「確かに、最初はデキレースだったけど、それから後は、俺の実力だ。実力があると思うんだったら、同じ作品の中で、俺と勝負すりゃ良かったんだ。お前の兄貴は」 パトカーに乗せられた小久保に、龍はそう言うと、背中を向け、ぽつりと呟いた。 「そうすりゃ、負けたのは、俺の方だったかもしれないな」
パトカーが走り去り、また現場には6人が残された。
「兄貴、迷惑かけて、ごめん・・・」 頭を下げる龍へ、大下が茶々を入れた。 「うっひゃー、珍しい事もあったもんだ! 龍が頭を下げてる!!」 「うわ、ホントだーっ」 西條も、それに飛び乗った。龍が、二人を睨みつける。 「うっせーな!! 部外者はだまってろ!!」 ヤジを飛ばし続ける二人を、龍が追い回し始めた。 「気、使い過ぎだよ、三人とも」 そう呟いて、鷹山が苦笑をする。 「ああ、もう、兄貴!! 恥ずかしいから、やめろって!!」 功も、その輪の中へと入って行く。 「これ位、騒々しいのが、丁度いいのかもしれないな、俺たちは」 と、鳩村は、鷹山と顔を見合わせて笑った。 fin |