16.

「確かに、最初はデキレースだったけど、それから後は、俺の実力だ。実力があると思うんだったら、同じ作品の中で、俺と勝負すりゃ良かったんだ。お前の兄貴は」

パトカーに乗せられた小久保に、龍はそう言うと、背中を向け、ぽつりと呟いた。

「そうすりゃ、負けたのは、俺の方だったかもしれないな」

 

パトカーが走り去り、また現場には6人が残された。

 

「兄貴、迷惑かけて、ごめん・・・」
「ばか、功、何言い出すんだよ。俺の方こそ・・・、ごめん」

頭を下げる龍へ、大下が茶々を入れた。

「うっひゃー、珍しい事もあったもんだ! 龍が頭を下げてる!!」

「うわ、ホントだーっ」

西條も、それに飛び乗った。龍が、二人を睨みつける。

「うっせーな!! 部外者はだまってろ!!」

ヤジを飛ばし続ける二人を、龍が追い回し始めた。

「気、使い過ぎだよ、三人とも」

そう呟いて、鷹山が苦笑をする。

「ああ、もう、兄貴!! 恥ずかしいから、やめろって!!」

功も、その輪の中へと入って行く。

「これ位、騒々しいのが、丁度いいのかもしれないな、俺たちは」

と、鳩村は、鷹山と顔を見合わせて笑った。

fin


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