に、足元の投資環境やテクニカル分析の基本についてもお話ししました。

テキスト
概要

第1部 民間が手がけていなかった分野
1−1 A社(サービス)
1−2 B社(サービス)

第2部 特殊分野、ニッチ市場に特化
2−1 C社(建設)
2−2 D社(サービス)

第3部 ユニークなビジネス
3−1 E社(不動産)
3−2 F社(サービス)
3−3 G社(サービス)

第4部 業界大手と異なる経営戦略
4−1 H社(小売)
4−2 I社(小売)


■タイムカプセル(2017年9月21日)

2008年秋のリーマンショック後、株はたしかに安かったのですが、大型株といえども毎日のように乱高下していました。そんなとき、次のように思ったものです。

うーん。今、大きなポジションを取れば金持ちになれるかもしれないが、ボラティリティにやられて体が持たない。金融株を腹いっぱい抱えて、3年後に開けられるタイムカプセルに自ら入りたい。

2011年春の東日本大震災直後も、ほぼ同じことを考えました。

もし3年後に開けられるタイムカプセルに入ることができれば、全財産を東海道新幹線と東京ディズニーランドにつぎ込めるのに・・・。

今は、まったく逆です。

うーん。自分の大好きな東証2部やJASDAQの小型株がじり高の展開に、ついしびれを切らし、思わぬ高値を掴んでしまいそうだ。現金を目いっぱい詰め込んで、3年後に開けられるタイムカプセルに入りたい。

資本主義社会より、景気循環と信用サイクルがなくならない限り、3年後は不景気の真っ只中のはず。たぶん、割安銘柄がゴロゴロしているでしょう。

そんなバーゲンセールにキャッシュ100%に臨めれば、何も言うことはありません。でも、そう上手くいかないのが株の世界です。目に浮かぶのは、不況を待ちきれずに動いてしまい、流れ弾に当たって投資資金を失い、戦意を喪失している傷だらけの自分です。なるべく、そうならないようにしたいものですが。


■ゲンキーの四季報記事(2017年9月20日)

会社四季報秋号を読んでいて、ゲンキー(2772)の記事が目に留まりました。

●既存店売上10%増を前提に、連続営業増益
●業態超えたM&Aを視野に12月持株会社体制に移行

藤永社長は、もともと山っ気のあるタイプですが、ちょっと欲張りすぎのような気もします。四季報予想は投資家のコンセンサスとなりえるだけに、達成できなかった場合の反動が心配になりました。


■精々3、4年(2017年9月18日)

まちの相場師』で一番気に入っている話を引用します。

別に結果は急がない。景気のサイクルに合わせて、不況で安くなったときに買い、好況で高くなったときに売るのが、山田のスタイルだという。

「それにしても気の長いお話ですねえ・・・」

「長い? なにをいう、景気のサイクルは精々3、4年のことじゃないか」

常日頃より銘柄研究にいそしみ、次の不況を待ってから投資を行うのであれば、株で儲けるのはそんなに難しくないような気がします。

しかし、結果を急いでいる大半の個人投資家は、待つことができません。景気のピーク近くで高値掴みをして、次のボトムではすでに退場させられているのがいつものパターンです。

かくいう自分も、2000年や2007年の株高局面にて、安易な気持ちで買った銘柄には苦しめられました。次は、精々3、4年を我慢できるようにしたいと思います。


■銘柄選択基準(2017年9月14日)

今さらですが、銘柄選択基準について再考してみました。

●自分のよく分かるビジネス
●何らかの強みを持っている
●売上拡大余地が大いに残されている
●時流に乗っている
●経営者がやり手であり、好感が持てる

以上の条件を満たしている銘柄を、ひとつでも多く見つけておきたいです。資本主義の歴史が繰り返される限り、きっと投資チャンスが訪れるに違いありませんから。


■米国でも楽観主義が台頭(2017年9月13日)

海の向こうでも、投資家が楽観的になっているようです。

ウェルズ・ファーゴ/ギャラップ投資家・退職者楽観指数(Wells Fargo/Gallup Investor and Retirement Optimism Index)は、1999年から2000年にかけてのITバブル時に迫るレベルまで上昇しました。

我が国であまりなじみがないこの指数は、1万ドル以上の投資資金を有する投資家と退職者を対象にした調査を元に作成されています。

少し時間がかかるかもしれませんけど、バリュー投資家としては、世間が総悲観になるのを待ちたいものです。

wells fargo/gallup investor and retirement optimism index


■株式投資という精神修養(2017年9月12日)

