宇宙刑事ディルバン(プロローグ)

 

 銀河の平和と秩序を守る秘密組織、宇宙警察機構は地球に危険が迫っていることを

いち早く察知した。この危険に対抗すべく宇宙警察機構は地球人の若者、結城タケル

を宇宙刑事に抜擢することになった。

 頭脳優秀でスポーツ万能なタケルは、短期間の訓練で宇宙刑事としての実力を身に

付け地球に赴任した。『宇宙刑事ディルバン』の誕生である。

 

 そして宇宙警察機構が予想した通り、地球に黒い影が忍び寄る。

 凶暴な異次元獣を操り銀河系征服を企む異次元帝国ダークギルが地球に対して侵略

を開始したのだ。高度なテクノロジーを持つ彼等にかかれば、地球征服は時間の問題

と思われた。

 しかし、その野望はディルバンの活躍によりことごとく打ち砕かれてきた。

 業を煮やしたダークギルの支配者、暗黒皇帝マフーは遂にある決断を下した。ディ

ルバンに対抗するために、自分の息子であるアルス王子を召還したのだ。アルス王子

は、優秀な頭脳と父親譲りの残忍さによって、既に多くの星系を征服した実績を持っ

ていた。

 

 そして今、アルスは異次元空間にあるダークギルの城、ダークパレスの一室でモニ

ターに写るディルバンの戦いをじっと見つめていた。美しく輝くメタルブルーのバト

ルスーツに身を固めたディルバンは、鮮やか身のこなしで次々とダークギルの戦闘員

たちを倒して行く。

 

「こいつが次の獲物か、楽しみだねぇ」

 

 14、5才の美しい少年にしか見えないアルスだが、その微笑みには見た者の背筋

を凍らせる邪悪さが滲み出ていた。

 

「アルス王子、例のマシンが完成いたしました」

 

 女の声に気付き振り向くと4人の女戦士が跪いている。アルスの腹心の部下、四天

王である。彼女達は一人で通常の異次元獣10体分の戦闘力を持つと言われ、その狡

猾で残忍な性格故に、帝国内部からも恐れられる存在であった。

 

「そうか、では作戦を開始する」

 

 モニターに視線を戻したアルスは、再び邪悪な微笑みを浮かべると四天王に命令を

下した、ディルバンを卑劣な罠に堕としいれる恐怖の作戦の開始命令を・・・