秋の東北旅行、潮が引けば、11月のバリュー投資塾、
米国株のQレシオ、SLDの業績下方修正、日経平均2万円は割高、
ロングリーフがソフトバンク株に投資、復活した「食品業界のインテル」、
アベノミクスは失敗、投資家同士の付き合い方
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ショートコラム(2015年11月)
■投資家同士の付き合い方(2015年11月30日) |
先日、投資で成功されている方から、次のような話を聞きました。 居合わせた他の個人投資家に対抗意識を持たれ、絡まれて、気分を害された。もう、あんな場所には行きたくない。 かくいう自分も、オフ会などで、このショートコラムの内容に意義を唱えられたり、同じような経験を何度かしました。今では、投資家同士の付き合いも意外に難しいものだなと思っています。 私の場合、株本を書いたり、セミナー講師をしている以上、自分自身の投資についても、ある程度はPRせざるを得ません。するとどうなるかといえば、ネット上の掲示板などで陰口を叩かれるだけにとどまらず、面と向かって突っかかられたりするわけです。 とにかく、投資家同士の付き合いで不愉快な思いをしたくないのであれば、次の3つを守ることでしょうか。 ●「いくら儲けた」といった自慢話をしない 皆さんの中には、せめて投資家同士の集まりでは、普段はできない投資について思う存分語りたい方もいらっしゃるでしょう。ただ、人間は妬み嫉み僻みの生き物であることを忘れないようにしたいものです。 |
■アベノミクスは失敗(2015年11月27日) |
地方でしぶとく生き残ってきた、ある食品スーパーの経営者が、入社式で次のような訓示を行っています。 個人的には多分3年後にアベノミクスは失敗だったという結論が出るのではないかと思う。歴史に学ぶことをもっとすべきではないか。 3年後、日本の平均株価がいくらになっているだろうか。どんどん上がって行く予想が多いが、もう成長しないという見方もある。 頼りになるのは自分しかいないという覚悟を定めて欲しい。自分で自分のために投資するという考えを持つことが今の時代に一番あった考え方だ。 卓見であり、この食品スーパーは次の不況も乗り切れるだろうと感じました。 |
■復活した「食品業界のインテル」(2015年11月22日) |
かつて「食品業界のインテル」と呼ばれ、一世を風靡した成長株があります。アリアケジャパン(2815)です。 ご多分にもれず、世間から注目された頃には業績が伸び悩むというパターンに陥ったのですが、ここにきて海外での投資が実を結び、完全復活ともいっていい状況です。 しかし、同社を完全に忘れていた私が気づいたのは、株価がかなり上がってからで、まさに「後の祭り」でした。 強い会社といえども、一時的な“つまずき”はつきものであり、ビジネスモデルが崩壊していない限り、粘り強く追いかける必要性を感じた次第です。 |
■ロングリーフがソフトバンク株に投資(2015年11月19日) |
5月5日付けのショートコラムでも取り上げた「ロングリーフ・パートナーズ・インターナショナル・ファンド」ですが、その後も苦戦を強いられています。 年初来のリターンはマイナス11.3%と、EAFE指数のマイナス5.28%を大幅に下回りました。 ただ、このファンドに限らず、軒並み成績の低迷しているバリューファンドを擁護する意見もあります。それは「金融緩和の継続により、質の悪い株式まで買われている」というものです。 マーケットは懲りもせず、同じ過ちを繰り返していますから、やがてITバブル崩壊局面のように、バリューの再評価される時期が訪れるかもしれません。 それはさておき、保有銘柄の中で驚いたのは、ソフトバンク株が組み入れられていたことです。しかも、日本株で唯一の投資先です。 孫社長は常々「我が社の株式は、市場で正当な評価を受けていない」と力説しています。バリバリのバリューファンドがソフトバンクグループのどの部分に価値を見出したのか、たいへん興味深いです。 |
■日経平均2万円は割高(2015年11月16日) |