邱永漢の基本法則 株の原則』で述べられていた文言が琴線に触れました。

邱永漢氏は、かつて「金儲けの神様」と称された人物です。『金持ち父さん』シリーズがヒットするまでは、邱さんの考え方を分かるかどうかが、投資家として成功するための試金石でした。

株式投資は、金儲けではあるけれども、精神修養でもあるのです。金儲けを実現するには、相当、自分の心をコントロールできないといけない。

今の自分は、指値をして安値を拾うタイプの投資家です。よって、今年のような相場では、ほとんど出番がありません。

指値が通らず、そのまま上昇してしまった銘柄も多々ありました。思わず、飛びつきたくなるのを、ぐっと我慢。すると、さらに株価が暴騰し、地団駄を踏む羽目に陥ります。

隣の芝生は青く見えるもので、勢いよく上昇している銘柄で手っ取り早く儲けるトレーダーに鞍替えしたくなります。まあ、そんな才能はないのですが・・・。

逆に、自分の指値が通った場合は、なぜか株価がさらに値下がりするケースが少なくないです。「ああ、もうちょっと我慢しておけば」と嘆いてみても後の祭り。持株の含み損にうんざりしているときが、絶好の投資チャンスだったりするわけですけど、気が滅入ってしまい、なかなか動けません。

少し買えればいいほうで、ぐずぐすしているうちに株価は戻ります。今度は安値覚えになってしまい、追加の買いを渋っていると、あれよあれよという間に株価は上に・・・。

年がら年中、そんな行為とを繰り返していると、まさに精神修養です。「もっと好きに売買したい」と思うこともあります。でも、そちらに流れてしまえば、投資家として終わるのでしょうね。


■高配当という撒き餌(2017年9月9日)

SBI証券のスクリーニング機能を用い、配当利回り4%以上の銘柄を抽出して、その中から10銘柄を抜き出してみました。

10銘柄の平均配当利回りは約5.3%。5千万円で均等に買い付けると、年間で260万円あまりの配当金を得られます。独り身なら、何とか生活できるレベルです。

投資資金の大半をキャッシュで持っている私は、時として「別に株価が上がらなくても、配当で暮らせれば、それでいいから」という誘惑に駆られます。

しかし、この手の銘柄群には共通の弱点があります。

●不動産市況の軟化に弱い
●金利上昇に弱い
●信用収縮局面では売り込まれる

将来的に、不動産市況が悪化し、金利の上昇が起こり、マーケットが信用収縮に陥ったとき、何社が高配当を維持できるのか、大いに疑問が残ります。

好況期の高配当は、撒き餌である可能性が高いのです。私自身も、リーマンショックにて、そのことを身をもって学びました。

よって、晴れの日の投資対象とは言い難いです。もし投資を行いたいのであれば、土砂降りを待つべきでしょうね。

コード  銘柄 
配当利
回り(%)
9281 タカラレーベン・インフラ
8.35
3473 さくら総合リート
6.50
8706 極東証券
5.39
3308 日本ヘルスケア
5.05
8985 ジャパン・ホテル・リート
4.91
9505 北陸電力
4.89
7201 日産自動車
4.86
8304 あおぞら銀行
4.51
8616 東京海上FG
4.32
1928 積水ハウス
4.10
10銘柄の平均
5.29

■米国株のバリュエーション(2017年9月8日)

米国株に関して、今やCAPEレシオなど役に立たないという意見も少なくありません。CAPEに意義を唱える市場関係者は「株価は割高でない」と主張したいのです。

しかしながら、一部の企業経営者や投資家から好まれているEBITDA倍率では、S&P500銘柄のバリュエーションがITバブル時とほぼ同じ水準に達しているとの指摘もあります。

ひとつの指標のみで投資判断を行うのは避けるべきでしょうが、足元の状況は、どう考えても長期投資家が本腰を入れて買う局面でないように思われました。もうしばらく、高みの見物を決め込みましょうか。

SP500_Price_EBITDA_Ratio


■三菱地所(2017年9月7日)

たまたま、三菱地所(8802)のロングチャートを見ていて、気づいたことがありました。事もあろうに、120月(10年)移動平均線を割っているのです。

チャートだけの話をすると、通常、ブルーチップの120月移動平均線割れは「歴史的な株の買い場」を意味します。

しかしながら、ほぼ天井と思われる首都圏の不動産市況を鑑みれば、どう考えてもそうは受け取れません。しかも同社株は、株価形成が効率的とされている大型株です。

いったい何を織り込んで下げているのか、気になります。

三菱地所 株価チャート(月足)


