実践の目的と方向性

心を自然法則に一致させ、自然界と調和状態にする

ホリスティック精神学は、人間の「心(精神)」の健全化を目指します。心の健全化とは、考え方・心の持ち方を「自然法則(利他性の法則・霊優位の法則)」に一致させることです。日常生活の中で、心を自然界と調和した利他的状態・霊優位の状態にすることなのです。心は、私たちの健康にとって最大の影響力を持っています。

考え方・心の持ち方が「自然法則(摂理)」に一致しているとき、心は利他的な思いで満たされるようになります。視野が広がり、他者に対して寛容になり、エネルギーに溢れた明るく前向きな状態になります。それによって身体に備わっている「生体維持システム」が活性化し、健康を維持することができるようになるのです。単に性格が明るいというだけではダメで、心が「自然法則」に一致しているかどうかが重要なのです。そうでないかぎり、肉体に対する深い影響力は発揮されません。

多くの現代人が心を病み、異常な精神状態に陥り、さまざまな病気を発生させています。“異常な心”とは、自然法則から逸脱した心のことです。具体的に言えば、利己性と物欲に支配された“自分本位・自己中心”の心のことなのです。こうした異常な心が、人間を摂理にそった自然な状態から遠ざける最大の原因となっています。

人間が健康を手にするためには、利己性と物欲に支配された心を、利他的な心に変えていかなければなりません。考え方・心の持ち方を根本から修正することが必要になります。そうした“内面の変革”こそが、心の病気に対する真の治療法になるのです。

健全な心(正常な心)の確立は本来、育児や教育を通してなされるものですが、社会全体(個人・家庭・国家・世界全体)が“利己主義”と“物質中心主義”に支配されている現状では、健全な心を育むことはとても難しくなっています。現在の地球人類は、利己性と物欲に支配された、霊的には子供のような未熟な状態にあるのです。

人間の霊的・精神的成長とは――「利己性をコントロールして利他性を拡大していくプロセスのこと」です。大半の現代人は、霊的・精神的に未熟な子供の状態に留まっています。実はこれが、さまざまな心の病気(精神障害)を引き起こす根本的な原因なのです。一昔前のように道徳が人々の心を支配し、それが共通の規範となっていたときには、人々の心が利己性に大きく傾くことはありませんでした。“助け合い”が重要な徳目になっていたからです。

現時点における精神医学や心理学・心身医学では、薬物や瞑想・呼吸法などによって精神の安定を図ることが中心的な治療方法になっていますが、それらはどこまでも心の表面部分(精神状態)を整えるための補助的な手段にすぎません。心の健全化(正常化)には、心の中身そのものを変えること、すなわち“考え方の変革”が不可欠です。「自己コントロールによって利己性を抑え、考え方・心の持ち方を利他的な方向に向けること」――これが「ホリスティック精神学」が目指す心の健全化の方向性です。そしてそれこそが、心を自然界と一体化させ、調和状態に置くことになるのです。

4つの健康条件の中で、「心(精神)」は最も強い影響力を持っています。「ホリスティック精神学」は、そうした心(精神)の健全化に関係する分野です。ここではホリスティック精神学の重要ポイントを中心にして、その概要(アウトライン)を紹介します。

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