個人的に、わざわざ計算するまでもなく、日経平均2万円は割高だと考えています。ただ、ロジックで物事を捉える派の中には「根拠を示してほしい」という方もいらっしゃるでしょう。 ウォーレン・バフェット指標やCAPEレシオ(Cyclically Adjusted PER:景気変動調整後の株価収益率)を参考にできる米国株と異なり、我が国ではそのような指標が存在せず、計算はとっても面倒です。 もっとも、景気循環株ばかりの日経225において、何かと商売の邪魔になりそうな日本版CAPEレシオを証券会社が作成するとは思えませんが。 何か活用できそうなデータはないものかと探していたところ、『稼ぐ経済学〜黄金の波に乗る知の技法る』の著者である竹中正治氏がブログの日経平均2万円は、今回もまた「売り」が正解だったねという総括にて、ウォーレン・バフェット指標やCAPEレシオの代用として使える「時価総額・利益比率」を作成されていたので、紹介させていただきます。 なお、竹中氏は大富豪投資家ジム・ロジャーズ氏の奇妙なコメントにて「もしかしたら昔は敏腕だったが、その後は勉強・調査もすることなく、脳の老化現象が進行しているのかもしれない」とも指摘されています。 私も、近年のロジャース氏のコメントには違和感を覚えることが多かっただけに「よくぞ言ってくれた」と思わず膝を叩きました。 |
■SLDの業績下方修正(2015年11月12日) |
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本日、SLD(3223)が業績下方修正を発表しました。関東中心に「kawara CAFE&DINING」などを直営展開している会社です。 【平成28年3月期 第2四半期 業績予想】
「やっぱりそうか」というのが正直な感想です。というのは、7月26日の大阪セミナー終了後、懇親会を兼ねて同社店舗を視察し、実情が分かっていたからです。 とても長居する気にならず、1時間ほどで店を出て、近くの居酒屋で飲み直しました。おそらく、二度と行かないでしょう。 修正の理由についても、突っ込みどころ満載です。 当第2四半期累計期間におきましては、売上高については、当社主力店舗が集中する首都圏における夏季繁忙期の台風や大雨等の天候不順により集客に苦戦したことに加え、一部の前期出店店舗においてオープン後一定期間特有の集客効果の反動が想定以上にあった結果、前回発表予想に対して81百万円減の2,633百万円になる見込みです。 なお、平成28年3月期通期業績予想につきましては、年末年始の忘新年会シーズン及び3月の歓送迎会シーズンの営業強化等を行うことにより、第2四半期累計期間までに新規出店した店舗及び既存店舗が当第3四半期以降に売上高及び利益に寄与することを見込んでいることから、現時点では前回発表予想を据え置いております。 まず、首都圏の飲食店はどこも盛況です。鳥貴族のように既存店が絶好調の業態もあります。同社のみ天候不順の影響を受けたのでしょうか。 次に「オープン後一定期間特有の集客効果の反動」とは、常連客を獲得できなかったとも受け取れます。現に、私もリピートしたいとは思いませんでしたから。 さらに、数字も間違っています。81百万円減であれば2,551百万円となり、上場企業の公表資料としてはありえない間違いです(直ちに訂正を出しましたが)。社内の管理体制がどんなものか、だいたい察しがつきます。 最後に、通期に関しても、計画達成は難しいと思われます。入店すれば気づくことですが、「kawara CAFE&DINING」は忘新年会や歓送迎会にはあまり向いていません。少なくとも、会社関係では使わないはずです。 今回、改めて感じたのは「実地調査をしておいて良かった」ということです。同社は「Spaceの潜在価値の極大化」をコンセプトとしており、多彩な空間プロデュースを実績として掲げています。しかし、私の目に映ったのは、カフェでもない居酒屋でもない中途半端な飲食店に過ぎませんでした。 これからも、小売業・サービス業に関しては、なるべく多くの店舗を見て回りたいです。 |
■米国株のQレシオ(2015年11月11日) |
Qレシオという株価指標があります。株価とその会社の所有する純資産の再調達価格を比較したもので、実質的なPBRともいえます。 1980年代後半における我が国の資産バブルでは、「(株価同様に高騰していた)土地などの含み資産を考慮すれば日本株は割高ではない」という説明に引っ張り出され、バブル崩壊後はすっかり悪役になってしまったレシオとして、名前だけ記憶に残っている年配の方も多いのではないでしょうか。 そのQレシオですが、FRBの量的緩和により、米国株式市場全体ではITバブルを除く過去最高水準まで上昇しています。ちなみに、過去の高値圏は次のような出来事が起こっています。 ●1.06(1930年。当時は年次データにつき、実質的には1929年)・・・世界恐慌前夜 そろそろ、危ない時期が迫っていると用心したほうが良さそうです。 11月のバリュー投資塾でも、マーケット全体の見方についてお話します。 |
■11月のバリュー投資塾(2015年11月9日) |
