New Arrival! 1
1 わたしの気持ち
「僕を困らせないでくれよ…。」
彼の両頬にわたしの手を添えて、そっとキス。
今日こそは、心だけでない恋人になろうと思って、目一杯お洒落した。
それなのに。
「さあ、もう帰らないと、おうちの人も心配してるよ。」
軽く抱き上げられたわたし。
たった5歳だけなのに。その差だけでわたしはまだキス以上のことを認めてもらえない。
「わたし達、恋人だよね?」
「勿論だよ。でも、まだ君には早いから。本当に帰らないと。」
彼の言葉。優しいけど、わたしは寂しいわ。
家へ帰る。あーあ、いつになったら、わたし達、本当の恋人になれるの?
数日後。彼とのデート後。彼の家。
「ねえ、お願い!」
駄々をこねてみる。
「ハイハイ、お嬢様は何が欲しいのかな?」
「分かってるくせに。」
ちゅ。頬にキス。「違うわよ。」
「僕を困らせないでくれよ…。君をとても大切に思ってる。…だから、ね。分かっておくれよ。」
「でもぉ…。」
「お尻、されたい?」
ああん。それは嫌。
「我慢、するわ…。」
こんなこと言われちゃうって、やっぱり、わたしはまだ子供?
2 僕の気持ち
「勘違いしてるみたいだから言っておくけど、君の望みが叶った後だって、お尻、あるんだよ?」
「ええっ!?」
驚く彼女に僕は微笑んで見せた。
「分かってくれてると思ったけどなあ…。」
「あなたにとってわたしっていつまでも子供なの?」
ああ、そうか。分かっていなかったのは僕だったんだな。
「違うよ。今だって、子供だなんて思ってない。ただ、君は、世間が許さない年齢だからね。」
「それは分かってるけどぉ…。友達は、とても素晴らしかったって言ってたし…。」
「体を大切にしないと後で泣くよ?」
「わたしが大切なのね。」
「そうだよ。」
決まってるじゃないか。じゃなきゃ、とっくに…ではなくて。(^_^;)「分かってくれて嬉しいよ。」
そっとキス。可愛く微笑む彼女。
「大切なら、お尻も無しにしない?」
「それは、駄目。君は放っておくとすぐに悪い子に変身するからね。」
「それは…。…頑張るもん。」
「そう?」
「そうなの!」
多分、明後日くらいには、そんなことを忘れちゃって、僕の膝の上で、泣くことになると思うけどね。