■9月のバリュー投資塾(2017年9月5日)

ここ2週間ほど、9月のバリュー投資塾で使用するテキスト作りに没頭していました。8月のショートコラムでも述べたとおり、バリュー投資塾は「私自身の目利き力を高めることで、受講される方のお役に立つ」という方針のもとで開催しています。

今回は「やがて訪れるであろう弱気相場にて、思い切った投資を行いたい企業」の候補9銘柄をリストアップしてみました。条件は次の2つです。

●オンリーワンビジネスを展開していること
●時流に乗っていること

というのも、歴史を振り返れば、時流に乗っているオンリーワン企業への投資が驚異的なリターンを叩き出しているからです。ただこの手の銘柄は、通常は高PERで売買されるため、フェアバリュー以下で仕込むには弱気相場を待つしかありません。

●1998年のニトリ、ファーストリテイリング(GMSから専門店へ)
●2003年のエン・ジャパン(転職が一般化、紙からネットへ)
●2009年のセリア、コスモス薬品(主婦がマイカーで買い物をする時代)

しかし実際に暴落が起きても、自分自身が血を流しており、巷にあふれている悲観論を尻目に買い注文を入れるのは相当に困難です。

アジア通貨危機にロシアデフォルトと新興国での金融不安が相次いだ1998年は「金融システムが崩壊し、資本主義が終わる」とさえ言われました。メガバンクの不良債権問題が表面化した2002年から2003年にかけては「みずほとUFJはつぶれる。預金封鎖が起きる」というウワサを投資家は半ば信じていました。リーマンショックから半年後の2009年春には「日経平均が7千円を割り込み、奈落の底に落ちる」とばかりに、空売りで大儲けしたトレーダーが怪気炎をあげていました。

そんな中、安値を拾えるようになるには、普段から銘柄研究を継続し「この会社(社長)なら、きっと今回の不景気を乗り越えてくれる。あるいは不況を逆手に成長できる」という確信に近い感触を得た投資先をいくつか見つけておくことです。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。

9月のテーマは「オンリーワン企業」です
日時・場所

2017年9月23日(土) 10:30〜16:50 東京・大井町 きゅりあん

2017年9月30日(土) 10:30〜16:50 大阪・天満橋 エル・おおさか

今回はセミナー終了後に懇親会を開催します。費用は実費です。

人数

少人数制(10名様程度まで)

受講料

銀行振込 25,920円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。それ以後のキャンセルは次回以降の受講に振替させていただきます。

内容

時流に乗ったオンリーワンビジネスを展開しており、今後の成長を見込める企業を、4つのパターンに分類して解説します。

テキスト
概要

第1部 民間が手がけていなかった分野
1−1 A社(サービス)
1−2 B社(サービス)

第2部 特殊分野、ニッチ市場に特化
2−1 C社(建設)
2−2 D社(サービス)

第3部 ユニークなビジネス
3−1 E社(不動産)
3−2 F社(サービス)
3−3 G社(サービス)

第4部 業界大手と異なる経営戦略
4−1 H社(小売)
4−2 I社(小売)


■時流というもの(2017年9月4日)

みずほ銀行産業調査部のレポートに、興味深いグラフが紹介されていました。自動車(普通+小型、軽)保有台数と男女別免許保有率の推移です。

2000年以降、自動車(普通+小型)が頭打ちしているのに対して、軽自動車の保有台数は増え続けています。また女性の免許保有率も一貫して伸びています。

このデータが意味しているのは、家庭の主婦などが自分用の軽自動車を保有し、平日も買い物ができる世の中に変わってきたという時流の変化です。とりわけ郊外や地方ほど、そういった傾向が顕著でした。

投資家の仕事は、以上のような時流の変化が追い風となる会社を見つけることです。もっとベタな言葉では「第二のコスモス薬品(3349)を探せ」が分かりやすいでしょうか。

コスモス薬品は、九州を地盤とするフード&ドラッグ業態の草分けで、小商圏に大型店をドミナント展開する独自のやり方で成長を遂げました。

もし主婦が徒歩や自転車で買い物をする昔ながらの状況が続いていれば、同社は未だ宮崎県のローカルチェーンに過ぎなかったかもしれません。



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