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皆さんは、投資を行う際、何年先を見据えていますか? 私は3年先です。3年後を想定しながら「今の局面では、株と現金どちらが有利か」を常に自問自答するようにしています。また、サラリーマンなど本業をお持ちの個人投資家にも、同様のやり方をおすすめしています。 3年も経てば、世の中の光景は一変します。雇用の状況などを見る限り、今は好景気・株高局面といえますから、3年後には不景気・株安局面が訪れていても不思議ではありません。 そのとき、どういった立場に置かれているかで、投資のリターンがほぼ決まります。 おそらく、大多数の「負け組」は、売るに売れない塩漬け株だらけで身動きが取れず、投資に対する意欲を完全に喪失しているはずです。ゆえに、せっかくのバーゲンセールを逃してしまいます。元気になるのは、塩漬けが解消される次の好景気・株高局面で、懲りずに高値をつかんで再度含み損に苦しめられます。 一方、損失を許容範囲に抑え、追加資金も投入でき、ここぞとばかりに安値で株を仕込んでいる「勝ち組」はごく少数派です。やがて、好景気・株高局面が再来すれば、彼らは莫大な利益を手にしていることでしょう。 この20年で、不景気・株安局面は3回ありました。1997年秋のアジア通貨危機、2001〜2002年以降のITバブル崩壊、2008年秋のリーマンショックです。 自分自身の成績は1勝1敗1分。アジア通貨危機は何もできずに負け、ITバブル崩壊は血を流しつつ買い向かって勝ち、リーマンショック後は本業の売上不振などにより本腰を入れられずに引き分けです。次の不景気・株安局面では勝利を収め、2勝1敗1分に持ち込むべく、準備をすすめているところです。 前置きが長くなりましたけど、今年最後のバリュー投資塾では、今後必ず訪れるであろう不景気・株安局面を勝ち抜くために必要な「相場サイクルの捉え方」についてお話します。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■潮が引けば(2015年11月8日) |
割とよく知られている、ウォーレン・バフェット氏の言葉があります。 潮が引けば、誰が裸で泳いでいたかが分かる これはIPO銘柄にも当てはまります。7月よりIPO銘柄レポートを書き始めたので、すべての新規公開企業を調査していますが「潮が満ちているので、誰が裸で泳いでいるのか分からない」ケースも少なくありません。 では、どうすればいいのでしょうか? 一番シンプルなやり方は、潮が引くまで待つことです。そうすれば、誰が裸で泳いでいたのか、ほぼ間違いなく分かるからです。 潮が引いた後、経営者が裸で泳いでいなかった企業を、いくつか選んで買っておけば儲かります。私自身、そんな簡単なことが分かるまで、20年かかりました。 |
■秋の東北旅行(2015年11月6日) |
11月2日から5日まで、東北旅行に出かけてきました。前回がウニやホヤなど海産物目当てに海沿いの路線を回ったのに対し、今回は紅葉目当てに山越えの路線を中心に乗車しました。 ただ、今年の紅葉が早かったこともあり、訪れた時期がやや遅く、山の斜面などはすでに落葉していました。もし再訪するのであれば、紅葉の見頃に合わせて航空便やホテルを予約したほうがいいかもしれません(今回は格安料金に釣られ、かなり早めに押さえていました)。 ちなみに、旅程は次のとおりです。 ◆11月2日(月) 関西空港13:40(ピーチ)→14:55仙台空港15:50→16:15仙台16:39(やまびこ)→17:34北上(泊) ◆11月3日(火) 北上7:35→8:50横手9:00→9:18大曲9:49(こまち)→10:48盛岡11:41→13:53釜石14:06→15:02盛(徒歩)→大船渡(泊) ◆11月4日(水) 大船渡7:12→8:29気仙沼9:14→10:04猊鼻渓11:37→12:07一ノ関12:14(やまびこ)→12:54盛岡13:48→17:03大館17:12(つがる)→17:28鷹ノ巣(泊) ◆11月5日(水) 鷹ノ巣7:05→9:51角館10:39(こまち)→10:51大曲11:17→12:57新庄13:01→14:03鳴子温泉15:39→16:39小牛田16:41→17:27仙台19:00→19:25仙台空港20:10(ピーチ)→21:50関西空港 参考までに、旅行中に撮影した写真を3枚ほど掲載しておきます。 大船渡線BRTの車窓からもはっきり目立つ奇跡の一本松 大船渡線BRTの車窓に広がる三陸の海 秋田内陸縦断鉄道の車窓に映える紅葉 |
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