穀物の食物繊維とマグネシウムは、糖尿病の発症リスクを減らす
最新疫学研究情報No.16
ドイツ人間栄養学研究所(ポツダム)のマティアス・B・シュルツ氏(Matthias B. Shulze,Dr.PH)の率いる研究チームによって、「穀類の食物繊維とマグネシウムの摂取は、糖尿病の発症リスクを減らす」という報告がなされました。
この研究の背景には、世界中で糖尿病患者が激増しているという現状があります。2000年には、世界中で1億7100万人の人が糖尿病と診断されましたが、このままいくと2030年には、その数が3億7000万人になるだろうと研究チームは予想しています。
この前向きコホート研究では、食物繊維の摂取量と糖尿病のリスクの関係が調べられました。35~65歳の男性9702人と女性15365人を対象に、食物摂取頻度調査を行い、その後7年間にわたる追跡調査を行いました。被験者を穀物からの食物繊維の摂取量によって5つのグループに分けて比較した結果、穀物からの食物繊維を多く摂取したグループは、2型糖尿病の発症リスクが低くなることが確認されました。
また、この研究チームはそれとは別に、マグネシウムに関するコホート調査(*8件のコホート研究)を再検討しました。そして、マグネシウムを多く摂取すると2型糖尿病の発症リスクが低くなるという結論を得ました。
こうした2つのコホート研究の結果、研究チームは「穀類の食物繊維とマグネシウムの摂取は、糖尿病の発症リスクを減らす」と報告をしています。
※野菜や果物からの食物繊維は、穀物の食物繊維ほど糖尿病発症リスクの低下には関係していませんでした。
出典
- 『内科学アーカイブス vol.167 No.9 2007年5月14日』
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