修に紹介される前に、大下に会っていたことを思い出した。


すぐに思い出せなかったのは、たぶん大下の纏ってる雰囲気がまた違っていたからだろうか?!


あれは初対面の数日前だったと思うが・・・
俺達は偶然通りかかり、あの五島そっくりの顔につい立ち止まっちまったんだ。
土砂降りの雨の中、数人の男達に囲まれていて、
それでもまったく怯まず立ち向かっていたのが大下だった。


シャツにジーパンという、普段では考えられない格好をしていた。


そりゃーもう、見事な大立ち回りだったぜ。


相手は10人ほどいたんだが、あっという間に1人残して倒しちまいやがった。
たぶんそいつはリーダーなんだろうな、大下はわざと残したんだ。


そしたらそいつ、ナイフを持ち出したんだよ。
そして、大下に向かってがむしゃらに振り回し始めやがった。


初めは余裕でかわしてたんだが、何せ相手の動きがメチャクチャだろう!?
右腕に掠っちまったんだよ・・・軽くだったけどな。


だがそんな傷を気にした風もなく、相手の腹に1発決めてナイフを取り上げ気絶させてたよ。
そして、こっちを見たんだよ大下が。


ドキっとしたぜ。見蕩れるくらい綺麗だと思っちまったからな・・・


雨で濡れて透き通っちまったシャツと、右腕の傷に少し流れる血。
ただ持っているだけのナイフなのに、奴の獣の目を見たとたん怪しく煌いてるように見えちまう。


そのすべての事柄が、大下の魅力を最大限に引き出してたんだろうぜ


しばらく見詰め合っていたいたが、大下がふいと視線を外しそのまま去って行った。
残された俺達は、しばし呆然としてしまってたよ・・・


竜なんて、完全に固まってやがったぜ。信じられないって面させて
まぁ、俺だって似たようなもんだったがな・・・

 

お前そっくりの顔してまったくの別人の大下は、お前から俺達への悪戯の産物か?五島よ・・・


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