新規公開株の長期パフォーマンス消費活動指数昔の銘柄分析レポート
N・フィールドの業績下方修正ヨシックスの新業態ピーター・タスカの名言
業界内の需給バランスなぜ、株で儲からないのかもうひとつの考え方
果たして、それで儲かるのか中国地方に行ってきました不思議な相場
株式投資で資産を築く方法バリュー投資は儲からない?

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ショートコラム(2016年11月)

■バリュー投資は儲からない?(2016年11月30日)

ときおり「バリュー投資は儲からない」といった発言を耳にします。株式投資で中長期的に成功するのは、20人に1人といわれていますから、まあ、そういうこともあるでしょう。

投資手法には、それぞれ一長一短があり、その手法で成功するか否かは本人次第です。手法の優劣を競うより、自分の性格や価値観により適しているものを選ぶべきでしょう。そのために、ある程度は試行錯誤の期間も必要です。

ちなみに私自身も、ポジショントレードを試していた時期がありました。ボックス圏相場において利益を出せたのですが、売買に忙しく、機械的損切りを要求されるやり方は性分に合わなかったです。逆に、バリュー投資の長所を再認識しました。

自分に合った手法が見つかれば、成功の確率は相当に高まります。ただ、それまでに退場させられないように、見習い期間中はリスク管理に細心の注意を払ってください。


■株式投資で資産を築く方法(2016年11月28日)

株式投資で財を成したいのであれば、次の方法が一番かなと思います。

●自分の守備範囲を決めて、競争に勝てる会社(あるいは競争相手のいない会社)を普段から調べておく
●その会社が、市場全体の急落に連れ安したり、一時的な悪材料の発生で投資家から嫌われるまで粘り強く待つ
●安値圏にて少しずつ買いながら、日々の株価変動を無視して持ち続ける
●数年後、市場全体の急騰に連れ高したり、人気銘柄になったときに売る

このように、文章としてまとめるのは簡単ですが、実行するとなれば相当の困難を伴います。巷では「今は株なんて買えない」とか「あの会社はもうダメだ」と言われているときに行動する勇気が求められるからです。

それができるかどうかは「準備にどれだけの労力を費やしたか」で決まります。「この会社は間違いない」という投資対象を7〜8社ほど見つけ、粘り強く追いかけることができれば、勝者に限りなく近づいたといえるでしょう。


■不思議な相場(2016年11月25日)

11月10日以降の株価上昇については「へー、ここからでも上がるんだ」というのが正直な感想です。

トランプ氏の大統領就任は、米国にとってはいいことかもしれませんが、我が国にとってはそうとも言い切れません。

「とりあえず、チャートについていけばOKではないか」という考え方もありでしょうが、どうも納得できかねるのです。

自分の理解できない相場は、高みの見物に限ります。


■中国地方に行ってきました(2016年11月23日)

11月20日から23日まで、中国地方を旅行してきました。ローカル線に乗り、地元の美味いものを食べるという、いつもの旅です。

ところが今回ばかりは、既に廃止の決まっている三江線に地元のお年寄りなどが大挙して押し寄せ、通勤列車並の大混雑で全線立ちっぱなしというハプニングを経験しました。「混み合う前に乗り収めておこう」と思っていたのですが、甘かったようです。

今後も、北海道などで赤字ローカル線の廃止が想定されます。再び同じ目に合わないために、計画的に乗車しておく必要性を痛感しました。

今回使用した一筆書き切符

姫新線のローカル列車

江の川に沿って走る三江線の車窓

山陰本線に架かる餘部鉄橋より臨む日本海


■果たして、それで儲かるのか(2016年11月18日)

足元の相場は「何か、おいしい儲け話はないか」と投資家のほぼ全員が血眼になっている状況です。

そんな中で、好決算を発表した会社や高値を更新した銘柄に飛びつくという「誰しもが考えそうなやり方」で株を買って、果たして儲かるのでしょうか。

もっとも「自分は昔からこれ一本でやっている」と言えるほど、その手法に特化しているのなら、話は別ですが。

「マーケットの勝者はごく少数である」という事実を忘れないでほしいものです。


■もうひとつの考え方(2016年11月17日)

下図をご覧ください。今年に入り、チャートでもまったく買えなかった日経平均が上昇トレンド入りしています。この局面にて、買い出動するかどうかは投資家次第です。

逆張りでじっくり安値を待つ長期投資では、慌てて買う必要は一切なく、見送りでいいと思います。一方、順張りの短期売買(いわゆるポジショントレード)では、久しぶりの投資チャンスにつき、仕掛けるべき局面といえます。

ただポジショントレードにも注意点があります。すでに景気がピークアウトしている可能性があり、そう考えれば株価は割安と言い切れない点です。いつ梯子を外されても困らないように、短期と割り切り、チャートが崩れたら即撤退という気持ちで臨むのが賢明です。

ここで避けたいのは、長期投資を目指していながら、いつまでも待てないからとアルバイト感覚で短期売買に手を出すことです。ポジショントレードといえども、コンスタントに利益を積み上げるのは容易ではありません。

