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「そして。」
1時間後。キッチンから良い匂いが流れてくるのと同時に、ターランが顔を出した。
ターラン「2人とも、お仕置きは終りだよ。ご飯にするから、着替えたら手を洗っておいで」
ザンとトゥーリナは安心したように瞳を見交わすと競う様に部屋へ戻り、着替えてまた戻ってきた。手を洗って、席につく。
ザン「すごぉーい。おいしそう〜」
トゥーリナ「…そういえば、朝飯食ってなかったな…」
テーブルの上には、とても1時間で作ったとは思えない位の料理が並べられている。
ザン「お誕生日みたい」
ターラン「まぁ、そこまでは行かないけど…新しく家族が加わったから、そのお祝いってところかな」
ターランはそう言うと、優しい笑顔で肩に載っているタマちゃんの頭を撫でた。
トゥーリナ「そういや、何でそいつ買ったんだ?」
ターラン 「特に理由は無いけど…そろそろ、ザンも兄弟欲しいんじゃないかと思ってさ。それに…」
トゥーリナ「それに?」
不思議そうに、トゥーは続きを促す。
ターラン「この子、何となく君に似てるなぁって思ってさ」
トゥーリナ「あぁ?!」
ザン「あ、ホントだぁ。目とか、髪の色とか…」
ターラン「TVで『こちらがその中身です』って言われて出てきたこの子を見たときには、もう、手が電話を握ってたからね。」
トゥーリナ「ったく…俺を卵生と一緒にすんなよ…。」
拗ねたようにそう言って、トゥーリナは料理をわしわしと口に運んだ。
ターラン「なんだか…放っておけなかったんだ…。」
トゥーリナ「!…良いから、黙って食えっ!!」
ザン「耳まで赤いよ、大丈夫?」
トゥーリナ「いらねぇ事言うなっ!!」
怒鳴り声に驚いたタマちゃんが、ターランの肩から離れ、ふよふよと小さな羽根を動かしながら、トゥーリナの頭に乗っかる。
トゥーリナ「なんなんだよ、一体?!」
タマ「ん、めー。」
ターラン「怒っちゃ駄目だってさ。トゥー。」
トゥーリナ「…ったく…。」
トゥーリナは溜息をつき、ターランとザンはその様子をみて、楽しげに笑った。
「全員集合☆」
ザン「またね〜♪」
タマ「たぁ、えー」