漢の夢


そうだな。
最初はやけに「アメリカ帰り」を主張して
浪花節なゲンと衝突してた。
俺もゲンの怒りは尤もだと思ったし、
「SWAT」だか何だか知らねぇが
格好つけるのも良い加減にしやがれって
正直思ってたよ。

出来る奴では有るが
妙に俺達と距離を取りたがってた。
『大門軍団』ってのは
俺にとっちゃ「家族」と同意語でね。
そんな風に一人で居られると
気になって仕方がないんだよ。
一緒に酒を呑もうと
CORNER LOUNGEに誘っても
奴はバーボンで俺達は日本酒か焼酎。
白けるっての、場が。
もう少し雰囲気読めよって感じ?
疑ったよ、真剣に。
「コイツ、西部書の配属に
 不満が有るんじゃないか?」ってね。
いや、ほら…前歴が有るから。
赴任早々団長と課長に噛み付いた莫迦が。

* * *

奴が俺達に心を開いたのは
だいぶ経ってからだったな。
奴の叔父さん…だっけ?
それと従兄弟。
あの事件が遭ってから
奴は変わった。

酒も俺達に合わせて
焼酎を飲むようになった。
積極的に話の輪に加わるようになった。
あぁ、やっとコイツも「家族」になったんだと
感慨深く思ったね。
後で話を聞いたんだが、
アイツ…あぁ見えて人見知りするんだと。
俺は即座に「嘘だ」と思ったが
勿論、口には出してねぇよ。
俺、大人だもん。

でもな、一理有ると思うんだ。
俺はそれこそ暦が長くなったが
『大門軍団』ってのは
警視庁でも一目置かれる存在だ。
其処に所属となったら…
先ず普通の奴はビビるわな。
まぁ、ビビらない奴だからこそ
今のメンバーが揃ってるんだが。
アイツ…ハトも
何かを感じ取っていたのかも知れねぇな。
あぁ見えて繊細な奴だから。

* * *

今?
今はお蔭様で仲良くやってるよ。
あぁ、毎日が楽しいぜ。
これから?
そんなのは、おてんとさんにでも聞いてくれ。
俺には興味ない。
未来なんて幾らでも変わっていくもんさ。
今の仲間達と明るく楽しく
事件追っかけて行ければ良いんだ。
多くは望まないよ。

尊敬する上司の下で、
信頼出来る仲間と共に居れる事。
最高じゃない?
漢の夢って奴さ。

参考になった?
そいつは良かった!



風間様、リクエスト戴き有り難う御座いました。
『鳩村加入後のリキさんの話(リキから見たハトさんについて)』の巻、
こんな感じに仕上がりました。
これからもどうぞご贔屓に宜しくお願い致します。

2006.2.8 ©「Traum und Mut」 森本 樹

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