よくある麻薬の捜査だった。
保安課と合同で、あるビルの一室に飛び込んだ。
何かが、いつもと違った。

あわてて脱出した俺たちの目前で、部屋が一つ吹っ飛んだ。

よくあるボディガードの依頼だった。
最近、命を狙われてる気がする、だから守ってくれないか。
今度、横浜から出る船に乗れれば、もう安心なんだ。
前金で50万出す。

うますぎる話だと、キャプテンも思ってた。

捜査を続ける俺たちが見つけた首謀者は、暴力団とも関係がなく、
独自でやっているやつだった。
よく銀星会が手を出さないな、と思っていたら、政治家の子息だという。
そりゃ、つながるためには、丁度いいからな。
やつらはそれをネタに、政治家をゆすってたらしい。

俺らに捜査中止命令が、飛んで来た。

金を受け取った以上、引き受けるしかなく。
金の出所は、親だという事で、しかもそいつは政治家の息子だというので、
金回りがいいのも納得出来た。
狙われている、と言う割には、そんな危機感もなく、遊び歩いている。
ナビさんも、首を傾げていた。

そんな時、横浜で怪しい男達に出会った。

もちろん、そんな命令に従う俺たちじゃない。
その子息は、横浜にいたんだけど、とっぽい男達がまわりをうろついている。
そうこうしているうちに、タカが奴が横浜から高飛びを狙っている事を聞いて来た。
最悪なことに、銀星会も奴のルートを狙い始めたらしい。
奴らに殺されるか、俺たちが奴を抑えるか。

それしか道がなくなった。

ようやく約束の日。
あの怪しい男達のことが気になるが、俺たちの仕事は、依頼人を船に乗せるまで。
でも、どうも別件が影で動いていると、ジュンから情報が入って来た。
依頼人を港へと送っている最中に、怪しい男達が追って来た。

キャプテンが、廃ビルへと逃げ込み、道を作る事になった。

廃ビルに逃げ込まれ、俺はタカと分かれて、ビルに裏から侵入した。

俺はキャプテンに、表を任された。ちょっと気になったけど、了解した。

 

そして、銃声が響く。

短く、鋭く、2発。

「キャプテン!」
「ユージ!」

鷹山と入江が駆け込むと、微かな血の匂いと、倒れ伏している大下。
政治家の息子は、右肩を押さえ、痛いと叫び続けている。
その中で、一人麻生が拳銃を男に向けていた。
銃口からは、微かな火薬の匂いがする。

その銃は、大下のものだった。

「ダーツ、急いで救急車を呼ぶんだ」
「あ、うん」

麻生の指示に、電話しようと立ち去ろうとする入江を、鷹山が押しとどめた。
懐から、無線を引っ張り出し、

「鷹山だ。港北町の廃ビル、明石ビルに救急車を頼む」
「港署、了解」

鷹山は、大下の元へ行き、状態を確認する。
肩口を撃たれたようで、命への心配はないようだが、意識がない。

「床に、頭打ち付けたんで、脳しんとう起こしたみたいです」

その声に、鷹山が振り返ると、麻生はもう一丁の拳銃を拾い上げていた。
鷹山は、政治家の息子、東仁(あずまひとし)の状態も確認した。

「こんぐらいの傷じゃ死なねぇよ、ガタガタ騒ぐな」

そう言って、手錠を打った。

「撃ったのは、あんたか?」
「はい。この方が、私をかばって被弾しまして、止むなく、拳銃をお借りしました。すみません」
「随分、扱いに慣れてるじゃねぇか」
「私、東京で探偵やっています、麻生と言います。昔、警察官でした」
「ふーん。それでか・・・」

銃を二丁とも預かったとき、大下が目を覚ました。

「つつっ・・・・、いていてて」
「そりゃ、撃たれてんだ、痛いだろうよ」
「あ、タカ・・・、わりぃ、ドジった」
「大丈夫だ、麻生さんが押さえてくれたよ」

大下が驚いて麻生を見る。麻生は、床に転がっているブーメランをホルスターにしまっていた。
大下の視線に気付くと、照れくさそうに笑った。

ちょっと、びっくりした。
あの人が、元々刑事だったこと。
それならば、あの度胸が納得がいく。

さらにびっくりしたのは、若い時の俺そっくりな奴に会った事。
タカも目を丸くしたっていうし。
今度、東京に遊びに行ってみようかな。

ちょっと、びっくりした。
あの刑事さんの相棒という人が、俺に似てた事。
あの刑事さんが、最初俺を見た時に一瞬躊躇した理由が納得出来た。

キャプテンも驚いたって言ってた。
俺も、あんな感じに渋くなれっかな、って言ったら、
努力次第でしょうね、なんて曖昧に笑われた。
今度は、観光で、仕事抜きで一緒に遊びたいな。


end


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