流儀が決まれば、自ずと自分の出番も分かります。もっとも、流儀が固まるまでにある程度の試行錯誤も必要なわけで、何が向いているのか分からなければ、少額で短期売買を仕掛けてみるのも一案でしょう。

私自身も、リーマンショック後は何をどうしたらいいのか分からなくなった時期があります。そのとき、損失の限定されるポジショントレードに魅力を感じ、試していた時期がありました。リスク管理の徹底により、それなりに利益も出ました。しかし、追っかけ商い的な売買が肌に合わず、「やっぱり自分はバリュー投資家なんだな」と再認識した次第です。

今さら、短期売買と長期投資のどちらが優れているとか議論するのは無意味です。それぞれに一長一短があり、どちらが自分に適しているのかという問題です。あえて言うなら、損切りを憶えられ、すぐに結果も出て、短期間に経験値を上げやすい短期売買のほうが初心者向きという点でしょうか。

ということで、個人的には様子見ですが、現局面で買い出動するという、もうひとつの考え方も認めます(むしろ、こちらが主流かもしれません)。別に、どちらが正しく、どちらが間違っているわけではないからです。ただ、短期売買派がここで動かなければ「あれ、どうして?」と聞きたくなり、長期投資派がここで本腰を入れれば「ちょっと早いのでは・・・」と咎めたくなります。

日経平均株価チャート(日足)


■なぜ、株で儲からないのか(2016年11月16日)

20年余りの投資家生活を振り返ると、私自身が株で損をしてしまう(あるいは儲け損ねる)理由は次の5つに集約されます。人間の感情にそう個人差はないので、皆さんも似たり寄ったりだと思います。

1.不況を待てない
2.銘柄を厳選しない
3.長く持てない
4.他人に同調する
5.高配当に逃げ込もうとする

裏を返せば、この5つの課題を少しでも克服できれば、株で儲かるようになるわけです。とりわけ、現時点における最大の難所は「不況を待つこと」です。

投資家にとって、毎日のように相場をチェックし、銘柄分析を続けながら、何もせずに見ているだけほど辛いことはありません。以前から目を付けていた銘柄が急騰すれば、なおさらです。

しかし、自分の売買履歴を元に行ったシミュレーションでは、不況さえ待てれば、飛躍的にパフォーマンスがアップするのです。景気サイクルを考慮すれば、2〜3年も待てば景色が一変するわけで、この「たった2〜3年の辛抱」ができるかどうかが、投資家の明暗を分ける最大の要因といえます。

かのウォーレン・バフェット氏も、2000年のITバブルでは「もう二度と株を買えないかもしれない」と観念した時期があったそうです。ところが、その心配は杞憂でした。株式市場の歴史は繰り返し、2002年には買い場が訪れます。

投資資金の大半をキャッシュにしたままでは、「たった2〜3年の辛抱」が永遠のように長く感じられるでしょう。それでも、次の不況をとことん待ちたいです。


■業界内の需給バランス(2016年11月14日)

景気の回復のより業績が好転し、銀行借入や増資による資金調達が容易になり、IPOも活発化すれば何が起こるでしょうか?

今まで何度か痛い目に合っている大手製造業は割と新規投資に慎重ですが、小売業・サービス業では経営者がいけいけどんどんタイプの企業を中心に出店競争が起こります。

投資を数年で回収でき、参入障壁の低い飲食業などの業種では、その傾向が顕著です。ここで注意したいのは、各社が一斉に新規出店を強化すれば、人件費などの出店費用が増加することです。さらに、過当競争による商品・サービスの供給がただでさえ弱い需要を上回ってしまい、業界内の需給バランスが崩れてしまいます。

結局、月次の既存店売上高が100%を下回る事態が常態化して売上が伸び悩み、販管費などの増大も相まって、大幅減益となるケースが少なくありません。私が見ている業種でも、次の3業種が該当します。

●ハウスウエディング
●居酒屋チェーン
●リユース業

こうなってしまえば、供給を減らして需給バランスを調整するしかないのですが、各社ともそう簡単には引き下がりません。我慢比べの時期を経て、不採算店の閉店ラッシュが起きるのは、もう少し先になりそうです。


■ピーター・タスカの名言(2016年11月11日)

20年余りの投資家生活において、今週のような株価の乱高下は初めてのような気がします。とにかく、このような相場では株価の動きにいちいち心を乱されないことが肝要です。

少し長くなりますが、ピーター・タスカの著書『日本は甦るか』 の最終章より結びの文章を引用します。名言だと思います。

もっとも大事なポイントは、ムードや時流を無視して、自分の判断に従うことである。万が一、その判断がまちがって損をしたら、それは教訓となって、将来の投資に対して大きなヒントを得ることができる。しかし、ただ時流に乗って損をしたら、そこから何も学ぶことができない。

有望な投資対象が見えてこなかったら、割高のものを買うより、何もしないほうがいい。忍耐力さえあれば、機会は向こうからやってくる。

きちんと実績を残す投資家がいる。一方には、日々の動き、需給、ケイ線、ムードということだけに集中して、強気から弱気、また強気と、精神分裂的に変わる投資家がいる。その両者を分けるメルクマールは、何もしないことに耐えられる忍耐力である。


