4.
後ろからの二つの足音を確認すると、鳩村は歩くスピードを上げた。 つかず離れず、一定の位置を足音が保っているのを確認すると、鳩村はニヤリと笑った。 ロッカー室へと、その頃には走る様に飛び込んでいた。 河瀬と小久保がロッカー室の前まで来ると、鳩村が出てくる所だった。 「鳩村くんっ」 「しつっこいんだよ、あんたたち」 そのまま、足早に署を出て行く。河瀬と小久保も、そのまま後を追った。 その姿が見えなくなる頃、署の前に停めてある、ブルーシルバーのキュープの中から、大下が降り立った。 「行ったな・・・」
大下は、改めて、鷹山達の後ろ姿を確認すると、ロッカー室へと向かった。 「はっとむらさん」 ひょいっと、ドアを開けて、滑る様に中に入り込んだ。 「行ったよ」 鳩村は胸ポケットに挿していたボールペンを、大下に返した。 「便利でしょ、これ」 ボールペンをポケットに挿したことのある人なら、分かると思うのだが、蓋の所に小型カメラが仕込んであり、それで今までの鳩村たちのやり取りを見聞きしていたのだ。 「さて・・・、まいりますか。鳩村さん」 ちょっと不意を突かれて、大下はきょとんとした顔をした。 「まあ、いいか。たか」 「しばらく、慣れそうもないな・・・」 二人は、署を後にした。 |