1月7日(金) “2010年在南米被爆者健診以後を振り返って(2) 広島県医師会速報から”

 いつもお世話になっている広島共立病院 健診センター長の青木克明先生が、
「広島県医師会速報に南米健診の報告がでています」
と連絡をくださりましたので、ご紹介します。

≪第15回在南米被爆者健診  派遣団員≫

団  長  松 村    誠(広島県医師会常任理事、松村循環器・外科医院理事長)
副団長  有 田 健 一(広島県医師会常任理事、広島赤十字・原爆病院呼吸器科部長)
団  員  森 田 茂 樹(日本赤十字社長崎原爆病院 医療技術部長)
       藤 本 美喜夫(広島記念病院外科部長)
       糸 永 英 弘(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医師)
       行政職員4名(広島県職員2名、長崎県職員1名、広島市職員1名)


 報告:松村団長


 われわれは第1班としてボリビアに入国した後、ブラジルにわたり、ベレン、サンパウロ、クリチバ、リオデジャネイロを訪れ、ボリビア2人、ブラジル82人の合計84名の健康相談に応じた。その結果、原爆症認定3件、健康管理手当9件、渡日治療支援事業3件が申請予定となった。健康相談会場で同時に行った行政相談においては、ボリビアで1人、ブラジルで39人の相談を受けた。

 相談を受けた中で、特に強く要望をされたことは、
「2年に1度の健診を毎年実施して欲しいこと」
「日本の被爆者のように現地の医療費を全額負担して欲しいこと」
「高齢化によって渡日治療が困難になってきた被爆者に対し、現地での治療を実施して欲しいこと」

の3点であった。

 また、サンパウロのブラジル日系老人クラブ連合会で被爆者を含む地元の日系人を対象に、健康管理講演会を実施した。参加者は約80名で、皆さん熱心に聴講されていた。


 報告:有田副団長


 われわれは第2班として、パラグアイ、アルゼンチン、サンパウロ、ペルーの4ヵ国を訪れ、健康相談としてはパラグアイ2人、アルゼンチン7人、ペルー1名(サンパウロは第1班と共同で行った)、行政相談としては3人から相談を受けた。

 第2班では、健康相談はもちろんのこと、被爆者問題を通して二国間の交流を積極的に行い、特に地元の広島県人会との交流を深めた。

 ペルーの広島県人会から
「子どもたちに高校・大学のうち1年間を日本への留学期間とする機会を与えてほしい」
「日本が希薄になりつつあるので、広島の原爆展パネルを送って欲しい、現地での開催を考えている」
「現地語に訳された広島県民だよりを送って欲しい」
以上の3点について強く要望され、この旨を湯崎広島県知事に伝えたところである。


 上記第1班、第2班の現地からの要望は、10月25日に厚生労働省を訪問し報告した。高齢化が進む被爆者に、渡日治療はあまりにもハードルが高いと実感した。治療が必要な人が帰国できないのが実態である。被爆者の方々はわれわれが訪問するのを待っておられるので、引き続きこの事業に協力していかなければならないと考えている

(盆子原 国彦)

「広島県医師会ホームページ」で、第15回在南米被爆者健診報告の全文を読むことができます。

 @ トップページから「医師会速報」をクリックし、
 A 「平成22年発行」をクリックし、
 B 第2104号(12月15日発行)と、第2105号(12月25日発行)をクリックし、
 C それぞれ「第15回在南米被爆者健診報告」(その1)(その2)をクリックしてください。

 PDFファイルで計9ページの、充実した内容の報告です。

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