■ヨシックスの新業態(2016年11月9日)

さっそく、ヨシックス(3221)がTTPというビジネスモデルを取り入れたようです。

今回、開発した新業態は「12年前から実験店として取り組んできた業態をリニューアルオープン」したらしい「大阪の味は串カツはこれや!」です。

不採算店を業態転換する形で、中京地区を中心に、すでに7店舗出店しています。

といってもこの店、今年9月に新規上場したばかりの某串カツ居酒屋チェーンそのまんまなんですけど・・・。そのうえ、ビールの安さは、巷で人気の焼鳥チェーン顔負けです。

苦心して新業態を開発しても、ちょっと流行ればすぐにパクられるのだから、いっそのことパクってしまえということでしょうか。

大阪の味は串カツはこれや!


■N・フィールドの業績下方修正(2016年11月7日)

N・フィールド(6077)が先週金曜日に業績下方修正を発表しました。

【平成28年12月期 通期業績予想】

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
 1株益
前回発表予想
6,709
766
764
419

32.30

今回修正予想
6,050
459
460
220
16.95
前期実績
4,351
515
486
264
20.06

修正の理由として、拠点開設の遅延、人員(看護師)採用の遅延・稼働低下により売上が伸び悩み、固定費の割合が高い収益構造が災いして売上未達が利益にも影響を及ぼすことがあげられていました。業績拡大期の企業にはありがちな「一時的なつまづき」です。

同社は、精神疾患の患者に特化した訪問看護事業を展開しています。特殊なノウハウを必要とするオンリーワンビジネスであり、居酒屋チェーンのように業界内の競争が激化したり、同社のビジネスを模倣する企業がいきなり現れるような事態は発生しません。

従って、多少の失望売りが出る程度だと思っていたのですが、意外にも本日の株価はストップ安を付けました。

投資家の期待(=PER)が高く、投信の持株比率の高い銘柄は、ちょっとした悪材料でも大きく売られる典型例といえそうです。

N・フィールド 株価チャート(週足)


■昔の銘柄分析レポート(2016年11月6日)

かつて使っていたPCの電源を久しぶりに入れたところ、その中から昔の銘柄分析レポートが出てきました。

SHOEI(2006年1月)
SHOEI(2006年12月)

改めて読み返してみた感想は「まだまだ青いな」です。当時の私は、定量分析に自信がありましたし、理論株価の試算にも熱心でした。

しかし、そのような机上の皮算用は、リーマンショックのような経済環境の激変には無力でした。あのときは、本当に色々と考えさせられたものです。

最近では、以前のような細かい定量分析を行っていません。一方で、事業環境や業界構造にも目を配り、ビジネスモデルや経営者の人なりなど定性面を重視しています。世の中の変化を察知するため、マクロの経済データや株価チャートも見るようになりました。

未来の企業収益をピンポイントで当てることはできないですし、株価も投資家心理次第で上にも下にもオーバーシュートする以上、数字に関してはざっくりでいいと思います。むしろ全体として、バランスの取れた銘柄分析ができるよう心がけています。

そう考えれば、自分自身の視野が狭いことを教えてくれたリーマンショックはいい経験だったのかもしれません。


■消費活動指数(2016年11月4日

個人消費が全然盛り上がっていないのに、不思議な値動きだな・・・。

そうつぶやきながら、10月半ばに1万7千円に乗せた日経平均を眺めていました。

日銀が新しく開発した「消費活動指数」によれば、旅行収支(インバウンド消費など)を除く個人消費は日経平均が1万円を割り込んでいた2012年よりむしろ悪化しています。

そんな中で出店競争を繰り広げれば、需給バランスが崩れて当然です。不採算店の閉店ラッシュが始まるのも、時間の問題でしょうか。

消費活動指数


■新規公開株の長期パフォーマンス(2016年11月2日)

下図をご覧ください。関西学院大学リポジトリにて公開されているジャスダック新規公開株の長期パフォーマンスと「半年効果」に掲載されている貴重なデータです。

BHAR(Buy-and-Hold Abnormal Return)の平均値を見れば、ベンチマークであるTOPIXを上回っており、新規公開株のパフォーマンスは良好に感じられます。

セルサイドが喜んで引用しそうなデータですが、平均値と中央値の差異に統計のマジックが隠されています。

なぜなら、中央値では新規公開後600営業日(250営業日=約1年)を超える時期までパフォーマンスが悪化し続けており、その後もマイナス30%を下回る水準で推移しているからです。

このことは、一部の銘柄の飛び抜けたリターンが平均値を引き上げており、大半の銘柄は長期リターンが低迷している事実を示しています。皆さんも見事な「初値天井」を付けたIPO銘柄のチャートをご覧になったことがあるでしょう。

以上より、数あるIPO銘柄の中から「大当たり」を引かない限り、新規公開株への投資は損をするといえます。できれば1年ほど様子を見るか、成熟産業の不人気銘柄であってもロックアップ解除まで待つなど、すぐに飛びつかないことが肝要です。

新規公開株の長期パフォーマンス



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