虐待系わたしが叩かれる話

紅白お尻 母から

 家に着いたわたしは、ふうっと一呼吸おいてから、玄関に入る。
「おかえり。」
 お母様が立っていた。
「た・ただいまです……。」
 靴を脱いで廊下に立つと、お母様がわたしの後ろに回った。お尻に手が飛んでくる。
「あんたの部屋で、100叩きするからね。ほら、さっさと行く。」
 お尻を叩かれながら、自分の部屋へ向かう。
 『今日はこっちだった……。』
 お母様は小柄なのに力を示したがるので、肩に荷物の様に持ち上げられて、太鼓を叩いて練り歩くかのように、お尻を叩かれながら部屋まで運ばれるなんていう、力業もあるのだ。
 帰って来た時にお母様が待ち構えていると、どちらかが待っている。居ない場合でも、部屋で待っていたりするので、部屋のドアを開けるまでは安心出来ない。孤児院で買われてから、こんな日々を過ごしているのだ。貴族が子供を買う理由は様々のようだが、わたしはお尻を叩かれる為に買われたのだ。なので学校にも通わせて貰っている。テストの点や教師に叱られたなど、お尻を叩く理由が増えるからだ。
 お尻を叩かれて追い立てられるようにして歩いているので、つい、走りたくなってしまうが、走ると……。
「こら、廊下は走るな!」
 腕を掴まれて止まる。お母様に押さえつけられて、馬とびの姿勢にさせられた。制服のスカートをまくられて、パンツの上からバシバシと叩かれる。20発ほど叩かれてから、再び追い立てられる。
 こうなるので走らないようにしたいのだが、またつい走ってしまって、部屋に着くまでに2・3回はこんなやり取りをする事になる。


 部屋に入ると、お母様に引っ張られて、ソファにまで連れて行かれる。学習机にも椅子がついているが、お尻叩きを楽しむのはソファやベッドがいいという事で、玩具に過ぎないわたしの部屋は広い。実子達の部屋に比べれば狭いのだが、娘を虐待する楽しみを味わう為だと調度品もいい物が置かれている。
 お母様が鞄をテーブルに置くと、ソファに座った。着替えて来いと言われる事もあるが、今日のお母様は制服姿のままがいいらしく、制服姿のまま腕を引かれた。膝に俯せに寝かされた。スカートをまくられ、パンツを下ろされた。スカートの上から始まる日もあるが、今日は裸のお尻がいいらしい。
 ぱんっ、ぱんっとお尻が鳴る。叩きにくい、体に近い左側のお尻ばかり叩かれた。たまに叩きやすい位置の右側にも飛んでくるが、左側ばかり叩かれた。お母様は挑戦する事が好きなので、わざと叩きにくい方を叩く遊びをしているのかもしれない。
 わたしは目を閉じて、両の拳を握り締め、痛みに耐える。声を出したり暴れたりは、許される時と許されない時がある。お母様は気分屋なので、どちらかなのか分からない。許されない時は追加で叩かれるので、なるべく我慢する。
 ぱんっ、ぱんっ、びしっ、ばしっ……。集中して叩かれている左側のお尻が、とても痛い。わたしが慣れないようにする為なのか、たまに右側にも飛んでくる。全体を叩かれるのと、集中されるのでは違うんだなと思う……。
 本当に100叩きだったのか分からないが、それだけ長く感じるお尻叩きがやっと終わった。片側に集中されて痛みが偏っているので、長く感じたのかもしれないし、本当に多かったのかもしれない。分からないが、手が止まってくれた事だけは真実だ。
「……。」
 お母様は暫く黙っていた。わたしは静かに泣いていた。左側のお尻を触られた。
「痛い……。」
「ふふっ。ルトーちゃん、何て言うかなぁ。」
 楽しそうな声を出している。「次は、上側と下側に分けて、左の下側と右の上側に分けるように叩いてみようかな。」
 ただお尻を叩くと言う行為に、何でこんな遊び要素を考え付くのか。訳が分からないが、わたしは玩具としては価値があるらしい。飽きて捨ててくれればいいのになと思うが、まだまだそうはならなそうだ。


 お父様が帰って来る時間になった。わたしはまた、お母様にお尻を叩かれ、追い立てられながら玄関に向かった。玄関に着くと、左のお尻の赤みが薄れてないかチェックされた。
「時間が経ってるからなー。結構、薄くなってるね。ほら、叩くから、壁に手を付きな。」
「はい。」
 言われた通りにすると、スカートとパンツを脱がされた。またしても、左のお尻ばかり、バチンッ、バチンッと叩かれる。大分強くて、わたしは悲鳴を上げてしまった。
「ルトーちゃんが帰ってきちゃったら、意味ないからねー。強くしないと。」
 お母様の言葉は間延びしていて、弛緩した雰囲気だが、叩かれる痛みは真逆だ。バチッ、バチッ、ビチッ、バチンッ。わたしは泣き叫んでいた。「おー、いい色。元に戻ったね。」
 お母様が満足そうな声を出し、やっとお尻叩きが終わった。
「ほら、パンツとスカート履きな。」
「はい……。」
 痛みに泣く暇もない。わたしは急いで言われた通りにした。
 少しするとお父様が帰って来た。
「お帰りー、ルトーちゃん。お疲れさま。」
 お母様がお父様に飛びつく。
「ただいま。出迎えとは珍しいの。」
 お父様がお母様の頭を撫でた。
「うん! 見せたい物が合って。ひろみと待ってたんだ。」
「ほう?」
 お父様は興味深そうな声を出した。気を良くしたお母様に、わたしは後ろを向かされた。スカートの中に手を突っ込まれて、パンツを下ろされる。「ひろみの尻など、見飽きているが……。」
「そう言わずに―。」
 お母様がスカートをまくった。「見て、見て。紅白お尻だよ。」
「ほう……。面白い事を考えるの。」
 お父様にお尻を触られた。
「テレビで、紅白歌合戦が……とか言ってるの見たら、紅白饅頭を連想して。お尻でやってみたくなったんだ。」
「成程。」
「たださあ、ひろみが帰って来た時にすぐやったから、薄くなっちゃって。今ねー、ルトーちゃんが帰ってくる前にもう一度って、急いでもう一回叩いたんだよ。」
 お母様が言いながら、わたしのお尻をぺちぺちと叩く。
「だから泣いておるのだな。」
 お父様に軽く頭を撫でられた。
「そうそ。」
「ひろみを買う時、他の貴族に迎合するようで、少し抵抗もあったのだが、正解だったの。」
「まあ、そもそも、子供の売買って、貴族の需要が先じゃなくて、貧乏な庶民が育てられなくて捨てた子供の救済策だったし……。」
 わたしはお母様の言葉に驚いたが、それはわたしだけでは無かった。
「ああ、そんな歴史があったのだの。」
「そうだよー。だから楽しんでいいんだよ。」
 どの層の子供でも人権がある他所の国からは非難の荒らしらしいが、無くならないのは、そういう事なんだろう。思わぬところで歴史を知ってしまったわたしだった。
「紅白尻か……。わたしもやってみたくなった。今度やろう。」
 楽しそうなお父様にお母様も嬉しそうだ。
「ふっふっふ。やるといいよ。わたしはもっと先に行くけどね。」
「何だ、それは。」
「今度はねぇ。〇×ゲームのようなお尻にするのだよ。」
 お母様は自慢げに、先ほど言っていた、お尻を4つの範囲に分けて叩くやり方を説明していた。
 わたしは、楽しそうな二人を、まだまだ人生は続くのだなと諦観の気持ちで眺めていた。



20年4月14日
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