── はじめに ──

 記紀の月神というと月読尊ただ一柱あるのみですが、この他にもわが国の古代には、各地で祀られている地方的な月神というのがあったと思います。現在、こうしたローカルな月神の実態に触れることは、たいへん難しくなっていますが、アプローチの仕方としては、記紀いがいの古文献(例えば『風土記』)や伝承等を頼りにする方法が考えられます。『出雲の月神』では、こうした地方で祀られていた月神の実態に触れようと考えて、こうしたアプローチの方法を試みています。出雲には海上交通と密接に関わるような月神信仰があったのではないか、 ── そんなことにライト・モチーフにこのシリーズを綴ってゆく予定です。

 このシリーズのうち、「一.爾佐神社」「二.賣豆紀神社」は読み切りのものとして書いてあります。が、「三.月の輪神事など、総括」は「一」と「二」が読まれていることを、「四.三日月の影」は「三」が読まれていること、前提に執筆してあります。したがって、「三」「四」を読む場合は、あらかじめ「一」「二」を読まれることを推奨します。m(__)m



も く じ

 一.爾佐神社
 二.賣豆紀神社
 三.月の輪神事など、総括
 四.三日月の影
 五.『築島』と爾佐能加志能爲神社
 六.隠岐の月神










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