肉をやめるとタンパク質欠乏になりませんか?
Q&ANo.19
ホリスティック栄養学理論にもとづいて食生活改善をすると、“肉食をやめて菜食”ということになりますが、そうなるとタンパク質の欠乏が引き起こされませんか?よく栄養士が“肉食が大切である”と言っていますが、本当に肉を摂らなくて大丈夫でしょうか?
これまでの栄養学では、タンパク質の補給源として肉を過大評価してきました。“必須アミノ酸の摂取”という観点だけで見れば、肉を摂るということは効率のよい方法と言えますが、現代人の肉中心の食生活はそうした利点に比べ、はるかに大きな弊害を引き起こしています。すでに何度も述べてきましたが、食事や栄養素については常にトータル的に考えることが必要です。たとえ健康によい食品であっても、大量に摂れば食事全体の栄養バランスを崩しマイナスとなることがありますが、高タンパク・高脂肪の肉は、もともと問題点の多い食品なのです。
「肉を食べないとタンパク質が不足するのでは?」というご質問ですが、それについては心配する必要はまったくありません。野菜と果物だけで、穀類も豆もいっさい摂らないという極端な菜食主義者の場合はタンパク質の欠乏を招く危険性がありますが、ホリスティック栄養学にもとづく「新ベジタリズム食」を実践していただく限り、そうした問題は生じません。
人間の体は動物の肉を食べなくても、穀類や豆類で必要な蛋白質を補えるような仕組みになっています。現代人の食生活の最大の問題は、主食である穀類を十分に摂らず、豆類をほとんど食べなくなってしまったところにあります。ホリスティック栄養学で勧めるように「主食の穀類をしっかり摂り、大豆を中心とする豆類を常に摂る」ようにすれば、タンパク質不足を心配する必要はありません。また時々魚を食べれば、タンパク質は十分すぎるほど摂ることができるようになります。いずれにしても「植物性食品によってタンパク質を補う」ということが、栄養バランスを保つうえで最も大切なことなのです。